ファミリークローゼットは、家族で一つの大きな収納を利用する間取りのことです。
ファミリークローゼットを活用することで、家事導線や生活導線を短縮できるというメリットがある一方で、間取りを考える際には注意しなければならないこともあります。
本記事では、ファミリークローゼットがどのようなものなのかといった点やメリット・デメリットの他、ファミリークローゼットを採用する際のおすすめの間取りなどご紹介していきます。
Contents
ファミリークローゼットとは
ファミリークローゼットとは、家族全員の衣類を1か所に収納するスペースのことを言います。
クローゼットというと、各部屋に設置されているイメージを持っている人も多いでしょう。
ファミリークローゼットは、それぞれの部屋のクローゼットを1か所に集約したイメージです。
洋服はもちろんのこと、下着やパジャマ・靴・バッグなどさまざまなものが収納できます。
また、衣類の収納だけでなく、着替えやアイロンなどの作業スペースも設けるなど活用も幅広くできるのです。
同じような大容量の収納スペースとしては「ウォークインクローゼット(WIC)」や「ウォークスルークローゼット(WSC)」が有名でしょう。
WICとは、中に入って動き回ることのできる収納スペースのことを言います。
さらに、出入り口が2つあり、通り抜けできるタイプの収納スペースがWSCです。
両者はファミリークローゼットと別物という訳ではありません。
ファミリークローゼットのタイプが、WICかWSCという形となるのです。
ウォークインクローゼット(WIC):出入口が1つ
ウォークスルークローゼット(WSC):出入口が2つ
WICは、出入り口が一つなのでWSCに比べて壁面が大きくなり、より収納量が大きくなります。
また、出入り口が一つなので、将来部屋として使いたい場合も比較的転用しやすいというメリットがあるでしょう。
WSCは、主寝室と子ども部屋、洗面脱衣所とシューズクロークというように二つの部屋に挟むことができるので、出入りしやすく生活導線を効率化できます。
どちらのタイプがいいかは、使用用途や収納量・間取りなどから検討するとよいでしょう。
ファミリークローゼットを設けることで、収納が便利になり家事動線が楽になるというメリットがあります。
しかし、スペースが取られるなどのデメリットもあるので、メリット・デメリットを比較して慎重に検討することが大切です。
以下では、ファミリークローゼットのメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。
ファミリークローゼットを設けるメリット
メリットとしては、次の3つが挙げられます。
- 家事導線を最適化しやすい
- モノが散らかりにくくなる
- 居室のスペースを確保しやすくなる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
家事導線を最適化しやすい
クローゼットがそれぞれの部屋に設置されている場合、洗濯物を取り込んで畳んだらそれぞれの部屋に収納しに行く必要があります。
各々で洗濯収納してくれる家庭ならよいですが、1人で洗濯収納までしなければならない場合、部屋を回って収納まですると手間も時間もかかります。
ファミリークローゼットであれば、1か所で家族全員分の洗濯収納が済ませられるので、家事動線を短くすることが可能です。
さらに、キッチン横や脱衣所の横に配置することで、より動線を効率化できるでしょう。
また、家族の動線を短くすることも可能です。
1階にファミリークローゼットを設置すれば、着替えてすぐに外出することや、外出後にすぐに着替えもできます。
それぞれの部屋にクローゼットがある場合、帰宅後に一度2階の部屋に入って着替えをして、と移動距離が増えてしまうものです。
1階と2階の往復を減らせる配置にすれば、日常生活がずいぶん楽になるでしょう。
モノが散らかりにくくなる
ファミリークローゼットは、衣類だけでなく小物やシーズンオフした服・布団などの収納も可能です。
玄関横などに設置すれば、家族が帰ってきたら、ファミリークローゼットに収納してリビングにという動線もできます。
子ども用に低い棚などを設置すれば、子どもでも自分で収納可能です。
間取りを工夫することで、他の部屋で衣服や小物が散らばることが少なくなるのです。
また、収納場所がばらばらにあると、どこに何を収納したのか分からなくなる場合もあるでしょう。
ファミリークローゼットに大部分を収納できれば、収納場所が分からないという事態も防げます。
居室のスペースを確保しやすくなる
部屋ごとにクローゼットやタンスを設置すると室内が狭くなってしまいがちです。
ファミリークローゼットがあれば、個々の部屋のクローゼットを設置せずに済みその分のスペースを広くとれるでしょう。
ファミリークローゼットを設けるデメリットや注意点
デメリットや注意点として、次の3つが挙げられます。
- 大きなスペースを確保する必要がある
- 混雑しやすくなる
- 子どもが嫌がることがある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
大きなスペースを確保する必要がある
家族全員分の衣類や小物などを収納しようとすれば、ある程度大きなスペースは必要です。
4人家族であれば3畳ほど、さらに、中で着替えやアイロン作業などもするとなれば、そのスペースのためにプラス1~2畳程度は必要になるでしょう。
間取りによっては、その分リビングなどのスペースを狭くしなければならない可能性がある点に注意が必要です。
収納スペースに余裕を持たせて家族がくつろぐスペースが狭くなってしまったということが無いように、バランスを考慮して間取りや広さを検討するようにしましょう。
とはいえ、ファミリークローゼットがある分各部屋の居住スペースを大きくできるというメリットもあるので、スペースの問題については一長一短とも言えます。
関連記事:4人家族の間取りのベストは?選び方と1〜4LDKそれぞれの暮らし
混雑しやすくなる
家族全員の衣服があるので、朝の着替えの際などで混雑しやすくなります。
スペースがあまり大きくない場合、狭い中で家族全員がひしめきあうことになりかねないので注意しましょう。
WSCタイプであれば、出入りの混雑を避けやすいので検討するのもおすすめです。
子どもが嫌がることがある
子どもが小さいうちはファミリークローゼットでも大丈夫ですが、思春期になるとそうともいかない場合があります。
「下着を他の家族に見られたくない」「一緒に着替えたくない」「服を選んでゆっくり着替えたい」などで、子どもがファミリークローゼットを嫌がる場合があるのです。
また、家族の誰かが服をたくさん所有すると、1人だけスペースを大きく使って他の人のスペースがないなどでケンカになる可能性もあるでしょう。
ファミリークローゼットを設置する際に、他の部屋の収納を省いて個々の部屋に収納できない状態にしていると、将来的に問題が起きる場合があります。
そのため、子どもが大きくなったら独立した収納を持たせることも視野に入れて、ファミリークローゼットや各部屋の収納スペースを検討することが大切です。
ファミリークローゼットを活用したおすすめの間取り3選
ファミリークローゼットを検討する場合は、家族全員の衣類の量を把握して適切な収納量を確保することが大切です。
将来家族が増える予定があれば、そのことも考慮してスペースを検討するようにしましょう。
また、収納するものや使用用途を明確にすることが大切です。
衣服だけなのか、小物や布団・アウトドア用品まで幅広く収納したいのかによっても必要な収納スペースは変わります。
さらに、クローゼット内で着替えやアイロン、洗濯物を畳むなどの作業もしたいのかも大きなポイントとなるものです。
それらのポイントを抑えたうえで、最適なファミリークローゼットの間取りを検討していくとよいでしょう。
ここでは、ファミリークローゼットの活用例として次の3つを紹介します。
間取りを決める際の参考にしてみてください。
- 洗面脱衣所の近くに配置して家事導線を最適化
- 子ども部屋と主寝室の間に設置して毎日の着替えを楽にする
- シューズクロークにつなげて外出時の片付けを楽にする
洗面脱衣所の近くに配置して家事導線を最適化
洗面脱衣所の近くにファミリークローゼットを配置すると、家事動線の効率化ができます。
洗面所があれば、「洗面所→着替え→外出」「帰宅→着替え→手洗い」と朝や帰宅後の着替えがスムーズになるでしょう。
また、浴室乾燥機や洗濯乾燥機があるなど、洗面所にランドリールーム機能が備わっていれば、乾いた洗濯物をそのままファミリークローゼットに収納できます。
外干し派の場合は、ファミリークローゼットから外の物干し場につながるように勝手口を設ければ、「洗濯・乾燥・たたむ・収納」の洗濯に関わる家事を効率化できます。
関連記事:新築住宅にランドリールームはおすすめ?メリット・デメリットと間取り例
子ども部屋と主寝室の間に設置して毎日の着替えを楽にする
着替えを楽にしたい場合、子ども部屋と主寝室の間に設けるのもおすすめです。
寝室に隣接するので、衣類だけでなく布団なども収納しやすくなります。
この間取りは2階にファミリークローゼットを設けることになるので、来客から見えることもありません。
ファミリークローゼットからベランダに出られるようにしておけば、干した後にそのまま収納も可能です。
1階部分の間取りを変更することが無く、リビングは広々スペースをとることも可能です。
また、各部屋にそのままつながっているので、着替えはそれぞれの部屋ででき、子どもが大きくなってもプライバシーを保ちやすいでしょう。
また、将来子どもが独立してファミリークローゼットを使わない場合は、書斎やワークスペースに、子どもが増えたら子ども部屋に転用することも可能です。
将来転用する可能性も含めて設置する場合は、窓やコンセントなども転用を見越して設定しておくとよいでしょう。
シューズクロークにつなげて外出時の片付けを楽にする
玄関横に設置してシューズクロークとつなげると、外出時や帰宅時の身支度が楽になります。
帰ってきたらシューズクロークで靴を、ファミリークローゼットで衣服や小物を収納してからリビングや各部屋に向かうので、他の部屋が散らかることも防げるでしょう。
ファミリークローゼットでコート類も脱ぐので、室内に花粉などを持ち込まない点もメリットです。
さらに、WSCタイプにしてシューズクロークとファミリークローゼット・洗面所をつなげれば、帰宅後の手洗いまで一連の流れで済ませられるので、よりスムーズにできます。
関連記事:おしゃれで使いやすい玄関とは? 玄関設計のポイントを紹介
まとめ
ファミリークローゼットの概要とメリット・デメリット、またファミリークローゼットを活用した間取りについてご紹介しました。
ファミリークローゼットを採用した間取りは毎日の生活導線・家事導線に大きな影響がありますが、うまく活用することでお家での快適度を大きくアップできるでしょう。
ファミリークローゼットに興味がある方は本記事の内容を参考になさってください。
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