お金(節約術)

新築住宅で駐車場を作る時、気をつけたいポイントは?

新築住宅を建てる際、意外に大切なのが駐車場。車が駐められるスペースがあればそれでいい、というわけではありません。実際に車を駐めてみて使いにくかったら、それから何十年も我慢し続けることになります。

思わぬ失敗を避けるには、新築住宅の設計時点から車を停めて乗り降りイメージをもっておくこと。そのために気をつけておくべきポイントを紹介します。

駐車場に必要な広さは?

そもそも駐車場を作る場合、どのくらいの広さが必要なのでしょうか。また、家との位置関係はどうしたらいいのでしょうか。まずはそこから考えてみましょう。

車の大きさに対してどのくらい余裕をとるべき?

駐車場の幅や広さを考えるには、まず駐車する車のサイズを把握しておく必要がありますが、車のサイズは車種によって大きく違います。たとえば軽自動車は全長3.4m以下×全幅1.48m以下。小型自動車、いわゆる5ナンバーは全長4.7m以下×全幅1.7m以下。小型自動車のサイズを超えると普通自動車、いわゆる3ナンバーとなります。

車を利用するのが常に運転手1人の場合は、運転席側に乗り降りできるだけのスペースをとっておけばいいのですが、家族で利用するなら助手席側にもスペースが必要です。さらに、駐車スペースで荷物の出し入れを行うなら、車の後部にもある程度の余裕が欲しいものです。

車の乗り降りや荷物の出し入れのために必要なスペースは、最低でも60cmといわれています。そう考えると、軽自動車なら縦4.6m×幅2.08m、小型自動車なら縦5.9m×幅2.3mの駐車場が必要ということになります。部屋のサイズに換算すると、軽自動車で6畳間、小型自動車で8畳間くらいの広さです。

ちなみにコインパーキングなどの駐車スペースは、1台あたり縦5.0m×幅2.5mで作られることが一般的です。最低でもこのくらいのスペースが必要と考えてもいいでしょう。

ただし、これは健常者が乗り降りする場合で、車いす利用者が乗り降りする場合はもっと幅を広くとらなければいけません。車いす利用者の乗降に必要なスペースは、幅1.4m以上とされています。

また、駐車場にバイクや自転車なども置きたい場合は、その分の余裕もとっておく必要があります。バイクや自転車は、1台につき2m×1m程度のスペースが必要と考えておきましょう。

さらに、現在は車を1台しか持っていなくても、将来的には台数が増える可能性もあります。駐車場の広さを決めるには、長期的なライフプランまで見据えておいたほうがいいでしょう。

駐車場と建物の距離

駐車場と家の距離が離れていると、荷物を運び込む時に大変ですし、雨の日には家に入るまでに濡れてしまいます。そう考えると、駐車場と家の距離はなるべく近いほうがいいでしょう。

車の停め方には大きく分けて2つあります。ひとつは道路に対して車が直角になる「直角駐車」。もうひとつは道路と並行になるように停める「並列駐車」です。

直角駐車は多くの場合、道に対して駐車場と家が並んでいるという構造になります。駐車場側に玄関を作っておけば、家との距離を短くできるでしょう。

また直角駐車は、車が停めやすいというメリットもあります。ただ奥行きのある土地で、手前に駐車場、その奥に家があるといった構造の場合、バックで停めると排気ガスで家の外壁が汚れてしまうこともあります。

並列駐車は、道側から見ると手前に車が停まっていて、その奥に家があるという構造が多くなっています。玄関の位置をよく考えておかないと、車から家までの移動距離が長くなってしまいます。

並列駐車なら排気で家を汚す心配はありませんが、車を停める際に何度も切り返しが必要になるという難点も。土地の形状や前面道路の幅も考えて、無理のない停め方ができるよう設計したいものです。

駐車場の設計で考えるべきこと

駐車場を設計する際には、気をつけておくべきポイントがいくつかあります。中でも注意したいのが、駐車場の日当たりと防犯です。なぜ気をつけるべきなのか、その理由をご説明します。

駐車場の日当たりと勾配

駐車場はなるべく南側以外の方角に設置したいものです。南側に駐車場があると、日光で車の劣化が早くなるだけでなく、家への日当たりを遮ることになってしまうからです。

もちろん南側以外でも、露天の駐車場だと日光や風雨による車の劣化が起こります。気になる場合は、屋根をつけるのもいいでしょう。屋根があれば、雨の日でも濡れずに乗り降りできます。

駐車場を設計する際には、地面に勾配をつけておくことも大切です。勾配がないと水はけが悪くなり、水たまりができて乗り降りがしにくくなるということも。ただ勾配をつけすぎると、停めにくくなってしまいます。

駐車場の勾配は、一般的に1.5~2%程度がいいとされています。土地の構造からか急勾配になっている駐車場も見かけることがありますが、5%以上の勾配がある駐車場は、安全上の観点からお薦めできません。

駐車場の防犯

駐車場を設置する際には、防犯対策もとても重要です。防犯対策をしておかないと、ちょっとしたいたずら心で車に傷をつけられたり、場合によって車そのものが盗まれたりすることもあります。

防犯対策としては、カーゲートやシャッターをつけておく、センサーライトや防犯カメラを設置するといったことが考えられます。センサーライトや防犯カメラは電源が必要なものも多いので、屋外用コンセントを設置しておく必要があります。

いずれにしろ防犯対策にはある程度の初期投資がかかります。ただ、実際に車の破損や盗難に遭ってしまったら、被害額は防犯設備よりも高くなることでしょう。安全・安心を確保するためにも、防犯対策をしておくことをお薦めします。

駐車場のデザインで気をつけたいポイント

駐車場は、ただ単に必要なスペースをとっておけばいいというものではありません。地面はどうするのか、場合によっては屋根やフェンスはつけるのか、ほかにどういった設備が必要か、考えるべきことがたくさんあります。その中でもポイントを絞ってご紹介しましょう。

駐車場の地面

駐車場の地面は、砂利、コンクリート、アスファルトで施工されることが多くなっています。そのほかにも、コンクリートブロックを組み合わせたインターロッキングなどがありますが、代表的な3つの工法についてメリット・デメリットを見てみましょう。

砂利敷きは工費がそれほど高くなく、水はけもいいというメリットがあります。踏むと石同士が触れあって音がするので、防犯対策にもなります。

ただ、深夜や早朝などに車を出し入れする際には、音が気になってしまうことも。またタイヤが石を跳ね上げて、車体に傷をつけてしまうこともあります。

コンクリートは工費が高くなりがちですが、非常に硬くて丈夫なので、長年使用しても補修の必要がありません。デメリットとしては、泥汚れが目立ちやすいこと。また雨が降ると滑りやすいという欠点もあります。 アスファルトはコンクリートよりも工費が安くなりますが、長年使っていると摩耗してくぼみができてしまうことがあります。そのため定期的な補修が必要になります。またコンクリートと同じように泥汚れが目立ちやすいので、気になる場合はこまめに掃除しましょう。

駐車場の屋根

駐車場に屋根をつける場合には、どんな素材で作るのかに加えて、どんなタイプを施工するのかも考えなければなりません。それぞれの特徴を知って、家の雰囲気に合うものを選ぶのがお薦めです。

駐車場の屋根の種類は、大きく2つに分かれます。ひとつが片側にしか支えのない片側支持タイプ。もうひとつは両側に柱のある両側支持タイプ。いずれも屋根と柱だけで、壁はありません。

片側支持タイプは車の出し入れがしやすいのですが、積雪などで大きな荷重がかかると倒れてしまうことも。両側支持タイプは比較的大きな荷重に耐えられるので、積雪がある場所、風が強い地域にはお薦めです。

駐車場の屋根によく使われる素材としては、ポリカーボネート、金属板、波板があります。ポリカーボネートは強度が高く、色のバリエーションが豊富。紫外線カットや防火機能を持つものもあります。

金属板にはさまざまな種類がありますが、多く見られるのはスチールとアルミでしょう。スチールは丈夫で耐荷重もあるのですが、次第に錆びが出てきます。アルミは軽いので施工しやすく、錆が出ることもありませんが、強度はスチールより劣ります。

波板は塩化ビニルなどで作られた波状の板です。ポリカーボネートや金属板に比べると価格も安く加工しやすいのですが、耐久性には劣ります。また日光もあまり防げないので、雨の日に濡れずに済む程度の効果しかありません。

駐車場のタイプによって固定資産税がかかる

実は駐車場のタイプによっては、家と同じように固定資産税がかかってくることがあります。駐車場の設計を依頼する前に、どんな場合に固定資産税がかかるのかを知っておきたいものです。

■固定資産税がかかる条件

固定資産税の課税対象になるかどうかは、3つの要件を満たしているかで判断されます。3つの要件とは「外気分断性」「土地への定着性」「用途性」です。

外気分断性とは、屋根があることと、三方向以上が壁に覆われていることです。壁がなく柱だけといった構造なら、外気分断性は認められません。

土地への定着性とは、基礎工事などで地面に定着していることです。地面の上に置いただけの物置や、簡単に移動できるコンテナなどは、土地への定着性が認められません。

用途性とは、実際に利用できる状態の建物であることです。居住だけでなく、作業場、貯蔵庫といった目的に使われる場合も、用途性があると見なされます。

ガレージは固定資産税がかかる

ガレージとは、箱状になった駐車場を指します。屋根がついていて三方を壁で囲まれているため、出入り口に扉やシャッターがなくても固定資産税の課税対象になります。

ガレージの多くはコンクリートや金属板で作られていますが、壁や屋根の素材がポリカーボネートや半透明の波板だった場合でも、固定資産税はかかると考えておきましょう。

日光が防げるか、内部が透けて見えるかなどは、課税対象かどうかの判断にはまったく関係ありません。3方向以上が囲われていれば、建物とみなされ課税されます。

カーポートタイプは固定資産税がかからない?

駐車場に屋根だけをつけたカーポートなら、固定資産税がかかることはありません。柱が何本であろうと壁がないので、外気分断性が認められないからです。

ただし、税制上は建物と認められないカーポートも、住宅の建ぺい率の計算では建物と見なされてしまいます。建ぺい率では壁のあるなしに関わらず、屋根がある部分を建物として計算するからです。

とはいえ、カーポートやウッドデッキといった開放性のある建築物については、緩和措置があります。一般的なカーポートなら、緩和措置が受けられるケースがほとんどでしょう。

まとめ

新築住宅で駐車場を造る際に考えなければいけないこと、注意すべきポイントについて見てきましたが、いかがだったでしょうか。とりあえず駐車できるスペースをとっておけばいいというものではないことが、お分かりいただけたと思います。

しかし、これらのポイントをすべて理解して設計を依頼するのは大変なこと。やはり駐車場の設計に慣れたプロから提案を受けるのが一番です。

タクトホームは、さまざまなタイプの駐車場付きの家を多数施工しています。お客様のご希望やライフプランに合わせて、ぴったりの駐車場をご提案しています。駐車場のことでお悩みなら、ぜひタクトホームにご相談ください。

タクトブログ編集部
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