一人暮らしの住まいとして、最近では一戸建ての平屋を建築する方も増えています。
一戸建てであれば、マンションやアパートのように周りに気を遣いすぎる必要もなく、のびのびと暮らすことができます。
注文住宅を建てるのであれば、自分の自由に間取りを検討でき、理想的で快適な暮らしの実現も可能です。
ただし平屋を建築する際、一人暮らしだからこそ注意すべきポイントもあります。
ここでは、平屋の一人暮らしのメリットとデメリット、一人暮らしの平屋を建築する際の注意点、一人暮らしの平屋を快適にする間取りのポイントについてご紹介します。
平屋の一人暮らしのメリット
一人暮らしをするのに平屋がおすすめの理由として、メリットが数多くあることです。ここでは、平屋で一人暮らしをするメリットをご紹介します。
- バリアフリーな暮らしができる
- 生活動線の良い家に住める
- 維持費を抑えられる
- 耐震性が高い家に住める
- 災害時緊急時の避難がしやすい
- 敷地内に駐車場が造れる
それぞれのメリットについてみていきましょう。
バリアフリーな暮らしができる
平屋は階段の上り下りがなく、生活の全てをワンフロアで完結できます。
段差も少なく移動距離も短くて済むので、バリアフリーで暮らしやすいというメリットがあります。
階段がなく段差も少ないということは、転倒する危険性も少なくなるということです。
年齢を重ねて高齢になった時でも安心・安全に生活できる家になります。
また、ペットにとっても安全で、将来親御さんと同居する場合も安心です。
生活動線の良い家に住める
平屋には階段がないため、ワンフロアで生活動線の良い家を設計できます。水回りを隣接させれば家事効率も上がり、移動が短くシンプルな間取りの計画が可能です。
また、一人で暮らす家なのでご自分の要望をダイレクトに反映させることができます。書斎を造ったり、趣味をするためだけの空間づくりをしたりと、生活動線以外も自由に反映させられます。
維持費を抑えられる
家は住み始めてからもメンテナンスが必要ですが、平屋の場合だと2階建て・3階建てよりも維持費を抑えられる可能性が高いです。例えば、屋根や外壁は新築から10年程度経過すると塗装などのメンテナンスをしなければなりません。その際に、2階建て・3階建てだと高い位置まで足場を組む必要があり、その分足場台も高くなります。また、高所作業は危険を伴うため、作業効率が下がり工期も長くなりがちです。一方で平屋であれば足場の範囲も狭くて済むので、その分足場代を抑えることが可能です。
他にも平屋であれば光熱費を節約できる可能性もあります。なぜなら、平屋に大きな片流れ屋根を掛ければ、大容量の太陽光発電を設置できるからです。
自分の家で発電した電力を使えば、電力会社から電気を購入する量が減るので、電気代を抑えられることになるでしょう。
耐震性が高い家に住める
平屋は構造上、耐震性が高い家です。その理由は、建物の高さが低いことにあります。
2階建て・3階建てだと下階に上のフロアの加重が掛かるため、その分下階にかかる負担が大きく、耐震性を高めるために柱や梁、耐力壁をたくさん使って補強しなければなりません。そのため、場合によっては大空間をつくることが難しい場合もあります。
一方、平屋であれば建物の高さが低く、負荷になる上階が存在しないため、耐震性を高めることができます。また、大空間もつくりやすいので広々と開放的なリビングをつくることも可能です。
災害時・緊急時の避難がしやすい
平屋はワンフロアでできているので、万が一の災害時や緊急時に避難がしやすいというメリットがあります。
家の中での移動距離も短いため、地震などの災害が発生した時にすぐに外に出て安全を確保しやすいです。
敷地内に駐車場が造れる
賃貸にお住まいの方で車を所有している場合やマンションにお住まいの方だと、駐車場代を毎月支払わなければなりません。
平屋の一戸建てを建築し、敷地内に駐車場を造れば駐車場代の節約が可能です。
ガレージ付きの平屋にすれば愛車が雨風に晒されにくくなって大切に保管できるだけでなく、雨の日でも濡れずに家の中に入ることができます。
平屋の一人暮らしのデメリット
続いて、平屋の一人暮らしのデメリットをみていきましょう。
- 防犯面に不安が残る
- 簡単に引っ越せない
- メンテナンスに手間と労力がかかる
- 日当たり風通しが悪い可能性がある
- 家族が増えた時に狭くなる
ここでは、平屋だからこそのデメリットと、賃貸と比較した場合のデメリットを解説していきます。
防犯面に不安が残る
マンションであれば、オートロックなどのセキュリティーが充実しています。しかし、平屋で一人暮らしをする場合、自分で防犯対策をしなければなりません。
特に平屋は、広い土地がなければ建築が難しいため、郊外の開けた場所に建てられることが多いです。
この場合、静かな環境で過ごせるメリットもありますが、人通りが少ない可能性が高いため、防犯面を考慮した家づくりをしなければなりません。
また、大きな掃き出し窓があると周囲の目が気になってプライバシーの確保が難しい場合もあります。隣家との位置関係に注意して、窓の高さや位置などを工夫しなければなりません。
簡単に引っ越せない
屋を購入すると、ローン返済などもあり簡単に引っ越すことができません。
転勤の多い方が家を購入すると、ローン返済と異動先の家賃の支払いで負担が二重になり、家を手放さなければならないこともあります。
ご自分のキャリアを考えた上で、引っ越すかどうかを決める必要があるでしょう。
メンテナンスに手間と労力がかかる
一戸建てを購入すると、屋根や外壁、内装、設備などの定期的な点検と補修を自分でしなければなりません。劣化や破損箇所があれば、交換や修理、リフォーム費用の負担も必要です。
賃貸住宅であれば、毎月の管理費や駐車場代はかかりますが、メンテナンスは管理会社が行ってくれるので、ご自分が負担する労力はほとんどありません。
日当たり・風通しが悪い可能性がある
平屋の場合、2階建てのように吹き抜けを造って高い位置に窓を設置するといった設計が難しいため、家の中央にある部屋の日当たりや風通しが悪くなる可能性があります。
日当たりや風通しの良い間取りにするためにも、高窓や勾配天井、中庭などをうまく利用した家づくりを考えなければなりません。
家族が増えた時に狭くなる
一人暮らしのための平屋を建てたものの、その後家族が増えてしまう可能性も十分にあります。例えば、恋人と暮らすことになったり、高齢のご両親と暮らすことになる場合もあるでしょう。
平屋の1LDKのように必要最低限の間取りで設計した場合、家族が増えた時に部屋数が足りなくなる可能性があります。
家族が増えることを考慮して一部屋多めに部屋を確保しておくなど、なるべく臨機応変に対応できる設計を考えるのもおすすめです。
一人暮らしの平屋を新築するメリット
ここまでは一人暮らしの平屋に暮らすメリットをご紹介しました。
ここからは、中古住宅や建売住宅を購入するのではなく、一人暮らしで平屋を新築する場合に得られるメリットを解説します。
- 自分の理想の間取りで建てられる
- 希望の土地を探せる
- ペットと一緒に暮らせる家づくりもできる
- 庭をつくることもできる
- ローン完済すれば出費も減る
- 資産価値として残る
賃貸ではなく、持ち家だからこそのメリットもあります。
それぞれのメリットについて見ていきましょう。
自分の理想の間取りで建てられる
一人暮らしの平屋であれば、自分のためだけの空間になるので、自分の理想の間取りで家を建てられます。
中古住宅や建売住宅のように、あらかじめ決まっている間取りではなく、一から自分の暮らしやすい間取りをつくれるので、非常に自由度が高いです。
趣味の部屋や書斎を造ったり、広い庭でガーデニングや家庭菜園を楽しめるような空間にするなど、自分の理想を形にできます。
希望の土地を探せる
平屋を新築するのであれば、自分が希望するエリア内で土地を探して家を建てることができます。これは、中古住宅や建売住宅では実現できない、注文住宅の新築ならではのメリットです。
ペットと一緒に暮らせる家づくりもできる
ペットと一緒に暮らせる家づくりも可能です。
賃貸住宅の場合、ペットと一緒に暮らせない場合も多いですが、平屋を新築すればペットと一緒に暮らせます。
中庭にドッグランやリビングにキャットウォークを設置したりなど、自由な設計ができるので、ペットものびのびと生活できるでしょう。
庭をつくることもできる
平屋は自然を近くに感じられる環境づくりもできます。リビングから出られるウッドデッキを設置すれば、晴れた日にのんびり読書を楽しむなど、ゆっくり過ごせるアウトドアリビングとしても活用できます。
ローン完済すれば出費も減る
持ち家は住宅ローンを完済すれば、毎月の返済がなくなります。固定費の出費を抑えられるので、定年退職後までにローンを完済すれば老後の負担を減らせます。
資産価値として残る
賃貸住宅の場合、資産として残りませんが、持ち家であれば家が資産として残ります。万が一売却しなければならない場合、資産価値の高い高性能な家を持っていれば売却時に高く売れる可能性もあります。
一人暮らしの平屋を新築する際の注意点
一人暮らしの平屋を新築することで、様々なメリットが得られます。
しかし、その反面、新築する際にいくつか注意点も存在します。
- 防犯・プライバシーに配慮した家づくりをする
- 日当たりや風通しに配慮する
- 無理のないローン返済計画を立てる
- 水害リスクの少ないエリアを探す
- 住み始めてからのコストを考える
ここからは、一人暮らしの平屋を新築する際の注意点をみていきましょう。
防犯・プライバシーに配慮した家づくりをする
平屋はワンフロアで生活動線もシンプルで過ごしやすい家です。しかし、それは泥棒が侵入しやすい家でもあります。
泥棒に狙われないためにも防犯対策を意識した家づくりをしましょう。
例えば、死角になる窓は人が侵入できないサイズの窓のみ使用したり、格子をつけたりすると効果的です。また、防犯カメラの設置や人感センサー付きライトの設置も検討しましょう。一人暮らしで日中家を空けることが多い方は、特に防犯意識を高めておくことが大切です。
また、プライバシーにも配慮しましょう。隣家との距離が近い場所に大きな掃き出し窓をつけると、外からの視線が気になって日中でもカーテンを閉めなければならない羽目になります。
高窓をつけたり、ロの字型の中庭をつくったりといった工夫をすることで、周りの視線を気にせずに生活できる家づくりが可能です。
日当たりや風通しに配慮する
平屋は間取りによっては、家の中心部分の日当たりや風通しが悪くなる可能性があります。
家の中を明るく気持ちの良い家にするためにも、日当たりや風通しに配慮しましょう。
例えば、勾配天井を採用して天窓をつけることで、日当たりや風通しの解決ができます。
無理のないローン返済計画を立てる
一人暮らしの平屋を建てる場合、当然ですが自分でローン返済をしなければなりません。その際に、無理のないローン返済計画を立てるようにしましょう。
ローンの事前審査をすると「借入限度額」を知ることができますが、これは「無理なく返済できる金額」ではなく、単純に「自分がどれだけお金を借りられるのか」の指標です。
支払いシミュレーションを行ったり、ファイナンシャルプランナーに相談したりして、無理なく返済できる計画を立てましょう。
水害リスクの少ないエリアを探す
構造的に平屋は地震や風害に強い家です。しかし、水害に関しては被害が大きくなりやすいです。なぜなら浸水時に2階に逃げたり、1階のものを移動させたりといったことが平屋ではできないためです。
平屋に限ったことではありませんが、注文住宅を建てる場合は必ずハザードマップを確認し、水害リスクの少ないエリアで土地探しをしましょう。
住み始めてからのコストを考える
家を購入するとローン返済以外にも住み始めてからのコストがかかります。
例えば、毎年固定資産税の支払いがあります。他にも、家で使っているキッチンなどの設備が故障すれば修理・交換も必要ですし、外壁や屋根の塗装によるメンテナンス費用もかかります。
どのくらいの費用がかかるのかを想定し、支払いやメンテナンスに合わせて貯蓄をしておくことも重要です。
一人暮らしの平屋を快適にする間取りのアイデア
一人暮らしの平屋を快適にする間取りのアイデアをご紹介します。
- 最適な部屋数・広さを考える
- 勾配天井にする
- 大きな収納をつくる
- 防犯対策を徹底する
- 将来のライフスタイルも考慮する
それぞれのアイデアについて見ていきましょう。
最適な部屋数・広さを考える
平屋におすすめの間取りは、ワンルーム・1LDK・2LDKがあります。
ワンルームなら、広さは延床面積15〜20坪程度が目安です。開放的で気持ちよく暮らせる間取りがつくれるだけでなく、建築費用を抑えることもできます。
1LDKも15〜20坪程度の広さが良いでしょう。個室はプライベート空間として使い、パブリック空間とのバランスを取りながら、自分の暮らしやすい間取りを考えられます。
2LDKなら、将来2〜3人暮らしをすることになっても対応できる間取りです。一人暮らしだと余っている部屋を趣味部屋や書斎としても使えるのでゆとりを持って暮らせます。
このように、間取りによって生活スタイルも変わってきます。長く暮らせるように最適な部屋数・広さを考えましょう。
勾配天井にする
リビングなどの室内空間に勾配天井を設けることで、広々とした空間を実現できます。また、勾配天井で高い位置に窓を設置すれば、日当たりや風通しの確保も可能です。
平屋は上階がない分、天井の高さも自由に決められるので、開放的な空間をつくりたいなら勾配天井をぜひ採用しましょう。
大きな収納をつくる
1箇所にまとめて収納できるウォークインクローゼットもおすすめです。大容量のクローゼットがあれば、他の部屋が散らかりにくくなります。また、洗面脱衣室の近くにウォークインクローゼットを設けることで、効率の良い洗濯動線になり家事効率がアップします。
防犯対策を徹底する
泥棒に狙われないためにも防犯対策は徹底しましょう。
簡単な防犯対策として、音の出る防犯砂利を庭に敷き詰めたり、人が通ると点灯する人感センサー付きのライトを取り付けたりする方法があります。
防犯対策を考えた間取りにするなら、中庭のある間取りがおすすめです。
ロの字型の間取りにして、道路や隣家に面する部分は侵入できない小さい窓を設置し、中庭部分は大きな掃き出し窓を設置すれば、防犯対策だけでなくプライバシーの確保もできます。
将来のライフスタイルも考慮する
一人暮らしの家を建てるなら、将来のライフスタイルも考慮しましょう。
高齢になった時にスムーズに移動ができる間取りにするなどの工夫をすることで、長く快適に暮らせる家づくりが可能です。
まとめ
平屋の一人暮らしは、ご自分の理想を形にでき、シンプルな生活導線でとても暮らしやすいです。
ただ、防犯面やプライバシーなど平屋だからこそ心配な面もあります。特に一人暮らしで外出が多いと、泥棒に狙われないかといった不安も出てくるでしょう。
そんな平屋だからこその不安を解決するためにも、これまで解説したことをしっかりと把握して、快適な平屋の家づくりをしてください。
タクトホームでは、平屋の家づくりもご提案いたします。「新築で平屋を建てたい!」「平屋に住みたい!」という方は、ぜひタクトホームへご相談ください。