- 新築を建てるなら、家庭用蓄電池を設置するべきなのだろうか?
- 導入すれば、どんなメリットがあるのだろうか?
- 費用はどのくらいかかるのか?
上記のように考えている人は多いのではないでしょうか?家庭用蓄電池がひとつあれば、新しい生活での電気代を抑えられるかもしれません。
しかし、よく知らないまま導入すると、むしろ余計な設置費用を支払うだけで終わってしまう可能性もあります。そこで本記事では、新築における家庭用蓄電池のメリットや費用などを解説します。
Contents
家庭用蓄電池とは?新築で利用される理由
まずは家庭用蓄電池がどういうものかを確認し、そのあとに新築で利用される理由を解説します。
家庭用蓄電池=自宅でストックできるシステム
家庭用蓄電池とは、自宅で一定量の電気を貯めておける装置のことを指します。主に、太陽光発電もしくは電力会社から供給されたものをストックする仕組みです。
貯めておける電量は、家庭用蓄電池の種類やメーカーによってさまざまで、中には数日間、住宅全体の電力をまかなえる量を貯められる大容量タイプのものもあります。
家庭用蓄電池があれば、停電時にも電力を供給できます。また、電気料金が高額な時間帯に充電を開放するなどして、電気料金の負担を減らすことも可能です。
後ほど解説するように、家庭用蓄電池は東日本大震災などの影響で需要が高まり、新築住宅でも導入されるケースが増えています。
蓄電池のタイプは2つ
家庭用蓄電池は2つのタイプに分けられます。
- 移動式
- 定置式
移動式とは、持ち歩ける程度のサイズ・重量の家庭用蓄電池です。災害時に電力供給が必要な際に持ち込むなどの活用方法があります。
持ち歩くことを想定しているため、最大充電容量が少ないケースも。
一方で定置式は、ある場所に固定するタイプです。移動式と異なり持ち運びはできませんが、その分充電容量が多いのがメリットです。
家庭用蓄電池が必要とされる背景
新築・後付け問わず家庭用蓄電池が必要とされる背景として、2011年に発生した東日本大震災が挙げられます。
同災害では津波の影響で、太平洋に面する発電設備の大半が運転を停止。東北電力管轄内に限定しても466万戸以上で停電が発生しました。
さらに発電量が落ちたため電力不足が懸念され、主に関東県内で意図的に停電を発生させる「輪番停電」まで実施されます。
ここで、一時的に電力を貯めておける家庭用蓄電池が注目され始めました。実際、2011年4月23日の朝日新聞による報道では、家庭用蓄電池への問い合わせが続々と増えているとされています。
(引用:朝日新聞社)
また、東日本大震災という大惨事を経験したことにより、「大規模な停電は、現実として起こりうるため、備えが必要だ」と考える人が増えました。
こういった背景があり、家庭用蓄電池は主に非常用電源として注目されるに至っています。
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家庭用蓄電池にかかる費用は?利用できる補助金制度
災害時のバックアップという重要な役割を担う家庭用蓄電池ですが、決して安い値段のものではありません。しかし、日本政府は家庭用蓄電池普及に積極的であり、具体的な補助金制度も用意しています。
初期費用は100万円〜200万円
家庭用蓄電池にかかる初期費用は、メーカーごとでばらつきがありますが、おおむね100万円から200万円ほどかかると考えましょう。
「費用が高い」と感じた人も多いはずです。元を取るには、長ければ10年ほどかかるかもしれません。
価格が高い背景には、家庭用蓄電池に相当な製造コストがかかる点が関係します。高価なリチウムイオン電池を大量に必要とし、さらには希少な金属とされるコバルトも原材料として用意しなければいけません。
このように、作る段階でお金がかかるため、価格も高くなります。
また、使用に耐えうる家庭用蓄電池が普及していない一方で需要が大きいのも、初期費用を高騰させている要因といえるでしょう。
家庭用蓄電池が注目されるようになったのは、2011年あたりです。この頃から震災を発端に需要が高まりましたが、当時はまだ、機能性や充電容量にすぐれる蓄電池は、家庭向けにはあまり販売されていませんでした。
現在は各社が需要の存在を理解し、非常用電源としても申し分ない性能の家庭用蓄電池をリリースしています。しかしまだ利益構造が出来上がっておらず、メーカーも高い初期費用を設定しなければ元が取れない、という状態です。
こういった背景から、家庭用蓄電池の初期費用は100万円から200万円とやや高くなっています。
利用できる補助金制度の一例
一方で、家庭用蓄電池の導入費用を援助する各種補助金制度も存在します。これは蓄電池普及を目指す日本政府や地方自治体などが主導して運用しているものです。
例えば2022年、東京都葛飾区では、蓄電池機器導入に関して、「個人住宅用かつしかエコ助成金」が用意されていました。これは、新築住宅などに家庭用蓄電池を設置する際、200,000円が補助金として支給されるというものです。
2023年には、東京都によって「災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」が開始しました。この制度を利用すれば、最大で1,500万円の助成金が給付されます。
(引用:東京環境局)
さらに「需要家主導による太陽光発電導入促進補助金」という大きな事業が発足しています。同事業では165億円もの予算が割かれており、ここから補助金が捻出されるとみられます。
蓄電池に関しては、ありとあらゆる助成制度が用意されているのがうかがえます。
その年で利用できる補助金制度はないか、あるとすればいくら補助されるのか、事前に確認するとよいでしょう。
各自治体のホームページや、市町村役所で問い合わせれば、補助金に関して正しい情報が得られます。特に蓄電池の設置時期や発電設備容量、太陽光発電の有無が給付条件に関係しているケースもあるため、注意してください。
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家庭用蓄電池の種類と選び方
家庭用蓄電池には、移動式と定置式、2つのタイプがあると解説しました。さらに電気を貯めるために使われている原材料に応じて、以下4つの種類に大別されます。
- 鉛蓄
- ニッケル水素
- リチウムイオン池
乾電池には、アルカリやマンガンなどの種類があります。同様に、家庭用蓄電池にも上記のような種類があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。各種を下記で詳しく解説しますので、ご参考にしてください。
鉛蓄
鉛蓄(鉛蓄電池)は、世界的に見てもポピュラーな種類です。
鉛は原材料として安価な部類に入り、リサイクルもしやすいことで知られています。したがって、鉛を使った家庭用蓄電池は、比較的安く導入できるでしょう。
しかし、蓄電の効率が悪く、サイズ・重量ともに大きくなりやすいというデメリットがあります。
ニッケル水素
ニッケル水素を使う家庭用蓄電池は、環境問題を引き起こすとされた「ニカド電池」の代替え品として普及したものです。
出力と充電量が高く、また過充電による劣化も起こりづらいという利点があります。一方で「自然に放電される」という特性があり、勝手に容量が減ってしまうデメリットも。
リチウムイオン
家庭用蓄電池の種類において、もっとも適性が高いのがリチウムイオンです。これを使っている場合は軽量であり、またサイズも小さくなります。
さらには充電が完了するまでの時間が短いのも利点です。さらには長寿命な電池でもあり、長ければ20年ほど使い続けられます。
唯一のデメリットは、価格がやや高い点と、低温環境では動作が不安定になる点です。導入にあたっては、補助金などを利用したり設置する場所の温度を把握したりと、色々と配慮する必要が出てきます。
まとめ
本記事で新築における家庭用蓄電池に関して解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしましょう。
- 家庭用蓄電池=自宅で電気を貯めておける電池のこと
- 太陽光発電や電力会社から得た電気をストックできる
- 非常用電源としての役割や電気料金の軽減効果が注目され、新築住宅に設置されるケースが増えている
- 持ち運べる「移動式」と、ある場所に固定する「定置式」の2種類がある
- 初期費用は100万円から200万円と決して安くはない
- 一方で補助金制度を利用すれば、費用を軽減できる
- 蓄電池には鉛やニッケルなどの種類がある
- それぞれにメリットやデメリット、価格の違いがあり、総合判断するのが重要
東日本大震災をきっかけに家庭用蓄電池の存在が注目されるようになりました。災害時には非常用電源にもなり、地震などの多い日本では重要な存在だといえるでしょう。
電気料金の軽減効果もあり、新築で積極的に導入されるのもうなずけます。
一方で家庭用蓄電池は、未だ価格が高い傾向にあります。そもそも原材料が希少だったり、特殊な加工技術が必要だったりするためです。
今後はより安価な家庭用蓄電池が製造できるようになったり、需要が落ち着いて価格競争になったりする可能性があります。
したがって、現時点で、新築住宅を建てる際、あわてて家庭用蓄電池を導入する必要はないでしょう。安価になってきた際に、太陽光発電などとともに設置するか否か考えれば問題ありません。
タクトホームの住宅ブランド「グラファーレ」では、59,000件以上の施工経験から得られたノウハウや技術に基づいて、高度な設備や洗練されたデザインを提供しています。
また家庭用蓄電池と将来的には連動させることになる太陽光パネルに関しても精通。
もし新築住宅を検討されているなら、ぜひ一度タクトホームへご相談ください。
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