高齢者の多くは、現在の住まいに何らかの不安や不満を感じています。高齢の家族と一緒に暮らす住まいを建てるなら、やはり高齢者目線の家づくり」を意識したいところです。
そこで今回は、近年のアンケート調査で示された「住まいに関する高齢者の悩み」をふまえつつ、高齢者が暮らしやすい住まいの条件などをご紹介します。
高齢者が住まいに感じる悩みとは?
2021年4~5月、高齢期のライフスタイルについて研究を進めているNPO法人「老いの工学研究所」は「高齢者の住まいの悩み」についてアンケート調査を実施しました。調査対象は全国の65歳以上の高齢者、インターネットを用いて回答を集めています。
アンケートは9項目が設定され、回答者は複数回答可の形で該当する項目を選択する方式になっています。今回の調査結果を上位から順番に示すと、以下の通りです。
- 1位:防犯面が心配
- 2位:温度管理が難しい(暑い、寒い)
- 3位:広すぎる(部屋数や庭など)
- 4位:防災面が心配(地震、大雨など)
- 5位:家の中の段差や階段が危ない
- 6位:利便施設が遠い
- 7位:体調急変などの際の孤立が心配
- 8位:周辺の坂道等が散歩に適さない
- 9位:ちょっとした手助けがもらえない
なお、「住まいに悩みがない」という回答は約7%にとどまり10位でした。
高齢者が現在の住まいに感じる主な悩みとして、自宅の防犯面や室内の温度管理が挙げられます。ランキング1位から3位までの割合を示すと、1位「防犯面が心配」32.2%、2位「温度管理が難しい」31.5%、3位「広すぎる」24.9%です。1位と2位が全体の3割を占めており、それだけ悩んでいる高齢者が多いということが推察されます。
防犯面に対する不安は、近年問題視されている治安の悪化が少なからず影響していると考えられます。防犯面の悩みを抱えている男性が19.2%であるのに対して女性は29.5%であり、比較的女性の方が住まいの防犯に不安を抱いていることがわかります。
また、温度管理の難しさが上位に入った理由として、急激な寒暖差によって起こる「ヒートショック」が原因と考えられます。ヒートショックは高齢者ほど発症リスクが高いため、寒暖差の少ない、住みやすい家を求める傾向にあるようです。
【出典】
「高齢者の住まいの悩み」NPO法人「老いの工学研究所」
https://www.fnn.jp/articles/-/190843
高齢者が暮らしやすい住まいの条件とは?
高齢の家族が暮らしやすい住まいを建てるなら、高齢者目線で室内設備や間取りを考えることが大切です。
近年、さまざまな事情から子育て世代が高齢の親と同居するケースが多く見られます。すでに実家が古くなっている場合、注文住宅などの新居を建てる場合もあるでしょう。ただ、住まいに求める条件は世代間で異なる傾向が強く、必ずしも一律ではありません。
そのため、高齢の家族と一緒に暮らす住まいを建てる場合、高齢者の悩みに配慮した工夫を施すことが大事です。若い世代の感覚で、流行のデザインばかり追い求めるのは望ましくないと考えられます。
高齢者目線で考える工夫の例としては、できるだけ導線の段差を減らしたり、室内の寒暖差が生じにくくする窓・扉を採用したりすることなどが挙げられます。段差の減少は転倒防止に役立ち、室内の寒暖差が減るとヒートショック防止に効果的です。
注文住宅であれば、高齢者に優しいバリアフリー住宅を検討するのもよいでしょう。よく知られるバリアフリーの好例は、出入口に引き戸を採用することです。引き戸は敷居の段差を減らせるうえ、高齢者が力を入れなくても簡単に動かせるなどのメリットがあります。
室内、とくに廊下やトイレの出入口は広めに設計するのがおすすめです。高齢者は、足腰が弱まると車椅子を利用することも珍しくありません。ですが、室内空間が広い住まいであれば、廊下の移動中やトイレの利用時に車椅子を降りずに済むでしょう。
まとめ
アンケート調査によると、高齢者の9割以上が現在の住まいに不安・不満を感じています。家づくりで高齢の家族の悩みを解消するには、高齢者目線が不可欠です。どのような住まいがよいか悩まれた際は、タクトホームをはじめとする家づくりのプロにご相談ください。お客様のお話を丁寧に伺った後、「グラファーレ」をはじめとする注文住宅の設計プランをご提案いたします。