新築一戸建て

新築の家のイメージを決める外壁、建材の紹介と選び方のコツ

新築の家の印象は、外壁で決まるといっても過言ではありません。また、どんな外壁にするかによって、断熱性や防火性といった住宅の性能も変わってきます。外壁材にはどんなものがあるのか、代表的な外壁材の特徴を紹介するとともに、失敗しない外壁材の選び方のコツをお教えします。

新築の家に使いたい、代表的な外壁材

住宅の外壁材にはさまざまな種類があります。まずは代表的な外壁材を見てみましょう。

自由度の高い「モルタル」

モルタルは、セメントに砂を混ぜて水で練り合わせたものです。世界各地では、石灰と砂を使った石灰モルタル、泥と籾殻などを混ぜ合わせた泥モルタルなどもありますが、日本の住宅では一般的にセメントモルタルが使われています。

モルタルは、30年ほど前までは外壁材の中で一番人気でした。継ぎ目がなく高級感のある仕上がりになること、塗り方によってさまざまな風合いに仕上げられることが理由です。またモルタルは耐火性にも優れているので、火事のもらい火を避ける意味でも使われていました。

ただ、年数が経つと乾燥して表面にひび割れができやすいという欠点があります。表面に凹凸をつけた仕上がりにしていると汚れがつきやすく、カビやコケが生えるといったデメリットもあります。

さらに、モルタルは左官職人が手作業で仕上げるため、技術的な優劣が出やすいという特徴も。腕のいい職人に依頼すれば、それだけ建築費もかかると考えておきましょう。

豊富なデザインの「サイディング」

サイディングは、工場で生産された外壁パネルを貼っていく工法です。セメントをベースに窯で焼き上げたボードを用いる「窯業系サイディング」と、ウレタンなどの芯材に金属を貼り付けたボードを使う「金属サイディング」、樹脂製のボードを使った「樹脂サイディング」などがあります。

サイディングに使われるボードはデザインが豊富で、質感や色も自由に選べるのが魅力のひとつ。現在では日本の住宅の約8割がサイディングを採用しているといわれています。

ボードを貼っていくだけなので、工期が短くできること、施工費が安いこともメリットとなっています。耐久性も約40年と、決して短くありません。

新築だけでなくリフォームでも、既存の外壁の上にパネルを張っていくカバー工法でサイディング仕上げにすることができます。デメリットとしては、どうしてもボードの継ぎ目ができてしまうことでしょう。

防食性に優れた「ガルバリウム鋼板」

ガルバリウム鋼板は、1972年にアメリカで開発されました。アルミニウムと亜鉛の合金メッキを施した鋼板で、「ガルバ」「GL鋼板」と略されることもあります。

そのガルバリウム鋼板のボードを用いた外壁は、金属サイディングの中では主流となっています。金属サイディングにはほかにもアルミ、ステンレス、トタン(亜鉛メッキを施した鉄板)などがあります。

ガルバリウム鋼板の特徴は、高い防食性を持つこと。金属といっても軽量で、防水性、耐震性も高いので、適切にメンテナンスすれば約50年持つと言われています

デメリットは、窯業系サイディングより施工費が高くなりがちなことでしょう。また、凹みや傷に弱いという特徴もあります。

いくら防食性が高いといっても、絶対に錆びないわけではありません。台風などで飛んできたものがぶつかり、傷や凹みができて、そこから錆びてしまうことも。

近年ではガルバリウム鋼板の進化形といわれるSGL(スーパーガルバリウム)鋼板も登場しました。SLG鋼板の耐久性は、ガルバリウム鋼板の約3倍と言われています。

防火性が高く独特の風合いの「ALC」

ALCは「Autoclaved Lightweight Aerated Concrete」の略で、直訳すると「高温高圧の蒸気で処理をした軽量気泡コンクリート」となります。その名の通りコンクリートですが、内部に細かい気泡が入っていて軽量という特徴があります。

内部の気泡によって、一般的なコンクリートよりも耐熱性・断熱性が高くなっているので、外壁に使うと夏は涼しく、冬は暖かく過ごせることでしょう。耐久性・耐震性も高く、定期的にメンテナンスを行えば50年以上は保つと言われています。

デメリットは、水に弱いことです。細かな気泡に水が染み込むと、ひび割れや膨張の原因になります。そのため、生産時には表面の防水加工が施されていますが、さらに定期メンテナンスでも防水処理をする必要があります。

またALCの外壁材は、サイディングボードよりサイズが小さいため、継ぎ目が多くなってしまうというデメリットが。さらに施工費も高めで、窯業系サイディングの2倍くらいかかってしまいます。

メンテナンスフリーの「タイル」

タイルは、粘土などを高温で焼き固めた板状の建材です。タイルというと、浴室の床のようなツルツルのものを思い浮かべるかもしれませんが、さまざまな質感のものがあり、色のバリエーションも豊富です。工法としては、モルタルの上にタイルを貼っていく湿式と、弾性接着剤を使った乾式があります。

外壁をタイル貼りにするメリットは、メンテナンスの手間がかからないことでしょう。タイルは耐久性・耐候性に優れているので、時間が経っても劣化が目立ちません

タイル表面が汚れたら、高圧洗浄機などで水洗いすればいいだけ。ただし目地部分については、約10年に一度のメンテナンスが必要です。

タイルのデメリットは、建築費がかかることでしょう。現在主流となっているサイディングと比較すると、約2倍の工賃がかかります。

木の風合いが魅力の「羽目板」

羽目板とは、木をパネル状態に加工して貼り合わせた外壁をいいます。考えようによっては、サイディングの一種といえるでしょう。

羽目板は日本の伝統住宅でよく使われているため、和風のイメージがあるかもしれません。しかし、洋風の家にも合いますし、上から塗料を塗ってまったく違う色に変えることもできます。また、羽目板の基本は木の板を横長に貼っていきますが、縦長に貼る「縦羽目」という技法もあります。

羽目板の特徴は、なんといっても木目の美しさと暖かみが感じられることでしょう。木には断熱効果や調湿効果があり、高温多湿な日本の気候にもぴったりです。

木の耐久年数は100年と言われていますが、長持ちさせるにはこまめなメンテナンスが欠かせません。シロアリ被害が起きたり、カビが生えたりといったリスクもあるので、メンテナンスはプロに依頼した方が無難です

羽目板に使う木の材質にもよりますが、サイディングに比べると施工費がかかります。国産の無垢の天然木ともなれば、施工にしろメンテナンスにしろかなりの金額がかかると考えておきましょう。

緑豊かで遮熱性の高い「壁面緑化」

壁面緑化とは、建物の壁を植物で覆うことです。壁の上にネットやワイヤーを設置して、そこに植物を這わせていきます。

壁面緑化に使われる植物は、主にアイビーなどのツル性植物です。アイビーにスイカズラやノウゼンカズラなど、花が咲く植物を混ぜて植えることもあります。

アイビーは常緑植物ですが、ナツヅタのように秋には紅葉し、冬には落葉する植物を使うと、季節によって違う雰囲気が楽しめます。ゴーヤやヒョウタンで、夏の間だけ壁面緑化を楽しむといった方法もあります。

壁面緑化には断熱や保温の効果があるので、冷暖房費が節約できます。光合成によって二酸化炭素を吸って酸素を吐き出して、空気もきれいに感じることでしょう。

また、劣化の原因となる紫外線が壁に当たらなくなるので、壁面の劣化を防げます。都市部なら、ヒートアイランド現象の緩和といった環境への効果も期待できるでしょう。

ただし壁面緑化は、植物の手入れに手間がかかるというデメリットがあります。手入れが行き届かず枯れてしまうと、予想以上にみすぼらしくなってしまいます。

また植物の種類によっては、虫が発生したり、落葉で排水溝が埋まってしまったりといったことも。維持管理がしっかりできるライフスタイルの場合にしかおすすめできません。

新築の家の外壁をどうするか、決める際の3つのポイント

外壁をどうするか迷った際には、どこに重点をおいて決めたらいいのでしょうか。外壁選びのポイントを3つご紹介します。

外壁の色やデザイン

外壁を選ぶ際に、まず考えたいのはドアや窓とのバランスです。ドアや窓のデザインや色は、外壁よりも自由度が低いので、外壁の色やデザインをドアや窓に合わせるほうが決めやすいことでしょう。

また周囲の家や風景と、あまりにかけ離れた色やデザインはおすすめできません。家は長く住むものです。最初は気に入って選んだ色やデザインでも、奇抜すぎると悪目立ちして、やがて飽きが来てしまいます。

真っ白や真っ黒の外壁は、傷や汚れが目立ってしまいます。少しほかの色を混ぜたアイボリーやグレーの外壁のほうが、汚れが気になりません。また、濃い色より薄い色のほうが、劣化が目立ちにくくなります

関連記事:窓サッシは何を選べばよいの?選び方や4つの素材の特徴とメリット・デメリット

外壁素材の機能性

外壁は家全体を包むものです。外壁の機能性は、家の機能に直結すると考えておきましょう。

耐久性はもちろんのこと、断熱性、防火性、防音性、耐震性など、外壁によってさまざまな機能を持っています。外壁材の上に塗料を塗って、機能性をあげることもできます。なかには、雨で汚れを洗い流すセルフクリーニング機能をもつ外壁材も。

家が建つ環境などを考えて、外壁にどんな機能がほしいのか検討してみましょう。

関連記事:高気密・高断熱住宅とは? メリットとデメリットを徹底解説

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価格

外壁の施工費は、ダイレクトに建築費に響いてきます。どうしても予算がとれなくて、希望の外壁材を選べないこともあるでしょう。

ただひとつ気をつけておきたいのは、後々のメンテナンス費用です。安い外壁材を選んだ結果、断熱性が低いので光熱費が高くつく、耐久性が低いため定期的なメンテナンス費用がかかるといったことも珍しくありません。

外壁を考える際には、目先の建築費のことだけではなく、長期的な目線で考えることが大切です。

まとめ

外壁材にはさまざまな種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。どんなに理想通りの外観を実現しても、毎日の生活が快適になるとは限りません。それぞれの外壁材の特徴を知った上で、見た目を優先するのか、機能を優先するのか、はたまた周囲の家との調和を優先するのかなど、十分に考慮して決めたいものです。

タクトホームはこれまでに多数の建築実績があり、取り扱ってきた外壁材も数えきれません。どんなご希望も安定した技術力で実現できますし、お客様のイメージや予算をお伝えいただければ、ぴったりの外壁材をご提案します。ぜひお気軽にご相談ください。

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