注文住宅を建てる際、屋根のメンテナンス性能や断熱性能などを考慮してどの屋根にするか迷っている方もいらっしゃるでしょう。アップグレードすると性能は上がるものの、初期費用が高くなり、果たしてかけた費用分のメリットがあるかどうか分かりづらい、といった方もいらっしゃるのではないでしょうか。本記事では、そうした方に向けて、屋根の種類を5つに分けて、それぞれの特徴やメリット・デメリットをご紹介していきます。
Contents
屋根材にもいろいろある?
屋根材とは屋根を造る建材のことを言います。
一昔の屋根と言えば瓦が主流でした。
しかし、近年はさまざまな種類の屋根材があり、種類によって値段や性能・デザインが大きく異なってくるのです。
屋根は、普段じっくり見ることはなく外観によってはあまり見えない場合もあるでしょう。
だからと言って屋根材を適当に決めるのはおすすめできません。
屋根には、主に次の様な役割があります。
- 雨風をしのぐ
- 太陽光を遮断する
屋根の最も大きな役割が雨風をしのぐことです。
屋根があることで建物を雨風や自然災害から守るだけでなく、水の侵入を防ぐことでカビや家の劣化なども防げます。
また、屋根は太陽の光を最も多く受ける場所です。
屋根で受けた熱をそのまま室内に入れてしまうと室温が上昇し過ごしにくいだけでなく、冷暖房費もかさんでしまうでしょう。
そのため、屋根の防水性や断熱性などは重要になってくるのです。
見た目や性能だけでなく、屋根の重量も耐震性に関わってくる大きなポイントになります。
このように、屋根は快適・安全に過ごすために重要な役割を担うのです。
とはいえ、屋根の防水性や耐熱性・重量などは屋根材によって異なります。
快適に生活するためにも屋根材の性能などをしっかりと考慮して、屋根を選ぶようにしましょう。
屋根材には、大きく次の5つの種類があります。
- スレート
- アスファルトシングル
- 瓦
- ガルバリウム鋼板
- トタン
以下ではそれぞれの屋根材ごとの特徴やメリット・デメリットを詳しく解説していきます。
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屋根材の種類1:スレートの特徴とメリット・デメリット
現在の住宅の主流と言えるのが「スレート」と呼ばれる屋根材です。
代表的な商品名である「コロニアル」や「カラーベスト」と呼ばれることもあります。
スレートの特徴
主な素材 | 繊維素材とセメントの混合 |
寿命 | 15~20年 |
費用目安 | 4,500円~8,000円/㎡ |
スレートとは、繊維材料をセメントと混合してできる薄い板状の素材のことを言います。
加工がしやすくデザインやカラーが豊富にあり、安価なことからも人気があります。
スレートには大きく次の2種類があります。
天然スレート:天然石や粘土板などを使ったスレート
化粧スレート:セメントで加工したスレート
天然スレートは、天然石の独特な風合いがあり耐久性にも優れていますが、価格や工事費が高くなることから利用される住宅は多くありません。
一般的な屋根材としては、化粧スレートを利用するケースが多いでしょう。
スレートのメリット
スレートのメリットとしては、次のようなことが挙げられます。
- 安価
- 耐火性や断熱性が高い
- デザインやカラーが豊富
- 軽量
- 取り扱い業者が多い
スレートは、他の屋根材に比べ安価で施工できるというメリットがあります。
業者によって異なりますが、瓦の価格の70~80%くらいの価格でできるのが一般的でしょう。
加工性にも優れており、豊富なデザインやカラーの選択肢があり、和洋問わず家の雰囲気に合わせて選べます。
薄い形状で軽量のため耐震性を考慮した家を作りたい場合にも適しています。
また、広く普及している屋根材であることから、多くの施工業者で取り扱っているという点もメリットと言えるでしょう。
スレートのデメリット
デメリットとしては、次のようなことが挙げられます。
- ひび割れしやすい
- 飛んでしまう恐れがある
- 定期的なメンテナンスが必要
- シンプルなデザインになる
スレート屋根は薄くて軽量な反面、耐久性が低いというデメリットがあります。
人の重さや飛来物、水分の吸収や乾燥でひび割れしやすく、強風時には吹き飛ばされやすいので注意しましょう。
ひび割れなどを放置すると雨水が室内に侵入し劣化を早めてしまうため、定期的な塗装や補修などのメンテナンスは欠かせません。
また、ざらざらな表面であることからもコケやカビが発生しやすく、放置していると防水性に影響が出る恐れもあります。
スレート屋根の寿命は15~20年ほどとなり、メンテナンスについては5~8年毎に必要になってくるでしょう。
一般的に広く使われている素材であり形状もシンプルなため、個性的なデザインの屋根を求めている人には不向きと言えます。
屋根材の種類2:アスファルトシングルの特徴とメリット・デメリット
アメリカで多く利用され、近年日本でも取り入れる家が増えているのがアスファルトシングルです。
アスファルトシングルの特徴
主な素材 | グラスファイバー・アスファルト |
寿命 | 20~30年 |
費用目安 | 6,000円~8,000円/㎡ |
アスファルトシングルとは、ガラス繊維にアスファルトをしみこませ、細かい天然石を吹き付けて製造する薄いシート状の屋根材です。
北米では100年以上前から使用されており、アメリカを中心に現在でも多くの住宅で利用されています。
軽量で施工性が高く、また、おしゃれな雰囲気から日本での人気が高まっているのです。
アスファルトシングルのメリット
アスファルトシングルのメリットとしては、次のようなことが挙げられます。
- 耐久性・防音性・耐水性が高い
- 耐震性が高い
- どんな形状の屋根でも使用できる
- デザイン性が高い
アスファルトシングルは細かい石粒が表面に吹き付けられているため、防音性や耐久性・耐水性が高いというメリットがあります。
瓦やスレートよりも軽いため、耐震性をアップさせやすいでしょう。
アスファルトシングルは薄いシート状をしており柔らかく、ハサミでもカットできることから施行性が高いという魅力もあります。
丸みのある屋根や複雑な形の屋根など、屋根の形状を問わず施工しやすので外観にこだわりがある人にもおすすめです。
また、吹き付ける石によってさまざまな風合いを出すことができます。
形状やカラーなどさまざまな種類がありデザイン性が高いため、和洋問わず合わせられ、おしゃれな家を演出しやすくなるでしょう。
・アスファルトシングルのデメリット
デメリットとしては、次のようなことが挙げられます。
- 吹き飛ばされる恐れがある
- コケやカビが発生しやすい
- 石粒が落ちてくる
- 定期的なメンテナンスが必要
- 施工できる業者が限られている
アスファルトシングルは軽量で柔らかな素材であるため、強風に弱いというデメリットがあります。
強風で反ってしまったり飛ばされたりなど破損の恐れがあり、破損個所を放置していると水が屋内に侵入してしまいます。
また、乾きにくい素材でもあるのでカビやコケが発生しやすい点にも注意が必要です。
カビやコケを放置していると見た目を損なうだけでなく、屋根の劣化を早めてしまいます。
表面を小さな石でコーティングしていることから、年数が経過すると表面の石粒が落ちてくる場合もあります。
定期的な塗装などのメンテナンスを欠かさないようにしましょう。
アスファルトシングルは比較的新しい素材であるため、施工に対応している業者がまだ少ない点にも注意が必要です。
アスファルトシングルの屋根を検討している場合は、事前に施工業者に取扱いがあるのかを確認するとよいでしょう。
屋根材の種類3:瓦の特徴とメリット・デメリット
一昔前の家で主流となっていた屋根材が瓦です。
近年は価格や重量・デザインなどの面から利用する住宅は少なくなってきています。
しかし、独特の雰囲気から古民家風や昔ながらの雰囲気を求める人などからは人気があります。
瓦の特徴
主な素材 | 粘土やセメント |
寿命 | 30~100年 |
費用目安 | 6,000円~12,000円/㎡ |
瓦には、大きく粘土を焼き固めた「粘土瓦」とセメントに砂や水を加えて成型した「セメント瓦」があります。
さらに製法などによって「いぶし瓦」や「陶器瓦」「釉薬瓦」などさまざまな種類があります。
瓦と言えば和のイメージを持つ人も多いでしょう。
しかし、瓦の中には洋瓦と呼ばれる、海外の住宅で使われていた瓦もあります。
重厚な印象の強い和瓦に比べ、洋瓦は比較的デザインがおしゃれでカラーも豊富という特徴があり和瓦を洋瓦に変えるだけでも大きく印象を変えることが可能です。
瓦のメリット
瓦のメリットとしては次のようなことが挙げられます。
- 耐火性に優れている
- 遮音性や断熱性が高い
- 1枚単位で交換できる
- 趣のある印象にできる
瓦は他の屋根材に比べ厚みや重さがあるため、耐久性や遮音性・断熱性が高いというメリットがあります。
素材を焼き固めた粘土瓦は耐火性に優れているだけでなく、耐久性にも優れているので寿命も長いという特徴があるのです。
屋根の下地の上に瓦を乗せて屋根を作るため、下地と瓦の間に空気層が生まれます。
この空気層が断熱性を高めてくれるので、外気の影響を受けにくくなるのです。
また、ひび割れなどが発生しても1枚単位で交換ができるのでメンテナンス費用を抑えやすいでしょう。
和瓦であれば日本家屋との相性がよく、洋瓦を使用することで洋風な家であっても趣のある雰囲気を演出することが可能です。
瓦のデメリット
瓦のデメリットとしては、次のようなことが挙げられます。
- 地震の揺れに弱い
- 瓦が落ちてしまう可能性がある
- 費用が高額になる
- 取り扱える業者が減少している
瓦屋根は重量が他の屋根材に比べ重くなるため、屋根全体が重くなります。
屋根が重い状態で建物が軽いと地震の揺れに弱くなってしまうので、耐震性には注意が必要です。
瓦屋根にする場合は、屋根と建物のバランスを考え耐震性を上げる工夫を施すようにしましょう。
また、瓦を造るには専門の技術が必要になり、瓦によっては費用が高額になります。
瓦だけでなく、瓦の重さに耐えられるような家の構造にする必要もあるため、総合的な費用も高くなる恐れがあるでしょう。
瓦の利用が少ない現在では、取り扱える職人も減少している点にも注意が必要です。
屋根材の種類4:ガルバリウム鋼板の特徴とメリット・デメリット
金属製の屋根材として近年人気があるのがガルバリウム鋼板です。
軽量で防火性・耐久性などに優れていることから、屋根材や外壁材としても注目されています。
ガルバリウム鋼板の特徴
主な素材 | アルミニウム・亜鉛・シリコンメッキ鋼板 |
寿命 | 30~40年 |
費用目安 | 6,000円~9,000円/㎡ |
ガルバリウム鋼板とは、アルミニウム・亜鉛・シリコンでできたガルバリウムと呼ばれる合金でメッキ加工を施した鋼板のことです。
ガルバリウム鋼板は、金属でありながらサビに強く耐久性も高いという特徴があります。
ガルバリウム鋼板のメリット
ガルバリウム鋼板のメリットとしては、次のようなことが挙げられます。
- サビにくい
- 耐火性に優れている
- 施工性が高い
- 耐震性が高い
屋根にサビが発生すると、見た目を損なうだけでなく、放置しておくと穴が開いてしまう恐れもあるものです。
金属製の屋根は腐食によりサビやすいというデメリットがありますが、ガルバリウム鋼板は他のアルミやトタンに比べてサビにくいという特徴があります。
また、非常に軽い屋根材でもあるため、建物への重さの負担を軽くでき、耐震性を高くしやすいというメリットもあります。
ガルバリウム鋼板のデメリット
デメリットとしては、次のようなことが挙げられます。
- 断熱性が低い
- 衝撃に弱い
- 遮音性が低い
- サビてしまうこともある
ガルバリウム鋼板は金属素材であるため、断熱性が低くなる点には注意が必要です。
ただし、近年は断熱性を備えたガルバリウム鋼板も登場しているので、ガルバリウム鋼板で屋根を検討している場合は、業者にどのような性能があるかは確認するようにしましょう。
とても薄い形状であることから、衝撃にも弱く凹みやすい・遮音性も低いというデメリットもあります。
雨音なども大きく響くといったケースもあるので、注意しましょう。
また、トタンなどに比べてサビにくいとはいえ金属ではあるので、絶対サビないというわけではありません。
サビを防ぐためには定期的な塗装などのメンテナンスが必要です。
ガルバリウム鋼板の場合は、断熱性や遮音性などを上げるために家の性能アップの費用がかかってくる可能性には注意しましょう。
屋根材の種類5:トタンの特徴とメリット・デメリット
薄い金属であるトタンは、その価格の安さから、以前まで多くの家屋で利用されていた屋根材です。
トタンの特徴
主な素材 | 亜鉛メッキ鋼板 |
寿命 | 10~20年 |
費用目安 | 5,000円~6,000円/㎡ |
トタンとは、鉄板を亜鉛でメッキ加工した屋根材です。
薄く軽い形状であり施工性も高いことから、戦後多くの家屋で使用されていました。
しかし、断熱性の低さやサビやすいといったデメリットから、近年はあまり使用されていません。
トタンのメリット
トタンのメリットとしては、次のようなことが挙げられます。
- 価格が安い
- 施工性が高い
- カラーバリエーションが豊富
- 雨漏りしにくい
- 耐震性が高い
トタンの大きな魅力が価格の安さです。
施行も簡単にできることから、低コストで設置できることもあり一時期主流になっていました。
また、継ぎ目が少なく、屋根の傾斜が緩い場合でも雨漏りしにくいというメリットもあります。
薄い金属板で非常に軽いため、建物への負担をなくし耐震性をアップさせやすくなるでしょう。
トタンのデメリット
デメリットとしては、次のようなことが挙げられます。
- サビやすい
- 断熱性や遮音性が低い
- 定期的な塗装が必要
- 見た目が貧相になる
金属素材であるトタンはサビやすいというデメリットがあります。
雨水などですぐにサビができてしまい、放置していると屋根に穴が開いてしまうので、雨漏りしやすくなります。
一度サビができた状態で塗装しても効果が低くなるため、サビが出る前に塗装が必要になるため定期メンテナンスの回数も多くなるでしょう。
また、薄い金属であることから断熱性や遮音性は低い点にも注意が必要です。
戦後多くの家屋で使われていたトタンですが、現在ではスレートやガルバリウム鋼板が主流となりトタンはあまり利用されていません。
現在では倉庫や古い建物でしか見かけないため、トタン屋根は貧相なイメージを持たれやすいでしょう。
さらに、サビが付きやすいことで見た目の印象が悪くなる点には注意が必要です。
まとめ
屋根材の種類について、5つに分けてそれぞれの特徴やメリット・デメリットをご紹介しました。屋根材にはさまざまな種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。断熱性能やメンテナンス性についても考える必要があるため、住宅会社の担当者と相談しながら自分の希望にあったものを選ぶことが大切だといえるでしょう。
屋根材にお悩みの方は、まずはタクトホームにご相談くださいませ。
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