マンションと戸建、家の購入を検討する時、迷う人は多いでしょう。そこでこの記事では、それぞれの失敗事例や、メリット・デメリット、購入価格の相場、資産価値など、色々な角度から解説していきたいと思います。家族が毎日を快適に過ごすための住まい選びは、後悔のないように慎重にしたいものです。この記事が、最適な住まい選びの一歩となれば幸いです。
Contents
マンションと戸建て、それぞれの失敗事例を紹介!
マンションを選んだ場合と戸建てを選んだ場合、それぞれに「失敗した!」という声は聞かれますが、どんな時に失敗したと感じるものなのでしょうか?
その中の例をいくつかご紹介します。
マンションの失敗事例①騒音トラブル
Aさんは、「生活音がうるさい」と下の部屋の住人の方から苦情を受けました。
ところが指摘された時間帯にそのような音を出している心当たりはなく、そのように伝えましたが相手の方は言い訳をしていると受け取り、心証を害して関係が悪化してしまいました。
マンションの騒音問題でしばしば起こるのが、自分の上の部屋から聞こえてくると感じる音が、実は全く違う部屋から出ている音だった、というケースです。
マンションの構造上起こるトラブルなのですが、真実を証明することは難しいため、両者が不愉快な思いを抱えてしまう結果になりがちです。
マンションの失敗事例②資産価値の下落と売却問題
Bさんは新築でマンションを購入し30年ほど住んでいました。
しかしその間に他の部屋は中古で売買されるケースが増え、マンションの管理方針などに関して、安い価格で購入した住人との間で意見の食い違いが多くなってきました。
そこで住み替えを検討し、マンションを売却しようと考えましたが、マンションの資産価値は思っていた以上に下がっており、築年数も経っていることから、なかなか買い手が見つからずに、困っています。
マンションの場合には、築年数の経過と共に急激に資産価値が下がってくるケースがあり、新築で購入した住人と安い価格で購入した住人とで、意見の食い違いが生じることがあります。
このような原因によって管理組合が上手く機能しなくなると、マンションの環境が悪化して、さらなる資産価値の下落につながるという悪循環になる場合もあります。
そのためマンションを購入する際には、将来的な資産価値の推移も考えて、価値が下落しにくい物件を選ぶ必要があるでしょう。
関連記事:マンションから戸建てへ住み替えるメリット・デメリットや方法をご紹介
戸建ての失敗事例①3階建てにしたら老後に後悔
Cさんはコンパクトな敷地に3階建ての戸建てを建てて住んでいました。
若いうちは階段の上り下りも苦にならずに問題はなかったのですが、年を取ってくると階段を上るのが億劫になってきました。
最近ではほとんど1階でのみ生活するようになって、少々不便を感じています。
3階建てにすれば、敷地が狭くてもある程度の広さの戸建てを建てることが可能ですので、最近は3階建ての家も増えてきました。
しかし家を建てる際には、自分が年を取った時の生活もイメージして建てる必要があります。
子供が巣立った後は広いスペースは必要がなくなると考えられるので、ワンフロアで生活することも想定して、部屋の間取りを考えておく必要もあるかもしれません。
マンションのメリット・デメリットは?
マンションでも戸建てでも、それぞれにメリット・デメリットがあります。
まずは、マンションのメリット・デメリットについてまとめてみたいと思います。
マンションのメリット
- 駅から近く、利便性の高い物件を選べる
- オートロックや監視カメラなど、セキュリティが充実していて安心
- エントランスからはエレベーターで上り下りでき、室内は一つのフロアなので、上下の移動をしなくて済む
- 建物の管理は管理会社に任せられるため、建物の外部の修繕や掃除を独自にしなくてもよい
このように、マンションのメリットは利便性の高さにあるようです。
マンションのデメリット
- 他の部屋の住人と騒音トラブルが起こりやすい
- 管理費や修繕積立金などを継続的に負担しなくてはならない
- 駐車場の使用料がかかる
- 戸建てに比べると、床面積が狭い傾向
- 間取りや内装は決まっているので、自由度が低い
- リフォームする際にも管理組合などによる制限がある
- 建て替えのハードルは非常に高い
マンションの場合には、他の住人との関係から様々な制約を覚悟する必要があるでしょう。
戸建てのメリット・デメリットは?
次に、戸建てのメリット・デメリットについてまとめてみましょう。
戸建てのメリット
- マンションに比べれば、騒音のトラブルが少ない
- 管理費や修繕積立金などの負担がない
- 敷地内に駐車場を作れるので、駐車場の利用料を支払う必要がない
- マンションよりも広めの間取りが多い
- 注文住宅なら、間取りや内装を自由に決められる
- 建て替えやリフォームが自由にできる
戸建てでは、他の住人との関係によって制約を受ける可能性が少なく、様々な面で自由度が高いのがメリットと言えます。
戸建てのデメリット
- 屋根や外壁など建物のメンテナンスを、一定期間ごとに自分で行わなくてはならないので、手間と費用がかかる
- 部屋の移動に階段の上り下りが必要
- 駅から近い物件は少なく、価格も高額になるため、マンションに比べると利便性が劣る物件が多い
- マンションに比べ造りが開放的なので、セキュリティは劣る
戸建てでは、建物の管理を自分で行わなくてはならないため、維持のための手間がかかります。
利便性だけを重視するなら、マンションの方がメリットが多いかもしれません。
マンションと戸建て、購入費用が安いのはどっち?
マンションと戸建てでは、購入費用が安いのははたしてどちらなのでしょうか?
立地や広さなど条件が異なりますので、一概に比べることはできませんが、現実に流通している物件のおおよその価格から、傾向を分析してみましょう。
首都圏における不動産の成約価格と件数(2021年)
成約価格(万円) | 成約件数(件) | |||
---|---|---|---|---|
中古マンション | 中古戸建住宅 | 新築戸建住宅 | 土地 (100~200㎡) |
|
~1000 | 4,403(11.1%) | 775(12.7%) | ||
~2000 | 6,269(15.7%) | 4,395(28.5%) | 147(3.0%) | 1,804(29.7%) |
~3000 | 6,763(17.0%) | 3,651(23.7%) | 1,217(24.5%) | 1,424(23.4%) |
~5000 | 12,289(30.9%) | 4,627(30.0%) | 2,813(56.6%) | 1,269(20.9%) |
~7000 | 5,935(14.9%) | 1,693(11.0%) | 660(13.3%) | 428(7.0%) |
~10000 | 2,989(7.5%) | 726(4.7%) | 121(2.4%) | 243(4.0%) |
10000~ | 1,164(2.9%) | 344(2.2%) | 14(0.3%) | 140(2.3%) |
合計 | 39,812 (100.0%) |
15,436 (100.0%) |
4,972 (100.0%) |
6,083 (100.0%) |
「首都圏不動産流通市場の動向(公益財団法人東日本不動産流通機構)2021年 価格帯別成約件数」を基に作成
上の表は、2021年の首都圏における不動産の成約価格と制約件数を比較したものです。
以下に、もう少し詳しくみていきます。
マンション・戸建ての中古・新築別平均価格や広さは?
2021年における首都圏の中古マンションの成約件数は39,812件でした。
詳細は、
- 成約物件平均価格は3,869万円
- 成約物件の平均専有面積は64.68㎡
- 平均築年数は22.67年
という結果でした。
「首都圏不動産流通市場の動向」より
中古戸建住宅の成約件数は15,436件でした。
詳細は、
- 成約物件の首都圏平均価格は3,451万円
- 成約物件の平均土地面積は143.77㎡、建物面積は104.25㎡
- 平均築年数は21.20年
という結果でした。
「首都圏不動産流通市場の動向」より
新築戸建住宅の成約件数は4,972件でした。
詳細は、
- 成約物件の首都圏平均価格は3,902万円
- 成約物件の平均土地面積は121.18㎡、建物面積は97.56㎡
という結果でした。
「首都圏不動産流通市場の動向」より
100~200㎡の広さの首都圏土地の成約件数は6,083件でした。
詳細は、
- 成約物件1㎡当たりの単価は、首都圏平均で20.41万円
- 成約物件の平均価格は2,948万円
でした。
(この中には、土地を購入して注文建築を建てる人が多く含まれていると考えられます。)
「首都圏不動産流通市場の動向」より
2021年の、首都圏の新築分譲マンションの販売件数は33,636件でした。
平均価格は6,260万円
ただし、内訳を見ると、
東京23区 | 8,293万円 |
都下 | 5,061万円 |
神奈川県 | 5,270万円 |
埼玉県 | 4,801万円 |
千葉県 | 4,314万円 |
となっており、地価の高い東京23区の物件が価格を押し上げていることが分かります。
「不動産経済研究所 全国新築分譲マンション市場動向2021年」より
マンションと戸建ての価格相場の比較
以上から、首都圏で一番平均価格が高いのは新築分譲マンションで、平均価格は6,000万円を超えているということが分かります。
それ以外では、3,000万円超5,000万円以下の価格帯に物件が集中しており、これらの平均価格は新築戸建、中古マンション、中古戸建の順に低くなっています。
ここで、中古マンションの平均価格が中古戸建よりも高くなっていることに注目してみましょう。
中古戸建には1,000万円以下の物件がないのに対して、中古マンションには1,000万円以下の物件が11%以上も存在しています。
それにも関わらず中古マンションの平均価格が中古戸建よりも高いのは、いわゆるタワマンと呼ばれる高額な物件が、平均価格を押し上げていることが原因と推測できます。
このように平均価格というのは極端な数字の影響を受けるために、必ずしも実態をあらわしているとは限りません。
そのような場合には、「どのくらいの価格帯に多くの件数が集中しているか?」ということを物件選びの参考にしましょう。
上記の表によると、新築戸建ては半数以上が3,000~5,000万円の価格帯にあることが分かります。
それに対して中古マンションや中古戸建は、広い価格帯に分散しています。
そのため、マンションか戸建てかを資金面でのみ比較した場合には、6,000万円を超える資金があるのであれば都内の高額なマンションが選択肢に入り、3,000~5,000万円の予算であれば新築戸建てを検討するのが一般的ではないでしょうか? さらに予算が少ない場合には、低価格の中古マンションや中古の戸建てを検討するというのが現実的な選択と考えられるでしょう。
資産価値を比較すると?
購入費用だけではなく、マンションと戸建てでは、資産価値を維持できるのはどちらか?という点も気になるポイントではないかと思います。
そこで両者の資産価値の変化を比較してみました。
マンションの資産価値の変化
築年数 | 平均成約価格 | 下落率 |
~築5年 | 6,866万円 | 0.0% |
~築10年 | 6,160万円 | ▲10.3% |
~築15年 | 5,622万円 | ▲18.1% |
~築20年 | 5,177万円 | ▲24.6% |
~築25年 | 4,340万円 | ▲36.8% |
~築30年 | 2,925万円 | ▲57.4% |
築30年~ | 2,192万円 | ▲68.1% |
戸建住宅の資産価値の変化
築年数 | 平均成約価格 | 下落率 |
~築5年 | 4,813万円 | 0.0% |
~築10年 | 4,694万円 | ▲2.5% |
~築15年 | 4,565万円 | ▲5.2% |
~築20年 | 4,138万円 | ▲10.3% |
~築25年 | 3,945万円 | ▲14.0% |
~築30年 | 3,258万円 | ▲32.3% |
築30年~ | 2,289万円 | ▲52.4% |
参考:http://www.reins.or.jp/pdf/trend/rt/rt_202207_2.pdf
上記の表は、「首都圏中古マンション・中古戸建住宅 築年別成約状況【2022年04~06月】」を基に作成したものです。
さらに、この表をグラフで表してみたものが以下になります。
戸建てに比べて、マンションの取引価格の下落が大きいことが分かります。
築30年を超えると、マンションの取引価格は築5年までの物件に比べて、70%近くも低くなっています。
この理由として考えられるのは、建物が老朽化した際に戸建てであれば新しく建て替えることが可能ですが、マンションの場合には建て替えが困難であることから、古くなった物件には買い手が付きづらくなるということです。
マンションの建て替えは不可能という訳ではありませんが、区分所有者の数と議決権の厳しい要件を満たさなくてはなりません。
そのため多くのマンションは、建て替えが必要なレベルになっても区分所有者の意見が整わずに建て替えができない状態となっており、価格下落に歯止めが利かなくなる物件が出てくるのです。
これについては、老朽化したマンションの建て替えをある程度円滑に行えるように、法改正のための議論が行われ始めています。
しかし、多くの区分所有者の利害を調整して建て替えを行うことは、現実的にかなりハードルが高いことは想像できるのではないでしょうか?
これに対して、築30年を超えた戸建ての建物の価値はほぼゼロとみなされますが、土地の価値は変わらないため、戸建ての資産価値は築30年を超えるとある程度下がり止まる傾向にあります。
マンションか戸建てかの判断ポイントとそれぞれが向いているライフスタイルは?
以下は、マンションと戸建ての購入割合を比較したグラフです。
首都圏不動産流通市場の動向(公益財団法人東日本不動産流通機構)2021年 を基に作成
マンションと戸建ての購入割合を比較してみると、マンションが75%ほど、戸建てが25%ほどになります。
戸建てに比べるとマンションの方が、億を超える高額な物件から数百万円で購入できる安価な物件まで選択の幅が広いため、マンションの購入数の方が大幅に上回る結果になっていると考えられます。
供給可能な戸数の割合や購入可能な価格帯の物件の割合が大きいことも関係しているでしょう。
本当は戸建てが欲しいと考えながらも、手が届かないと諦めてマンションを選択したというケースもあるのではないでしょうか?
しかし実際には、それぞれの家族のライフスタイルや考え方などによって、望ましい選択肢は異なります。
そこで最後に、ここまでお伝えした内容を基に、マンションか戸建てかの判断ポイントをまとめて、それぞれどのようなライフスタイルの家族に向いているのかを考えてみたいと思います。
マンションか戸建てかの判断ポイント
- 駅からの距離などの利便性
- セキュリティをどの程度重視するか?
- 階段での上下の移動に抵抗はないか?
- 建物の管理を自分で行う手間と管理費や修繕積立金の負担のどちらを選ぶか?
- 騒音トラブルへの心配はどうか?
- 駐車場の使用料の負担は問題ないか?
- どのくらいの広さが欲しいか?
- 間取りや内装を自由に決めたいか?
- リフォームや建て替えを自由に行いたいか?
- 購入資金はどの程度用意できるか?
- 将来の資産価値の下落はどのように考えるか?
- 将来の売却の可能性と売却しやすさはどう考えるか?
マンションか戸建てかを選ぶには、これらについて優先順位を付けて総合的に判断することが大切です。
マンションが向いているライフスタイルは?
最寄り駅から近く、都心からも近い場所に住みたいと希望するなら、マンションが向いていると言えます。
地価の高い都心のエリアには高層マンションが立ち並んでおり、戸建ての数はそもそも少ない上に、同様の条件の場所に戸建てを建てるとなると、土地の価格だけでも相当な額になります。
また最近のマンションでは、オートロックシステムや防犯カメラなどセキュリティが充実しているため、セキュリティを重視する場合にも、マンションの方がよいでしょう。
そして、高齢になり階段の上り下りのない生活が望ましい場合や、自分で建物の管理をすることが負担であるようなケースでは、マンションでの生活の方がニーズに合っていると考えられます。
このように、マンションは高齢者や単身者など、広さよりも利便性を重視するライフスタイルの人に向いていると言えるでしょう。
戸建てが向いているライフスタイルは?
一方、マンションでは上下階などの音のトラブルが起こりやすいため、子供がいて迷惑をかけるのが心配な場合や、自分自身が騒音のない静かな環境を望む場合には、戸建ての方が無難と言えます。
また、注文住宅なら間取りや内装を自由に決められるので、自分たち家族のライフスタイルに合った、オリジナルの住まいを作ることができます。
ライフスタイルの変化に合わせてリフォームや建て替えも、法律の範囲内で自由に行えます。
戸建ての場合には都心からは少々離れることが多くなりますが、その分広さを確保しやすくなるので、ある程度の広さが欲しい場合や庭が欲しいという場合にも、戸建ての方が向いているでしょう。
庭に花壇を作ったり、家庭菜園を楽しんだりすることもできます。
年数の経過と共に建物の価値は減っていきますが、土地の価値は基本的には変わらないため、将来の資産価値をできるだけ保ちたいという意向も、戸建ての方が叶う可能性が高いでしょう。
また、駐車場を作れるので車を保有していても駐車場の使用料の負担がなく、管理費等もからないので、月々の費用を節約したい人にも戸建ての方がよいでしょう。
売却のしやすさについては物件ごとに異なるので一概には言えませんが、マンションの方が多くの人の需要にマッチする可能性が高いため、売却がしやすい傾向にあります。
しかし先ほども触れたように、マンションは老朽化すると急激に資産価値が落ちるため、手放したいと思っても、簡単には手放せなくなる可能性もあります。
築年数の新しいうちに売却を予定しているならマンションの方が手頃かもしれませんが、長く住み続けた後の売却を想定するなら、戸建ての方がリスクが少ないのではないでしょうか?
新築で戸建てを建てるにはある程度の資金が必要とはなりますが、建物の間取りや仕様、土地の立地などを工夫することで、資金に合わせた住まいを作り上げることが可能です。
特に近年、リモートワークの浸透で必ずしも都心へ通勤する必要がなくなった人も増え、代わって家族で過ごす時間の大切さが見直されています。
広々とした郊外でゆったりとした家族の時間を過ごしたいファミリーにとっては、戸建てが向いていると言えるでしょう。
関連記事:都心と郊外住むならどっちがいい?メリット・デメリットや選び方のポイント
マンションか戸建てか?最適な選択は家族次第!
ここまで、マンションと戸建てについて、購入価格や資産価値、住み心地などについて解説してきました。
それぞれにメリットもデメリットもありますので、最適な選択は家族によって異なります。
ですが、「ライフスタイルにあったオリジナルな住まいでゆっくりと家族の時間を過ごしたい」というファミリーには戸建てがおすすめと言えるのではないでしょうか?
そんなオンリーワンの家作りをしたいと希望している方々に、ご紹介したいのがタクトホームの住宅ブランド「GRAFARE(グラファーレ)」です。
「家族が集う、心地よい家」をコンセプトにした「GRAFARE(グラファーレ)」。
家族の「これは大切にしたい…」という想いを大切にする家作りを目指しています。
ぜひタクトホームにご相談ください。ご希望をお聞かせいただければ、ご家族の夢を叶えるお手伝いをさせていただきます。