家づくりで資金計画をする際に、「坪単価」を参考にする方も多いのではないでしょうか。坪単価が分かれば、建物を建てるのにどのくらいの金額がかかるのか、大体の目安を知ることができます。
しかし、実は資金計画では坪単価だけに注目してはいけません。そもそも、坪単価とは何かご存じでしょうか。
この記事では、坪単価が何なのか、なぜ坪単価だけに注目してはいけないのかを解説します。坪単価について詳しく知った上で家づくりをしたいという方は、ぜひこの記事を最後までご覧ください。
坪単価って何？
坪単価とは、家を建てるときに1坪（約3.3㎡）あたりにかかる建築費のことです。
ここでは、坪単価の計算方法と、2023年度の平均坪単価、タクトホームで建てた場合の平均坪単価についてご紹介します。
坪単価の計算方法
一般的には、建物の本体価格を延床面積で割った数字が坪単価になります。建築費の目安を知りたいときに坪単価が役に立ちます。
例えば、建物の本体価格が2,500万円で延床面積が30坪の場合、以下の計算式で坪単価が求められます。
| 2,500万円÷30坪＝83.3万円（坪単価） |
上記の計算で坪単価を簡単に求めることが可能です。
2023年度の平均坪単価
「2023年度 フラット35利用者調査」によると、土地所有者の注文住宅購入費用は平均約3,863万円です。また、住宅面積が119.5m2（約36.1坪）なので、以下の計算で平均坪単価が算出されます。
| 3,863万円÷36.1坪＝約107万円 |
上記が全国的な平均坪単価です。ただし、建物の構造や設備のグレードによって坪単価は大きく変動します。
この平均坪単価は、全国でフラット35の住宅ローンを利用した人の平均なので、木造や鉄骨造などのさまざまな種類の住宅を建築した人も含まれているでしょう。
全国平均として、参考までに覚えておくことをおすすめします。
タクトホームで建てた場合の平均坪単価
タクトホームの平均坪単価は「約56.9万円」です。全国平均の坪単価を見ても、タクトホームは比較的ローコストで家を建てられることが分かります。
ちなみに、最低価格だと坪単価は約45万円から、最高価格だと80万円までの家を建てることができます。つまり、ローコスト住宅だけでなく、ハイグレードな家の建築も可能なのです。
坪単価が変動する要素
坪単価はさまざまな要素で金額が変動します。ここでは、坪単価が変動する要素について見ていきましょう。
依頼するハウスメーカーはどこか
坪単価には一律の基準がありません。そのため、ハウスメーカーによって坪単価の算出方法が異なります。
坪単価には、以下のようなものが含まれます。
| 坪単価に含まれる部分 |
| ●基礎、土台、柱、梁などの構造部分 ●フローリングや壁紙、建具などの内装材 ●外壁や屋根などの外装材 ●キッチンやユニットバスなどの設備 など |
しかしハウスメーカーによっては、さらにベランダやロフトの床面積、玄関ポーチなどの施工面積が含まれる場合もあります。
そのため、たとえ同程度の坪単価のハウスメーカーでも、実際に建物本体価格を計算すると金額に違いが出ることもあります。坪単価だけでハウスメーカーを比較することは難しいといえるでしょう。
建物の構造は何か
建物の構造によっても坪単価は変動します。住宅の構造躯体には、木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造の3種類があります。
一般的に、木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造の順で坪単価の相場が高くなっていきます。
鉄筋コンクリート造がもっとも坪単価が高く、建物を建てるのに必要なトータルコストも高くなりやすいです。ただし、鉄筋コンクリート造は坪単価が高い分、強度や耐久性にも優れています。そのため、建物を保有できる期間が長く、資産価値を保ちやすいというメリットもあります。
坪単価の額だけで構造を決めずに、それぞれのメリット・デメリットも知った上で構造を決めましょう。
設備のグレードはどうか
建物に使用する設備のグレードも坪単価に影響します。例えば、断熱・気密性能に優れた商品や最新設備を搭載した商品、自由度の高い設計プランなど、ハイクラスになればなるほど坪単価も高くなります。
反対に、コストパフォーマンスを重視した商品をそろえているハウスメーカーもあるでしょう。
希望の予算と理想の条件を考慮しながら決めることで、予算に見合った坪単価で家を建てることが可能です。
建物のデザインはどうか
同じ延床面積の建物でも、建物のデザインによって坪単価が変わってくることもあります。
凹凸のある建物は、同じ広さの長方形・正方形の建物よりも工事に手間と時間がかかります。そのため、工事費用が高くなり坪単価も高くなるのです。
家づくりにおいての坪単価の注意点
家づくりを行う際、坪単価から建物価格を割り出してハウスメーカーを決める方も多いでしょう。しかし、家づくりにおいて坪単価だけに注目して資金計画を立てるのは少し危険です。
なぜ危険なのでしょうか。ここでは、家づくりにおける坪単価の注意点についてご紹介します。
延床面積と施工床面積の違いを知っておく
延床面積と施工床面積の違いを以下にまとめてみました。
| 延床面積 | 建物の各階の床面積を合計した面積のこと。 ただし、以下の部分は床面積に算入されない。 ●自動車車庫その他自動車または自転車の 停留もしくは駐車するための施設 ●防災のために設ける備蓄倉庫としての 用途として使う部分 ●蓄電池を設ける部分 ●自家発電設備を設ける部分 （建築基準法施行令第2条第1項4号より） |
| 施工床面積 | 延床面積に含まれないものも含めた、施工するすべてのスペースを合計した面積のこと。 |
同じ家の延床面積と施工床面積を算出すると、施工床面積のほうが大きいです。そのため、施工床面積で坪単価を計算すると、延床面積で計算したよりも坪単価が安くなります。
坪単価だけでなく総費用で計画する
家づくりの検討時に坪単価を知り、坪単価を参考に資金計画を立てる人も多いです。しかし、坪単価はあくまでも「建物本体価格」を算出するためのものです。家づくりには土地購入費用や税金、住宅ローンを利用する手数料や付帯工事費用など、さまざまな費用がかかります。
坪単価のみで予算を組むと大幅にオーバーしてしまう可能性もあるでしょう。実際にそのような失敗談もあるようです。
家づくりをする際は、坪単価だけでなく総費用で計画するようにしましょう。
ハウスメーカーによって坪単価の基準が違うことを知る
坪単価の計算は、特に決まったルールはありません。そのため、あるハウスメーカーでは延床面積で坪単価を算出しており、別のハウスメーカーでは施工床面積で坪単価を算出しています。
また、ハウスメーカーによっては、照明器具やエアコンなどの設備、ベランダの床面積が含まれずに坪単価が算出されている場合もあります。
坪単価だけで各ハウスメーカーの比較をしたい場合、坪単価に含まれるすべての要素を同じにしなければ比較のしようがありません。
これは現実的にも難しいことなので、坪単価だけでハウスメーカー選びをせず、一つの判断材料として捉えることをおすすめします。
坪単価を安く抑えて家づくりをする方法
坪単価を安く抑えることで、建物本体価格を安くすることができます。「家づくりにこだわりたいものの、できれば無駄な出費を減らして安く家を建てたい」と考えている方もいるでしょう。
ここでは、坪単価を安く抑えて家づくりをする方法についてご紹介します。
凹凸のない建物にする
坪単価を下げるなら、家づくりを依頼する設計士や建築士に、凹凸のない正方形や長方形の建物を設計してもらうようにしましょう。
建物を上から見たときに、L字型やコの字型、ロの字型をした建物は、長方形・正方形の建物と比較すると坪単価が高くなりやすいです。
なぜなら、正方形・長方形の建物よりも余分な壁面が多く発生するからです。
また、建物が複雑だと屋根形状も複雑になります。その分仕上げ材が余計に増え、材料費・施工費の負担も増えるでしょう。屋根の形状が複雑になると、屋根から滴る雨を受け止める雨どいの長さも長くなってしまいます。そのため、材料費・施工費の負担が増えてしまうのです。
このように、凹凸のある建物は、長方形・正方形の建物よりもさまざまな出費が余分に発生します。
坪単価を抑えるなら、凹凸のない建物での家づくりを目指しましょう。
2階建ての家を建てる
坪単価を下げるなら2階建ての家を建てましょう。建物本体価格の坪単価は、平屋のほうが高くなる傾向があるためです。
平屋は、1階ですべての生活空間を完結させるため、2階建てと比べて広い土地が必要になります。そのため、基礎となる部分も広範囲になり、その分基礎工事の費用がかかります。
建築費の中で基礎工事は大きな割合を占めるため、結果的に平屋の坪単価は高くなりやすいです。
また、平屋は屋根の面積も広くなる傾向があります。プランによっては壁の面積も増える場合があり、屋根や壁の工事費用も建築費の大きな部分を占めるため、坪単価の上昇につながります。
特に凹凸の多い間取りの場合、壁の面積が増えてしまい、さらに坪単価が高くなる可能性もあるでしょう。
費用を抑えて家づくりをするなら、2階建てのほうが坪単価を抑えて建物本体価格を安くできる可能性があります。安く抑えることを優先するなら2階建てを建てましょう。
トータルでかかる建築費用で資金計画を立てる
坪単価はあくまでも建物本体価格を算出するものです。坪単価だけで資金計画をすると大幅に予算オーバーする可能性もあります。
正確に予算を算出するためにも、坪単価だけを計算せずに、トータルでかかる建築費用に注目して資金計画を立てましょう。
家づくりには、以下のような費用がかかります。
| 土地購入費用 | ●土地取得費 ●不動産会社への仲介手数料 ●印紙代 ●登記免許税 ●司法書士への報酬 ●不動産取得税 ●固定資産税・都市計画税 ●ローンにかかる手数料や利息 など |
| 建物本体価格 | ●仮設工事 ●基礎工事 ●木工時 ●内外装工事 ●設備設置工事 ●設計料 ●消費税 など |
| 付帯工事費用 | ●外構工事 ●水道やガス管の引き込み工事照 ●明・エアコンなどの取り付け工事 ●解体費用 ●地盤調査費 ●地盤改良工事費 など |
| 諸費用 | ●契約にかかる手数料・印紙代 ●不動産取得・住宅ローンにかかる税金 ●融資事務手数料などローンに関する費用 ●火災保険などの保険料 ●初穂料など地鎮祭や上棟式での費用 ●家具や家電の購入費用 ●引っ越し代 など |
| その他費用 | ●ご近所の挨拶回り、工事中の大工さんへの差し入れ など |
上記のように、建物本体価格以外にも費用がかかります。どのくらいの予算をかけるのか、その中で土地購入や建物本体にどのくらいの費用をかけるのかを考えて資金計画を立てましょう。
設備・仕様のグレードを落とす
建物本体の費用を抑えるなら、設備や使用のグレードを落とすことで費用を下げることができます。
例えば、壁紙やフローリングなどはハウスメーカーの標準仕様のままにしたり、屋根は瓦ではなくガルバリウム鋼板などの金額の安い金属屋根を選択しましょう。
ただしすべてのグレードを落としてしまうと、見た目にも安っぽく見えたり、生活に不便を感じたりする可能性もあります。
お金をかけるところはしっかりとかけて、妥協するところは安く抑えるなど、メリハリを付けることで快適な生活ができる家となるでしょう。
例えば、以下のような工夫ができます。
- 子ども部屋や寝室の仕様はグレードを落とすが、リビングにはアクセントクロスなどで少しお金をかける
- 外観の目立つ場所にはグレードの高い外壁を利用し、目立ちにくい場所は標準仕様にする
- 毎日料理をするキッチンに高性能な食洗機を付ける代わりに、ユニットバスは標準仕様に抑える など
上記のような工夫をすることで、効率よく家づくりを進められるでしょう。
複数のハウスメーカーで相見積もりを取る
家を建てる際には、複数のハウスメーカーに見積もりを依頼し、比較検討することがおすすめです。ハウスメーカーによって得意な分野や、同じ間取りでも使用する建材などが異なるため、提示される金額も変わってきます。
最初から1社に絞らず、複数のハウスメーカーのプランを比較することで、ご自身の理想の家づくりにもっとも適したハウスメーカーを見つけることができるでしょう。
それぞれのハウスメーカーの強みや特徴を理解し、自分たちのライフスタイルや予算に合ったプランを選んでください。
設計プランを全体的に見直す
坪単価を下げるためには、設計士や建築士に今提示してもらっている設計プランを全体的に見直してもらうという方法もあります。
専門知識のある設計士やハウスメーカーに、坪単価を下げるにはどうしたらよいかを相談して、設計プランを変更してもらうのもよいでしょう。
施工後のメンテナンス・ランニングコストを考える
坪単価の高い家は仕様のグレードが高いので、入居後のメンテナンスやランニングコストに優れていることが多いです。
例えば、断熱性能の高い家は初期費用が高いですが、住み始めてからの冷暖房にかかる光熱費を抑えることができます。
また、外壁にタイルを採用すると建物本体価格が高くなりやすいですが、メンテナンスがほとんど必要ありません。比較的コストの安い窯業系サイディングは、10年程度に1度のペースで外壁塗装によるメンテナンスが必要となってきます。
外壁塗装には100万円近くの費用がかかりますが、タイルならその出費がありません。
長期的に見るとタイルのほうが、コストパフォーマンスに優れている可能性もあるということです。
このように、坪単価だけでなく、メンテナンスやランニングコストにも目を向けることで、住み始めてからの費用を抑えて快適に過ごすことができます。
まとめ
坪単価は、家づくりでの資金計画をする際に参考になるものです。しかし、坪単価だけで資金計画を立ててはいけません。
坪単価はあくまでも建物本体価格を割り出す参考として見て、資金計画を立てる際は必ず別途工事費や諸費用などを忘れずに含めるようにしましょう。
タクトホームは、「コストパフォーマンスに優れたハウスメーカーである」とお客様からのご好評いただいております。「家づくりにどのくらいの費用がかかるのかを知りたい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
