リビングの雰囲気を決めるのは、間取りやインテリアだけではありません。窓の配置やデザインによって、リビングのイメージも大きく変わってきます。
家族全員が集うリビングは、おしゃれで居心地のよいスペースにしたいもの。そのためには、どんな窓にしたらよいのでしょうか。気をつけるべきポイントについて考えてみましょう。
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リビングの窓の種類と特徴
リビング窓といっても、形や大きさ、開け方などによってさまざまなタイプがあります。まずは、リビングでよく見られる窓のタイプを簡単にご紹介しましょう。
掃き出し窓
掃き出し窓とは、窓の下部が床と同じ高さにあり、人が出入りできるようになっている大きな窓のこと。2枚のガラス戸を横にスライドさせて開く、引き違い戸になっていることがほとんどです。
本来は、床に積もったほこりをほうきで外に掃き出すために、床面に造られた小窓を「掃き出し窓」と呼んでいました。今では考えられない話ですが、掃除機がなかった時代にはほこりを外に掃き出すことが一般的だったのです。
掃き出し窓のメリットは、その大きさから換気や採光に優れていることです。反面、冷暖房効率が悪くなるといったデメリットもあります。
日本では掃き出し窓以外でもよく見られる引き違い戸ですが、実は海外ではあまり使われることがありません。引き違い戸は、窓の面積の半分を解放できるため換気に適していますが、日本のように湿度が高くない国ではあまり必要がないのかもしれません。
ただ、日本で窓といえば引き違い戸を思い浮かべる人が多く、代表的な窓の開閉形式になっています。そのためサッシの種類も豊富で、部屋の雰囲気に合わせて自由に選ぶことができます。
近年は日本でも、ドアのような両開きのガラス戸を連ねたスタイルや、アコーディオンカーテンのようにガラス戸を折りたたんで全面開放できるスタイルの掃き出し窓が増えてきています。
腰窓
腰窓(腰高窓)は、窓の下部が腰の高さくらいにある窓をいいます。腰窓の多くは横長の長方形で、縦の引き違い戸になっています。
腰窓のメリットは、窓の下部が手すりのような高さになっているので、転落防止になることでしょう。また、窓の下に背の低い家具を置けるというメリットもあります。
ただ、掃き出し窓に比べると採光率が悪いため、リビングの窓としては人気がありません。リビングにある腰窓は、掃き出し窓がある面以外に第2の窓として取り付けて、採光率をさらに高くするといった目的で使われることが多いです。
第2の窓として採用するなら、引き違い戸ではなく、上げ下げ窓やガラスの開かないはめ殺し窓(FIX窓)といったスタイルもよいでしょう。
上げ下げ窓の多くは縦長の長方形で、2枚のガラス戸が上下に配置されています。開閉の仕方によって、「シングルハング」「ダブルハング」「バランス窓」の3種類に分かれます。
シングルハングは、上のガラス戸がはめ殺しになっていて、下のガラス戸のみが開閉できるタイプ。ダブルハングは、上下それぞれが開閉できるタイプ。バランス窓は、上下のガラス戸が連動して動くタイプです。
開き方もバラエティに富んでいて、ガラス戸が上下にスライドする「上げ下げ窓」、ガラス戸の上部を手前に傾ける「内倒し窓」、上部を外側に傾ける「外倒し窓」、ガラス戸の下部を外に傾ける「押し出し窓」、窓枠のレールに沿ってガラス戸が斜めにスライドする「すべり出し窓」などがあります。
上げ下げ窓は、欧米の住宅では代表的な窓のスタイルとなっています。アメリカンやヨーロピアンスタイルのリビングを目指すなら、上げ下げ窓を効果的に取り入れるのがよいかもしれません。
スリット窓
スリット窓とは、縦や横に細長い形をした窓のことです。「隙間」を意味するスリットという名前の通り、家具の隙間などに配置できて、採光率を上げる効果があります。
スリット窓はデザイン性にも優れているので、おしゃれな雰囲気を演出できます。家の外から見ても独特で目立つため、外観のアクセントにするのもよいでしょう。
スリット窓には、開閉できるタイプとはめ殺しタイプの2種類があります。開閉できるスリット窓では、縦または横の軸を中心にして、外に向かって押し開ける「すべり出し窓」が一般的です。
そのほかにも、ドアのように蝶番で開く「片開き窓」、どんでん返しのようにガラス戸を回転させて開く「回転窓」などがあります。いずれも、面積のわりに換気に優れているという特徴があります。
高窓
高窓は一般的に、手の届かないところに設置された窓のことです。天井につけられた天窓も、高窓の一種といってよいでしょう。
高窓のメリットは、取り付けると部屋が明るくなること。窓そのものの位置が高いため、周囲の建物などの影響を受けることも少なくなっています。
ただし、手が届かないので開閉が難しい、汚れた時にも掃除がしにくいといったデメリットがあります。
高窓には、はめ殺し窓(FIX窓)を採用することも多いのですが、開閉できるタイプも決して珍しくありません。専用の棒状フックを使って開閉するタイプや、中には電動で開閉できるタイプもあります。
はめ殺しにするなら、丸や五角形などの形にする、桟で模様を描くデザイン窓にするといったことも考えられます。リビングの雰囲気に合わせて、一風変わった窓を採用するとアクセントになるでしょう。
リビングの窓を選ぶ時に気をつけたいポイント
リビングの中でも窓は、比較的大きな面積を占めています。窓選びに失敗すると、おしゃれなリビングは実現できません。
そこで、リビングの窓を選ぶ時に気をつけたいポイントについて、改めてチェックしてみましょう。
外からの目線に気をつける
リビングの窓を選ぶ時には、窓のデザインだけでなく取り付ける位置にも気を配りましょう。街路から見えやすい位置にリビングの窓を取り付けてしまうと、カーテンが開けられなくなってしまいます。
道路側を避けて窓を配置したものの、隣家の窓と向かい合わせになってしまったということもあります。これでは落ち着いてリビングで過ごすことができません。
リビングの窓の配置を考える際には、道路や近隣の家との位置関係をしっかりチェックしておきましょう。
どうしても周囲からの視線が気になる場合は、目隠しのフェンスを立てる、リビングに面した庭を造って周辺からの距離をとるといった対策が考えられます。場合によっては間取り自体を変更して、2階をリビングにするのもよいかもしれません。
日の差す方向や時間をチェック
リビング窓の大きさや方向によっては、リビングが明るくなりすぎることがあります。また、夏場には日光で部屋が熱されて、エアコンの効きが悪くなってしまうことも。
リビングの窓を考える際には、見取り図だけで検討するのではなく、実際に現地に足を運んでみましょう。日の差す方向や日照時間をチェックし、リビングの窓選びの参考にすれば、失敗のリスクは少なくなります。
反対に、大きな窓をつけても日当たりが悪いと、リビング全体が薄暗い印象になってしまいます。できれば時間帯を変えて何度も現地を訪れ、採光が確保できるのかを確認しましょう。
どうしても採光が悪くなる場合は、高窓や天窓で採光を補うことを考えたほうがよいかもしれません。また間取りを変更して、日差しの入りやすい2階をリビングにする方法もあります。
どんな家具をどこに配置するのか決める
明るいリビングにしたいと窓を大きくすると、その分だけ壁の面積が少なくなります。その結果、予定していた家具を置く場所がなくなってしまうことも珍しくありません。
さらに、現在の手持ちの家具だけでレイアウトを決めると、将来的にライフスタイルが変化しても模様替えが難しくなる可能性も考えられます。リビング窓を選ぶ際には、余裕を持って家具を配置できるようよく考えましょう。
また、テーブルやソファなどのリビングセットも、窓に近すぎると外気の影響を受けやすくなってしまいます。季節を問わず快適に過ごすためには、窓からある程度の距離をとってリビングセットを置く、断熱効果の高いガラスにするといった対策が必要です。
結露や断熱の対策をとる
窓は外気の影響を受けやすい場所です。そのため断熱対策をしておかないと、結露で窓の周囲がビショビショになってしまうことも。
冬場の窓の結露は、室内の温かい空気が冷えた窓ガラスに接することで起こります。結露を放置しておくと、カビやダニが繁殖する原因になるので、なるべく早く掃除しなければいけません。
対策としては、複層ガラスを採用する、窓を二重サッシにするといった方法があります。窓そのものの断熱効果が高ければ、結露も起こりにくくなりますし、冷暖房の効率もよくなります。
窓ガラスに貼り付ける結露防止シートや、結露防止スプレーもありますが、手軽にできるだけに効果は限定的だと考えたほうがよいでしょう。
風通しのよさに気を配る
窓が大きいほど、換気がしやすいと思うかもしれませんが、実は建物内に風が吹き抜けるような構造になっていないと、窓の大きさのわりに換気がしにくくなってしまうのです。
効率よく換気をするなら、風の通り道をつくる、つまり風の入り口だけでなく出口を用意する必要があります。リビングの一方だけに窓があっても、風は吹き抜けてくれないのです。
リビングの換気をよくしたいなら、大きな窓の反対側にも窓を設けておきましょう。反対側の窓はそれほど大きくなくても大丈夫です。少しでも風が吹き抜けると空気の流れができるので、効率よく換気できるでしょう。
防犯対策はしっかりと
空き巣や忍び込みといった侵入窃盗の多くは、窓が侵入経路です。特にリビングは、夜間に人がいなくなる、窓が大きく出入りしやすいといった、泥棒にとっての好条件がそろっています。
リビングの窓を選ぶ際には、防犯対策もしっかり考えておきたいもの。一番効果が高いのは、リビングの窓にシャッターをつけることです。
シャッターがあれば、台風などの災害対策にもなります。しかし毎日の開け閉めが必要なため、面倒に感じることもあるでしょう。
その場合は、ガラス板の間に樹脂の膜を挟んで割れにくくした、防犯ガラスを採用する方法もあります。防犯ガラスは一般的なガラスよりも割高ですが、断熱効果が高いので結露対策にもなります。
ただ防犯ガラスは、見た目は一般的なガラスとほぼ変わりません。泥棒が入ろうとした際も、実際にバールなどをガラスに打ち下ろしてみないと、防犯ガラスかどうかがわからなくなっています。
そのため、見た目での犯罪抑止効果はほとんどないといってよいでしょう。泥棒によって防犯ガラスが傷つけられると、交換費用がかかってしまいます。その点もよく考えて、防犯ガラスかシャッターの取り付けを検討してみましょう。
おしゃれなリビングにするための窓選び
ここまでリビング窓について、窓のタイプや実用的な面からの選び方を紹介してきました。いよいよ、おしゃれなリビングにするための窓選びのポイントを見ていきましょう。
室内からの視線抜けを意識する
窓からどんな景色が見えるかによって、リビングのイメージは大きく変わります。特に、ソファに座った状態からどんな景色が見えるのかチェックしてみましょう。
リビング内からの視線抜けを意識することで、開放感のあるおしゃれなリビングを造れることでしょう。もちろん窓から見える位置に、エアコンの室外機など視線を遮るもの、生活感のあるものを置かないことも大事です。
リビング家具との統一感を出す
いくらデザイン性の高い窓を設置しても、リビングのテイストが違っていては、おしゃれにはなりません。窓を選ぶ際には、リビングのインテリアとのトータルコーディネートを考えたいものです。
イメージの合う窓が見つからなかった場合は、なるべくシンプルなデザインの窓にしておくことをおすすめします。少々意外かもしれませんが、ごく一般的な窓サッシの中でも、黒のフレームを選ぶほうが目立ちにくくなります。
掃除のしやすさを考える
窓は家の中でも汚れやすい場所です。ガラスが少し曇っているだけでも目立つので、掃除が行き届いていないと見苦しくなってしまいます。
窓を選ぶ際には、掃除のしやすさも考えたほうがよいでしょう。たとえば、引き違い窓はレールの隅にゴミが溜まりやすいですが、はめ殺しの窓ならレール自体がないので、ほこりがたまることはありません。
場合によっては、掃き出し窓をつけるべきところを、はめ殺し窓とテラスドアの組み合わせにするといった方法も考えられます。掃除の手間をなるべく減らすことで、おしゃれなイメージを保ちやすくなることでしょう。
窓の目隠しはカーテンだけではない
窓に取り付ける目隠しというと、カーテンを思い浮かべる人が多いでしょう。カーテンはドレープがついているため、どうしても重い印象になってしまいます。
すっきりとしたモダンテイストにしたいなら、カーテンではなく、ロールスクリーンやブラインドを選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。カーテンをつけた時とは、まったく印象が違ってくることでしょう。
ロールスクリーンなら下半分だけを開けて、上からの日差しを遮りつつ景色を楽しむといったこともできます。窓にはカーテンという固定観念をなくすことで、リビングのコーディネートの幅が広がります。
まとめ
おしゃれなリビングにするには、窓のデザインや配置が大きく関わってくることがおわかりいただけたでしょうか。リビングを家族全員が落ち着ける空間にするため、設計の段階からリビング窓についてしっかり考えたいものです。
タクトホームは豊富な建築実績があるため、リビングの窓やインテリアについても適切なアドバイスができます。建築実例写真などもそろっているので、実際にどんな雰囲気になるのかもご確認いただけます。
おしゃれなリビングにしたいけれど、どうしたらよいのかわからないといった際には、ぜひお気軽にご相談ください。