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勾配天井とはどんな天井? 勾配天井で後悔しないためのポイントを紹介

「勾配天井」とは傾斜がついた天井のことを言いますが、開放感があっておしゃれな雰囲気だと好む人も多くなっています。ただ、勾配天井のデメリットも知っておかないと、住み始めてから後悔することになります。本記事では、勾配天井を採用する際に注意すべきポイントなどを紹介します。

勾配天井とは? 知っておきたいメリットとデメリット

おしゃれで人気の勾配天井ですが、もちろんメリットとデメリットもあります。勾配天井のある家を造るなら、メリットとデメリットを押さえておきましょう。

勾配天井とは、斜めになっている天井のこと

勾配天井とは、屋根の勾配に合わせて斜めになった天井のことで、「傾斜天井」と呼ばれることもあります

一般的な天井は「平天井」といい、天井板を張ることで水平になっています。天井板と屋根の間は空間があり、天井裏や屋根裏と呼ばれます。

勾配天井の場合、屋根の傾斜に合わせて天井板を張るので、天井裏に当たるスペースはありません。場合によっては天井板を張らず、屋根を支える棟木や垂木がむき出しなっていることもあります。

勾配天井の形は、屋根の構造によって変わります。一方向に傾斜した片流れの屋根なら、勾配天井も一方向に傾斜する形になります。中央の棟木から両方向に傾斜のついた三角の屋根なら、勾配天井も二方向に傾斜した形になります。

家の一部、あるいは部屋の一部だけを勾配天井にして、そのほかは水平に天井板を張るといったこともできます。

勾配天井はよく「吹き抜け」と勘違いされがちですが、吹き抜けとはまったく違います。

吹き抜けとは、上階の床を張らないことで造られた、複数階にまたがる空間をいいます。

対して勾配天井は、屋根のすぐ下の階の天井板を張らないか、屋根に沿って張ることで造られるものなので、複数階にまたがっているわけではありません。そのため吹き抜けほどは天井が高くないことが一般的です。

ただ、吹き抜けの天井をさらに勾配天井にするケースもあります。吹き抜け勾配天井を組み合わせれば、10メートル近い高さの空間を作ることもできます。

勾配天井のメリット

勾配天井にすると、平天井よりも天井の位置が高くなります。そのため開放感があり、部屋が広く感じられることでしょう。天井裏がないので、家全体の通気がよくなるという効果もあります。

天井の高い空間を作るには、吹き抜けにするという方法もあります。ただ吹き抜けの場合、上階の床面積が少なくなってしまうデメリットがあります。

その点、勾配天井なら床面積を減らさず、天井の高い開放的な空間を造れます。一般的にはあまり使われない天井裏の空間を、部屋に組み込んだと考えると分かりやすいかもしれません。

平天井よりも壁の面積が増えるので、窓を大きくとることや、より高い位置に窓を設けることもできます。窓の位置を高くすると、隣家など周囲からの視線も気になりません。

広い壁を活かしてインテリアに凝ってみるのもいいでしょう。梁を見せるデザインにして、おしゃれな間取りを実現してみるのもおすすめです。

勾配天井のデメリット

勾配天井のデメリットは、屋根からの熱が伝わりやすいことです。平天井なら屋根と部屋の間に屋根裏という空間があるため、屋根からの熱が伝わりにくくなりますが、勾配天井ではそうはいきません。

また勾配天井は、水平天井よりも部屋の空間が広い分、空調も効きにくくなります。季節を問わず快適に過ごそうと思うと、光熱費が高くなることは覚悟しておかなければなりません

そのほかのデメリットとしては、天井が高いことで生じるメンテナンスの手間と費用です。

勾配天井は平天井よりも天井が高いため、平天井だった場合と同等の照明器具では、夜間に部屋が暗く感じることがあります。また天井に直接取り付けるシーリングライトは、傾斜に合わせて照明も斜めになってしまうものも多く、取り付けられる型が限られてしまいます。

電灯が切れた際も、天井が高ければ交換の手間がかかります。場合によっては自分の手で交換するのが難しく、業者に依頼しなければならないこともあるでしょう。

天井が高ければ掃除も大変になります。勾配天井の隅々まで掃除しようとすると、踏み台程度では足りず脚立が必要になることもあり、脚立を踏み外してしまうとケガをする可能性があります。

窓を高い位置につけると、窓の掃除もしにくくなります。高い窓の場合、カーテンの開け閉めが困難になることもあります。かといって電動カーテンにすると、設置の費用もかかりますし、故障した際の修理代なども見込んでおかなければなりません。

さらに壁紙の張り替えなどリフォームを行う際には、壁の面積が広い分、リフォーム費用も高くなります。天井の高さによってはリフォーム時に足場を組まなければならないこともあります。あまり天井を高くすると、リフォーム費用が上がるだけでなく、リフォーム工事の日数もかかってしまう点に注意しましょう。

勾配天井にするなら、注意しておきたいポイント

メリットだけでなくデメリットも多い勾配天井ですが、施工時に気を配ることでデメリットを減らせます。勾配天井のデメリット対策として、気をつけておきたいポイントをご紹介します。

照明の位置や明るさを考える

勾配天井は高さがあるため、平天井と同じタイプの照明では部屋が暗くなってしまうことがあります。勾配天井の場合、どんな照明をどこにつけるのかが重要になります

天井に直接取り付けるタイプのシーリングライトは、勾配天井に対応したものを選びましょう。部屋の床面積に対して1.2~1.5倍の広さに対応した照明なら、夜間でも明るく過ごせます。

取り付け位置も、踏み台や脚立に乗って届く高さにしておけば、電灯の交換も自分でできます。蛍光灯や白熱灯よりも寿命の長いLEDライトにすれば、交換の頻度も減らせるでしょう。

1ヵ所の照明で部屋全体を明るくするより、ダウンライトと間接照明など複数の照明を組み合わせることで、おしゃれな雰囲気を演出する方法もあります。照明によるコントラストで、昼間とはまた違った空間が楽しめます。

ゆったりとくつろぐなら多少暗くても問題ありませんが、書き物や裁縫といった細かい作業をするなら、手元が明るくないと不都合です。細かい作業をする場所が決まっているなら、ダウンライトやスポットライトで、そのスペースだけ明るくすることもできます。

そういった判断をするためには、その部屋でどのように過ごすのか日常生活のイメージが固まっていなければなりません。照明の取り付け位置やタイプを決める際には、具体的な生活プランを前提に考えましょう。

冷暖房効率を考える

勾配天井の家は屋根からの熱が伝わりやすいですが、特に棟木や垂木が剥き出しになっているタイプの勾配天井は、屋根の下に断熱材を仕込むことができないので、屋根の熱がダイレクトに部屋に伝わってしまいます。

天井板を貼るとしても、屋根との間に入れられる断熱材は厚みが限られてしまいます。かといって空調を強力なものにすれば、光熱費がかさんでしまいます。

勾配天井を採用するなら、少しでも冷暖房効率を高められるよう、壁や窓といった天井以外で外気に触れる部分の断熱性能を上げておきたいものです。また、屋根の断熱材も吹付けウレタンなど断熱効果の高いものを選びましょう。

もちろんその分、建築費が高くついてしまいますが、住みやすさを考えれば決して高い買い物ではありません。ハウスメーカーとよく相談して、より効果の高い断熱材を入れることをおすすめします。

また勾配天井の部屋は空間が広いので、屋根からの熱をカットしても冷暖房効率が悪くなりがちです。特に冬場は暖かい空気が上に昇るので、いくら暖房を入れても部屋が暖まらないといったこともあります。

勾配天井にするなら、シーリングファンを取り付けるのもいいでしょう。シーリングファンには、部屋の空気をかき混ぜて室内の気温を平均化する効果があります。

シーリングファンそのものは、エアコンほど電気代がかかりません。エアコンの効率を高めてくれるので、一緒に使ったとしても電気代の節約になります。

シーリングファンを取り付ける際には、できるだけ掃除をしやすい位置にしましょう。ただし、シーリングファンには、巻き込みを避けるといった目的で、床から取り付け位置までの高さや壁からの距離が定められています。

どこに取り付けたら効果が高いのか、基準を満たしているかなど、ハウスメーカーとよく相談して設置しましょう。中には照明と一体化したタイプもあるので、照明と合わせて考えてみるのもいいでしょう。

メンテナンスのしやすさを考える

勾配天井は天井までの距離が長くなるため、メンテナンスに手間がかかります。かといってメンテナンスを怠ってしまうと、せっかく勾配天井で演出したおしゃれな空間が台無しになってしまいます。

勾配天井のメンテナンスとしては、まず掃除が考えられます。天井面だけではなく、梁を剥き出しにしたデザインなら、梁の上に溜まるほこりの掃除も考えなければいけません。

ホームセンターに行けば、高所清掃用の柄の長いモップなどがあります。勾配天井を造るなら、一番高いところでも清掃用具が届く高さにしておくといいでしょう

照明は、電灯交換の頻度を低くできるLED照明がおすすめです。脚立に乗れば届く高さでも、電灯交換は面倒だと感じるでしょう。蛍光灯や白熱灯よりも高価なLED照明ですが、電気代や交換頻度を考えるとコストパフォーマンスに優れているといえます。

広い壁を活かして高い位置に窓を設置する場合も、掃除の手間を考えたいものです。開閉できない窓だと、外側が汚れた時の掃除が難しくなってしまいます。またカーテンなどの目隠しが必要なら、開閉がしやすいブラインドや電動カーテンを採用してみてはいかがでしょうか

勾配天井のイメージを固めておく

人間の心理として、天井が高いと開放的な雰囲気を感じ、天井が低いと落ち着きを感じる傾向があります。そのため、天井の高い勾配天井だと落ち着いてくつろげないという意見もあります。

勾配天井の家を造ってしまってから「落ち着けない」と感じても、そう簡単にリフォームをするわけにはいきません。勾配天井を造って後悔しないためにも、施工前にイメージを固めておきましょう。

ただ頭の中で想像するのではなく、モデルハウスや住宅展示場で勾配天井の家を見学しておきましょう。ハウスメーカーに相談すれば、以前に施工したお客様の家を見学させてもらえることもあります。

同じ勾配天井の家でも、インテリアや照明によって雰囲気はかなり違ってくることでしょう。広い空間が落ち着かないということであれば、あえて照明を暗くして開放感を感じなくさせることも可能です。

その家に住む家族全員がそれぞれにイメージを固めることで、住み始めてからの違和感を少なくできることでしょう。せっかくの注文住宅ですから、納得して住める家にしたいものです。

勾配天井におすすめの照明

勾配天井では、つけられる照明の種類が限られる場合があります。ではどんな照明がいいのか、勾配天井におすすめの照明をご紹介します。

ペンダントライト

勾配天井は高さがあるので、照明を取り付ける位置やタイプによっては床面まで光が届きづらいことがあります。しかし、天井から吊り下げるペンダントライトなら、光が十分に届く位置に設置することができます。

ペンダントライトには様々なデザインがあり、部屋の雰囲気に合わせて選べるのも嬉しいところです。大きめのペンダントライトを部屋のアクセントにするのもいいですし、小さいペンダントライトを複数設置する方法もあります。

脚立で届く位置に吊り下げれば、電灯の交換も楽にできることでしょう。調光機能がついたもののほか、中白色と電球色の切り替えができるものもあるので、様々なタイプを検討してみてください。

ダウンライト

ダウンライトとは、天井に埋め込むタイプの照明をいいます。多くはスポットライトのように、限られた範囲だけを集中的に明るくするものです。

複数のダウンライトを配置すれば、部屋全体を明るくすることもできますが、テーブルの上、デスク周りなどを明るくするため、補助的に用いるのがいいでしょう。

ダウンライトは天井に埋め込んで設置するため、天井面がフラットになるという特徴があります。シーリングライトのように天井から張り出すことがないので、掃除がしやすいというメリットにもつながります。

反面、電球を交換するには、脚立などを使って天井まで手を届かせないといけません。また、天井板を張らず棟木や垂木が剥き出しになっているタイプの勾配天井では、ダウンライトの設置はできません。

プラケットライト

ブラケットライトとは、壁に取り付けるタイプの照明をいいます。部屋全体を明るくするのではなく、間接照明のように柔らかな光で照らすものがほとんどと考えていいでしょう。

ブラケットライトの特徴としては、壁に取り付けるため影ができやすいことです。光と影のコントラストを楽しんだり、陰影で奥行きを感じさせたりと、おしゃれな演出がしやすいです。

一口にブラケットライトにも、様々なデザインがあります。部屋の雰囲気に合わせて選んでみるのも楽しいのではないでしょうか。

デザインによっては、壁を飾るインテリアにもなります。勾配天井の部屋は壁面も広いため、ブラケットライトをアクセントにするのもいいでしょう。

タイプの違う照明を組み合わせる

勾配天井につける照明を考える際、できれば夜間でも十分な光量を確保したいと思う人も多いことでしょう。しかし、部屋の隅々まで明るくすると、眩しすぎて落ち着かない部屋になってしまいます。

ペンダントライト、ダウンライト、ブラケットライト、さらにフロアライトやテーブルライトを組み合わせることで、明るくも暗くもできる部屋にしてみてはいかがでしょうか。

さらに、調光機能がついたペンダントライトやダウンライトにすれば、光あふれる食卓や雰囲気のある空間など自由に演出できます。

まとめ

開放的で明るくおしゃれな雰囲気が人気の勾配天井ですが、実際に設置してみるとメンテナンスが大変といったデメリットを感じることもあります。住み始めてから後悔しないためにも、デメリットもきちんと把握した上で施工したいものです。

豊富な施工実績をもつタクトホームは、勾配天井の家も多数手がけています。その経験を活かして、勾配天井に適した照明や設備のご提案もできます。

勾配天井の注文住宅をお考えなら、ぜひタクトホームにご相談ください。一緒に理想のお家を造っていきましょう。

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