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平屋の住宅にするメリット・デメリットは? メリットを活かすためのポイントも紹介

近年、バリアフリーやユニバーサルデザインが普及してきたことから、「家を建てるなら平屋にしたい」と希望する人が増えてきています。

平屋の魅力はバリアフリーだけにとどまりません。他にどのようなメリットがあるのか、平屋を建てる前に知っておきたいデメリットや注意点も併せてご紹介します。

そもそも平屋とは?

平屋のメリット・デメリットを紹介する前に、まずは平屋とはどのような家をいうのか、改めてご説明します。

平屋とは、1階部分のみで造られた建物をいいます。一般的な平屋の場合、キッチン、リビング、寝室、トイレ、浴室、洗面所など、すべての設備や居室がワンフロアに収まっていて、階段のない住まいとなっています。

不動産広告では、「1階建て」と表記されることもあります。また建築基準法や不動産登記では、「平家建」と表記します。

ただし、中には階段のある平屋も存在します。平屋であっても、屋根裏の空間を利用した小屋裏収納や、ロフトスペースを造ることはできるからです。

以前は、ロフトや小屋裏収納への昇降には、取り外し可能なはしご段しか認められていませんでした。今でも一部の自治体ではその規定が設けられていますが、多くの自治体では固定階段も認められるようになりました。そのため、階段のある平屋も登場してきています。

ただしロフトスペースや小屋裏収納には、建築基準法で定められた条件があります。ロフトスペースや小屋裏収納の天井高が1.4m以下であること、広さが1階部分の床面積の2分の1以下であることの2点です。天井が斜めになっている場合は、平均天井高で計算します。

天井高が1.4mを超えたり、床面積が1階部分の半分を超えたりすると、法律上ではロフトスペースや小屋裏収納ではなく、2階と見なされてしまいます。

ロフトスペースや小屋裏収納であれば床面積には算入されませんが、2階と見なされると床面積に加えられてしまいます。その結果、固定資産税も高くなる可能性がありますので、注意してください。

平屋の住宅にするメリット

平屋には、さまざまなメリットがあります。平屋の住宅を建てると、どのようなメリットがあるのか、一つひとつ見ていきましょう。

バリアフリー構造にしやすい

多くの平屋は階段がなく、家の中での上下移動がありません。そのため子どもが階段から落下するといった転落事故のリスクがなく、安全な家だといえます。

家は長年住み続ける場所ですから、将来的なライフプランも視野に入れて建築したいものです。その点、平屋は階段の上り下りがないため、高齢になっても暮らしやすい家なのです

すべての部屋や設備がワンフロアにまとまっているため、バリアフリーにしやすい家ともいえます。平屋なら、敷居の段差をなくす、玄関にスロープを付けるといった簡単なリフォームで、バリアフリーが実現できます。

バリアフリーの家なら、ロボット掃除機で家中どこでも掃除ができるというメリットもあります。小さな子どもから高齢者まで、誰にとっても暮らしやすい家になることでしょう。

効率的な動線が作りやすい

家事を行う場合、料理をしながら洗濯をするといった、2つ以上の作業を同時並行ですることも少なくありません。家事動線が短くないと、作業に時間がかかってしまいますが、平屋は、すべての居室や住宅設備をワンフロアに配置するので、効率的な動線が作りやすくなります

例えば2階建ての場合、洗い終わった洗濯物を持って2階のバルコニーに干しに行くことがあるでしょう。水気を含んだ大量の洗濯物は重く、階段を上る際に足下も見にくいため、足を滑らせてケガをするリスクが高まります。平屋ならどこに行くにも平行移動なので、ケガのリスクが抑えられるのです。

また、2階建てだとワンフロアの面積が狭いため、ダイニング、キッチン、洗濯室、洗面所、風呂場など、よく行き来するスペースをまとめて配置できないことがあります。平屋なら、水回りを1カ所にまとめるといった間取りが造りやすく、効率的な家事動線を実現できるでしょう。

さらに、家事以外でも効率的な動線作りが可能です。外から帰宅して荷物を置き、手洗いうがいをして、着替えてからリビングへ行くといった場合、帰宅動線に沿って収納を造ることで、効率よく行動できます。

メンテナンス費用を抑えられる

建築後のランニングコストの中でも多額の費用がかかるものに、家のメンテナンスがあります。特に外壁や屋根は、常に紫外線や風雨にさらされているため、経年劣化しやすい場所といえるでしょう。

2階建ての場合、屋根や外壁のメンテナンスを行う際には、家の周囲に大がかりな足場を組まなければなりません。しかし平屋なら、足場を造らなくてもメンテナンスができます。

また同じ延床面積の家なら、2階建てより平屋のほうが外壁の面積が狭い傾向があります。外壁の塗り直しなどの際には、面積の狭い平屋のほうが費用が抑えられるでしょう

掃除や窓拭きといった日常生活の中で行うメンテナンスも、2階部分の作業は高さがあるため手間がかかりますし、落下事故の危険性もあります。しかし平屋なら、万が一窓から落下しても大きなケガにつながることは少ないでしょう。

家族のコミュニケーションをとりやすい

平屋はすべての部屋がワンフロアにまとまっているため、家族の気配を感じやすいです。子どもが自室にこもっていても、気配を感じることで安心できるでしょう。

リビングダイニングを中心に、家族それぞれの部屋を配置するといった間取りにすれば、顔を合わせる機会も多くなります。階層の分かれていない平屋は、家族間のコミュニケーションがとりやすい家といえます

地震や台風に強い

2階建て、3階建てのように高さがある家よりも、平屋のほうが建物の重心は低くなります。上から加重がかかることもないため、平屋は安定した構造になっているといえます。

地震が起こった際にも、2階建てや3階建ての家より揺れにくく、建物への被害も少ないです。万が一家がゆがんでドアが開かなくなったりしても、窓などの開口部がすべて1階にあるため逃げやすいというメリットもあります。

また高さが低い平屋は、耐風圧性も高くなっています。台風などで強風にさらされても、家が被害を受けるリスクは低いでしょう。台風の直撃が多い地域では、災害対策として平屋を選ぶケースも多くなっています。

平屋で考えられるデメリット

同じ一戸建てでも、平屋には2階建て住宅では見られないデメリットがあります。平屋の建築を考えるなら、デメリットもしっかり把握しておきましょう。

建築に広い面積の土地が必要

平屋は、すべての居室や住宅設備がワンフロアに配置されています。そのため同じ延床面積の家を建てる場合、平屋は2階建て住宅よりも、広い敷地が必要になります

すべての土地には、建築基準法によって建ぺい率が定められています。建ぺい率とは、敷地面積に対してどのくらいの面積の建物が建てられるかの割合を示す数値です。

例えば敷地面積が60坪で建ぺい率が40%なら、建物が建築できる面積は24坪となり、平屋では延床面積が24坪の家しか建てられません。しかし2階建てなら、もっと延床面積が広い家が建てられるでしょう。

建ぺい率はエリアによって異なりますが、40~60%程度のエリアが多くなっています。敷地面積が同じでも、建ぺい率が高いエリアなら、より広い平屋が建てられます。

平屋を建てるための土地を探すなら、敷地面積だけではなく建ぺい率にも注目する必要があります。建ぺい率が低いエリアだと、思ったような広さの平屋が建てられないことがあるので注意しましょう。

建築費用が高くなりやすい

平屋と2階建ての住宅の建築費用を比べると、平屋のほうが坪単価が高くなる傾向があります

住宅の建築コストの中でも大きな割合を占めるのが、建物の基礎工事と屋根の工事です。同じ延床面積の平屋と2階建てでは、平屋のほうが建築面積や屋根の面積が広くなるため、その分だけコストがかかってしまうのです。

ただし、平屋住宅と2階建て住宅の建築費用は、単純に坪単価で比較できるものではありません。

2階建て住宅の建築では、高さがあるため平屋よりも大がかりな足場を組む必要があります。また、平屋には必要ない階段を設置しなければならないため、その分の費用もかかります。2階部分にもトイレや洗面所を設置するなら、給排水の配管工事の費用や設備費用もかかるでしょう。

さらに、2階建てでは階段や廊下といった居住スペース以外の部分に面積をとられるため、平屋と同じ延床面積だと、居室に充てられる面積は平屋よりも少なくなってしまいます。

坪単価で見れば、2階建てよりも平屋のほうが高くても、建築費の総額では2階建てと変わらないか、2階建てよりも安くなる場合もあります。

防犯やプライバシーの確保のため対策が必要

平屋はすべての部屋が1階にあるので、通行人や隣家から家の中が丸見えになってしまうことがあります。

平屋を建築する際には、住人のプライバシーが守れるよう、窓の位置や高さに気を付ける必要があります。庭を造って道との距離をとる、植え込みや塀を造って視線を遮るといった手段も有効です。

ただし、高い塀などで外からの視線を完全に遮ってしまうと、防犯面でのリスクが高まってしまうこともあります。泥棒が家の中に侵入しようとした際、外からは姿が見えないため気付きにくくなります。

また平屋は、窓などの開口部がすべて1階にあるため、非常に侵入しやすい構造といえます。

警察庁の統計では、空き巣の約半数が窓から侵入しています。窓を割れにくい複層ガラスにする、窓に面格子を付ける、人感センサーライトや防犯カメラを取り付けるといった対策をとって、防犯面に気を配りましょう。

日当たりや風通しが悪くなる可能性も

周囲の建物が2階建て以上だったり、家と家との距離が短い住宅密集地帯だったりすると、高さのない平屋は日当たりや風通しが悪くなってしまうことがあります

また平屋は、すべての部屋がワンフロアにあるため、外壁から家の中心部までの距離が長くなりがちです。すると、中心に近い場所にある部屋には日の光や風が届きにくくなってしまいます。

家の中心部まで外光を届かせるためには、中庭を設置する、L字型の住宅にするといった工夫が必要です。中庭に面して大きな窓をとり、その反対側に通風のための小さな窓を設ければ、風通しもよくなることでしょう。

採光のみを考えるなら、天窓を造るというのも一つの方法です。平屋の場合、2階建てのように吹き抜けを造って開放感を出すことはできませんが、天井高を上げることで開放感を演出できます。

水害が起こると浸水被害を受けやすい

水害が起こった場合、平屋は浸水被害が大きくなりがちです。2階建てなら2階部分に荷物を避難させるといったこともできますが、平屋ではそもそも避難できるスペースがありません。

平屋の建築を考えるなら、水害が予想されるエリアは避けたほうがよいでしょう。水害リスクのある場所に建てるなら、盛り土をして敷地のかさ上げをする、家の基礎を高くするといった対策をとっておくことをおすすめします。

平屋で失敗しないために注意しておきたいポイント

多くの人にとって、家は一生に何度もない大きな買い物です。平屋を建ててしまってから「こんなはずではなかった」と後悔しないためにも、注意すべきポイントを押さえておきましょう。

土地の広さや形に注意

平屋のメリットとして、生活動線がコンパクトに効率よくできる、家族間のコミュニケーションがとりやすいといいました。しかし、変形した土地や極端に細長い土地では、平屋のメリットを十分に活かした家づくりができないことがあります。

変形した土地や極端に細長い土地では、建てられる家の間取りが限られてしまいますし、コンパクトな生活動線を実現しようとしても、思ったようにならないケースも少なくありません。

変形した土地や細長い土地でも、敷地面積が広ければ、それほど苦労なく理想に近い平屋が建てられるでしょう。土地を購入する際には、十分な面積があるか、建築に支障があるような変形地ではないかを確認してください。

判断がつかない場合は、土地の販売も行っているハウスメーカーに、土地探しから依頼してしまうのも一つの方法です。

平屋の費用相場を知っておく

坪単価のみで比較すると、平屋のほうが2階建てより高くなりがちですが、平屋には、階段や踊り場、2階のトイレや洗面所といったスペースは必要ないため、建築費の総額では2階建てより安くなる場合もあります。

あらかじめ平屋の建築にかかる費用相場を知って、十分な予算を組んでおけば、坪単価での割高感を感じることもないでしょう

一般的に、平屋の住宅を新築する場合の坪単価は、50~70万円が相場といわれています。30坪の平屋を建てるなら、建築費用の総額は1500~2100万円くらいが目安となります。

平屋が得意なハウスメーカーに依頼する

同じ一戸建て住宅でも、平屋と2階建てでは建築材の調達方法や施工方法が異なります。そもそも国内の一戸建て住宅の約85%は2階建てのため、建築材の多くが2階建て用に調整されているのです。

そのため、平屋建築のノウハウが少ないハウスメーカーだと、思ったような住宅が建てられないこともあります。平屋の建築を依頼するなら、平屋の建築実績が多いハウスメーカーを選びましょう

しかしハウスメーカーや工務店のホームページやパンフレットを見ても、平屋建築を得意としているかどうか判断がつかないこともあるでしょう。

気になるハウスメーカーがあれば、住宅展示場やショールームに足を運んで、スタッフに直接質問してみるのがよいでしょう。メーカーによっては無料相談会なども開催しているので、さまざまなメーカーの担当者から話を聞いて、じっくりと比較検討することをおすすめします。

まとめ

平屋には、2階建てや3階建てにはないメリットがありますが、その分デメリットも決して少なくありません。平屋の建築を考えるなら、家族の生活スタイルが平屋とマッチしているかだけでなく、将来的なライフプランまで視野に入れて決めましょう。

タクトホームは、これまでにさまざまなタイプの住宅を提供してきました。平屋の建築実績も豊富で、十分なノウハウの蓄積があります。

ご家族のご希望に合わせた平屋住宅のご提案やアドバイスも行っておりますので、ぜひ一度タクトホームまでご相談ください。

タクトブログ編集部
タクトホーム公式のブログです。おうちに関する情報をお届けいたします。
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