一戸建ての住宅の中には「規格住宅」と呼ばれるタイプがあります。いったいどんな住宅を規格住宅と呼ぶのでしょうか。
規格住宅とはどんな家なのか、注文住宅や建売住宅とはどこがどう違うのか、規格住宅に向いているのはどんなタイプの人なのか、詳しくご紹介します。
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規格住宅はどんな家か、詳しく知ろう
「規格住宅」といわれても「言葉自体を初めて聞いた」「どんな家をそう呼ぶのか分からない」という方もいらっしゃることでしょう。そもそも規格住宅とはどんな住宅なのか、ご説明します。
規格住宅の「規格」とは?
規格住宅の「規格」とは、住宅の建築を請け負うハウスメーカーが独自に定めている、建材などの規格を指します。
住宅に使われる建材には、さまざまなグレードのものがあります。例えば窓のサッシ一つをとっても、さまざまな素材の製品がありますし、同じアルミ製のサッシでも構造や機能が違う製品が出ています。
ハウスメーカー各社は、さまざまな建材について「このタイプが一般的だろう」「このくらいのグレードが標準的だろう」という大まかな基準を定めています。その基準に含まれる建材が、規格品です。
つまり規格住宅とは、ハウスメーカーが設定した一定の「規格」に従って建てられる住宅のことです。カタログから商品を選ぶように、事前に指定された範囲から選んだパーツを組み合わせて建てられた住宅をいいます。
規格品と聞くと「平凡でつまらないデザイン」というイメージを抱くかもしれません。しかし近年では、規格住宅に力を入れているハウスメーカーも多く、洗練されたデザイン性のある規格品も増えてきています。
規格住宅とはどんな家?
規格住宅では「外壁材はこの5種類から選ぶ」「窓のサッシはこの3種類から選ぶ」といったように、選べる範囲が指定されています。その選択肢の中から、好きなデザインや素材を選べるようになっています。
規格品はハウスメーカーごとに独自に設定していますから、提示される選択肢はハウスメーカーによって異なります。さらに、住宅のどの部分に選択肢が用意されているのかどうかも、ハウスメーカーによりさまざまです。
多くのハウスメーカーでは、屋根や外壁などの外観に関わる部分や、床材や壁紙などの内装、キッチンやバストイレといった住宅設備、間取りまで、幅広く選択できるようになっています。加えて、規格の範囲にはないものまで選べるようにしているメーカーもあります。
ただ、基本的には規格にはないドアや窓などのパーツを採用したり、規格にはない間取りを希望したりといったことはできません。ですから「規格住宅でも、できる限り理想に近い家造りがしたい」と考えるなら、選択できる部分や、設定された選択肢が多いハウスメーカーを選んだほうがよいでしょう。
建売住宅と規格住宅の違い
建売住宅は、完成した状態で販売する住宅を指します。購入する際には、店で商品を選ぶように完成品の住宅を見学して、気に入った住宅を選ぶことになります。言い換えるなら、建売住宅は既製品といってよいでしょう。
「この部分がこうだったらいいのに」といった家に対する希望があっても、建売住宅は完成した製品ですから、希望を叶えることはできません。つまり建売住宅では、理想通りの家を手に入れるのは難しいといえます。
反面、建売住宅は土地とセットで販売されているものなので、土地を選んで購入し、さらに家を建てるメーカーを選んでといったような手間はかかりません。ハウスメーカーも、建材の一括購入や工法の統一などでコストカットを図っているので、価格が割安なことも建売住宅の魅力のひとつです。
規格住宅は、住宅を構成する各パーツについて選択肢が用意されています。購入する人が何を選ぶかによって建材が変わってくるので、そもそも家が完成した状態で販売されていることはありません。
また、選んだ選択肢によって外観も階層も変わってくるので、同じハウスメーカーが手がけた規格住宅でも、まったく同じ外観になる可能性は低いといえるでしょう。そう考えると規格住宅は、建売住宅より注文住宅に近いといえます。
注文住宅と規格住宅の違い
注文住宅というと「建築に必要なパーツすべてを注文主のこだわりに合わせて造る家」というイメージを抱く人が多いことでしょう。ただ注文住宅といっても、何もかもが自由にできるわけではありません。
多くの注文住宅では、間取りについては、希望を伝えて一から設計してもらいます。しかし建材については、建材メーカーで製造しているものの中から選ぶことになります。
もちろん、ドアや窓サッシなどを独自のデザインにしたいと、一つひとつのパーツまですべてオーダーすることもできます。しかしこれでは、莫大な建築費がかかってしまうため、多くは既存の建材から選択することでしょう。
そう考えると規格住宅は、選択肢の範囲が狭まっている注文住宅の一種といえます。
注文住宅には、フルオーダーとセミオーダーがあります。フルオーダーは、一般的にイメージされる注文住宅のことで、設計から工法、建材まで自由に選んで建てる家をいいます。
セミオーダー住宅は、ハウスメーカーが推奨している工法で建てる、水回りの設備はハウスメーカー指定のものの中から選ぶなど、特定の設備や仕様について制限がある注文住宅をいいます。
規格住宅は、フルオーダーやセミオーダーの住宅よりも自由度は低いものの、選択肢の中でなら自分の好みを反映させられます。選択肢が自分の希望と合っていれば、理想に近い家が建てられることもあるでしょう。
フルオーダーやセミオーダーの住宅では、好みを反映できる範囲が幅広い分、相談から発注、打ち合わせなどに多くの時間をとられます。規格住宅は、選択肢から選ぶだけなので、打ち合わせの回数や時間も少なくて済みます。
つまり規格住宅は、注文住宅と建売住宅のいいとこ取りをしたものと考えることもできるでしょう。
規格住宅のメリット・デメリット
規格住宅の購入を考えるなら、事前にメリット・デメリットをよく知っておきたいもの。そうすれば、いざ購入してから後悔することも少なくなります。
ここでは、規格住宅のメリット・デメリットについて詳しくご紹介しましょう。
規格住宅にはどんなメリットがある?
規格住宅の一番大きなメリットとしては、フルオーダーやセミオーダーの注文住宅よりも低価格で建てられることでしょう。
規格住宅の場合、建材だけでなく工法も規格化されていて、特殊な工法が必要になることはありません。ハウスメーカーも慣れている工法を規格化しているため、その分のコストカットができるのです。
規格住宅で選択できる工法や建材は、品質的には注文住宅と変わりはありません。デザインなどが限られるだけなので、ハウスメーカーが多く手がけている工法ならば、安心感も生まれることでしょう。
特殊な工法が不必要で、打ち合わせにかかる時間も短くて済むため、工期もフルオーダー住宅より短縮できます。「なるべく早く新居での生活を始めたい」という人には、おすすめといってよいでしょう。
フルオーダー住宅では、さまざまな住宅パーツの中から希望のものを選んでいるうちに予算をオーバーしてしまうことがあります。規格住宅は、指定された選択肢の中から選ぶので、早い段階で建築にかかる費用が明確になることがほとんどです。その分、購入計画も立てやすいことでしょう。
規格住宅のデメリット
規格住宅のデメリットは、間取りの自由度が低いことです。メーカーによって、数種類の間取りパターンを用意していることがほとんどですが、理想の間取りにしたい人には不向きといえます。
また、整形ではない特殊な形状の土地や、四角でも極端に細長い土地などの場合、建物も土地に合わせて変形させる必要があります。しかし規格住宅は、選べる間取りが限られているため、土地の形に対応できない場合があります。
また土地によっては、建物の高さ制限や斜線制限といった法律的な規制があります。規格住宅では、そういった規制に対応できないこともあるでしょう。現在、土地を持っていて規格住宅の建築を考えているならば、ハウスメーカーに規格住宅で対応できるのか確認してみましょう。
規格住宅に向いているのはどんな人?
規格住宅は、メリットもあればデメリットもあることがお分かりいただけたと思います。これまでの説明を踏まえて、規格住宅に向いているのはどんな人なのか見てみましょう。
規格住宅に向いている人
マイホームを購入するならば、なるべく理想に近い家にしたいと誰もが思うことでしょう。しかし「理想の家」をよく考えてみると、意外に具体的なイメージが湧かないことがあります。
理想の家を造りたいけれど、何をどうしてよいのか分からないという人は、選択肢がある程度絞られた規格住宅が向いているといえます。さまざまな住宅パーツを選ぶことで、満足感も得られることでしょう。
また、家に対するこだわりの範囲が限られている人も、規格住宅を検討する価値があります。規格住宅で設定された選択肢の範囲がこだわりポイントと合致していれば、理想の家造りができるのではないでしょうか。
「ある程度は理想に近い家にしたいけれど、コストはかけたくない」「打ち合わせに時間をかけず、なるべく早く新居で暮らしたい」という人にも、規格住宅はおすすめです。
フルオーダー住宅の場合、実際に完成してみたらイメージが違った、住み始めたら間取りが意外に使いにくかった、といったことがあります。
しかし規格住宅は、外観や内装、間取りに至るまで、建築の専門家が住みやすい家になるよう検討した上で、選択肢を設定しています。そのため規格住宅では、大きな失敗が起こりづらいといえるでしょう。
住宅は大きな買い物です。「購入してから後悔はしたくない」という人にも、規格住宅はおすすめといえます。
規格住宅は避けたほうがよい人
家に対するこだわりが強い人には、規格住宅はおすすめできません。また、理想の家についての具体的なイメージがある人も、規格住宅にはあまり向いていないといえるでしょう。
規格住宅では、選べる選択肢が決まっています。その中に理想の選択肢があればよいのですが、狭い範囲でしか選べないので、合致する可能性は低いといえます。
多くの人にとって住宅は、気に入らなかったからといって気軽に買い直すことはできません。規格住宅では、選択肢が用意されているだけに「もっと多くの範囲から選びたい」という気持ちを刺激され、不満がたまってしまうことがあります。
また「せっかくマイホームを建てるのだから、じっくりと時間をかけて打ち合わせを重ね、建築の過程を楽しみたい」と考える人もいるでしょう。そういう人も、規格住宅は向いていないといえます。
規格住宅を買って後悔しないために
規格住宅を選ぶ際には、規格住宅のメリット・デメリットをよく知っておくことはもちろん、どのハウスメーカーの規格住宅にするかも重要です。
最初に言ったように、一口に規格住宅といっても、ハウスメーカーによって選択できる内容や選択肢はさまざまです。あるメーカーでは思うようなものが選べなくても、別のメーカーなら理想に近い家が建てられる、といったことも珍しくありません。
規格住宅のハウスメーカーを選ぶ前にまず、どんな家にしたいのか希望を書き出してみましょう。さらに、書き出した希望に優先順位を決めてみましょう。
家に対する希望がはっきりすることで、どのハウスメーカーを選べばよいのか比較検討しやすくなります。規格住宅を購入して後悔しないために、できるだけ多くの情報を集めてじっくり検討することをおすすめします。
まとめ
住宅には、建売住宅・規格住宅・セミオーダー住宅・フルオーダー住宅と、建てられ方によってさまざまなタイプがあります。どの住宅を選ぶべきかについては、家に対するこだわりの度合いや、住宅購入にかけられる予算によって変わってくるため、一概にはいえません。
規格住宅であっても、セミオーダー住宅より品質的に劣っているわけではないことはお分かりいただけたと思います。コストカットや工期短縮を望むなら、規格住宅を検討してみてはいかがでしょうか。
タクトホームでは、「マイセレクト」という規格住宅を展開しており、数多くのお客様提供しています。また規格住宅であっても、こだわりが反映できるオプションプランも用意しています。
「家造りがしたいけれど、何から始めればよいのか分からない」「どんな家が自分や家族に向いているのか分からない」といった場合も、ぜひお気軽にご相談ください。それぞれのご家族に合わせて、より住みやすい家を造るためのアドバイスをご提供します。