最近では平屋で勾配天井を取り入れる人も多くいます。
勾配天井は見た目がおしゃれですが、広々として開放感が味わえること、日当たりや風通しがよくなることも勾配天井のよい点です。
しかし、勾配天井には多くのメリットのほか、いくつか注意すべきデメリットもあります。
ここでは、勾配天井のある平屋のメリット・デメリット、勾配天井にして後悔しないためのポイントについて解説していきます。デメリットを理解した上で、おしゃれな勾配天井を採用するにはどうしたらよいかを見ていきましょう。
Contents
勾配天井って何?
勾配天井とは、屋根の傾斜に合わせて斜めに造られる天井のことです。
平屋で勾配天井を取り入れれば、一番高いところで4~5mほどの高い天井が確保できます。
広々として開放感があること、梁を見せることでメリハリのある空間を造り出せることなど、通常の平天井では難しい雰囲気も演出可能です。
天井裏や屋根裏部分のデッドスペースをロフトとして利用することもできます。
勾配天井は屋根の下でなければ設置できません。そのため、平屋や2階のLDK、寝室の天井によく用いられます。構造上の問題や予算の制限があっても、部分的に勾配天井を取り入れることも可能です。
勾配天井のある平屋のメリット
勾配天井にすることで以下のようなメリットが得られます。
- 開放感のある室内空間が造れる
- 日当たりのよい空間になる
- 通気性がよくなる
- 見た目がおしゃれになる
- 天井空間を活用できる
それぞれのメリットについて詳しく説明していきます。
開放感のある室内空間が造れる
通常の平天井だと2.3~2.4m程度の高さが一般的ですが、勾配天井にすることで、もっとも高さのあるところで4m以上と高い天井を造れます。
天井に高さがあることで、平天井よりもゆとりのある開放的な空間造りが可能です。
日当たりのよい空間になる
勾配天井を造ることで、高い位置に天窓や高窓を設置でき、自然光を取り入れやすくなって明るい空間造りが可能です。
平屋はワンフロアなので、一般的な2階建ての家よりも光が取り込みにくい場合があります。
勾配天井を取り入れることで、天井や壁の高い位置に窓を設置して、たくさんの光を家の中に取り込めます。その結果、日中は常に明るい空間にすることが可能です。
LDKに採用すれば、明るい空間に引き寄せられて家族が頻繁に集まる楽しい空間造りもできるでしょう。
また、天窓を取り付ければ、外の自然光をしっかりと取り入れてくれます。
天窓は、壁面に取り付ける窓の3倍近くの明るさの確保が可能です。
壁面の窓だけでは採光が十分でない場合は、天窓の採用が非常に効果的です。
特に密集地に平屋を建てる場合、両隣の家との距離が近いため壁面に大きな窓を設置しにくいでしょう。日当たりを確保するなら、勾配天井で天窓の採用がおすすめです。
風通しがよくなる
平屋を勾配天井にすれば、高い位置に窓が設置可能です。そのため、天井近くにとどまっている空気を高い位置の窓から排出できます。このような役割の窓を「排熱窓」といいます。
熱がたまりやすい高い位置に排熱窓を取り付けることで、自然と外に熱を排出できるだけでなく、低い位置の窓から入ってくる風の通り道にもなります。
常に新鮮な空気を循環させられるようになるので、風通しのよい室内空間が実現できるのです。
見た目がおしゃれになる
梁を見せたり、照明器具にこだわったりすることで、見た目をよりおしゃれにできるのも勾配天井ならではのメリットです。
梁を見せるデザインにすれば、奥行きと立体感のある空間を演出できます。木材そのものを見せることで自然素材ならではの温かみも感じられるでしょう。
照明器具なら、ペンダントライトがおすすめです。デザイン性の高い照明器具なら、空間のアクセントになってよりおしゃれな空間造りが可能です。
天井空間を活用できる
勾配天井にすれば、屋根裏に当たる部分にロフトを設置することで、天井空間の活用ができます。小屋裏収納やちょっとした小部屋として使えるので便利です。
平屋で十分に確保できなかった収納スペースを、ロフトを造ることで確保できます。
ただし、ロフトへのアプローチには注意が必要です。
自治体によっては、ロフトには固定階段を設置しなければならないという制限があります。
その理由は、移動式・収納式のはしごでは上り下りがしにくく、荷物の持ち運びがしにくいなどのデメリットがあるからです。
平屋にロフトを付ける場合は、事前に自治体のルールを確認しておきましょう。
ロフトの他にも、スキップフロアを設けるという方法もあります。
スキップフロアとは、段差を利用して空間を縦につなぐ空間のことです。2階建てのように完全に階や空間が分かれるわけでなく、数段の階段などによって空間を区切れます。
スキップフロアであれば、平屋ならではの空間のつながりを感じながら、その空間で仕事や趣味に没頭できる環境づくりが可能です。ワークスペースや子どもの勉強スペースとしてもおすすめです。
また、スキップフロアは高さの違いで空間にメリハリをつけられます。
完全に区切られた空間ではありませんが、こもり感があり一人だけの時間を楽しめるでしょう。
勾配天井のある平屋のデメリット
メリットの多い平屋の勾配天井ですが、いくつかデメリットも存在します。
- 費用が高くなる
- お手入れが大変
- 冷暖房効率が悪くなる
- 音が響きやすくなる
それぞれのデメリットについて解説していきます。
費用が高くなる
勾配天井は平天井よりも壁の面積が広くなります。また、高い位置の工事をする際には足場を設置しなければならず、費用が高くなりやすいです。
もともと平屋は2階建てと比べて坪単価が高いです。勾配天井を施工することで、トータルで掛かる費用がさらに増額する可能性もあります。
お手入れが大変
勾配天井は高い位置に窓や照明器具を付けられますが、その分お手入れが大変です。
梁をむき出しにするのであれば、梁の上のほこりを落としたりしなければなりません。高い位置でも届く伸縮式のモップを購入して、こまめに掃除する必要があります。
高い位置に窓や照明器具があると、交換するのに業者を呼ばなければならない場合もあるでしょう。
勾配天井を採用する場合は、入居後のお手入れ方法も考えた上でデザインを検討してください。
冷暖房効率が悪くなる
勾配天井があると、天井に高さが出るため冷暖房効率が悪くなります。
平天井なら天井裏に断熱材を入れて断熱性能を高めることで、冷暖房の効きをよくできますが、勾配天井だと断熱材を入れる天井裏がありません。
そのため、屋根に伝わった熱がそのまま部屋に伝わりやすく、夏は暑く・冬は寒い家になりやすいです。
また、冷たい空気は下へ行くのに対し、暖かい空気は上へと上がってしまうため、暖房が効きにくくなり電気代も高くなってしまいます。
音が響きやすくなる
勾配天井にすると天井が高くなり、音が響きやすくなることがあります。音が響きやすいと、反響した音が気になってストレスを感じることもあるでしょう。遮音性のある屋根材を採用するなどの対策をしなければなりません。
平屋を勾配天井にして後悔しないためには?
勾配天井はおしゃれな室内空間を演出できる、日当たり・風通しがよくなるなどメリットが多いですが、デメリットもあります。
設計に注意しなければ、入居後に「勾配天井にして後悔した!」なんてことになりかねません。
平屋で勾配天井にして、後悔しないためにできる対策をご紹介します。
- お手入れしやすい位置に設備を設置する
- シーリングファンを取り入れる
- 断熱・気密・遮熱性能を高める
- 遮音性のある屋根材を採用する
4つの対策について見ていきましょう。
お手入れしやすい位置に設備を設置する
日々のお手入れのことを考えて、照明器具や空調設備は手の届く位置に設置しましょう。
脚立を使って掃除やお手入れが可能な高さは3mまでといわれているため、その高さに取り付けるようにしましょう。
例えば、昇降可能な照明器具や、ペンダントライトのようにコードで垂らすタイプなら、比較的お手入れもしやすくなります。梁を見せるなら、梁にスポットライトやペンダントライトを取り付けるのもおすすめです。
高窓を設置する際も、脚立で手が届く位置に設置するようにしましょう。
シーリングファンを取り入れる
室内の冷暖房効率を高めるために、シーリングファンを取り入れましょう。
シーリングファンには、天井高い位置にたまりやすい暖かい空気を循環させ、室内の気温を一定にする効果が期待できます。冷暖房効率をよくして、電気代を削減することも可能です。
デザイン性があり、勾配天井との相性もよいので、よりおしゃれな空間づくりができます。
ただし、メンテナンスにも考慮しなければなりません。
つり下げる位置は、床から脚立で届く高さにしておきましょう。メーカーでは、床や壁からの距離が設定されている商品もあります。その距離を守って設置場所を決めてください。
また、シーリングファンの周辺に照明を設置すると、ファンが陰を作ってしまいます。ファンの大きさを確認した上で照明の設置位置を決めましょう。もしくは、照明付きのシーリングファンを採用するのもおすすめです。
断熱・気密・遮熱性能を高める
平屋を勾配天井にすると、屋根が受ける熱や冷気が室内空間に伝わりやすくなり、冷暖房効率が悪くなります。
これを改善するには、家の断熱性・気密性・遮熱性を高める必要があります。
性能の高い断熱材を屋根と勾配天井の間に敷き詰めたり、遮熱性の高い屋根材を採用したりしましょう。
断熱性・気密性・遮熱性の高い家にすることで、室内が外気の影響を受けにくくなり、室内の空気も外に逃げにくくなります。その結果、冷暖房効率が高まり、夏は涼しく冬は暖かい室内環境を生み出せます。
より快適な住環境をつくるなら、断熱・気密・遮熱性能を重視した家造りがおすすめです。
遮音性のある屋根材を採用する
天井が高くなると音が響きやすくなります。特に高断熱・高気密な家は、外部の音がほぼ入ってきませんが、そのかわり家の中で発生した音は逃げ場がなくなって、家の中で反響しやすくなるのです。
屋根材に遮音性のある素材を採用することで、音の響きを和らげることができます。
また、内壁と外壁の間に空気層を造ったり、音を吸収しやすい素材を取り入れたりすることで、音の振動をより減らすことが可能です。
平屋の勾配天井をさらにおしゃれにするなら?
平屋の勾配天井は、開放感がありとてもおしゃれですが、さらにおしゃれにするポイントがあります。
- 照明計画にこだわる
- 天窓を設置する
- 梁を見せる
3つのポイントについて見ていきましょう。
照明計画にこだわる
平屋の勾配天井をさらにおしゃれにするなら、照明計画にこだわりましょう。
例えば、つり下げタイプのペンダントライトやシャンデリアを室内のアクセントとして採用したり、あえてシンプルな埋め込み式のダウンライトを取り入れたりするとおしゃれです。
勾配天井を使ってどのような空間造りをしたいかを考えましょう。
具体的には、ヴィンテージ風やカフェ風にしたいなら、アンティークなガラスのペンダントライトが似合います。洗練されたモダンな雰囲気にしたいなら、装飾の少ないペンダントライトやダウンライトがおすすめです。
目指したいテイストを決めてから照明計画を考えると、よりまとまりのあるデザインを取り入れられます。
天窓を設置する
平屋の勾配天井に天窓を取り付けることで、たくさんの光を取り入れられるだけでなく、見た目もおしゃれになります。
天窓にはさまざまな大きさがあり、デザインも種類があります。細部までこだわることで、自分たちだけのオリジナル空間の実現が可能です。
梁を見せる
自然木を使った梁見せデザインは、ナチュラルテイストな内装とよく合います。
平天井で梁を見せると、圧迫感や窮屈感が出てしまいますが、勾配天井なら空間にメリハリを付けることが可能です。
洗練されたスタイリッシュな空間にしたい場合は、梁を白く塗装したり壁紙を巻いたりすることもできます。他にも、梁にスポットライトやペンダントライトを取り付けることも可能なので、梁見せはよりデザインの幅を広げてくれるでしょう。
まとめ
平屋に勾配天井を取り入れることのメリット・デメリットや後悔しないためのポイントを解説しましたが、いかがだったでしょうか。
平屋でおしゃれな室内空間を造りたい方には、勾配天井の採用をおすすめします。
タクトホームでは、これまで平屋や勾配天井のお家を数多く提供してきました。
平屋や勾配天井の家造りについてお悩みなら、ぜひ一度タクトホームにご相談ください。