注文住宅を考えていたものの、予算がオーバーしてしまったという方もいらっしゃるでしょう。
注文住宅は、間取りや設備を変更し、費用を調整することが可能です。
本記事では、注文住宅の費用に関して、削れるところを11の項目に分けてご紹介。
併せて、予算を削る際に注意しておきたいポイントについても解説します。
Contents
注文住宅が予算オーバーするよくある5つの理由
注文住宅とは、間取りや外観・設備など自由にオーダーできる住宅です。
自分の理想の家を建てられる反面、家づくりに希望をあれこれ詰め込んで予算オーバーしてしまうことも珍しくありません。
予算オーバーしてしまうと、建築プランの見直しや資金計画の立て直しなどが必要になってくるので、できるだけ最初の段階で予算内に収めたいものです。
では、なぜ予算をオーバーしてしまうのでしょうか?
ここでは、注文住宅で予算オーバーになるよくある理由として、次の5つを紹介します。
- 優先順位を決めていなかった
- 材料費が高騰してしまった
- 地盤改良に費用がかかってしまった
- 家具家電を考慮していなかった
- 外構費用を考慮していなかった
優先順位を決めていなかった
注文住宅は、デザインや間取り・内外装・設備など、ほとんどの項目を基本的に自分の希望で決められます。
夢のマイホームを自分の理想通りに建てたいところですが、すべての希望を叶えようとすれば予算がいくらあっても足りません。
希望に優先順位を決めておかないと、すべて詰め込んで予算オーバーという結果になりやすいのです。
また、予算オーバーになっても優先順位が決まっていないと、削りどころの判断も付きにくくなります。
事前に家族で希望を話し合って優先順位を付けておくと、予算内でも満足いく家づくりをしやすいでしょう。
優先順位が決めにくい場合は、ここだけは譲れないというポイントを絞ると決めやすくなります。
材料費が高騰してしまった
近年の建築業界で問題となっているのが、ウッドショックです。
ウッドショックとは、2021年頃から続く木材価格の高騰のことをいいます。
コロナ渦によるアメリカでの住宅需要増加や木材資源の減少などを理由に、現在も木材価格は高騰の傾向を見せているのです。
木材の価格が高騰すれば、木材を主な建材とする家の価格も当然上昇します。
また、木材だけでなく銅やアルミなどの材料費だけでなく、人件費も高騰しており、家づくりのための費用は高くなっているのです。
このような材料費の高騰も、注文住宅の予算オーバーにつながってきます。
地盤改良の費用がかかってしまった
地盤改良とは、家を建てるのに十分な強度のない地盤を改良する土木工事のことです。
軟弱な地盤や盛土で作られた土地・埋め立て地などでは、そのまま家を建てると沈下や液状化などのリスクがあります。
そのため、地盤調査の結果、改良が必要と判断されると地盤改良費が必要になるのです。
地盤改良費は、改良方法や面積によって異なりますが、坪当たり3~5万円ほどが目安となります。
仮に40坪の土地なら、120~200万円ほどかかるため、予算オーバーの大きな要因となるのです。
土地を購入する場合は、地盤改良が必要な土地かも確認するとよいでしょう。
家具家電を考慮していなかった
家具家電の費用は、一般的には当初の予算に含まない方が多いでしょう。
仮に予算に含む場合でも「100万円位かな」とおおよその金額で予算計上することが多いものです。
しかし、新築で家具家電を一から揃える場合、新築に合わせたオシャレなものや高性能なものを選びがちです。
家づくりという大きな支出をしていることも、家具家電の費用感覚を麻痺させる要因となります。
家具家電の費用を予算に入れていない・高額な購入費になるなどの理由で、家づくりを予算内で収めても総額で予算オーバーとなってしまうのです。
外構費用を考慮していなかった
外構費用とは、駐車場や庭・玄関アプローチ・門扉など建物本体以外にかかる費用です。
注文住宅では、建物建築費に外構費は含まれないため、外構費は別途必要となります。
一般的には、外構費は家の価格の10%程が目安といわれており、意外と高くなりがちです。
家づくりの際に外構費を考慮していないことで、予算オーバーになるケースが多いので注意しましょう。
また、予算に入れて計画する場合でも、外構は後回しにしがちなため、予算オーバーになりやすいものです。
外構は、外から見える場所でもあるのでカーポートや庭のデザインなどにこだわる方も少なくありません。
しかし、こだわりすぎるとその分費用も高額になります。
間取りや内装など建物の方を重点的に決めて、いざ外構を決めようとすると予算が足りないということがあるので注意が必要です。
最初の段階で外構にかかる費用を考慮して、建物にかけられる予算を計算しておくとよいでしょう。
注文住宅の費用で削れるところ11選
予算オーバーになっても対応できる資金があれば問題ありませんが、基本的には予算内に収めるためオーバーした分を削っていく必要があります。
とはいえ、どこをどう削ればいいのか分からない方も多いでしょう。
ここでは、注文住宅の費用で削れるところを解説していきます。
2階建てにする
平屋や3階建てよりも、2階建ての方が費用を抑えられます。
3階建ては、2階建てよりも建材が増え、
耐震性の強化なども必要になってくるので、建築費用も高くなります。
平屋なら2階建てよりも安いのではと考える方も多いですが、同じ面積であれば2階建てよりも平屋の方が費用を抑えられる可能性が高くなるのです。
同じ面積の場合、平屋は単純な計算でも基礎や屋根が2階の2倍必要です。
基礎や屋根部分は、建築費用の中でも高額な割合を占めるため、この部分の面積が大きいと建築費用が高くなってしまうのです。
また、必要な土地も広くなってくるため予算オーバーにつながりやすくなります。
総2階にする
総2階とは、1階と2階の面積が同じ2階建ての住宅です。
一般的な1階が大きく2階が小さい2階建ては部分2階と呼ばれ、外から見るとデコボコした形となります。
総2階の場合、建物の構造がシンプルになるため、必要な建材や工程が部分2階よりも少なくなり、
基礎も部分2階よりも小さくなるため、建築の費用を抑えやすくなります。
上から見て正方形に近い形にする
建物はシンプルな形状である程、費用を抑えられます。
バルコニーや一部が出っ張るなどデコボコの多い形になるほど、使用する建材や手間が増えるため費用は高くなります。
他の家とは違う個性的な家にしたいと強いこだわりがないのなら、シンプルな形状にするとよいでしょう。
また、シンプルな形状であれば、塗り替えや修繕の費用を抑えやすいので、将来的なコスト削減にもつながります。
デコボコがない分、内部の居住スペースを無駄なく使えるというメリットもあるでしょう。
屋根を片流れにする
屋根の形状には、さまざまな種類があり種類ごとに費用は異なってきます。
屋根といってイメージする両方に下がる三角形の屋根を「切妻」と呼び、1面だけで片方にのみ下がる形状を「片流れ」といいます。
片流れの屋根は、近年取り入れる家も多いので、目にしたことも多いでしょう。
片流れの屋根の場合、屋根の面積が切妻よりも小さくなり、雨どいも一方向のみで済みます。
屋根材のコストを抑えやすいので、建築費用の削減につながるのです。
ただし、足場を組む必要があるなどで費用が上がる可能性もあるので、事前に確認するようにしましょう。
吹き抜けをなくす
吹き抜けとは、上階と下階を仕切らずにつなげた空間のことです。
玄関やリビングなどに吹き抜けを取り入れた家も増えています。
吹き抜けであれば、2階部分の床が必要ないため費用を抑えられるように感じますが、一概に費用が抑えられるというわけではありません。
2階の床面積が狭くなると、その分基礎などで建物の強度を上げる必要があります。
また、吹き抜けを作るために足場を組む必要があるなどで、吹き抜けを作らない場合に比べ費用がかかってしまうケースがあるのです。
吹き抜けの費用については、ハウスメーカーによって大きく異なるので事前に確認するようにしましょう。
窓の数を減らす
窓は、意外と高額です。
窓の数が多い・窓が大きいと予算オーバーになりやすいので注意しましょう。
また、必要以上に窓が多いと断熱性の低下にもつながります。
ただ、窓は採光や通風・断熱性・開放感の演出で重要な部分でもあります。
窓の数を減らして費用を抑えても、家の中が暗くなってしまっては快適に生活しにくくなります。
本当に必要な窓かを慎重に判断して必要以上の数は削減していくとよいでしょう。
収納スペースを減らす
収納スペースを設けると、その分壁やドア・扉などを設置するため費用も高くなります。
設置のための手間もかかるでしょう。
必要以上の収納スペースであれば、削減することでその分費用を抑えられるだけでなく、居住スペースを広くとれるというメリットにつながります。
費用を抑えつつ収納スペースも確保したい場合、収納スペースを1か所にまとめる、扉やドアをロールスクリーンなどで代用するのもおすすめです。
断熱材のランクを落とす
断熱材のランクを落とすことで費用を落とす方法もあります。
しかし、これはあまりおすすめできません。
断熱材は、家の断熱性に大きく関わってきます。
ランクの低い断熱材を使用すると、外気の影響を受けやすく、夏は暑く冬は寒い家になってしまいます。
冷暖房などの光熱費が嵩むだけでなく、家の老朽化を早める・健康に影響するなどの恐れもあるので、安易に断熱材をランクダウンするのは避けましょう。
水回りの費用を見直す
キッチンやバス・トイレ・洗面所などの水回り設備は、できるだけ1か所にまとめると配管工事費の削減につながります。
2階のトイレは1階の真上にする、2階にトイレを設けないことも費用の削減につながるでしょう。
水回り設備が近い場所にあれば、日常の家事動線も便利になるというメリットもあります。
また、水回り設備のグレードを見直すのも費用削減につながります。
キッチンやバスは、グレードを下げるだけでも費用が100万円単位で変わる可能性があります。
妥協できるポイントを明確にして、削れる部分は削っていきましょう。
外構は住みながら施工していく
外構工事は最初ですべて完了させる必要はありません。
住みながら徐々に施工していけば、初期費用を抑えることが可能です。
特に、最初に庭を作り込んでしまうと、実際には必要なかったというケースも珍しくありません。
ガーデニングを夢見て庭を整えても、実際はガーデニングに取り組む時間がなくて雑草が生えっぱなしということもあるでしょう。
不要なものや後からでよいものは、できるだけは省けば費用の削減につながります。
ただし、フェンスや門がないなど防犯上問題になるような削減はやめておくようにしましょう。
自主施工できないか相談する
自主施工とは、設備などを自分で設置することです。
エアコンや照明などで自主施工するケースがあります。
また、設備などの手配だけ自分でする施主支給という方法もコストを下げる一つの方法です。
自分で手配・設置するので安い設備の発注や工賃を抑えることにつながります。
しかし、自主施工や施主支給は、承諾してくれないハウスメーカーも多いので注意が必要です。
自分で設置した部分は、ハウスメーカーも保証しかねるものであり、後々トラブルに発展しやすくなります。
手配はして設置だけハウスメーカーにしてもらう場合でも、設置のための工事費がかかります。
手配に時間がかかれば工期が伸びてしまい、余計な費用が発生する恐れもあるでしょう。
自主施工や自主手配は、場合によってはあまり費用の削減にならない可能性もあるので注意が必要です。
注文住宅の費用を削る際の注意点
注文住宅の費用を抑えることは大切ですが、むやみやたらに費用を削るのはおすすめできません。
費用を削り過ぎたばかりに、失敗してしまう恐れもあるので注意が必要です。
ここでは、注文住宅の費用を削る際の注意点として、下記の3つを解説します。
- 住みにくい家では本末転倒
- ランニングコストが高い家になるケースもある
- 土地代と合わせたトータルコストで考えることが大切
住みにくい家では本末転倒
家は一度建築すれば、その後長い時間を過ごす場所になります。
家づくりの仕方によって快適に暮らせるか・そうでないかは大きく異なってきます。
コストダウンすることを優先して、最終的に住みにくい家になってしまっては本末転倒といえるでしょう。
特に、下記の部分の費用の削減は住みにくさにつながるので、慎重に検討する必要があります。
- セキュリティやプライバシーに関する部分
- 住宅性能に関わる部分
セキュリティに関する部分の費用を削減してセキュリティ性の低い家にすると、安心して生活するのが難しくなります。
防犯性の高い窓ガラスやインターフォン・センサーライトや庭の防犯砂利などは、あまり費用を削り過ぎないようにしましょう。
フェンスは防犯性だけでなくプライバシーの確保にもつながります。
フェンスの設置を後回しにしたせいで、道路から室内が丸見えになってしまっては、自分の家なのにくつろぐことができません。
また、耐震性・耐火性・断熱性など住宅性能に関わる部分の削減もおすすめできません。
性能をおろそかにすると、家の中で快適に過ごすことや長く住み続けることが難しくなります。
セキュリティやプライベート確保のための施工であれば、後から設置することもできるでしょう。
しかし、耐震性など構造に関する部分は、後付けが難しく、変更するには大規模な工事が必要です。
長期間安心して快適に住み続けられる家であることは、初期費用を大きく削るよりも大切なことです。
費用を削りすぎて、住みにくい家にならないように注意しましょう。
ランニングコストが高い家になるケースもある
家を所有すると、初期費用だけでなく修繕費や交換費用などのランニングコストも掛かります。
初期費用を抑えられても、ランニングコストが高額になればトータルの支出が高くなってしまうこともあるでしょう。
設備のグレードを落としたことが原因で、修理が頻繁に必要になることもあります。
特に、屋根や外壁は高額なランニングコストとなって跳ね返ることがあるので、注意が必要です。
屋根や外壁は、デザイン性だけでなく、家を風雨や日光から守る大切な部分でもあります。
価格を抑えるためにランクを落とすと、断熱性が下がる・雨漏りが発生するなど快適性や家の品質の維持に影響が出る恐れがあります。
断熱性が下がると、光熱費というランニングコストも高額になってくるものです。
また、屋根や外壁は定期的に塗り替え・張り替えが必要となり、規模によっては100万円以上掛かるケースも珍しくありません。
ランクの低い屋根材・壁材の場合、定期的な塗り替え・張り替えの頻度も高くなる傾向があるものです。
仮に、耐久性が10年と20年の屋根材であれば、50年住むとしても修繕する頻度が5回と2.5回と倍近く異なってきます。
家づくりをする際には、初期費用だけでなく長期的な視点でランニングコストも考慮して予算を検討することが大切です。
土地代と合わせたトータルコストで考えることが大切
注文住宅で家を建てる場合、土地の購入も必要です。
土地代が高くて家の予算が少なくなってしまったというケースは少なくありません。
立地の良さを優先すれば土地代が高くなります。
土地代を抑えるためには、立地の良さか面積かを妥協する必要があるでしょう。
一般的に、次のような土地は安い傾向があります。
- 日当たりが悪い
- 土地の形がいびつ
- 高低差がある土地
しかし、土地の条件の悪さは家の間取りなどでカバーできる可能性があります。
土地代を抑えられれば、その分を建築費に回すこともできるでしょう。
もしくは、土地を優先して建築費用を抑えるという選択肢もあります。
どちらにせよ、家づくりの際には、土地代込のトータル予算で計画を立てることが大切です。
家と立地両方で100点の家を作るのは難しいものです。
何を優先させたいのかは、事前に明確にしておくと土地選びもしやすくなります。
また、家づくりでは土地代・建築費用以外にも諸費用も必要という点には注意が必要です。
諸費用には次のような費用があります。
- 不動産登記の費用
- 不動産取得税
- 土地の仲介手数料
- 印紙税
- 住宅ローンにかかる費用
- 保険料
- その他費用(引っ越し代や地盤改良費など)
諸費用の総額は家の費用5~10%程といわれています。
土地代や諸費用を考慮せずに予算を立てていると、予算オーバーになってしまうので注意しましょう。
これらの費用は住宅ローンに組み込める場合もあります。
ただし、事前に自分で組める住宅ローンの限度額や自己資金の正確な状況を把握しておくことが大切です。
どれくらい家に予算を充てられるのかの正確な額と、トータルでどれくらいかかるのかを詳細に予算計画を立てるようにしましょう。
まとめ
注文住宅の費用について、削れるところを11の項目に分けてご紹介しました。
注文住宅は自分で費用を調整できる点がメリットだといえます。
しかし、費用を安くすることに力を入れ過ぎた結果、住みにくい家になってしまうと、本末転倒ですよね。
自分や家族にとって理想の家を建てるための優先順位をつけたり、土地代で調整したりするなど、本記事の内容を参考になさってください。
タクトホームでは累計59,000棟以上の施工実績があります。
注文住宅をお考えの方はぜひお気軽にお問い合わせください。