分譲住宅(建売住宅)を購入する場合、物件価格以外に諸費用がかかります。
諸費用は高額になることもあるため、あらかじめどの程度の額になるのか知っておくことが大切です。
本記事では、分譲住宅の諸費用について、内訳や目安、安く抑える方法などご紹介していきます。
Contents
分譲住宅・建売住宅とは
戸建住宅を購入する場合、新築か中古での購入という選択肢になります。
さらに、新築で購入する場合は、次の3つの選択肢から選ぶことになります。
- 注文住宅
- 建売住宅
- 分譲住宅
注文住宅とは、すでに持っている土地や購入した土地に家を建てる方法です。
メーカー選びや設計の段階から家づくりの意志を反映できるので、自由度が高く自分好みの家を実現しやすいでしょう。
一方、建売住宅とは、土地とすでに建築されている建物をセットで購入する方法です。
建築前の建物を購入することもできますが、建築される建物はプランが決まっているため多少の意見は反映できても、注文住宅のような自由度はありません。
しかし、画一的なプランで建築されるため建築コストを抑えられ、注文住宅よりも安値で購入できるというメリットがあります。
分譲住宅は、分譲地と呼ばれる不動産会社やメーカーが購入した広い土地をいくつかに区分けし、建物を建築してセットで販売する方法です。
建築前に購入することもできますが、基本的には建設済みの建物を購入するケースが多いでしょう。
厳密に言えば、分譲住宅も建売住宅と同じ意味になります。
分譲住宅と建売住宅の違いは、分譲地に建てられるかどうかという点になるのです。
関連記事:分譲住宅と建売住宅はどう違う? それぞれの特徴やメリットを紹介
分譲住宅は諸費用を安く抑えることができる?
住宅を購入する際には、物件の費用以外にもさまざまな諸費用が発生します。
一般的には、新築購入では物件価格の5~10%程の諸費用がかかると言われています。
そのため、住宅を購入する際には物件価格+諸費用で資金計画を立てる必要があるのです。
住宅購入の費用を抑えるには、諸費用を抑えることも重要になります。
注文住宅よりも建築コストを抑えられる分譲住宅ですが、諸費用はどうなのでしょうか?
分譲住宅の諸費用を考えるうえでのポイントは、次の2つです。
- 分譲住宅はつなぎ融資費用がかからない
- 分譲住宅は仲介手数料がかかる可能性がある
分譲住宅はつなぎ融資費用がかからない
つなぎ融資とは、住宅の引き渡し前にかかる費用を賄うための融資です。
住宅ローンの融資が実行されるのは、住宅が完成した後の引き渡しの日になります。
しかし、土地から購入する注文住宅の場合、引き渡しより先に土地の購入をしなければなりません。
また、注文住宅を建築する際には、建築前に着工金・建築途中で中間金なども必要になります。
これらの費用は、住宅ローンの支払いは出来ないため自己資金で支払う必要があるのです。
仮に、800万円の土地と3,000万円の物件を購入する場合、着工金・中間金が物件価格の40%でも、自己資金で800万円+1,200万円=2,000万円が必要になります。
これらの費用は高額になるため自己資金だけでは賄うことができないケースも珍しくありません。
そのような場合に利用するのが、つなぎ融資となるのです。
つなぎ融資は住宅ローン融資後に一括返済することになります。
分譲住宅の場合、土地と建物をセットで購入します。そのため、土地代を先に支払わずに最後に一括での支払いとなるため、つなぎ融資は必要ありません。
つなぎ融資は、短期間の借入とはいえ高額になるため、金利負担も大きくなります。
一般的には、つなぎ融資の金利は2~4%程が目安です。
たとえば、2,000万円を半年間・金利2%で借入れると、金利負担は約20万円になります。
融資を受けるための印紙代や事務手数料などの諸費用も10万円程発生するので、つなぎ融資を利用するだけで費用が50万円程アップしてしまうのです。
分譲住宅の場合は、つなぎ融資を利用しないためその分の諸費用を抑えられるというメリットがあります。
ただし、建売住宅や分譲住宅の中でも、土地を先行して購入するタイプではつなぎ融資が必要になる可能性がある点には注意しましょう。
分譲住宅は仲介手数料がかかる可能性がある
分譲住宅を不動産会社の仲介で購入する場合、仲介手数料が発生します。
仲介手数料は、上限が決まっており次の計算で求められます。
上限額(購入額400万円以上の場合)=購入額×3%+6万円+消費税
仮に、3,000万円(消費税100万円)で分譲住宅を購入すると、仲介手数料の上限は1,023,000円となるのです。
注文住宅の場合は、不動産会社を仲介せずにハウスメーカーから家を購入するので仲介手数料は発生しません。
ただし、分譲住宅であっても不動産会社やハウスメーカーが直接売主と言った形態の場合は、仲介ではないので仲介手数料は掛かりません。
仲介手数料が発生する販売形態なのかは、広告などに記載されているので事前にしっかりと確認するようにしましょう。
分譲住宅を購入するのにかかる諸費用一覧
分譲住宅を購入する際には、物件の購入額以外にもさまざまな費用が発生します。
ここでは、諸費用を次の2つの項目に分けて詳しく見てきましょう。
- 物件取得にかかる諸費用
- 住宅ローンにかかる諸費用
物件取得にかかる諸費用
物件取得にかかる諸費用を一覧で確認します。
- 印紙税
- 登録免許税
- 不動産取得税
- 司法書士報酬
- 固定資産税清算金
- 仲介手数料
・印紙税
印紙税とは、課税対象の文章にかかる税金です。
分譲住宅購入の場合は、売買契約書とローンを組む際の「金銭消費貸借契約書」が印紙税の対象となります。
印紙税の税額は、契約書に記載の金額に応じて異なり、不動産取引の場合は1~10万円程となるでしょう。
・登録免許税
登録免許税は不動産登記簿の作成や変更にかかる手数料となる税金です。
分譲住宅では、次の3つの登記が必要になります。
- 所有権移転登記(土地)
- 所有権保存登記(建物)
- 抵当権設定登記(ローンを組む場合)
土地の所有権を売主であるハウスメーカーや建売業者から買主へ変更する所有権移転登記。
新築で建物を建てた場合に、新たに登記簿を作成するための所有権保存登記。
住宅ローンを組む場合、金融機関が抵当権を設定するための抵当権設定登記の3つが必要です。
ただし、建物の所有権がすでにハウスメーカーなどに設定されている場合は、所有権移転登記となります。
登記の目的によって費用は異なり、次の通りです。
- 所有権移転登記:不動産評価額×2%
- 所有権保存登記:不動産評価額×0.4%
- 抵当権設定登記:借入額×0.4%
・不動産取得税
不動産取得税とは、不動産を取得した年にかかる税金です。
取得した不動産の評価額×4%を納税する必要があります。(2024年3月31日までは3%)
不動産取得税は、購入後すぐに納めるわけではありません。
購入してから半年後ほどで自治体から納税通知書が送られてくるので、そのタイミングでの納税となります。
自治体によっては1年後というケースもあるので、資金を使い果たして納税に対応できないとならないように注意しましょう。
・司法書士報酬
不動産登記は自分でもすることは可能ですが、一般的には司法書士に依頼して行います。
依頼する場合、司法書士への報酬も必要です。
依頼する司法書士によって費用は異なりますが、1~10万円ほどが目安となるでしょう。
・固定資産税清算金
不動産を所有すると毎年固定資産税が課せられます。
所在地によっては、都市計画税も必要です。
固定資産税・都市計画税は、毎年1月1日時点の所有者が納税の義務を負います。
年の途中の売買の場合、納税義務者は売主です。
しかし、それでは売主の負担が大きいため、所有期間に応じて売主・買主と按分するのが一般的でしょう。
そのため、土地と建物の固定資産税がすでに必要な場合は、所有期間に応じた清算金を売主に支払うことになります。
・仲介手数料
先述したように、不動産会社の仲介で分譲住宅を購入した場合は、仲介手数料も発生します。
高額な取引になる分譲住宅購入は、仲介手数料が100万円を超えるケースも珍しくありません。
仲介手数料の掛かる販売形態なのかはしっかりと確認するようにしましょう。
住宅ローンにかかる諸費用
分譲住宅を購入する際に、基本的に多くの人は住宅ローンを組んで購入するものです。
住宅ローンを組む際にも、さまざまな手数料が発生する点には注意しましょう。
住宅ローンを組む際にかかる手数料としては、次のようなものがあります。
- 事務手数料
- 保証料
- 保険料
・事務手数料
住宅ローンを組むための金融機関の手数料です。
事務手数料のかかり方には、次の2つがあります。
- 定率型
- 定額型
借入額に対して一定割合でかかる定率型と、借入額に関わらず一定額がかかる定額型。
定率型の目安は2~3%、定額型は5~10万円ほどです。
借入額が大きい場合は、定額型なら事務手数料を抑えられます。
ただし、どちらの方法を採用しているかは金融機関や商品によって異なるので、事前に確認するようにしましょう。
・保証料
保証会社を利用する場合にかかる費用です。
保証会社を利用することで、万が一返済が滞った場合でも、保証会社が一括返済するので金融機関は貸し倒れのリスクを防げます。
しかし、保証会社が返済したとしても、次は保証会社から一括返済の請求が来るため、借りた人はローンの返済を免れるわけではない点には注意しましょう。
保証会社を利用する場合は、保証料を支払うことになります。
保証料のかかり方は、次の2種類です。
- 金利上乗せ型(内枠方式)
- 一括前払い型(外枠方式)
毎月の金利に上乗せする上乗せタイプの場合、金利+0.2%が目安となります。
融資時に一括して支払う一括前払いタイプは、借入額の2%が目安です。
どちらの支払い方法なのかは事前に確認するようにしましょう。
・保険料
住宅ローンを利用する際には、火災保険や団体信用生命保険への加入が求められるのが一般的です。
そのため、各種保険への加入費用も必要になります。
火災保険は、火災だけでなく風水害や盗難も補償されるので、加入が必須でなくても検討することをおすすめします。
火災保険では、地震による火災や津波被害は補償されないため、付帯で地震保険の加入も検討するとよいでしょう。
火災保険は加入する保険会社や補償内容などによって、費用は異なります。
また、基本的に多くの住宅ローンで団体信用生命保険(団信)への加入が必須です。
団信とは、加入者の死亡や高度障害時に、保険金でローン残債を返済する保険のことを言います。
近年の団信は、がん保障や八大疾病保障など保障が手厚いものも多いので、生命保険代わりに検討するのも良いでしょう。
団信は、基本的に一般的な内容の場合は金利の上乗せはありません。
しかし、保障内容によっては金利に上乗せが必要になるので、支払う保険料と民間の保険料などを比較して検討するようにしましょう。
関連記事:住宅ローンの選び方はどうすればいい?5つのポイントをご紹介
分譲住宅を購入するのにかかる諸費用の目安
分譲住宅を購入する際の諸費用の目安は、物件価格の5~10%程と言われています。
例えば、3,000万円の住宅を購入する場合は、150~300万円程必要になるでしょう。
それぞれの費用の目安を、再度一覧で確認しましょう。
項目 | 目安額 |
印紙税 | 1~10万円 |
登録免許税 | 所有権移転登記:不動産評価額×2%所有権保存登記:不動産評価額×0.4%抵当権設定登記:借入額×0.4% |
不動産取得税 | 不動産評価額×4% |
司法書士費用 | 1~10万円 |
固定資産税清算金 | 所有期間に応じる |
仲介手数料 | 購入額×3%+6万円+消費税 |
ローンの事務手数料 | 定率型:借入額×2~3% 定額型:5~10万円 |
保証料 | 上乗型:金利+0.2% 一括前払い型:借入額×2% |
保険料 | 加入する保険に応じる |
たとえば、次の条件で諸費用を計算してみましょう。
・分譲住宅購入額:4,000万円(土地1,000万円・建物3,000万円)
・住宅ローン:3,500万円
・仲介で購入
上記の場合、それぞれの費用は次の通りです。
なお、シンプルに計算するため軽減措置などを考慮せず計算しています。
項目 | 目安額 |
印紙税 | 売買契約書:2万円 金銭貸借契約書:2万円 |
登録免許税 | 所有権移転登記:20万円 所有権保存登記:12万円 抵当権設定登記:14万円 |
不動産取得税 | 160万円 |
司法書士費用 | 5万円 |
固定資産税清算金 | 10万円 |
仲介手数料(簡易計算) | 138万円 |
ローンの事務手数料 | (定率型2%)70万円 |
保証料 | (一括型2%)70万円 |
保険料 | 10万円 |
合計 | 513万円 |
上記の場合、約500万円の諸費用が必要です。
2,500万円の建売り諸費用はどのくらい?
2,500万円で建て売りを購入する際の、諸費用の目安は125万円~250万円程です。
仮に、2,500万円(土地500万円・建物2,000万円)・借入額2,000万円で計算してみると、次のようになります。
項目 | 目安額 |
印紙税 | 売買契約書:2万円 金銭貸借契約書:2万円 |
登録免許税 | 所有権移転登記:10万円 所有権保存登記:8万円 抵当権設定登記:8万円 |
不動産取得税 | 100万円 |
司法書士費用 | 5万円 |
固定資産税清算金 | 10万円 |
仲介手数料 | 89万円 |
ローンの事務手数料 | (定率型2%)40万円 |
保証料 | (一括型2%)40万円 |
保険料 | 5万円 |
合計 | 319万円 |
諸費用によっては、ローンに組み入れられずに現金で必要になるものも多くあります。
諸費用についてもシミュレーションしたうえで、資金計画を立てるようにしましょう。
諸費用を安く抑える方法
高額になる諸費用は、少しでも抑えたいものです。
印紙税や登録免許税・不動産取得税と言った税金に関しては、期間などによっては軽減措置を適用できるものの、基本的に自分の努力で費用を抑えられるのものではありません。
しかし、それ以外の費用については抑えられる可能性はあります。
ここでは、諸費用を抑える方法として、次の3つを紹介します。
- 売主から直接物件を購入する
- 住宅ローン手数料や保証料の安い住宅ローンを利用する
- 火災保険の内容を精査する
それぞれ詳しくみていきましょう。
売主から直接物件を購入する
売主から物件を直接購入すれば、仲介手数料は掛かりません。
仲介手数料は、100万円を超えることもあり諸費用の中でも大きな割合を占める費用です。
仲介手数料を抑えられると、諸費用全体を大きく抑えられるでしょう。
仲介手数料は、不動産会社での仲介の場合のみ発生します。
不動産会社やハウスメーカーが直接の売主の物件を選べば、仲介手数料が発生しないのでそのような物件を探すのがおすすめです。
仮に、仲介手数料が発生する販売形態であっても、交渉する余地はあります。
仲介手数料は上限が決まっていますが、上限内であれば不動産会社はいくらで設定しても構いません。
交渉して仲介手数料を値引きしてもらうことを検討してみるのも良いでしょう。
ただし、仲介手数料は不動産会社の成功報酬でもあります。
過度な値引きを要求すると関係性が悪化する可能性もあるので、マナーを守って値引き交渉することをおすすめします。
また、不動産会社によっては仲介手数料半額や無料という会社もあります。
もともと安く設定している会社であれば値引き交渉する必要がないので、検討してみるのも良いでしょう。
住宅ローン手数料や保証料の安い住宅ローンを利用する
住宅ローンに関する事務手数料は、金融機関によって設定が異なります。
保証料も保証会社を付けないことで保証料0円を謳っている住宅ローンも多くあります。
手数料や保証料が安い金融機関を選ぶことで、諸費用を抑えられるでしょう。
事務手数料や保証料だけでなく、返済に関する手数料もチェックすることをおすすめします。
将来、一括返済や小まめな繰り上げ返済・借り換えを検討している場合、手数料が多く掛かると返済の負担になります。
借りるための費用だけでなく返済するための費用や方法についても、チェックしておくと将来の負担を軽減しやすくなるでしょう。
ただし、手数料が安く金利が高いといった場合では、諸費用を抑えられてもトータルの負担額は大きくなるものです。
金融機関を選ぶ際には、手数料だけでなく金利や団信の内容など、総合的に判断するようにしましょう。
火災保険の内容を精査する
火災保険料は、保険会社や補償内容によって保険料が異なります。
補償内容を精査し、余計な補償を外すことで保険料を抑えられるでしょう。
また、1年払いよりも長期一括払いの方が割引は効くので、一括払いを検討するのもおすすめです。
しかし、保険料を抑えようと必要な補償まで外すのはおすすめできません。
地震保険も火災保険の付帯でなければ加入できないので、エリアによっては保険料がかかっても検討することをおすすめします。
ハザードマップなどでエリアの危険性などをしっかり確認し、必要な補償は受けられるように設定することが大切です。
分譲住宅の諸費用に関するよくある質問
最後に、分譲住宅の諸費用に関するよくある質問についてみていきましょう。
分譲住宅の諸費用はローンに組み込むことはできる?
諸費用を住宅ローンに組み込めるかは、契約する住宅ローンによって異なります。
住宅ローンはそれぞれ借入条件が定められており、融資の使用目的も細かく決められています。
住宅購入にしか充てられないものもあれば、諸費用や引越し費用までカバーできるものもあります。
諸費用を組み込むことを検討している場合は、借入条件をしっかりチェックすることが大切です。
また、諸費用を組み込めず自己資金での対応が難しい場合、諸費用専用のローンを検討するという方法もあります。
ただし、諸費用専用のローンを提供している金融機関は多くなく、住宅ローンよりも金利が高い点には注意しましょう。
まとめ
分譲住宅・建売住宅の諸費用について解説しました。
分譲住宅は注文住宅と比べて諸費用を抑えやすいといった特徴があります。しかし、不動産会社の仲介が入る場合には仲介手数料を支払う必要があるケースもあるため、注意が必要です。
分譲住宅の購入を考えている方は、ハイグレードな分譲住宅を取り扱っているタクトホームに是非ご相談ください。