注文住宅を建てる際に、窓サッシをどう選べばよいか迷っているという方もいらっしゃるでしょう。窓サッシは住宅の見た目や気密性・断熱性を大きく左右するものです。本記事では、窓サッシについて4つの種類をご紹介するとともに、それぞれの特徴やメリット・デメリットをご紹介していきます。
Contents
そもそも窓サッシとは?
窓サッシとは、窓を取り付けるための枠と窓本体のことを指します。
一般的には「窓サッシ=窓全体」と捉えている方も多いでしょう。
もちろんこの認識でも問題ありません。
しかし、より厳密に言うなら「窓=サッシ+ガラス」という構造でできていると理解するとよいでしょう。
サッシとは?
窓を構成する一つである「サッシ」とは、ガラスをはめ込む枠となる建材のことを言います。
具体的には、次の部分から構成されます。
- 框(かまち):ガラスを固定する枠
- 枠:壁に固定するための枠
框とは、ガラスを固定する枠のことを言い、框+ガラスで稼働する部分全体のことを障子(しょうじ)と呼びます。
また、その障子を支える枠部分が「枠」となり、サッシはこの框+枠部分のことを指します。
サッシにはさまざまな種類があり、代表的なものが「アルミサッシ」でしょう。
他にも、樹脂や木製・アルミと樹脂の複合と言った素材があります。
それぞれの素材による違いは後述するので参考にしてください。
窓とサッシの違い
窓の枠部分にあたるサッシにガラスをはめ込んで、窓として機能する状態になったものが「窓」と呼ばれるのが一般的でしょう。
引き違い窓の場合、窓の大まかな造りは次のようになります。
①家側部分:「額枠(窓枠)」+「サッシ」
②可動部分:「障子(框+ガラス)」+レバーやカギなどの「部品」
①の大枠に②の動かす部分をはめ込むことで窓は出来上がります。
そのため、厳密にはサッシと呼ぶ場合、ガラス部分や家側に付けられる額枠は含まれておりません。
しかし、窓とサッシの定義は業者によっても異なるものです。
全体を指してサッシという場合や、厳密に定義する場合などさまざまあります。
業者と打ち合わせする場合などでは、サッシはどこまで含まれているのかを確認して双方の認識違いが無いようにすることが大切です。
窓サッシの選び方
窓は、生活を快適にするために重要な役割を果たしているものです。
窓の役割には「採光」「通風」「断熱」「見た目」などがあります。
ガラスの性能やフレームの材質・デザインなどによって窓の性能は大きく変わってきます。
とはいえ、それらの選択肢は幅広く、選び方が分からないという人も珍しくありません。
窓サッシを選ぶ際には、次の3つを意識するとよいでしょう。
- 気密性や断熱性
- コスト面
- 見た目
気密性や断熱性
窓は、家の中でも熱の出入りが多い部分です。
窓から熱が出入りするのを防げないと「夏暑く冬寒い」に陥ってしまうでしょう。
「冬になると窓の近くが寒い」「なんだか冷房の効きが悪い…」という場合、窓の気密性や断熱性が影響しています。
気密性や断熱性の高い窓サッシにすることで、外気の侵入・室内の冷暖房を外に逃がすことを防げ、室内を快適に過ごしやすくなるものです。
断熱性や気密性を上げるには、ガラスが2枚・3枚重なった複層ガラスや複合サッシなどの高性能サッシを選ぶことをおすすめします。
また、断熱性や気密性の高い窓サッシなら、防音性も高くなるというメリットもあるので検討してみるとよいでしょう。
関連記事:高気密・高断熱住宅とは? メリットとデメリットを徹底解説
コスト面
性能のよい窓サッシほどコストは高くなります。
ガラスにしてもガラス1枚よりも2枚・3枚と増えるほど費用はかさみます。
しかし、気密性や断熱性を上げることで、初期費用は必要ですが、生活していく中でかかる冷暖房費用を抑えることが可能です。
初期費用を抑えようとして性能を落とすと、冷暖房にかかる費用がかさんでトータルでは光熱費の方が高くなってしまう可能性もあります。
コスト面を考える際は、初期費用だけでなくランニングコストも含めて検討することが大切です。
高性能にしつつ初期費用を抑えたいなら、窓の大きさや数を工夫するのも良いでしょう。
窓は数が多くなるほどコストもかさみます。
小さな窓であっても数が多くなると総合的な費用は高くなるものです。
また、大きな窓ほど費用がかかるのは言うまでもありませんが、高性能の窓を大きくする場合と性能を抑えた窓を大きくするのでは費用の上り幅が異なります。
一般的に高性能の窓を大きくする方が、同じサイズアップでも費用の上がり幅が大きくなるので注意しましょう。
見た目
窓は家の外観を左右する大きなポイントです。
また、窓のデザインが違うだけで室内の印象も大きく異なってきます。
間取りばかりを気にして、窓を適当に配置したら、外から見て統一感がなく見た目が悪いといった失敗例はよくある話です。
よりおしゃれな家を演出したいなら、窓のデザインや色・位置・大きさなどにこだわることをおすすめします。
関連記事:あこがれのデザイナーズ住宅(ハウス)とは?特徴や施工例を解説
ただし、デザインばかりを重視すると、採光性が悪い・通気性が悪い・外から丸見えということにもなりかねません。
また、外から見えない部分の窓の見た目にこだわりすぎてもコストがかかりすぎてしまいます。
窓サッシを選ぶ際には、上記のようなポイントを意識して予算に合わせて適切な窓サッシを選ぶようにしましょう。
また、窓サッシはその材質によってもメリット・デメリットが異なるものです。
以下では、代表的な窓サッシの材質である次の4つのメリット・デメリットを詳しく解説していきます。
- アルミ窓サッシ
- アルミ樹脂総合窓サッシ
- 樹脂窓サッシ
- 木製窓サッシ
アルミ窓サッシの特徴とメリット・デメリット
アルミ窓サッシは、一戸建てだけでなく賃貸住宅でも多く採用されている日本で広く普及している窓サッシです。
アルミ窓サッシの特徴
アルミ窓サッシとは、アルミニウム合金で作られた窓サッシのことを言います。
アルミニウム合金は比較的安価で入手でき、加工もしやすい素材です。
そのため、高度成長期以降爆発的に普及し日本のほとんどの住宅で長年に渡りアルミサッシが使用されていました。
アルミ窓サッシのメリット
アルミ窓サッシのメリットとしては、次のことが挙げられます。
- 他の素材に比較し安い
- 軽くてサビにくい
- 耐久性が高い
アルミ窓サッシが普及した大きな要因が価格の安さです。
他の素材のサッシに比較しアルミサッシは安い傾向があり、逆にアルミサッシから別の素材を検討すると数十万円アップすることも珍しくありません。
また、アルミは軽くてサビにくく・耐久性に優れているという特徴があります。
アルミ窓サッシにすることで、シンプルですっきりとした見た目の窓サッシを作りやすくなります。
見た目はシンプルでもアルミの特性から強度もあり寿命を長くすることも可能です。
アルミ窓サッシのデメリット
アルミ窓サッシのデメリットとしては、次のようなことが挙げられます。
- 結露しやすい
- 断熱性が低い
アルミは伝熱性が高く、外の熱や寒さを家の中に伝えやすいというデメリットがあります。
室内の温度が外気に影響されやすくなるので、光熱費もかさむでしょう。
また、伝熱性の高さから結露しやすいというデメリットもあるのです。
結露することで、周辺のカビや傷みの原因となります。
そのようなデメリットから、近年の新築住宅ではアルミサッシを採用するケースが減ってきているのです。
アルミ樹脂総合窓サッシの特徴とメリット・デメリット
アルミサッシに代わり近年普及しているのが、アルミ樹脂総合窓サッシです。
アルミ樹脂総合窓サッシの特徴
アルミ樹脂総合窓サッシとは、屋外側のサッシがアルミ・屋内側は樹脂でできたサッシのことを言います。
後述する樹脂窓サッシとアルミ窓サッシの複合型という特徴があり、それぞれのよいところを組み合わせたサッシとして人気が高まっています。
アルミ樹脂総合窓サッシのメリット
アルミ樹脂総合窓サッシのメリットとして、次のようなことが挙げられます。
- 耐久性が高い
- 断熱性が高い
外側が耐久性の高いアルミでできているので、紫外線などによる劣化を防ぎやすいというメリットがあります。
アルミの軽くて強度があるという特徴を生かしてシンプルでデザインをスッキリした窓サッシが可能です。
また、内側は断熱性の高い樹脂製になるので、外の熱や冷気を家の中に伝えにくくなり結露も防ぎやすくなります。
アルミ窓サッシのデメリットを解消した窓サッシがアルミ樹脂総合窓サッシと言えるでしょう。
アルミ樹脂総合窓サッシのデメリット
デメリットとしては、次のようなことが挙げられます。
- 結露を完全に防げるわけではない
- 断熱性は低め
アルミ部分が残っているので、結露をしっかり防げるわけではありません。
外側のアルミ部分は結露し、それを伝って内側が結露することもあります。
また、樹脂サッシに比べると断熱性は低くなる点にも注意が必要です。
価格はアルミよりも高くはなりますが、樹脂よりは抑えられます。
そのうえで性能も上がるので、価格と性能のバランスは良いでしょう。
樹脂窓サッシの特徴とメリット・デメリット
樹脂窓サッシは、世界規模で見た場合広く利用されているサッシ素材です。
日本での普及率はまだ低いですが、アメリカやヨーロッパでは60~70%と急速に普及率が進んでいます。
樹脂窓サッシの特徴
樹脂窓サッシは、プラスチック製の樹脂が使用されたサッシのことをいいます。
利用される塩化ビニル樹脂は、加熱すると形を変えやすい特性があり、建築素材だけでなく日常用品などさまざまな分野で使用されている素材です。
樹脂窓サッシのメリット
樹脂窓サッシのメリットとしては、次のようなことが挙げられます。
- 断熱性が高い
- 結露を防げる
- 防音性にも優れている
塩化ビニル樹脂はアルミと比較し熱伝導率が1000分の1と言われるほど低いという特徴があります。
そのため、樹脂窓サッシを設けることで、家の断熱性を上げ外気の影響を受けにくくなるのです。
また、室内型のサッシ部分が冷えにくくなるので結露の発生を防げます。
結露を防げれば、カビなどの家の劣化を防げるだけでなく健康面にとっても良好な室内環境にできるでしょう。
樹脂窓サッシのデメリット
デメリットとしては、次のようなことが挙げられます。
- 価格が高い
- 強度が低い
- 重量がある
デメリットとしては価格の高さがあります。
樹脂窓サッシにした場合、アルミ窓サッシの倍以上のコストがかかる可能性があり、窓数などによっては高額な費用が必要です。
また、アルミに比べ強度が低くなるため、強度を保つためサッシ枠を厚くする必要があります。
厚みを持たせる分窓全体の重さが増し、窓の開閉に影響が出る恐れやガラス面が小さくなる場合もあるので注意しましょう。
木製窓サッシの特徴とメリット・デメリット
アルミサッシが普及する以前に多く取り入れられていた木製窓サッシ。
近年高性能な木製窓サッシが登場したこともあり、注目を集めています。
木製窓サッシの特徴
木製窓サッシは、サッシ部分をすべて木で作ったサッシのことを言います。
木の風合いを活かしたデザイン性の高さが魅力で、アルミサッシよりも温かな印象を与えることができます。
また、木製は、断熱性や結露を防ぐ特性があり、取り入れる住宅が増えつつあるのです。
木製窓サッシのメリット
木製窓サッシのメリットとしては、次のようなことが挙げられます。
- デザイン性が高い
- 強度や断熱性が高い
- 結露を防げる
木の温かみのある風合いを活かしたサッシはインテリアになじみ、家の印象を優しく演出できます。
サイズやデザインも柔軟に対応できるので、大きく開口部を取った窓も実現しやすいでしょう。
木製窓サッシは樹脂サッシよりも高い断熱性を誇っています。
外気に影響されにくくなり室内を快適な状態にしやすいだけでなく、結露も防ぎやすくなります。
木製窓サッシのデメリット
木製窓サッシのデメリットとしては、次のようなことが挙げられます。
- 価格が高い
- メンテナンスに手間やコストがかかる
木製窓サッシは他の素材のサッシと比較して、一番コストがかかるサッシです。
また、木は紫外線や風雨の影響で劣化しやすいというデメリットがあります。
劣化を防ぐには塗装などの3年~5年毎の定期的なメンテナンスが必要になり、そのためのコストや手間がかかってくる点には注意が必要です。
ただし、木製窓サッシは適切なメンテナンスを施せれば寿命が長く100年以上持つともいわれています。
まとめ
窓サッシについて、選び方や4つの種類のサッシのそれぞれの特徴・メリット・デメリットをご紹介しました。窓サッシの素材にはそれぞれよい面と悪い面があるため、一概にどのサッシを選べばよいというわけではありません。住宅会社の担当者と相談しながら、自分の家のコンセプトに合う窓サッシはどれか決めていくことが大切だといえるでしょう。
窓サッシは家全体のデザインに大きな影響を与えながら、性能面も考える必要がある住宅設備です。
この点、タクトホームは「デザインと性能が良質した住宅」の豊富な建築実績があります。
窓サッシについてお悩みの方は、まずは実績豊富なタクトホームにご相談されてみてはいかがでしょうか。
関連記事:高性能住宅とは? 家を建てるなら高性能住宅がおすすめな理由