毎日の生活で、トイレは絶対に欠かせない設備です。家族みんなが必ず使う場所として、使いやすく居心地のよい空間にしたいものでしょう。そのためには、考えなければいけないことがいくつかあります。
注文住宅のトイレを造る際に知っておきたいこと、押さえておくべきポイントについて、詳しくご紹介します。ぜひ参考にしてください。
トイレにはこんなに種類がある
実はトイレは、大きく4タイプに分かれており、それぞれメリットとデメリットがあります。まずはトイレのタイプについて、詳しく見てみましょう。
組み合わせトイレ
組み合わせトイレとは、独立した便器・便座・タンクがセットになって販売されているものです。最も多く普及しているのが、組み合わせトイレでしょう。
ただ組み合わせトイレの場合、便座には特に機能が付いていません。温水洗浄便座などの機能便座にする場合には、別売りのものを買って交換する必要があります。
価格としてはリーズナブルで、好みの機能便座を付けられるというメリットがあります。ただしタンクと便器の隙間などはどうしても凹凸が多くなるので、掃除がしにくいというデメリットもあります。
タンク一体型トイレ
タンク一体型トイレは、便器・便座・タンクが全て一体化したタイプです。凹凸が少なく掃除がしやすいので、衛生的に優れているというメリットがあります。
ただ、便座も一体化しているので、便座の機能が故障したときに修理しにくいというデメリットもあり注意が必要です。場合によっては、便座の故障で便器やタンクごと交換しなくてはならなくなることもあります。
タンクレストイレ
タンクレストイレはその名の通り、タンクのないタイプです。タンクに水をためて流すのではなく、給水管から直接水を流すようになっています。
タンクがない分、サイズもコンパクトで、スタイリッシュなデザインが多くあります。凹凸が少なく、掃除がしやすいところもメリットでしょう。
デメリットとしては、価格が高めなことです。また断水の際には、タンク型ならタンクに入っている水で1回は流せますが、タンクレストイレは流すことができません。
システムトイレ
システムトイレは、システムキッチンやユニットバスのように、トイレ内の設備が全てセットになったタイプです。便器の種類や便座、手洗器、収納など、好みによって組み合わせて設置できます。
トイレ内部をトータルコーディネイトしたいなら、システムトイレが一番でしょう。しかし、価格が高めなだけでなく、工事期間が長くなりがちというデメリットもあります。
注文住宅のトイレ造りで考えるべきポイント7つ
注文住宅のトイレ造りでは、考えなければいけないポイントがいくつかあります。そのポイントを外してしまうと、使いにくいトイレになってしまうこともあるのです。まずは考えるべきポイント7つを押さえておきましょう。
トイレの間取り
トイレの間取りとは、家のどこにトイレを造るのかという問題です。
例えばリビングダイニングに近い場所にトイレを配置すれば、家族全員が利用しやすいでしょう。しかしリビングダイニングに近すぎると、トイレを流す音が家族に聞こえてしまうことがあります。
2階建て、3階建ての家ならば、各階にトイレがあったほうが便利かもしれません。しかしトイレの数が多くなれば、その分だけ掃除の手間もかかります。
家のどこにトイレを配置しても、メリット・デメリットがあるはずです。トイレの間取りを決める際には、家族構成や普段の生活スタイルなどを踏まえてよく考えましょう。
トイレの広さ
トイレの平均的な広さは、約0.5坪となっています。寸法でいうと、幅80×奥行き120~160cm程度で、マンションよりも戸建て住宅のほうが広い傾向があります。
ただし、家族に高齢者や車いすを使っている人がいる場合は、平均的な広さのトイレでは不十分でしょう。バリアフリー対応のトイレにするなら幅120×奥行き160cm以上、トイレ介助が必要な場合は幅・奥行きともに160~180cm程度は確保する必要があります。
注文住宅は、長く住み続けるものです。トイレの広さを決める際には、現在の家族構成はもちろんのこと、将来的な家族構成の変化まで考慮しましょう。
便器の位置
注文住宅のトイレについて考える際には、トイレ内のどこに便器を配置するのかも考えなければいけません。特にバリアフリーでトイレを広めにとった場合は、便器の位置が重要になってきます。
単純にトイレ室内の中央に配置してしまうと、「せっかく広めのトイレにしたのに、むしろ介助がしにくくなってしまった」ということがあります。また、ペーパーホルダーまでの距離が遠すぎて使いにくいといった問題が起こることもあるでしょう。
小さいお子さんから高齢者まで、家族の誰もが使いやすいトイレにするためにも、便器の位置はよく考えて決めましょう。
便器の機能
近年では、さまざまな機能を持つ便器が登場しています。水流で汚れを付きにくくする、少ない水量で流せる、除菌した水で細菌が繁殖しにくくするなど、各トイレメーカーが次々と新商品を開発しています。
ただ、機能が豊富な便器ほど、価格も高くなるものです。金額を抑えたいなら、便器にどんな機能が必要なのか、優先順位を付けることをおすすめします。
「掃除の手間を省きたい」なら凹凸が少なく掃除しやすい便器、「ランニングコストを抑えたい」なら少ない水量で流せる便器といったように、何を優先するのかはっきりさせることで、選ぶべき便器も見えてくることでしょう。
トイレの収納
トイレ室内の収納も、考えるべきポイントです。「トイレットペーパーを入れる棚はあるものの、トイレの掃除用具を置く場所がない」といった失敗が起こりがちなポイントでもあります。
トイレ内に何を起きたいのか、ペーパーのストックはどのくらい置くのか、収納したいものを全て書き出してみましょう。すると、どこにどのくらい収納を造ればよいのか、ヒントになるはずです。
また上部に棚を造る場合は、家族みんなが手の届きやすい高さにする必要があります。少なくともトイレットペーパーのストックは、便座に座ったままでも手が届く位置に置いておきましょう。
トイレの窓
トイレに窓を造ると、換気に役立つだけでなく、外光を取り込んだ明るいトイレになるでしょう。
ただし、トイレの窓は施錠を忘れるケースが多く、外部からの侵入経路になってしまうこともあります。また、トイレの照明がつく頻度から、空き巣が留守の時間帯を把握してしまうこともあります。
トイレに窓を造る場合は、面格子を付けて防犯に気を付ける、夜は照明の光が漏れないようにするといった対策をとっておきましょう。
トイレの床材・壁紙
トイレは家の中でも汚れやすい場所です。便器や便座だけでなく、壁紙や床にも細かい汚れが付着します。トイレの床材や壁紙を考えるなら、やはり掃除のしやすい防水タイプがよいでしょう。
また、トイレ内にいるときは、視界の大部分を壁紙とドアが占めることになります。そのため、刺激が強い原色を避けて、薄めの色にしておくと圧迫感を感じづらくなるでしょう。
ホワイトやベージュ、水色などの色合いだと汚れにも気付きやすいので、いつも清潔なトイレに保てます。汚れが目立ちにくい色にしたいなら、ライトグレーがおすすめです。
トイレ造りでよくある5つの失敗例
注文住宅のトイレでよくある失敗例を、5つご紹介します。失敗例を知ることで、理想的なトイレ造りが見えてくるはずです。
手洗いを設置したがあまり使わない
トイレのタンクを手洗いタイプにしたり、トイレ室内に手洗い場を設けたりしたのに、気が付いたら誰も使わなくなっていたということがあります。
特に、トイレの目の前に洗面所があると、そちらで手を洗うケースが多いようです。衛生的には、トイレのドアノブを触る前に手を洗いたいものですが、トイレ内の手洗い器はどうしてもサイズが小さいため、洗いにくさを感じるのではないでしょうか。
目の前に洗面所があるなら、そちらで手を洗うことにして、トイレには手洗い器を造らなくてもよいかもしれません。スペースに余裕があるなら、トイレの手洗い器を洗面所サイズまで大きくしてしまうのも一つの方法です。
トイレのドアの開け閉めがしにくい
トイレの広さに対して、便器が大きかったり位置が悪かったりすると、ドアの開け閉めがしにくくなることがあります。特に、体格のよい人がトイレ室内に入った状態でドアを開けようとすると、引っかかってしまうという話をよく耳にします。
この失敗例はトイレのドアを外開きにすれば解決しますが、今度はトイレのドアを大きく開くと洗面室のドアや洗面台などにぶつかってしまう、といった問題が起こってしまうこともあるでしょう。
トイレの便器の位置は、そう簡単に変えることができません。設計段階から十分に考慮することで、失敗をできるだけ回避しましょう。
トイレ内ににおいがこもる
トイレの換気設備が十分でないと、室内ににおいがこもってしまうことがあります。特にありがちなのが、照明と換気扇が連動しているタイプのトイレです。
照明のスイッチを入れると連動して換気するタイプは確かに便利ですが、トイレから出て照明を消すと換気も止まってしまいます。これでは十分に換気できないこともあるでしょう。
照明と換気のスイッチを別にする、トイレに窓を付けるといった対策をとって、においがこもらないようにしましょう。
壁や床が変色してしまった
「トイレを落ち着ける空間にしたい」と床や壁に無垢材を使うと、汚れによって変色してしまうことがあります。木材は水分を含みやすいので、水分の飛沫が付いた状態で長時間放置すると、黒ずんでしまうのです。
トイレの主な汚れの原因は、尿です。特に男性が立ったまま用を足すと、床だけでなく壁まで尿の飛沫が飛び散ってしまいます。目に見えないほどのごく小さな飛沫でも、木材を変色させてしまうのです。
トイレの内装には木材を避けて、ビニールクロスなど水分に強く掃除しやすい素材を選びましょう。また、なるべく飛沫を飛び散らせないよう、座って用を足すのも有効な対策です。
上階に設置したトイレの使用頻度が低い
2階建てや3階建ての注文住宅で各階にトイレを造ってみたものの、上階のトイレをあまり使っていない、というのもよくある失敗例です。トイレの使用頻度が低いと、掃除の負担も重く感じるでしょう。
家族それぞれの私室の配置やライフスタイルによっては、2階建て、3階建てでもトイレは1カ所で十分ということもあります。トイレの間取りを決める際には、家族の人数や1日のうちどこで過ごす時間が多いのかをきちんと踏まえておくことで、失敗は回避できるのではないでしょうか。
トイレのシェアTOP3社、それぞれの特徴を比較
トイレの便器や便座を造っているメーカーはたくさんありますが、実はトップ3社でシェアの約90%を占めていることはご存知でしょうか。
便器メーカーのトップ3社はTOTO、LIXIL、Panasonicとなっています。ここでそれぞれの特徴や、各社主力製品化のメリット・デメリットを見てみましょう
シェアNo.1、汚れ落としに注力するTOTO
シェアNo.1のTOTOは、住宅設備のプロからも「TOTOにしておけば安心」といわれるほどの信頼を得ています。登録商標の「ウォシュレット」は、今や温水洗浄便座の代名詞です。
特徴は、陶器の質感の美しさとデザイン性の高さ、衛生と掃除のしやすさに注力した多彩な機能でしょう。便器の洗浄に除菌水を使った「使うたび除菌」、便器の表面に撥水加工を施した「汚れツルリン」、凹凸の少ないデザインの「おそうじ超ラク」といった衛生機能だけでなく、節水や節電にも優れたラインナップをそろえています。
デメリットとしては、価格が高めなことでしょう。相場は20~30万円程度となっています。
シェアNo.2、コストパフォーマンスの高いLIXIL(INAX)
LIXILは、住宅設備の企業5社が合同で立ち上げたメーカーです。その中核企業の一つが便器メーカーとして知られるINAXで、現在でもINAXの名前はブランド名として残っています。
LIXILの特徴は、価格がリーズナブルな割に多彩な機能を備えていることでしょう。傷や汚れの付きにくい新素材「アクアセラミック」、イオンで除菌する「プラズマクラスターイオン」、少ない水量で便器の隅々まで洗浄する「パワーストリーム洗浄」といった機能がポイントです。
価格帯は17~25万円程度となっています。
シェアNo.3、最先端機能を搭載したPanasonic
TOTOとINAXの2強だったトイレ業界に参入し、あっという間にシェア10%の第3位となったのがPanasonicです。TOTOとINAXが陶器製の便器なのに対して、Panasonicは樹脂製便器を採用しています。
キッチンカウンターにも使われている有機ガラス素材、キッチン用洗剤を利用する「激落ちバブル」、オゾン水による菌の増殖の抑制など、家電メーカーならではの高機能が特徴です。デザインもシンプルで、どんなトイレにもマッチすることでしょう。
価格帯は17~25万円程度となっています。キッチン設備などと一緒に発注できるというメリットもあります。
まとめ
注文住宅のトイレ造りについて、ポイントや失敗例をご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。トイレにどんな機能を求めるかによって、トイレ造りのポイントも変わってきます。
トイレは誰もが毎日必ず利用する場所です。注文住宅の満足度には、トイレの使いやすさ、居心地のよさが大きく関わってくるでしょう。
豊富な実績と経験のあるタクトホームなら、ご家族の構成や生活スタイルに合わせたトイレのご提案ができます。人生には欠かせないトイレについて、何かお困りのことがあったらお気軽にご相談ください。