子どもも独立し、夫婦2人で暮らしていく家として平屋を建築する方も多くいます。
平屋はワンフロアで全ての生活を完結でき、間取りもシンプルに設計できることから、老後の住まいとしても最適です。
そこで、この記事では老後の住まいに平屋が最適な理由や、老後の住まいに平屋を選ぶ注意点などについて解説していきます。
老後の住まいに平屋が最適な理由
老後の住まいになぜ平屋が最適なのか、その理由を解説していきます。
- 転倒や転落のリスクを減らせる
- メンテナンスが楽
- 生活動線がシンプル
- バリアフリーな家づくりができる
- 夫婦でコミュニケーションをとりやすい
- 適度な距離感で過ごせる
- ランニングコストを抑えられる
それぞれの理由について見ていきましょう。
転倒や転落のリスクを減らせる
平屋は階段による上下移動がなく、段差も少ないので転倒や転落のリスクを減らせます。
高齢になると足腰が不自由になり、階段の上り下りが大変です。平屋のように上下移動をしなくても生活できる間取りは、高齢者にとって住みやすく怪我の心配もありません。
メンテナンスが楽
家を購入したら定期的にメンテナンスをしなければなりません。例えば、屋根や外壁は新築から10年程度経過したら塗装によるメンテナンスが必要になってきます。
この時、家の周りに足場を組みますが、平屋であれば足場を組まなくてもメンテナンスが可能であったり、2階建てのような高所作業がないので工期が短く済むというメリットがあります。費用と手間を抑えられるので、平屋の方がメンテナンスが楽だと言えます。
生活動線がシンプル
平屋はワンフロアで生活動線がシンプルなので生活しやすいというメリットもあります。水回りを隣接させる間取りにすれば、家事動線もしやすくなります。2階がない分掃除もワンフロアで終わらせることができ、わざわざ2階に洗濯物を持っていく手間もありません。
バリアフリーな家づくりができる
室内に段差を作らないバリアフリーな家づくりも、平屋であれば可能です。全ての扉を開閉しやすい引き戸にしたり、トイレは介助も想定して1坪サイズの広いトイレにしたりと、様々な工夫が施せます。
足腰が不自由になった時に備えて廊下を通常よりも広く確保したり、手すりをつけたりするのも良いでしょう。
夫婦でコミュニケーションをとりやすい
平屋はワンフロアで全て完結するので、LDKを通って他の部屋に行けるような間取りにすれば夫婦間でコミュニケーションを取りやすくなります。子育てを終えて子どもが独立した後の2人暮らしを楽しめるような間取りを検討しましょう。
適度な距離感で過ごせる
平屋なら、それぞれの居室の広さを確保することもできます。お互いの趣味やプライベートを楽しめる空間を確保しつつ、適度な距離を保って過ごすことが可能です。
ランニングコストを抑えられる
老後の住まいとして平屋を新築する場合、ランニングコストを抑えた家づくりもできます。
例えば、大きな屋根に大容量の太陽光発電を搭載し、自家発電すれば月々の電気代を節約できます。高断熱・高気密な住宅にすれば、冷暖房効率を高められ、エアコン代を大幅に抑えることも可能です。
このように、平屋の家づくりを工夫することで、月々のコストを抑えながら快適な室内環境を実現できます。
老後の住まいに平屋を選ぶ注意点
老後の住まいとしての平屋は、住みやすさやコスト面でも最適です。
しかし、老後の住まいとして平屋を選ぶことにはいくつか注意点があります。
日当たりや風通しを確保しにくい場合がある
平屋はワンフロアで設計するため、間取りの中心部分の日当たりや風通しが確保しにくい場合があります。家全体が日当たりや風通しを良くするためには間取りの工夫が必要です。
例えば、家の中心に中庭を作れば、日当たりや風通しを確保できます。他にも勾配天井を作って高窓や天窓を設置するのも効果的です。
防犯面に心配が残る
平屋は外部から敷地内が良く見えることから、泥棒に狙われやすいです。高齢になると外出時にうっかり玄関を閉め忘れてしまう可能性もあるでしょう。
平屋を建てる際は、防犯面にも配慮する必要があります。
エリアによっては水害の心配がある
平屋は構造上、地震や強風に強い家です。しかし、水害が発生すると浸水時に逃げる上階がないため水害の心配がある地域では向いていません。
エリアを決める際は、ハザードマップを活用して水害の心配が少ない場所を選びましょう。
老後に快適な平屋を建てるには?
平屋はメリットが多いですが、新築する上で心配な点もいくつかあることが理解できたのではないでしょうか。
老後に快適な平屋を建てるには、そんな注意点も考慮して家を建てることが重要です。
ここからは、老後に快適な平屋を建てる際のポイントをご紹介します。
- 周辺環境を考慮する
- 車椅子が必要になることも想定する
- 介護の有無も考慮する
- 住宅性能を意識した家を建てる
- スムーズな生活動線を考える
- 防犯性を高める
それぞれの方法を見ていきましょう。
周辺環境を考慮する
先にも述べたように、平屋は水害の際に心配な点があります。平屋を建てる際は、ハザードマップでその土地が問題ないか調べましょう。
また、可能であれば朝・昼・夜に現地に訪れて、交通量を確かめておきましょう。通勤・退勤時間で朝と夜の交通量が多い場所である可能性もあります。
「静かな土地で暮らしたかったのに、住んでみると賑やかで落ち着かない」なんて後悔しないためにも、現地の周辺環境を確かめておくことは重要です。
車椅子が必要になることも想定する
高齢になると体力が落ち、思わぬ転倒で怪我をすることもあります。
病気や事故で車椅子生活になる場合もあるでしょう。
そんな車椅子生活になった時を想定して、様々な工夫を施しておくことも大切です。
例えば、車椅子でも通れるように廊下やトイレの幅を広めに確保したり、スロープをつけるなどの対策があります。他にもスイッチやコンセントの高さを車椅子に座った状態でも使いやすいようにすると安心です。
介護の有無も考慮する
将来介護になる可能性も考えて住みやすい家づくりをするのも大切です。
介助者が介助しやすいようにトイレや浴室・脱衣室を幅広く確保したり、要所に手すりを設けたりすると良いでしょう。
また、浴室や洗面脱衣室のように水を使う場所は、滑りにくい床材を選ぶことも重要です。
介護される方だけでなく、介助者の転倒リスクも軽減することにつながります。
住宅性能を意識した家を建てる
老後も安心して暮らすために、断熱性・気密性などの住宅性能も意識した家を建てましょう。
特に気をつけなければならないのは、気温の急激な変化によって血圧が急上昇・下降するヒートショック現象です。冬の寒い脱衣所から急に暖かい浴室に移動すると、ヒートショックが起こる場合もあります。
部屋ごとの室温差が少なければ、ヒートショックも起こりにくくなります。温度差を失くすためにも、室内の断熱性・気密性を高めることが重要です。
スムーズな生活動線を考える
スムーズな生活導線は、毎日の生活の負担を減らしてくれます。例えば、水回りを集約させた間取りにすれば家事が楽になります。また、高齢になると夜中にトイレに行きたくなることもあるでしょう。その場合も想定して、寝室の近くにトイレを設置するのもポイントです。夜中に廊下を歩く時に人感センサー付きの照明やフットライトを付けておけば、安心して移動できます。
防犯性を高める
平屋は泥棒に狙われやすいです。特に高齢の方が住んでいることが分かると、ターゲットにされる可能性もあります。
そのため防犯性の高い平屋を建てることが重要です。侵入されないように防犯ガラスを採用したり、格子付きの窓を設置したりなど防犯対策を行ってください。
防犯カメラの設置も検討すると良いでしょう。
老後に住む平屋の広さの目安
老後にご夫婦で暮らす上で、おすすめの広さは以下の3パターンです。
- 15坪以下
- 20坪
- 30坪
それぞれの広さで、どのような生活ができるか解説していきます。
15坪以下
15坪以下の場合、1LDK〜2LDK程度の広さの平屋が建てられます。比較的コンパクトでシンプルな生活になりますが、ご夫婦で暮らすのに最低限の生活スペースの確保が可能です。
20坪
20坪程度なら、2LDK程度の広さの平屋を設計できるでしょう。独立した家族や、友人を宿泊させたいなら、リビングを少し狭めて客室のある3LDKを検討する方法もあります。
ご夫婦の生活スタイルや来客頻度を踏まえて最適な間取りを選択しましょう。
30坪
30坪以上なら、3LDKをベースに間取りを検討しましょう。2人の居室と来客用の部屋を作ったり、寝室と書斎・来客用の部屋を作るなど様々な間取りが検討できます。
あえて部屋数は減らして広々としたリビングを設けるのもおすすめです。30坪以上の平屋ならガレージや倉庫を取り入れるのも良いでしょう。
広ければその分、ご夫婦の要望をしっかりと叶えた家づくりが可能です。
【部屋別】老後の平屋をより快適にするポイント
最後に、部屋別で老後の平屋をより快適にするポイントを見ていきましょう。
ここでは、家づくりにおいて主要となる以下の7箇所の部屋について解説していきます。
- リビング
- 寝室
- 洗面所・キッチン
- 浴室
- トイレ
- 収納
- 玄関
それぞれの部屋に関してのポイントをご紹介します。
リビング
リビングと居室・水回りが直結していると移動が楽な間取りが作れます。
足腰が悪くなっても快適に過ごせる間取りにするなら、廊下は極力作らずにその分リビングを広く確保すると良いでしょう。
また、リビングに勾配天井を採用して、天井が高く開放感のある空間を作るのもおすすめです。
寝室
寝室はトイレやファミリークローゼットを隣接させて設計しましょう。
夜中にトイレに行きたくなってもすぐに行ける間取りになっていると、安心です。
また、寝室・ファミリークローゼット・ランドリールームが隣接していれば、ランドリールームで乾かした衣類をファミリークローゼットにさっと収納できます。また、朝起きた時に寝室からファミリークローゼットに移動することで着替えまでの動線も効率的です。
洗面所・キッチン
洗面所やキッチンは立って過ごすことが多いです。そのため、老後を見据えた設計をするのが大切になってきます。
例えば、座って使えるキッチンや洗面化粧台を採用したり、座って作業することを想定した収納スペースを確保したりするのが良いでしょう。吊り戸棚のように高い位置の収納は使わなくなる可能性も高いです。
他にも、IHクッキングヒーターで火事防止、滑りにくい床材で転倒防止対策を取るなど、老後の体の調子を考えて設備や建材を選ぶことも大切です。
浴室
浴室は断熱性の高いユニットバスを選んでヒートショック予防をしましょう。また、高性能な省エネ設備を導入して光熱費を節約するのもおすすめです。転倒防止に備えて滑りにくい床材を選んだり、段差の少ない跨ぎやすい浴槽を選ぶことで安全に入浴できます。
トイレ
トイレは、車椅子生活になることを想定して広い空間を確保するのも良いでしょう。また、手すりを設置することで、安全に用を足せるようになります。
扉は力が弱っても開閉しやすい引き戸がおすすめです。
収納
パントリーやウォークインクローゼット、シューズクローゼットなど、要所に収納を設けることで、新居をすっきりと片付いた家にできます。
ご夫婦の持ち物やライフスタイルに合わせて必要な収納スペースを確保しましょう。
玄関
玄関は、車椅子・杖などを使うことになっても出入りしやすい広さを確保し、介助者と一緒に使用しても窮屈ではない広さを確保しましょう。
また、手すりをつけても狭くならない広さの玄関にすることも重要です。
他にも、ベンチを設けたり、スロープをつけたりすることで、安全に出入りができる玄関がつくれます。玄関扉は開閉に力が入る開き扉よりも、負担の少ない引き戸がよりおすすめです。
鍵のかけ忘れを防止するために、オートロック機能のある電子錠で防犯対策を行うのも良いでしょう。
まとめ
老後の住まいとして平屋は最適です。ただし、防犯面や将来介護が必要になった時を想定して暮らしやすい間取りを考える必要があります。
まずはご夫婦の生活スタイルを見直して、「どんな生活をしたいか」を考えてみるのも良いでしょう。
ここで解説したことも、考慮してご夫婦にとって快適な平屋の住まいづくりをしてください。
タクトホームでは、老後も快適に暮らせる平屋のご提案もしますので、お気軽にご相談ください。