新しい家を建てようと思ったとき、最初にしなければならないのが土地探しです。でも何を基準に、どうやって土地探したらいいのか分からない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。土地購入にかけられる予算と、土地の広さだけに注目してしまうと、思わぬ失敗につながることも。そうならないために、土地探しのコツや土地のチェックポイントをご紹介します。
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土地探しをするなら、最初に決めておきたいこと
やみくもに探しても、理想の土地に巡り会えるものではありません。まずは事前にいくつかのポイントを押さえておくことで、土地探しがとても楽になります。
まず決めるべきはエリアと予算
家を建てる土地を探すなら、まず決めておきたいのが「エリア」と「予算」です。どのあたりの土地にするのか、土地の購入にかけられる予算はいくらなのかを決めないと、土地探しが始まらないといってもいいでしょう。
土地探しのエリアと予算は、非常に密接に関係しています。同じ予算でも、都市部と農村部では、購入できる土地の広さがまったく違ってくるからです。
たとえば住みたいエリアがあっても、予算が少なければ小さな土地しか買えません。結果、ごく小さな家しか建てられないと考えてください。
エリアを優先して、狭い家で我慢するのか。多少不便になっても、もっと土地価格の安いエリアで広い土地を買うか。あるいは、親に援助してもらうなどして、予算を増やすのか。どれが自分の理想に近いのか、よく考えて決めましょう。
また、土地探しをするエリアはひとつに絞らないほうが、理想の土地と出会える確率が上がります。候補エリアを3~4カ所くらい挙げて、幅広い情報を集めるようにしましょう。
ひとつ注意しておきたいのは、土地の購入には土地代以外の諸経費がかかることです。売り主との直接取引でない限り仲介手数料がかかりますし、土地の登記にかかる登録免許税や、売買契約書に貼る印紙代も必要です。
土地購入にかかる諸経費は、合計すると意外に大きな金額になりますし、その場で現金で支払わなければいけないものも多々あります。予算を組む際には、諸経費のことも考えに入れておきましょう。
土地探しでの優先順位を決める
「駅から近い場所がいい」「子育てのしやすい土地だといいな」「日当たりのいい庭でガーデニングを楽しみたい」……。家を立てる土地を買うにあたっては、誰でもさまざまな希望があると思います。
でも、すべての希望を満たせる土地は、そうそう見つかるものではありません。場合によっては、希望の一部を諦めなければならないこともあるでしょう。
土地探しの前には、どんな条件を優先するかの順位を決めておくことも大切です。そのためにはまず、土地や家についての希望をすべて書き出してみてください。
すべての希望を洗い出すには、土地を買って家を建てた後の生活を具体的に想像してみるといいでしょう。ポイントは、現在の状態だけでなく、10年後、20年後の生活を想像することです。
すべて書き出したら、今度は「絶対に叶えたいもの」と「諦めてもいいもの」に分けます。さらに絶対に叶えたいものの中で、優先順位をつけていきます。これで、土地を探すにしても、ある程度の条件が絞れてきたはずです。
加えて、「これだけは絶対に避けたい」というNG条件も考えてみましょう。NG条件に当てはまる土地は、ほかがどんなに理想通りであっても、後悔につながるので買うべきではありません。
家族全員でよく話し合い、きちんと優先順位をつけることで、満足のいく土地選びができることでしょう。
あらかじめ知っておきたい、土地探しの基礎知識
家を建てる土地を探していると、専門用語を耳にすることがあります。言葉の意味を知っておかないと、勘違いから土地選びに失敗してしまうこともあります。
それぞれの用語や、詳しい計算方法まで知る必要はありませんが、大体の言葉の意味はあらかじめ押さえておきましょう。
坪単価とは?
土地を購入する際の「坪単価」とは、1坪あたりの土地の値段のことです。1坪は畳2枚分の広さで、メートル法でいうと約3.3平方メートルです。
「坪」は明治時代に定められた尺貫法での単位ですが、土地取引では未だによく使われています。広さの違う土地の値段を比べる際に、1坪あたりの単価で比較すると分かりやすくなります。
土地の取引以外でも、家を建築する際に「坪単価」が出てくることがあります。これは建築費用の総額を、建物の延べ床面積で割ったもので、「1坪あたりいくらの建築費用がかかるのか」の目安になります。
土地取引の坪単価と、家の建築費用の坪単価、それぞれの意味の違いを理解しておかないと、不動産業者や建築会社との打ち合わせで、行き違いが起こることも。いざという時に混乱しないよう、しっかり覚えておきましょう。
建ぺい率と容積率とは?
建ぺい率とは、敷地面積に対してどのくらいの大きさの家が建てられるかを示したものです。漢字では「建蔽率」あるいは「建坪率」と表記します。
たとえば100平方メートルの土地で、建ぺい率が90%だったとしましょう。これは最大90平方メートルまでは建物を建ててもいい広さで、残り10%に当たる10平方メートルは残しておかなければなりません。
もし土地を買った人全員が、敷地の端ギリギリまで家を建ててしまうと、建物同士が密集して生活環境が悪くなったり、火事の際に延焼しやすくなったりといったことが起こります。そういった事態をさけるため、建ぺい率が定められているのです。
容積率とは、敷地面積に対する建物の延べ床面積の割合を示したものです。100平方メートルの土地で、容積率200%なら、最大で200平方メートルの延べ床面積をもつ建物が建てられるということです。
延べ床面積は、建物内の床面積をすべて合わせたもの。同じ大きさの家なら、平屋より2階建てのほうが延べ床面積は大きくなります。
建ぺい率と容積率を合わせて考えると、その土地にどのくらいの大きさの建物が建てられるのかが分かります。建ぺい率と容積率は、土地によって法律で定められているので、都合が悪いからといって変更することはできません。
関連記事:建ぺい率、容積率とは? 言葉の意味や計算方法を知っておこう
用途地域とは?
用途地域とは、土地をエリアごとに区切って「居住地域」「商業地域」「工業地域」のように用途を定めたものです。「都市計画法」という法律に基づいて決められています。
たとえば静かな住宅街に突然大きな工場ができたら、騒音などで悩まされることになりかねません。そういった事態を避けるために、あらかじめ用途地域が定められているのです。
用途地域を確認すると、そこがどんな雰囲気の土地なのかを大まかに知ることができます。どんな用途地域があるか一覧を挙げておくので、ぜひ参考にしてみてください。
第一種低層住居専用地域 | 低層住宅専用の地域です。小規模店舗や小中学校も建てられます。 |
第二種低層住居専用地域 | 低層住宅が主となる地域です。150平方メートル以下の店舗や、小中学校も建てられます。 |
第一種中高層住居専用地域 | 中高層住宅専用の地域です。500平方メートル以下の店舗や、大学、病院なども建てられます。 |
第二種中高層住居専用地域 | 中高層住宅が主となる地域です。1500平方メートル以下の店舗や、大学、病院なども建てられます。 |
第一種住居地域 | 住環境を守ることに特化した地域です。3000平方メートル以下の店舗、事務所、ホテルなども建てられます。 |
第二種住居地域 | 住環境を守ることを主にした地域です。店舗、事務所、ホテル、カラオケボックスなども建てられます。 |
準住居地域 | 道路の設備と住居、両方の環境を保護するための地域です。 |
田園住居地域 | 農業と低層住宅、両方の環境を守るための地域です。 |
近隣商業地域 | 周辺の住民が日用品を買うための地域です。住宅や店舗のほか、小規模の工場も建てられます。です。住宅や店舗のほか、小規模の工場も建てられます。 |
商業地域 | 百貨店、商業ビル、銀行、映画館などの施設が集まる地域です。住宅や小規模の工場も建てられます。 |
準工業地域 | 工場やサービス施設などが集まる地域です。一部の工場以外は、どんな施設でも建てられます。 |
工業地域 | 工場が主となる地域です。住宅や店舗は建てられますが、学校、病院、ホテルは建てられません。 |
工業専用地域 | 工場専用の地域です。住宅、店舗、学校、病院などは建てられません。 |
関連記事:用途地域とは?種類・特徴・建築制限・調べ方を知って、失敗しない土地選びを!
建築制限とは?
建ぺい率や容積率のほかにも、それぞれの土地によってさまざまな建築制限があります。たとえば、建物の絶対的高さ制限、道路の見通しをよくするための道路斜線制限、隣家の日当たりを確保するための隣地斜線制限などです。
また建築基準法では、幅が4メートル以上の道路に対して、2メートル以上接している土地でないと、建物が建てられないと定められています。これを接道義務といいます。
建築基準法は見直されることがあるので、最初に家を建てた時には大丈夫だったけれど、建て替えをしようと思ったら、改正された法律の制限に引っかかってしまい建て替えられないといったことも起こります。土地を選ぶ際には、そういったリスクも頭の隅に入れておきましょう。
ベストな土地を選ぶためのチェックポイント
候補となる土地が決まったら、本当に購入すべきかどうか、改めて検討してみましょう。その際のチェックポイントをご紹介します。
周辺環境をチェック
土地を購入する前に、一度は必ず現地を訪れてみましょう。データだけでは、実際の住環境や町の雰囲気は分かりません。
駅やバス停までの距離、スーパーマーケットや病院までの距離などは地図でも確認できますが、実際に訪れてみたら間に坂があって、思ったより時間がかかることも。また街灯の数によっては、夜道が暗くて怖いといったこともあります。
日当たりや風通しのよさも、現地で確認したいことのひとつです。データでは分からないことまでしっかりチェックして、満足のいく土地選びをしてみてください。
土地の形と方角をチェック
土地の形や方角も、土地選びには大切です。土地の形がいびつだと、建てられる家にも制限がかかることがあります。
土地の方角は、南向きや東向きのほうが人気で、土地の価格も高くなっています。ただし、価格の安い北向きの土地も、デメリットばかりではありません。
北向きの土地であっても、家を建てるときには南側にリビングやベランダを作ることが多いでしょう。すると、家の開口部が道路に面していないため、プライバシーを守りやすいのです。
また隣地斜線制限を受けないので、家の外観デザインの自由度が上がります。北向きだからといってすぐに候補から外すのではなく、さまざまな条件を考えて土地選びをしてみてください。
関連記事:北向きの家は後悔する?実はメリットも!快適に暮らせる条件を紹介
関連記事:「南向きの土地がベスト」は本当? 注文住宅の建築では土地の方角にも注意
土地の高低差をチェック
土地によっては、前面の道路と高低差があることも。高低差のある土地を購入する場合は、実際に家を建てるにあたってのリスクを考えに入れる必要があります。
道路よりも低い土地では、豪雨の時に道路から水が流れ込んでくることがあります。道路と同じ高さにするには、盛り土をしなければならないので、その分だけ家の建築費が高くなります。
道路より少し高いくらいなら問題はありませんが、道路よりもかなり高い場所にある土地では、土が流れ出さないよう擁壁工事が必要になります。
災害リスクをチェック
いざという時のため、土地を購入する前には災害リスクもチェックしておきましょう。市区町村のホームページなどで公開されているハザードマップを確認するのが一番の早道です。
土地の売買契約では必ず、重要事項説明があります。その際、ハザードマップの添付と説明が義務付けられていますが、災害リスクは早めに分かっていたほうがいいでしょう。
また、その土地の災害リスクだけでなく、避難場所までの距離や道のりも確認しておいたほうが安心です。
どうやって土地を探す? さまざまな方法とメリット・デメリット
理想に近い土地と巡り会うためには、できるだけ多くの手段で、より多くの情報を集めたほうがいいでしょう。考えられる手段と、それぞれのメリット・デメリットを紹介します。
不動産会社に相談する
土地探しの方法として真っ先に思い浮かぶのは、不動産会社に依頼することではないでしょうか。でも、どの不動産会社に依頼するかがポイントになってきます。
不動産会社によっては、賃貸住宅の仲介を主にしていて、土地売買が得意でないこともあります。そのため不動産会社に依頼する際には、まず不動産会社に足を運んで、どんな物件を扱っているのか確認しましょう。
大手の不動産会社では、自社で土地を購入して売買していることがあります。不動産会社から直接土地を購入すると、仲介手数料を支払わなくていいので、諸経費の節約ができるというメリットもあります。
ハウスメーカーに相談する
ハウスメーカーの中には、家を建てるだけでなく、土地の売買を行っているところもあります。ただしハウスメーカーから土地を購入した場合、家の建築をそのハウスメーカーに依頼しなければならない場合がほとんどです。
ハウスメーカーに相談するメリットとしては、土地探しと家の建築を別々に行う手間が省けること。さらに、家の建築とセットで依頼することで、ある程度の値引きをしてもらえる可能性もあります。
あらかじめ建築を依頼したいハウスメーカーが決まっている場合や、少しでも予算を抑えたい場合は、ハウスメーカーに相談してみましょう。
インターネットで探す
近年では、インターネットの不動産情報サイトや土地売買の検索サイトが充実してきました。取り扱っている件数も非常に多いので、相場を調べたり、希望エリアについての情報を集めたりするには最適です。
ただ、ネットに上がっている情報が最新のものとは限りません。ネットで理想の土地を見つけても、連絡してみたらすでに売れていたということも頻繁に起こります。
現地に足を運んで探す
希望エリアが決まっている場合は、現地に足を運んでみるのもひとつの方法です。もし運良く空き地や売り地が見つかったら、近くの不動産屋に行ってみると、その土地の情報を教えてもらえるでしょう。
ただ、現地に行ったからといって、必ず土地が見つかるわけではありません。街の雰囲気や生活環境を確認するついでに、土地も探してみるくらいの気持ちで訪れるのがいいでしょう。
まとめ
家を建てる土地を探すには、まず希望の条件をまとめて優先順位をつけることが大切です。さらに、さまざまな手段でより多くの情報を集めることが、理想の土地と巡り会う早道だといっていいでしょう。
土地探しは、自分と家族のライフステージ作りでもあります。実際にその土地に住んだ場合の生活や、将来像をできるだけ具体的にイメージするのが、土地探しのコツといってもいいかもしれません。
時にはプロの意見を聞くことも重要です。タクトホームは土地探しから家づくりまで、資格を持った専門家がそろっています。土地探しを考え始めたら、まずはタクトホームにご相談ください。皆様やご家族にとってベストな土地を、一緒に探していきましょう。