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家を建てるのにぴったりの時期は? 着工から竣工までのスケジュールを考える

一般的に、家の建築には半年程度の時間がかかります。そのため、事前にさまざまな視点から、家を建てる時期やスケジュールを検討しておいたほうがいいでしょう。いつごろ家を建てるのがベストなのか、建築面やライフスタイルなど、考えておくべきポイントを整理してご紹介します。

家を建てる時期を決めるための3つのポイント

家を建てるとして、いつごろがベストな時期なのか迷ったら、まずは次の3つのポイントから検討してみましょう。

  • いつまでに入居したいか
  • 工事に適した時期か
  • 固定資産税がいつからかかるか

では、それぞれのポイントについて詳しく解説していきます。

入居したい時期から考える

どんなハウスメーカーに依頼するかにもよりますが、家の着工から竣工までには4~6ヵ月かかります。工事期間を長くすることは可能ですが、短くはならないと考えてください。

工事に約半年かかるとすると、新居での生活を4月に始めたいなら、前年の10月には着工しなければならないことが分かります。さらに、引っ越しの片付けにかかる期間も考慮するなら、前年の9月には着工したいところです。

注文住宅の場合、着工前に3~6ヵ月の打ち合わせ期間が必要な場合もあります。さらに家を建てる土地が決まっていないなら、土地探しの期間も考えておかなければなりません。

入居したい時期が決まっているなら、1年以上前から動き出さないと間に合わなくなるかもしれません。できる限り余裕を持ってスケジューリングするのがいいでしょう。

工事が進めやすい時期から考える

家を建てる際には、まず基礎工事から行います。基礎工事とは文字通り、建物を支えるための基礎を造る工事です。基礎工事がしっかりできていないと、地震の揺れに弱い家になったり、住んでいるうちに建物の一部が沈んでしまったりといったトラブルに繋がります。

実は基礎工事は、真夏や真冬に行うのは避けたほうがいいといわれています。基礎工事の多くはコンクリートが使われますが、真夏は高温によるひび割れ、真冬は低温による凍結が起こりやすいのです。コンクリートがひび割れたり凍ったりすると、十分な強度が得られません。

また、ハウスメーカーにも繁忙期と閑散期があります。一般的に春先は住宅の購入を検討する人が増えるので、ハウスメーカーによっては工事に必要なスタッフを十分に確保できないことも。すると工事に遅れが出て、入居したい時期に間に合わないといったことも起こります。

そういった事態を防ぐには、まずは余裕を持ってハウスメーカーに相談することが重要です。工事期間が繁忙期にあたっていても、先に工事スタッフをキープしてもらうといった対策が取れます。

固定資産税などの費用面から考える

土地や建物などの不動産には、固定資産税がかかってきます。どのくらいの固定資産税がかかるかによって、家を建てる時期を考えるのもいいでしょう。そのためにはまず、固定資産税にまつわるルールを知っておかなければなりません。

まず大前提として、固定資産税は1月1日時点での状態で発生※します。例えば、12月31日に建物が完成すると翌日1月1日から課税されますが、1月2日に完成した建物ならその年の固定資産税がかからず、その翌年の1月1日から課税されるのです。節税のためには、竣工を1月2日以降にしたほうがお得といえるでしょう。

※地域により異なります。

また固定資産税以外にも、国や自治体の補助金制度が利用できる場合があります。そういった公的支援は、期間限定だったり、利用できる条件が細かく設定されていたりするので、どんな制度があるのか細かく調べておくことをお勧めします。

関連記事:【2022年版】最大250万円?長期優良住宅の補助金・税制優遇とは?

ライフプランから見た家を建てるべき時期

人生には、結婚や妊娠・出産、子供の幼稚園入園や進学などで、それまでの日常生活が一変することがあります。そういったライフステージの変化に合わせて、家を建てる時期を決めるのもいいでしょう。どんな可能性が考えられるのか、いくつかの例を見てみましょう。

子供の学校のことを考える

新居を建てる場所によっては、子供の転園や転校が必要になることもあります。学期途中に転校するよりも、進級に合わせて転校したほうが、子供も学校に馴染みやすいことでしょう。

学校の春休み中に転校するなら、2月末には新居の竣工を迎えられるようなスケジュールにしたいものです。逆算すると、前年の10月には着工する必要があります。

夏休み中に転校をして9月から新しい学校に通うというなら、8月には竣工していなければなりません。そう考えると、3月には着工したいものです。

新居の場所がそう遠くなければ、学校側に事情を話して元の学校に通い続ける、あるいは引っ越し前から新しい学校に通うといった対応もできるかもしれません。いずれにせよ、できる限り子供に負担をかけないようにしたいものです。

家族の健康面での配慮も必要

妊娠や出産を機に新居を考えた場合、引っ越しのタイミングには注意しなければなりません。妊娠中に重い荷物を運ぶのは、妊婦の体に大きな負担がかかります。また妊娠中は匂いや化学物質に敏感になることも多いので、建築中や竣工直後の家に漂う塗料や接着剤の匂いが苦痛に感じることも。

出産直後の引っ越しも、あまりお勧めできません。出産で体がボロボロになっている上に、赤ちゃんのお世話で夜も満足に寝られない状態が続きます。そんな時期に引っ越しで大きく環境を変えると、産後鬱などのトラブルに繋がることもあります。

さらに子供を保育園に預けたい場合は、申し込み時期なども考えなければいけません。認可保育園の入園・転園は自治体に申し込みをしますが、引っ越して住民票を移してからでないと、希望の園に入れないことも。特に年度の途中では定員になかなか空きが出ないので、「子供を保育園に預けて仕事に復帰」といったライフプランを考え直さなければいけない事態も起こります。

子供の健やかな成長や、家族の精神的な安定を考えるなら、事前に新居周辺の保育園状況はどうなのか、ファミリーサポートなどは利用できるかといったことまで考慮して、家を建てる時期を決めたいものです。

建築工事のしやすさで見た家を建てるべき時期

家を建築するにも、工事のしやすい時期としにくい時期があるといいました。では実際に家を建てるとして、どんなスケジュールがベストなのか、お勧めのプランを2つご紹介します。

建築工事で気をつけるべきこと

真夏や真冬の基礎工事は避けたほうが賢明でしょう。夏場に基礎工事のコンクリート打ちをすると、クラックと呼ばれる高温によるひび割れが起こることがあります。また、冬場の基礎工事では、コンクリートが凍結して強度が下がってしまう可能性があります

ほかにも建築現場に大きな影響を与えるのが、梅雨や台風です。戸建住宅の多くは木造のため、雨や湿気が木材に与える影響は無視できません。

もちろん、柱や梁が雨で濡れてしまっても、また乾燥させれば元の状態に戻ります。ただ、雨だとできない工事もあるので、雨が続くと竣工が遅れてしまうことも。またごく稀にですが、強度が下がってしまったり、シミができてしまったりする可能性もあります。

そういった気候条件も考えた上で、お勧めのプランを2つご紹介します。

おすすめプラン1:春着工、8~10月竣工

春に着工して、夏から秋にかけて竣工というプランなら、基礎工事でコンクリートのひび割れや凍害が起こることはないでしょう。気になるのは、梅雨入りまでに上棟できるかです。

上棟とは、柱や梁など家の骨組みが完成して、屋根を支える棟木が取り付けられることをいいます。多くの地域では、ここまでの工事が無事に終わったことへの感謝と、トラブルなく完成に漕ぎ着けられるよう祈願を込めて、上棟式を行う風習があります。

上棟した家は、柱や梁の木材がむき出しの状態になっているので、できれば風雨にさらされるのは避けたいところ。雨対策のしっかりしたハウスメーカーを選ぶといった工夫が必要です。

おすすめプラン2:秋着工、2~3月竣工

基礎工事のコンクリート打ちを考えるなら、秋に着工して、冬から春にかけて竣工というプランもお勧めです。年明けすぐの竣工になるので、固定資産税がかからないという利点もあります。ただひとつ気をつけたいのは、遅めの台風の襲来です。

台風が来ている最中は、さすがに工事はできません。9月に着工して、竣工までの期間を長めにとっておくか、台風の心配のなくなった10月に着工するか、ハウスメーカーとよく相談して決めましょう。

豪雪地域でも、雪が積もるまでに上棟できれば、特に問題なく家が建てられます。ただしハウスメーカーによっては、除雪作業の追加料金を請求されることもあるので、あらかじめよく打ち合わせしておく必要があります。

費用面から見た家を建てるべき時期

家の建築費用は、決して安いものではありません。ですから不必要な出費は、できる限り避けたいもの。家を建てる時期によっては、公的支援の利用ができることがあります。

固定資産税の課税の仕組みを知っておく

固定資産税は、土地と建物で別々に計算します。ただし建物に対しては、工事中は固定資産税がかからず、完成した時から課税されることになっています。さらに固定資産税は、その年の1月1日時点※で不動産を所有している人に対して課税されます

※地域により異なります。

ならば「土地だけ先に買って、家の完成はできるだけ先に引き延ばしたほうが、固定資産税が安く上がる」と思うかもしれません。しかし、そうとも言い切れないのです。

固定資産税にはさまざまな軽減措置があります。個人が家を建てて住む住宅用地では、敷地面積が200平方メートル以下なら課税標準額の1/6に、200平方メートルより広い場合は課税標準額の1/3に減税されます。

また2024年3月31日までの期間限定措置として、120平方メートル以下の建物にかかる固定資産税が1/2になります。これは2024年3月31日までに完成した新築住宅に対しての措置で、減税となる期間も3年間に限られています。

土地にかかる固定資産税が高い場合は、更地のまま持っているよりも、早く家を建ててしまったほうが節税できるケースがあります。家を建てる時期を決めるなら、固定資産税についても考えに入れておきましょう。

関連記事:持ち家にかかる固定資産税・都市計画税はいくら?計算方法を確認しておこう

さまざまな補助金制度が利用できることも

家を建築する際には、国や自治体の優遇制度や給付金制度を利用できることがあります。固定資産税の軽減措置もそのひとつですが、ほかにも様々な助成制度があります。

国の制度としては「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)支援事業」「LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅整備推進事業」など、省エネ住宅に対する補助金があります

省エネ住宅への補助金以外にも自治体によっては、18歳以下の子供がいる家庭への住宅建築費補助、地産木材を使った新築住宅建築の補助といった制度もあります。国の制度と並行して利用できるものも多いので、調べてみる価値はあるでしょう。

気をつけておきたいのは、期間限定の制度が多いこと。また予算が決められているため、補助金が受け取れるかどうか先着順で決まることもあります。利用したい制度があるなら、早めに申し込んだほうがいいでしょう。

いずれの制度も細かい利用条件が定められているため、どんな補助金が受けられるかハウスメーカーに相談してみましょう。

関連記事:省エネ住宅とは?メリット・デメリットや各種補助金・優遇制度など解説

賃貸契約の更新に合わせて時期を選ぶ

今は賃貸住宅に住んでいるという場合には、賃貸契約の更新時期に合わせて家を建てるのもひとつの方法です。賃貸住宅によっては、契約の更新時に家賃数ヵ月分の更新料が必要になることもあるからです。

新居の完成が賃貸契約の更新時期を過ぎてしまうと、今の家に住み続けるには更新料を払わなければなりません。また賃貸契約を終了する場合には、退去の1ヵ月以上前に告知しなければならないことがほとんどです。退去の連絡が遅れると、家賃を1ヵ月分多く払うことにもなりかねません。

そういった事態を避けるためには、工事期間に余裕を持たせたスケジュールを組むことです。時には天候などの影響で、工事が遅れることもあり得ます。それを見越して、ハウスメーカーとよく相談してスケジューリングしましょう。

まとめ

家を建てる時期を決めるには、様々な角度からの検討が必要です。工事に適した季節といった短期的な視点、ライフステージによる生活の変化など長期的な視点、さらに公的助成制度などの金銭的な視点の3つが大切だといえるでしょう。

タクトホームではこれまでに、多くのご家族に合わせた新たな生活の場を提供してきました。どんな細かい事情であっても、どうか遠慮なくご相談ください。それが理想の家を造る早道だと考えています。

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