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軽量鉄骨住宅とは?メリット・デメリットや木造・鉄筋コンクリート造との違い

不動産の広告を見ていると、「軽量鉄骨造」という文字を目にすることがあります。しかし、軽量鉄骨造とはどのような家のことなのか、説明できない人も多いのではないでしょうか。

軽量鉄骨とはどのような建材なのでしょうか。また軽量鉄骨造の住宅には、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。木造や鉄筋コンクリート造など、他の建築方法と比較しつつ、軽量鉄骨造についてご説明します。

軽量鉄骨造の住宅とは?

軽量鉄骨造とはどのような構造の住宅なのでしょうか。また木造や鉄筋コンクリート造の住宅とはどのような点に違いがあるのでしょうか。基本的なところから見てみましょう。

そもそも軽量鉄骨とはどんなもの?

軽量鉄骨とは、厚さ6mm未満の鉄の板を整形して造られた鋼材のことです。軽量鉄骨に対して、6mm以上の厚みのある鋼材は重量鉄骨といいます。

鉄骨には、断面がLの形になっている山形鋼、Hの形をしたH型鋼、コの形になっている溝形鋼など、さまざまな種類があります。その各部の厚さが6mm未満のものが、軽量鉄骨です。

軽量鉄骨は一般的に、厚さ1.6mm、2.3mm、3.2mmのものが多くあります。

軽量鉄骨と重量鉄骨の違い

軽量鉄骨と重量鉄骨を分ける基準は、各部の厚みのみです。当然のことながら、各部が厚ければ厚いほど衝撃や揺れに強く頑丈になりますが、その分だけ重量も増します。

一般的な戸建て住宅で「鉄骨造」といった場合、軽量鉄骨で造られていることがほとんどです。重量鉄骨は、大型のマンションや高層ビルなどの建築に用いられます。

重量鉄骨で戸建て住宅を造ることもできますが、建築にかかる費用は重量鉄骨造のほうが高くなります。また鋼材そのものも太いため、壁の厚みが増して、居室に使える面積が減ってしまうでしょう。

ただし重量鉄骨造の住宅は、軽量鉄骨造よりも法定耐用年数が長くなります軽量鉄骨よりも頑丈な分、柱の本数を少なくできるので、間取りの自由度が高くなるといったメリットもあるのです

軽量鉄骨造の住宅と木造住宅の違い

木造住宅とは、柱や梁など家の主要な部分に木材を使って建てられた住宅のことです。日本では昔から木材が豊富で手に入りやすかったこともあり、現在でも多くの住宅が木造となっています。

木造と軽量鉄骨造を比較すると、木造のほうが建築費を安く抑えられます。建材である木材の価格が比較的安いことのほか、建築にかかる期間が短く人件費を抑えられることなどが理由です。

軽量鉄骨造の住宅と鉄筋コンクリート造の違い

鉄筋コンクリート(RC)造とは、鉄筋と呼ばれる細長い鉄の棒を使って骨組みを組み上げ、その周囲にコンクリートを流し込んで造られた建物のことです。一方、鉄骨で骨組みを造ってから、鉄骨の間に鉄筋を張り巡らせてコンクリートを流し込んだ建物は、鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造といいます。

鉄筋コンクリート造は、軽量鉄骨造と比較すると壁が厚くなる傾向があります。加えてコンクリートが音を通しにくいため、遮音性に優れた建物になるでしょう。またコンクリートは耐久性が高く耐火性もあるので、地震や火事といった災害にも強くなります

法定耐用年数を見ても、軽量鉄骨造の住宅は鉄骨の厚みが3mm以下の場合は19年、3~4mmの場合は27年、4mm以上でも34年ですが、鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造の住宅は47年と、軽量鉄骨造より長くなっています。

軽量鉄骨造の住宅にするメリット

軽量鉄骨造の住宅にすると、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、軽量鉄骨造住宅のさまざまなメリットを見てみましょう。

品質が安定している

軽量鉄骨で住宅を造る場合、建材のほとんどは工場で生産されたものです。それを建築現場に搬送してきて組み上げる「プレファブリケーション」、いわゆるプレハブ建築の手法で建てられます。

プレファブリケーションは、「あらかじめ」という意味の接頭語「pre」と、製作することを意味する「fabrication」が合体した言葉です。ブレハブというと安価なイメージを抱くかもしれませんが、現場で建材の加工を行わない建築手法はすべてプレハブとなります。

工場生産の建材は品質が安定しているので、木造のように職人の腕に左右されることはありません。もちろん建材のバリエーションも豊富なので、より希望に近いデザインの家を安定した品質で建てられると考えてよいでしょう

耐久性が高い

軽量鉄骨造の住宅は、木造住宅より耐久性が高くなっています。法定耐用年数で見ると、木造住宅は22年ですが、軽量鉄骨造の住宅は鉄骨の厚みが3~4mmなら27年、4mm以上なら34年です。

法定耐用年数は、建物の減価償却費を計算するときに使われるもので、法定耐用年数が過ぎたからといって住めなくなるわけではありません。適切にメンテナンスをしていれば、古民家のように法定耐用年数を何十年も過ぎていても住めるケースもあります。

しかし法定耐用年数は、建材や構造を科学的に分析して定められています。このことから、軽量鉄骨造は木造より耐久性が高いといってよいでしょう。

耐震性が高い

軽量鉄骨住宅は、木造住宅より耐震性が高くなっています。もちろん、重量鉄骨造や鉄筋コンクリート造の住宅には及びませんが、万が一の大地震の際にも倒壊のリスクが少ないといわれています。

倒壊が少ない理由は、鉄骨の弾性が地震の揺れを吸収することに加えて、コンクリート造より建物そのものの重量が軽いため、振動による建物への影響が小さいからです。

新築住宅を建てる際には、どのような建材を使ってどのような工法で造ったとしても、一定以上の耐震基準をクリアしていなければなりません。ただし軽量鉄骨造の場合、木造住宅よりも耐震基準をクリアしやすいと考えてよいでしょう。

工期を短くできる

軽量鉄骨造の住宅では、使われる建材のほとんどが工場で生産されたものです。一定の規格に沿って造られた建材を組み上げるだけで、建築現場で加工する必要がないので、工期を短くできます。

建築する季節にもよりますが、木造住宅の場合、工期の平均は5~8カ月です。鉄筋コンクリート造の住宅は約8カ月で、地盤改良工事などを含めると1年以上かかることも。

軽量鉄骨造住宅の工期は約半年ですから、木造住宅とほぼ変わらない期間で建築できるといえるでしょう

建築コストを抑えられる

軽量鉄骨造の住宅は、木造とそれほど変わらない工期で建てられるといいました。工期が短縮できれば、その分だけ人件費が節約できるので、建築費の総額も安くなります

もちろん建材としての価格は、軽量鉄骨のほうが木造よりも高くつくでしょう。しかし、木材のように建材が湿気を吸ってしまうことがないので、悪天候が続いた後でも、乾燥を待つことなく工事が進められます。

軽量鉄骨造のデメリット

品質が安定していて耐久性も高い軽量鉄骨造は、非常にコストパフォーマンスが高いといえるでしょう。ただ当然のことながらデメリットもあります。

軽量鉄骨造の住宅を建ててしまってから「こんなはずではなかった」と後悔しないためにも、軽量鉄骨造のデメリットをしっかり把握しておきましょう。

断熱性や防音性が低め

軽量鉄骨造の住宅は、木造住宅と比べると断熱性や防音性が低くなっています。木材は内部にごく小さな気泡をたくさん含んでいて、外部の熱や音を遮断する効果がありますが、軽量鉄骨の鋼材は金属のため外部の熱や音を伝えやすいからです。

鋼材は木材よりも丈夫なため、軽量鉄骨造なら木造より壁を薄くすることができます。だからといって壁を薄くしてしまうと、より断熱性や防音性が低くなってしまうこともあります。

「夏は暑く、冬は寒い」といった過酷な状況にならないよう、壁に断熱材を挟むといった工夫が必要です。

通気性が低め

軽量鉄骨造住宅は、木造住宅に比べると通気性が低いです。そのため、家の中に湿気や臭いがこもると、なかなか抜けないというデメリットがあります。

軽量鉄骨造でも通気性のよい構造にすることはできますが、その分、防音性が低くなってしまうこともあります。換気しやすいように間取りを工夫する、通気性を高くして遮音効果の高い壁材や床材を使うといった工夫が必要です。

レイアウトの自由度が低い

軽量鉄骨造の住宅では、壁に筋交いを入れて耐震性を高めることが一般的です。そのため、間取りの自由度としては、あまり高くありません

リフォームをする場合にも、筋交いの入っている壁を撤去すると耐震性が下がってしまうので、間取りを大きく変更するようなリフォームはできないと考えておきましょう。

もし将来的にリフォームを考えている場合には、建築時から「いずれはこんな間取りにしたい」といった想定をして、建築を担当するハウスメーカーに伝えておきましょう。また、軽量鉄骨住宅の建築実績やリフォーム実績が豊富なハウスメーカーに依頼したほうが安心です。

軽量鉄骨造についてのよくある疑問

軽量鉄骨造の住宅にするなら、その特徴をよく知っておきたいものです。ここでは軽量鉄骨造の住宅について、多くの人が気になるポイントについて解説します。

軽量鉄骨造は火災に強い?

日本では、多くの一戸建てが木造住宅です。木材は燃えやすいので、火事に弱いといわれています。

その点、軽量鉄骨造なら木材を使っていないので、火事に強いのではと考えるかもしれませんが、軽量鉄骨造の住宅は本当に火災に強いのでしょうか。

実は軽量鉄骨造であっても、決して防火性が高いわけではありません。確かに木造よりは燃えにくいですが、決して「防火性が高い」とはいえないのです

鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造の場合、壁や床はすべて耐火性のあるコンクリートになっています。ですから周囲で火災があっても、窓などの開口部から火が入ってこなければ、延焼のリスクは抑えられます。

軽量鉄骨造の場合、木造よりは燃えにくくても、壁や床から延焼する可能性があります。さらに鉄骨は熱に弱く、摂氏540℃で柔らかくなり、変形しやすくなるという特徴があるのです。

室内で火事が起こった場合、10分程度で500℃以上になるといわれています。燃え続ければ、1000℃以上という高温にさらされることになります。

すると、家を支えている鉄骨が変形してしまい、最悪の場合は倒壊という事態にもなりかねません。したがって、軽量鉄骨だからといって火事に強いとは考えないようにしましょう。

ただし火災保険に加入した際、同程度の建物で補償額が同じ場合だと、木造よりも軽量鉄骨造のほうが保険料は安くなる傾向にあります

軽量鉄骨造はメンテナンスフリー?

一般的な木造住宅では、10~15年に1度のサイクルで外壁の塗り替えやシロアリ対策などのメンテナンスが必要になります。対して軽量鉄骨造の住宅は、メンテナンスは必要ないのでしょうか。

実は軽量鉄骨造の住宅も、木造住宅と変わらない頻度でのメンテナンスが必要です。メンテナンスを怠ると、住宅の寿命に大きな影響を与えることになります

軽量鉄骨造の住宅では、外壁材としてALCと呼ばれる軽量気泡コンクリートが使われることが多いです。ALCはその名の通り、内部に小さな気泡をたくさん含んでいるため、水が浸透しやすくなっています。

ALCの外壁の場合、外側に防水性のある塗料を塗って、水の浸透を防ぐことが一般的です。塗料は10年程度で効果が薄れてしまうので、塗り直しをして防水性を高める必要があるのです。

メンテナンスを怠ると、ALCの内部に水が染みこみ、引っかくと崩れるほど柔らかくなってしまいます。さらに壁が水を含むことで鉄骨にサビが出て、建物自体の強度が下がってしまうこともあります。

ただし、ALCの表面全面にタイルを貼ることで、メンテナンスの頻度を下げることはできます。タイルは焼き物なので、風雨にさらされてもほとんど劣化しません。

しかし全面をタイル貼りにしても、目地部分は劣化します。目地の割れやはがれている箇所がないか、こまめなチェックを怠らないようにしましょう。

どのような建材で造られた建物でも、定期的なメンテナンスは必要と考えましょう。適切なメンテナンスしていれば、家の寿命を延ばすことができます。

まとめ

軽量鉄骨造の住宅について、メリットやデメリットをご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。家を建てるにあたり軽量鉄骨造を選択肢に入れるなら、その特徴をしっかり頭に入れておきましょう。

タクトブログ編集部
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