お金(節約術)

注文住宅の契約後に予算オーバーになってしまう原因とその対策

注文住宅は、家族の希望に合わせて自由にデザインできることが大きな魅力です。しかし、あれもこれもと夢を詰め込もうとすると、予算を大幅にオーバーしてしまうことも。

注文住宅で予算オーバーになりがちなポイントをご紹介するとともに、予算オーバーした際に建築費を圧縮するにはどうするのがベストなのかを解説します。

注文住宅の契約後に予算オーバーが起きる原因

注文住宅の契約をした後に、予算オーバーになってしまうことは珍しくありません。なぜそんなことが起きるのか、主な原因を見てみましょう。

予算をしっかり設定していない

多くの人にとって注文住宅の契約は、生まれて初めての経験です。そのため、注文住宅ならどんな注文ができるのか、その注文にはどのくらいの予算がかかるのか、まったく予想もつかないことでしょう。

希望を叶えるための予算については、ハウスメーカーと打ち合わせを繰り返すうちに分かってくると思います。ただ、その前に契約を結んでしまうと、後になって「こんなはずではなかった」と悔やむことにもなりかねません。

まずはしっかりと資金計画を立てるところから始めましょう。金融機関に相談して、住宅ローンで無理なく返済できる金額を出してもらいます。

住宅ローンの借入限度額は、年齢や職業、収入などによって異なります。金融機関に相談する際には、すべて正直に話すことで具体的な資金計画が立てられることでしょう。

その上で予算額をハウスメーカーに伝えて、どのような家が建てられるのかアドバイスを受け、納得してから契約するようにしたいものです。

間取りや仕様のイメージがぼんやりしている

間取りや仕様がはっきりと決まらないうちにハウスメーカーと契約を結んでしまうのも、予算オーバーになる原因のひとつです。

注文住宅を建てる際には、まず予算を決めてから施工するハウスメーカーを選びます。予算や、こんな家に住みたいといった希望を担当者に伝えると、イメージに沿ったプランを出してもらえることでしょう。

ハウスメーカーとの打ち合わせは、1回で終わるものではありません。少なくても5~6回、多ければ20回近く打ち合わせを重ねることもあります。

担当者が出してきたプランを持ち帰って家族で検討し、さらに希望や変更したい点を伝え、再びプランを出してもらうことを繰り返すうちに、次第に間取りや仕様のイメージが固まってくるのです。同時に、予算内でどの程度の希望が叶えられるのかも分かるはずです。

そして間取りや仕様がはっきり決まってから、ようやく契約となります。このやりとりの前に契約をしてしまうと、工事が始まってから予算オーバーに気づくといったことが起きてしまいます。

やりたいことがありすぎる

多くの人にとって、注文住宅は一生で一度の大きな買い物です。できれば、すべての夢や希望を詰め込んだ理想の家にしたいと思うことでしょう。

しかし希望をすべて叶えるには、それだけの建築費が必要です。やりたいことがありすぎると、あっという間に予算をオーバーしてしまいます。

予算オーバーをしないためには、「絶対に叶えたいこと」以外は諦めるという覚悟も必要です。家族でよく話し合い、事前に意見の摺り合わせをしておくことも大切でしょう。

ハウスメーカーのグレードが高すぎる

注文住宅の施工を請け負うハウスメーカーは、数え切れないほどたくさんあります。そしてハウスメーカーによって、ローコスト住宅を主力にしていたり、ハイグレード住宅に力を入れていたりと、得意とする住宅のタイプも違っています。

ハウスメーカーによって標準としている資材のランクやグレードが違うので、同じ構造、同じ性能の家を建てたとしても、価格が違ってしまうことも珍しくありません

希望の注文住宅を建てようとすると予算オーパーになってしまう場合、予算とハウスメーカーのグレードが折り合っていない可能性があります。予算内では叶わない希望が多いと感じたら。思い切ってハウスメーカーを変えてみるのもひとつの手です。

何度も打ち合わせを繰り返してからハウスメーカーを変えるとなると、時間も労力も無駄になってしまいます。できれば最初に相談を持ちかけた段階で、希望の家が建てられそうなのかよく検討し、予算に見合ったハウスメーカーを見極めたいものです。

建築時にかかる諸費用を計算に入れていない

注文住宅を建築する際には、建築費のほかにもさまざまな費用がかかります。その諸費用を計算に入れておかないと、「予算内に収めたと思ったのに予算オーバーしてしまった」という事態を招いてしまいます。

家を新築した際にかかる費用には、以下のようなものがあります。

・建築請負契約書の印紙代

・地盤調査の費用

・建築確認の申請費用

・住宅ローンの融資手数料

・新築住宅の登記費用

・不動産取得税

・火災保険料

ひとつひとつはそれほどの金額でなくても、トータルでは建築費用の約10%程度になってしまいます。絶対に忘れないよう、最初から計算に入れておきましょう。

注文住宅で予算をオーバーしやすいポイント

注文住宅を建てる際には、思わぬところに予算を取られてしまうことがあります。予算オーバーしやすいポイントについて、ここで予め押さえておきましょう。

地盤改良工事

注文住宅を建てるにあたって、地盤改良工事が必要になることがあります。地盤改良を疎かにすると、せっかく建てた家の寿命が短くなってしまうことも。

ただ地盤改良が必要かどうかは、地盤調査をしてみないと分かりません。地盤調査はハウスメーカーと建築請負契約を結んでからになるので、最初から地盤改良費用がかかるものと考えて予算を組んでおいた方がいいでしょう。

地盤改良には、地盤の堅さによって「表層改良工法」「柱状改良工法」「鋼管杭工法」の主に3種類があります。表層改良工法なら30~50万円、柱状改良工法なら50~80万円、鋼管杭工法なら100~180万円程度です。

キッチン関連

キッチン関連の設備は、いずれも設置しておくと大変便利だからこそ、「あれも欲しい、これも欲しい」となって、予算オーバーになりがちです。予算内に収めるためには、設備ごとに優先順位をつけることが大切です。

気をつけたいのは、ビルトイン食器洗浄機などの、システムキッチンと一体型になった設備です。

食洗機は、システムキッチンそのものよりも寿命が短くなっています。ビルトイン設備を選ぶ場合は、故障した際に修理が容易にできるのか、ユニットの交換はできるのかを確認しておきましょう。

食洗機や電子レンジを置くスペースを作って後付けで設置したほうが、修理や交換も容易で、建築費も抑えられます。そういったことも考えて、キッチン設備を選ぶようにしましょう。

床材

予算オーバーしやすいポイントの中で、意外な盲点は床材です。床材は使う面積が広いので、グレードを1ランク上げただけで、一気に予算オーバーになってしまうことがあります。

床材によっては、定期的なメンテナンスが必要だったり、汚れがつきやすく補修が容易ではなかったり、といったものもあります。住み始めた後の手間や費用も考えて選ぶことが大切です。

契約後に予算オーバーしないための対策は?

ハウスメーカーと建築請負契約を結んだ後では、予算をオーバーしたからといって施工内容の変更は難しくなります。ここでは契約後の予算オーバーを避けるための対策をご紹介しましょう。

最初に設定する予算は少なめにする

たとえば最大で3000万円の建築予算が取れるとしましょう。それをハウスメーカーにそのまま伝えるのではなく、「2500万円で家を建てたい」といったように少なめに申告しておくと、予算オーバーしにくくなります。

ハウスメーカーは、予算が3000万円と聞けば、その枠内ギリギリまで使っても、お客様に最大限満足してもらえる家を提供したいと思うことでしょう。それでは、予定外のことが起こった際に、予算が足りず対応できなくなってしまいます。

また、捻出できる最大額を建築費に使ってしまうと、いざ家が完成して引っ越した後の生活に余裕がなくなってしまうことも。住宅ローンの支払いで生活がギリギリになっては、理想の注文住宅での暮らしが楽しめなくなってしまいます。

予算を組む際には、最初から最大額で考えるのではなく、ある程度自由になる金額の余裕を残しておくことが大切です。

予算オーバーに備えて予備費枠を作っておく

「予算を少なめに設定する」と同じような対策ですが、予算内に予備費の枠を作っておくのもいいでしょう。地盤改良工事など予定外のことが起こっても、予備費があれば対応できます。

着工前にどれだけ綿密な打ち合わせをしても、実際に建築工事が始まると、予定通りにいかないことも少なくありません。いざ突発的な事態が起こった時に慌てず対応できるよう、予備費の枠を作っておくのは理にかなった対策といっていいでしょう。

やりたいことに優先順位をつける

せっかく注文住宅を建てるのですから、理想を実現したいと思うのも当然のこと。でも、すべての希望を叶えることは、予算の面から考えても難しいといえます。

まずは家族で話し合い、注文住宅でやりたいこと、家に対する夢や希望をすべて書き出してみましょう。その中から「絶対に譲れないこと」「予算があれば叶えたいこと」「あれば嬉しいけれど、なくても問題ないこと」の3ランクに分類します。

注文住宅で実現したい希望に優先順位をつけておくことで、予算がオーバーしそうになった際にも、何をあきらめたらいいのかはっきり分かることでしょう

もしも予算オーバーしてしまった時はどうする?

建築予算をオーバーしないようさまざまな対策をとっていても、結果的に予算オーバーしてしまうこともあります。そんな時はどうしたらいいのか、考えられる対応策を見てみましょう。

建物の坪数や凹凸を削る

注文住宅の内装や住宅設備など何かひとつを削るのではなく、建物そのものをスケールダウンすることで建築費を抑えることができます。

建物の建坪数が大きくなれば、それだけ建築費もかかるものです。建物を全体的に小さくすれば、予算オーバーを防げることでしょう。

設備のグレードを落とす

住宅設備のグレードを落とすのも、予算オーバーの対策として有効でしょう。たとえばキッチンの自動水栓を手動にする、トイレをタンクレスからタンクありにするといった方法です。

キッチンの場合、自動水栓と手動水栓では約10万円の差があります。

トイレの場合、タンクレスとタンクありでは、約20万円の差があります。タンクレスをタンクありにすれば、手洗い場を別につける必要もなくなるので、手洗器の設置価格約5万円も削減できるでしょう。

ほかにも食洗機をビルトインから後付けにする、宅配ボックスを後置き型にするなど、住宅設備のグレードを落としたり後付けにしたりといった対策で、建築費を数十万単位で削減することも可能です。

外構工事の一部を入居後に行う

外構とは、門扉や塀、植え込み、玄関アプローチ、庭、カーポートなど、建物の周辺設備をいいます。多くは建物の建築と同時に行いますが、後から施工が出来る内容も多くあるため、入居後に金銭的に余裕ができてから改めて行うという方法も考えられます

住宅ローン会社を変更する

予算オーバー対策のひとつとして、住宅ローン会社の借入金額を増額する、あるいは借り入れをする金融機関を変更するという方法もあります。

住宅ローンを組む金融機関によっては、金利が低かったり、借入可能な最大金額が違ったりすることがあります。

借り入れをする住宅ローン会社を変更することで、返済計画に余裕ができることもあるでしょう。

ただし、借入金額の増額や金融機関の変更は、決して簡単ではありません。借入金額の変更であっても再審査が必要になり、手続きに1ヵ月前後の時間がかかります。

基本的に、住宅ローンの審査が通っていないと建築工事は始められないので、変更手続きの期間中は工事が止まってしまいます。また、いくら申し込みをしても審査に通らなければ、借入金額や金融機関の変更はできません。

予算オーバー対策のひとつではありますが、ほかの対策をしても予算が足りなかった場合の非常手段と考えておきましょう。

絶対に削ってはいけないポイント

予算をオーバーしてしまったら、予算を増額するか、施工内容を変更するかしかありません。しかし、絶対に削ってはいけない施工ポイントがあります。

それは外壁、屋根、窓といった、住宅の性能を左右する部分です。住み始めてからの暮らしやすさや建物の寿命に直結するので、絶対に妥協しないほうがいいでしょう。

外壁、屋根、窓は、リフォームするにしても大がかりになり、費用もそれだけかかります。満足いかないからといって、簡単に交換できるものではありません。

外壁や屋根の性能を下げると、光熱費がかかりがちになったり、メンテナンスの手間がかかったりと、結局は金銭的な負担が大きくなることも。予算オーバーで施工内容を見直す場合には、長期的な視点でも考えるようにしましょう。

まとめ

注文住宅の建築で予算オーバーしやすいポイントや、契約後に予算オーバーしないための対策をご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。

契約後の予算オーバーを避けるためには、家族内で希望を話し合いしっかり優先順位をつけておくことが大切です。同時にハウスメーカーにも金銭的な事情を包み隠さず話して、予算内に収まるようなプランを提示してもらいましょう。

タクトホームは最大限の満足をご提供できるよう、お客様の身になってご提案をしています。予算を削りたい、グレードダウンしたいといったご相談も大歓迎です。お気軽にご相談ください。

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