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用途地域とは?種類・特徴・建築制限・調べ方を知って、失敗しない土地選びを!

家を建てる土地を探す際には、その土地がどの用途地域に属しているかということに注意しなくてはなりません。

用途地域の種類によっては、自分が望むような家を建てられない可能性があるからです。

そこでここでは、

  • 用途地域が何のために定められていてどんな制限があるのか?
  • 用途地域にはどんな種類があるのか?
  • 用途地域はどのようにして調べればよいのか?

などについて解説します。

土地を購入する前にしっかり土地の用途地域を確認し、後悔しない選択をしていただきたいと思います。

用途地域とは?

ここでは、「用途地域とは何なのか?」ということについて、用途地域の目的、位置づけ、どのような制限があるのか?という観点から解説していきます。

新しく土地を購入する際や、現在所有している土地の状況を調べる際の参考にしてください。

用途地域の目的~なぜ用途地域を定めるの?

自分の所有する土地の上に建物を建てる場合でも、どのような建物でも自由に建ててよいというわけではありません。

建物を建てるということは、自分の土地だけではなく、周りの環境にも影響を与えることになるからです。

静かだった住宅の近くに商業施設ができれば、人通りが増えて賑やかになることで、ストレスを感じる人がいるかもしれません。

近くに工場があれば、騒音や悪臭に悩まされる可能性があります。

学校の近くに風俗店などができて環境が悪化することは好ましくないでしょう。

そこで、居住目的、商業利用目的、工業利用目的など目的に応じてエリアを区分し、それぞれの利用目的に適する制限を設けることで環境を維持するために、用途地域という区分が設けられています。

用途地域という区分を定めて、計画的に市街地を整備することで、目的に応じた効率的な土地の利用が促進されることになるのです。

このような目的のために定められている用途地域は、都市計画法の定める制限のひとつです。

ただし、「どのようなケースで用途地域が定められるのか」という区分が複雑で分かりづらいので、用途地域の位置づけについて以下に簡単に解説します。

用途地域の位置づけ~用途地域を定めるのはどんなエリア?

都市の健全な発展と秩序を維持するために、「都市計画法」が定められています。

都道府県知事はこの都市計画法を基に、地域を大きく3つに分類して「都市計画」を立てています。

都市計画区域:都市計画に基づいて計画的な街づくりを行う地域

都市計画区域外:人口が少なく計画的な街づくりの重要性が低いため、都市計画の対象外とする地域

準都市計画区域:都市計画区域外ではあるけれど、将来開発の可能性があるので、一定の制限を設けている地域

例えば、観光地や高速道路のインタチェンジー周辺、幹線道路の沿道等

都市計画区域は、さらに3つに分類されます。

市街化区域:すでに市街地が形成されている区域やおおむね10年以内に計画的に市街化を図るべきと考えられている区域で、用途地域を必ず定めることとされている区域。

市街化調整区域:自然環境の保護に重点を置き、市街化を抑制すべきと考えられている区域。

原則として、用途地域を定めることはできない。

非線引区域:市街化区域にも市街化調整区域にも指定されていない区域。

将来的な市街化の可能性はあるけれど、現状では方針が定まっていない区域。

用途地域を定めることはできるが、必ずしも定めなくてはならないわけではない、規制が緩い区域。

さらに、市街化区域は土地の利用目的や制限の必要性の程度に応じて、21種類の「地域地区」に分類されます。

この地域地区の目的や制限は、「土地の利用に関する制限」、「高さに関する制限」、「防火や防災に関する制限」などに分けられますが、このうちの「土地の利用に関する制限」の中のひとつに「用途地域」があるのです。

要するに、「都市計画法」に定められる「都市計画区域」の中の、「市街化区域」の中に定められる「地域地区」の種類の中のひとつが、「用途地域」ということです。

用途地域での制限~用途地域によって何が変わる?

用途地域では、どのような建物が建てられるか?ということが地域ごとに細かく決められています。

そしてそれと共に、その地域の環境を維持するために必要な制限として、用途地域ごとに以下の制限を設けています。

【建ぺい率】

建ぺい率とは、土地の面積(敷地面積)に対する建物の面積(建築面積)の割合のことを言い、以下の式で計算できます。

建ぺい率=建築面積÷敷地面積

建築面積とは、建物を真上から見た時の面積のことです。

100㎡の土地の建ぺい率が60%のケースでは、建てられる建物の広さは、60㎡が最大になります。

【容積率】

容積率とは、土地の面積(敷地面積)に対する延床面積の割合のことです。

容積率=延床面積÷敷地面積

延床面積とは、建物の全ての床面積を合計した面積のことで、1階の面積が60㎡、2階の面積が50㎡であれば、延床面積は110㎡ということになります。

100㎡の土地の容積率が100%であれば、延床面積100㎡までの建物しか建てられない計算になります。

関連記事:建ぺい率、容積率とは? 言葉の意味や計算方法を知っておこう

関連記事:建築面積とは?延床面積や敷地面積との違いを知っておこう

【建物の高さ制限】

用途地域では、日照や通風を考慮して、以下の4つの高さ制限を設けています。

絶対高さ制限:第1種低層住居専用地域と第2種低層住居専用地域に設けられる制限

道路斜線制限:前面道路の日照や通風を確保するための制限

隣地斜線制限:隣地の日照や通風を確保するための制限

北側斜線制限:北側になる建物の日照を確保するために設けられる制限

これら、建ぺい率や容積率、建物の高さ等は、用途地域の用途に応じて制限されています。

例えば、第一種低層住居専用地域の建ぺい率は、30%~60%の範囲で決められているのに対して、第一種住居地域では50%~80%の範囲で決められます。

具体的には場所ごとに決められているので、個別に比べる必要がありますが、同じ面積の土地であれば、第一種低層住居専用地域よりも第一種住居地域の方が広い建坪の家を建てられる可能性が高くなります。

ですからこの二つを比べた場合に、土地の面積に対してできるだけ広い家を建てたいと考えるなら、第一種住居地域の土地の方が向いていると考えられます。

しかし、静かな環境でゆったり暮らしたいという希望であれば、第一種低層住居専用地域の方が向いていると言えるでしょう。

このように、住居地域ごとの特徴を調べることで、自分の求めるスタイルの生活に適した土地を見つけることにつながるのです。

用途地域の種類:13種類

用途地域は、8つの住居系用途地域、2つの商業系用途地域、3つの工業系用途地域の3つの種類に分類することができ、全部で13種類に分けられています。

住居系用途地域は住居としての環境を維持することに重点がおかれているので、工場や商業施設などの建築は制限されています。

商業系用途地域は商業の利便性の促進が図られ、工業系用途地域は工業の利便性が図られる趣旨から、それぞれに応じた制限が設けられています。

用途地域ごとに建てられる建物の種類などが細かく決められていますので、以下に解説していきます。

第一種低層住居専用地域

第一種低層住居専用地域は、閑静な住環境での生活を保護するために定められているエリアです。

この地域に建てられる建物は、小学校や中学校、図書館、診療所などの公共施設か住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿に制限されています。

公共施設にも制限があり、大学や病院は建てることができません。

建物は高さが10mもしくは12m以下という制限があり、建てられるのは3階建てくらいの低層の住居までとなります。

住居以外の部分の床面積が50㎡以下で延べ面積の2分の1未満であれば、兼用住宅で店舗を経営することはできますが、かなり小規模の店舗に限られます。

第二種低層住居専用地域

第二種低層住居専用地域は、第一種低層住居専用地域と同様に、閑静な住宅地での生活を維持するためのエリアで、建物の高さ制限が10mもしくは12m以下であることは変わりません

建てられる建物の種類も同様に制限されていますが、床面積が150㎡以下であれば、日用品の販売などの営業も可能なので、コンビニなどを建てることもできます。

第一種中高層住居専用地域

第一種中高層住居専用地域は、住環境を保護するための地域ではありますが、中高層住宅の建築を可能とするエリアですので、建物の高さ制限はなく、容積率も高くなっています。

ただし、日照を確保するための一定の日影規制が設けられています。

第二種低層住居専用地域で建築可能とされている種類の建物の他、病院や大学の建築も可能で、床面積が500㎡以下で2階建てまでの小売店や飲食店、銀行の支店などのサービス業の店舗を建てることができます

第二種中高層住居専用地域

第二種中高層住居専用地域は、第一種中高層住居専用地域で建築可能な建物の他、1500㎡以下までの店舗や事務所を建てることが可能となります。

認められる店舗の種類も、第一種中高層住居専用地域よりも広くなります。

第一種住居地域

第一種住居地域は、第二種中高層住居専用地域までで建築が認められている建物に加え、3000㎡までの店舗や事務所、ホテル、ゴルフ練習場等の建築も認められます

中高層住居専用地域と同様、高さ制限はりませんが日影規制はあります。

容積率は第一種中高層住居専用地域と同程度かそれ以下で定められています。

第二種住居地域

第二種住居地域は、第一種住居地域までで建築が認められている建物に加えて、床面積10000㎡以下の店舗の建築が可能となり、事務所の広さの制限はなくなります。

床面積10000㎡以下という条件でパチンコ屋やカラオケボックスを建てることも可能になります。

準住居地域

準住居地域で認められる建物の用途は、第二種住居地域で認められているものに加え、営業用の倉庫や作業場の床面積が150㎡以下の自動車修理工場、客席部分が200㎡未満の映画館などとなります。

国道や幹線道路の近くに指定されるケースが多く、関連する施設の利便性と住環境の維持とのバランスに配慮したエリアと言えます。

田園住居地域

田園住居地域が2018年に新しく設けられ、用途地域の数は13種類に増えました。

農業と閑静な住環境との調和を図ることを目的とし、建物の用途制限は第二種低層住居専用地域に近くなっています。

ただし農業の利便性を促進するために、農産物の生産、処理、貯蔵のための倉庫や工場、2階建て以下で500㎡以内の農産物直売所や農家レストラン等に限って、建物を利用することが認められています。

近隣商業地域

近隣商業地域は、近隣に住む人たちが日用品の購入ができるように、商業の利便性を考慮したエリアです。

用途制限は、準住居地域より一層緩やかになり、店舗や事務所、映画館などに設けられていた床面積の制限がなくなります。

さらに、危険性がなく、環境悪化の恐れがない床面積150㎡以下の工場や、床面積300㎡以下の自動車修理工場であれば建築可能です。

ただし、危険性の高い工場や住環境を悪化させるリスクのある工場など、またキャバレー、個室付浴場などの用途に使用する建物の建築は認められません

商業地域

商業地域はターミナル駅などの大きな駅の周辺のエリアに指定されることが多く、近隣商業地域より規制が緩やかであることから、大型の商業施設や飲食店、遊興施設などが集まっています。

商業地域ではキャバレーや個室付浴場の建築も可能で、危険性が高く、住環境を悪化させるリスクのある工場などでなければ、ほとんどの建物が建築可能です。

準工業地域

準工業地域は、危険性が高く、住環境を悪化させるリスクのある工場や個室付浴場以外であれば、ほとんどの建物が建てられます。

中小の工場や商業施設と住宅などが共存しているエリアとなります。

工業地域

工業地域は、工場であれば原則としてどのような工場であっても建築可能なエリアです。

住宅や店舗も建てることはできますが、病院や学校、映画館、ホテルなどの建築は認められません。

工業専用地域

工業専用地域は、工業地域と同様、工場であれば原則としてどのような工場であっても建築可能なエリアですが、住宅を建てることはできず、店舗の種類も制限があります

病院や学校、映画館、ホテルなどの建築が認められないことは、工業地域と同じです。

工業の促進に重点を置いて定められているエリアなので、工場の用途に関係のない建物の建築は制限されており、工場が立ち並ぶ工業団地等が想定されています。

用途地域の調べ方

用途地域を調べるには、

  • 「用途地域マップ」というサイトで検索する方法
  • 「国土数値情報ダウンロードサービス」を利用する方法
  • 「市町村のホームページ」で確認する方法
  • 「市町村の窓口」で問い合わせる方法

があります。

一番簡単なのは、用途地域マップで検索する方法で、都道府県、市町村を選択していき、住所を入力すれば、市町村ごとの用途地域が調べられます。

https://cityzone.mapexpert.net/

ただし、検索できる情報が最新の情報とは限らないので、正確な情報が必要な場合には他の方法で情報を入手することをおすすめします。

国土数値情報ダウンロードサービスは、国土交通省が公表している最新のデータをダウンロードできますが、ダウンロードをするために少々手数を要します。

https://nlftp.mlit.go.jp/ksj/gml/datalist/KsjTmplt-A29.html

上記以外であれば、各市区町村のホームページで「都市計画図」などを調べる方法を利用してもよいでしょう。

用途地域の意味を理解して、失敗しない土地選びを!

それぞれの目的に応じて効率的に土地を利用するために、用途地域という分類がされているということは、理解していただけたでしょうか?

新しく土地を購入する際には、「その土地がどの用途地域に属しているか?」ということを調べることが非常に大切です。

自分の希望する用途に合った土地でなければ、後々後悔することになってしまいます。

そして、希望の条件に合った土地が見つかったら、次はそこに「どのような家を建てるか?」

ということですね?

「こんな家に住みたい!」という家族の夢が、たくさん詰まった家作りをしていただきたいと思います。

その際にぜひ相談していただきたいのが、累計59,000棟超の施工実績を誇る「タクトホーム」です。

タクトホームの住宅ブランド「グラファーレ」は、「家族が集う、心地よい家」がコンセプト。

家族のご希望に合った最適なプランの提供が可能です。

もちろん土地探しからお手伝いさせていただくこともできますので、お気軽にお問合せください。

関連記事:市街化調整区域とは?家を建てる方法やメリット・デメリットを解説

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