テレワークが増えてきた現在、「マイホームを建てるなら書斎をつくりたい」と考える人も多いでしょう。しかし、あまり広いスペースを独占すると、家族から反発を受けるかもしれません。
2畳程度のコンパクト書斎なら、家族の反対も少ないはず。そこで、コンパクト書斎のメリットやデメリット、快適に使うためのポイントをご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
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書斎の広さは2畳では狭い?
せっかく書斎をつくるのなら、居心地のよいスペースにしたいもの。では、どのくらいの広さがあれば居心地がよくなるのでしょうか。
書斎には大きく分けて3タイプある
書斎と聞くと多くの人は、本がずらりと並んだ部屋を思い浮かべるのではないでしょうか。しかし書斎は、独立した部屋とは限りません。
書斎には大きく分けて、個室タイプと半個室タイプとオープンタイプがあります。個室タイプは多くの人が思い浮かべるような、壁に囲まれたスタイルの書斎です。
半個室タイプは、部屋の一角を区切って書斎スペースにしたもの。たとえば、行き止まりになった廊下の端に机や本棚を設置して、ロールスクリーンやアコーディオンカーテンなどで区切れるようにした書斎です。
ロールスクリーンなどを開けておけば家族の共用スペースとつながり、閉めれば個室のように独立した部屋として使えるような書斎は、すべて半個室といえるでしょう。廊下の端だけでなく、階段下のデッドスペース、柱と柱の間にある窪みなどを利用してもつくれます。
オープンタイプは、家族共用の空間と完全につながった書斎です。リビングに机を設置したり、ダイニングカウンターの一角に仕事道具をまとめて置いたりして、書斎として使えるようにしたスタイルです。
書斎が欲しいけれど、どうしてもスペースが確保できない場合、オープンタイプがおすすめです。なかなかイメージしにくいかもしれませんが、エリアを分けるだけで書斎としての役割を果たせるスペースが完成します。
オープンタイプの書斎は、ちょっとした家事作業をしたり、子どもが勉強や調べ物をしたりと、家族共用のワークスペースとして使うこともできます。これなら家族にも、書斎づくりを認めてもらいやすくなるでしょう。
2畳あれば書斎はつくれる
書斎といっても、机の上にノートパソコンを置いて作業するだけなら、1畳で書斎はつくれてしまいます。ただ、作業に必要な資料や本などを並べておくことを考えると、もう少し広めにしたほうがよいかもしれません。
一般的に、コンパクト書斎として適当な広さは2~4畳程度といわれています。広い書斎は家族に反対されてしまうけれど、少しでも居心地のよい場所にしたいと思うなら、2畳のコンパクト書斎を考えてみてはいかがでしょうか。
2畳というと畳2枚分ですが、畳のサイズは京間、中京間、江戸間、団地間など、部屋のつくりによって微妙に変わってきます。厳密に計るのではなく、大体180×180センチメートルくらいだと考えておきましょう。
標準的な事務机が幅120センチメートル、奥行きは70センチメートルですから、2畳あれば机とミニ本棚が余裕を持って置けます。
2畳は体感でどのくらいの広さ?
2畳は180センチメートル四方程度といわれても、なかなか体感としてイメージしにくいかもしれません。その場合、カプセルホテルを思い浮かべてみるとよいでしょう。
カプセルホテルの多くは、1人分のスペースが2畳程度の広さになっています。人1人が横になっても余裕があり、枕元に小物をコンパクトに収納できたり、着ていた服を掛けておいたりできるところは、書斎づくりの参考になるかもしれません。
カプセルホテルを利用したことがない場合は、ダブルベッドのサイズを思い浮かべてみるとよいでしょう。
ほかに畳2畳程度の広さの場所として、トランクルームがあります。もちろんトランクルームにもさまざまな広さがありますが、畳2畳分のトランクルームなら、縦・横・高さの合計が140センチメートルの一般的なダンボール箱を約70個収納できます。
2畳のコンパクト書斎を検討する際には、こういった具体例を踏まえて体感でしっかりイメージしておくと、完成した後に「こんなはずではなかった」と後悔することも少なくなります。
コンパクト書斎のメリット
できれば広々とした書斎が欲しいと考えるかもしれません。しかしコンパクト書斎には、広い書斎にはないメリットも存在します。
ここでは、コンパクト書斎ならではのメリットを見てみましょう。
2畳程度の広さが集中しやすい
人間は、広々とした空間だと開放感を感じますが、同時に気が散って、ひとつの物事に集中しにくくなるものです。2畳程度の空間は、集中力を保つのには最適のサイズといわれています。
たとえば、図書館などにある自習スペースを思い浮かべてください。閲覧室の広い机で勉強をするよりも、自習スペースのほうが勉強がはかどったという経験はありませんか。狭い空間では、余分なものが視界に入らないので、より集中しやすいのです。
また人間の標準的なパーソナルスペースは、自分の体から50センチメートルの範囲内といわれています。そこに他人が立ち入ってくると、集中力が削がれてしまうのです。
日本人の場合、成人の肩幅は平均約43センチメートルです。その両側に50センチメートルの余裕をとると、合計約143センチメートルとなります。
この範囲に人が立ち入らないようにすると、集中できるということ。つまり、書斎での作業効率を考えるなら、広々とした書斎よりコンパクト書斎のほうがおすすめです。
最小限のものしか置けないので散らからない
広い書斎なら、大きな本棚にずらりと本を並べて置くこともできますが、コンパクト書斎には必要最低限のものしか置けません。必然的に、コンパクト書斎のほうが散らかりにくいといえます。
大量にものがあると、散らかした時の片付けが大変になります。散らかすにしても限界があるコンパクト書斎のほうが、気軽に整理整頓ができて、見た目にも整った空間を維持しやすいでしょう。
また、必要最低限のものしか置かないことで、集中の邪魔になるようなものを排除できます。誘惑が少なければ、それだけ作業に集中できるでしょう。
掃除がしやすい
書斎を自分専用にするなら、掃除も自分が担当しなければなりません。しかし、広い書斎を掃除するのは大変ですし、時間もとられてしまいます。
コンパクト書斎なら、掃除するにしても本棚のほこりを落として、机の上を拭く程度で終わります。掃除に時間をとられることがない分、作業に時間をかけられるのも、コンパクト書斎のメリットのひとつです。
2畳程度の書斎のデメリット
コンパクト書斎には、デメリットも少なからずあります。コンパクト書斎をつくるにあたっては、デメリットも十分に理解した上でレイアウトしたいものです。
人によっては閉塞感を感じることも
コンパクト書斎の中でも個室や半個室タイプは、壁に囲まれた構造になります。すると閉塞感を感じて、居心地が悪くなることがあります。
感受性が強い人の場合、息苦しくなったり、動悸が激しくなったりといった身体症状が出てしまうことも。狭い空間が苦手なら、オープンタイプのコンパクト書斎にしたほうがよいでしょう。
作業に集中しすぎて疲労を感じやすい
コンパクト書斎には、作業に集中しやすいというメリットがあります。しかし、集中していると疲労に気づきにくいので、作業が終わった時には疲れ切っているといったことも。この過集中が起こりやすいのも、コンパクト書斎のデメリットのひとつです。
また、必要最低限のものしか置けないコンパクト書斎は、裏を返せば、息抜きになるものがないということ。コンパクト書斎で作業をする際には、疲れを溜めすぎないよう、時間を決めて小休憩をとるなど工夫をしたいものです。
書斎以外の使い方ができない
コンパクト書斎は、スペースが小さいだけに、必要最低限のものしか置けません。その中で工夫して書斎としての使い勝手をよくすると、ほかの使い方がしにくくなってしまいます。
たとえば大きなダイニングテーブルなら、食事だけでなく、料理やアイロンがけ、子どもの勉強や工作など、さまざまな使い方ができるでしょう。しかし、ノートパソコンと資料を置いたらいっぱいになってしまうようなコンパクト書斎は、パソコンや資料を移動しない限り、ほかの使い方はできません。
裁縫などちょっとした家事にも使いたいといった場合は、使い終わったらパソコンを片付けるなど使い方を工夫するだけでなく、片付けるための収納スペースも確保しておきましょう。
2畳の書斎を快適にするためのアイデア
書斎をつくるなら、できるだけ居心地のよいスペースにしたいもの。2畳程度のコンパクト書斎を居心地よくするアイデアをご紹介します。
造り付けの本棚を設置する
コンパクト書斎をつくったものの、ぴったりのサイズの机や本棚が見つからないことがあります。しかし、最初から机や本棚を造り付けにしてしまえば、ジャストサイズのものが設置できます。
造り付けの本棚があれば、すぐに取り出せる場所に本や資料をしまっておけます。また、周囲の壁や床の色調と合わせられるので、見た目もすっきりと整った印象になります。
目隠しできるようにする
オープンタイプの書斎でも、背後をロールスクリーンやカーテンで仕切れるようにしておくと便利です。作業に集中したい時にはロールスクリーンを下ろせば、気分的にも周囲との区切りができます。
反対に、小休憩で書斎を離れる時にロールスクリーンを下ろして、視覚的に遮断することで気分転換ができます。作業中に来客があった際にも、書斎スペースの目隠しになるでしょう。
また、背景があるとWEB会議の時にも役立ちます。会議アプリの機能で背景の合成もできますが、「ロールスクリーンが下りている時は、大切な仕事をしているから静かにしてね」といったように、家族に対する合図としても使えます。
十分な数のコンセントを設置する
書斎には、ノートパソコンやデスクライトは備えておきたいもの。そのほかにも、スマホの充電器やプリンターなど、コンセントを使う機器が必要になることでしょう。
コンセントが足りないと、タコ足配線になったり、別の箇所から延長コードを引かなければならなくなったりして、見た目が悪くなりますし、トラブルのリスクも高まります。
書斎をつくるなら、事前にどんな機器を置くか、どんな使い方をするかを考えて、十分な数のコンセントを用意しましょう。
小物をしまえる引き出しを設置する
最初は必要がないと思っていても、書斎で作業をする内に「ペンやメモ帳があったら便利だな」「ホッチキスかクリップが欲しい」などと感じる機会もあるはず。ところが、そういった小物を机の上に出しっぱなしにしておくと、書斎全体が雑然とした印象になってしまいます。
こまごました文具をしまえる引き出しを設置すると、片付けが楽になりますし、見た目もすっきりするはず。造り付けの引き出しを設置するのもよいですし、書斎のサイズに合う引き出しワゴンなどを購入してもよいでしょう。
本棚があるなら、そこに収納ケースを並べて文具をしまう方法もあります。シンプルでスタイリッシュな書斎を目指すなら隠す収納のほうが向いていますが、お気に入りのペン立てや小さいオブジェを本棚に並べて、見せる収納を目指してもよいでしょう。
コツは、すぐ手の届く場所に片付けられるスペースをつくること。すると、整理整頓の習慣をつけるのにも役立ちます。
まとめ
コンパクト書斎は、マイホームのデッドスペースを上手く活用する手段でもあります。見た目にもすっきりしたコンパクト書斎なら、家族からの理解も得やすくなることでしょう。
コンパクト書斎には小ささゆえのメリットもありますが、デメリットも少なくありません。事前にしっかりイメージを固めることが、満足のいく快適な書斎づくりには必須です。
これまでに多くの住宅を提供してきたタクトホームは、コンパクト書斎のある家も数多く設計・建築してきました。お客様のご希望に合わせたコンパクト書斎のアイデアもご提案できます。コンパクト書斎をお考えなら、ぜひお気軽にご相談ください。