電化製品などを買うと保証書がついてくるように、住宅にも新築から一定期間は修理費用などが補償される新築住宅保証があります。では、新築住宅保証では、どのくらいの期間、どんな部分の補修が補償されるのでしょうか。新築住宅の保証内容について、詳しく解説します。
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新築住宅で保証される部分
新築住宅の保証には、法律で義務づけられているものと、建築会社が独自に提供しているものがあります。それぞれの違いを詳しく見てみましょう。
新築住宅の保証内容は、大きく分けて「構造」と「設備」の2種類
新築住宅の保証は、大きく2種類に分けられます。ひとつは建物の土台や柱など住宅の基礎構造部分に対するもの、もうひとつはそれ以外、窓サッシなどの建具、壁のクロスなどの内装、キッチンやバストイレなど住宅設備に対する保証です。
このうち、家の基礎構造部分に対する保証については、法律で「最低でもこれだけは保証しなければならない」という範囲が定められています。それを「瑕疵担保責任保証」といいます。
一方、建具や内装、住宅設備に対する保証は、各建築会社や住宅設備メーカーが独自に行っているものです。こちらは特に法律による規定はないため、保証の内容や保証期間は会社ごとに違っています。
新築住宅に対する保証を比較検討する際には、まず何について保証しているものなのかをしっかり把握しておきましょう。そうでないと、正確な比較検討はできません。
法律で定められている「瑕疵担保責任保証」
「瑕疵担保責任保証」は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」によって、各建築会社に義務づけられている保証です。新築住宅を売買する際には、その住宅を建てた建築会社が最低10年間の保証をしなければなりません。
多くの人にとって、新築住宅は決して安くない買い物です。そこに欠陥があると大損になってしまいますが、ブロである建築会社を相手に、欠陥住宅であることを証明して補償を勝ち取るのは、簡単なことではありません。
万が一欠陥住宅を買ってしまっても、一般消費者が泣き寝入りすることのないよう、消費者保護のために瑕疵担保責任保証が定められました。その補償額は、最大で2000万円となっています。
瑕疵担保責任保証は、電化製品などでいう初期不良に対する保証と考えると分かりやすいかもしれません。あくまで初期不良に対する保証なので、故意に家を傷つけたり、災害で家が傷ついたりした場合は、保証の対象外となっています。
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各建築会社が独自に設定しているアフターサービス
新築住宅の基礎構造以外の部分に対する保証も、大きく2つに分けられます。建築会社が独自に設定している保証と、建具や設備といった住宅のパーツを製造した会社による保証です。
建築会社による独自保証の内容は、会社によってさまざまです。A社では毎年の点検、5年ごとにメンテナンス、築10年までは無料で修繕するという内容になっていたとしても、他社が同じ内容を保証しているとは限りません。
またB社では、同社で建築をした住宅にはもれなく無償で保証をつけていたとしましょう。しかしC社では、希望した人の住宅にのみ、有料で保証をつけているといった、建築会社による差が出てきます。
建築会社を選ぶ際には、会社の実績や建築費用で判断するのが一般的ですが、加えて、各社がどのようなアフターサービスを行っているかも検討材料に入れると、よりお得で安心でしょう。
建具や住宅設備メーカーによる「メーカー保証」
住宅を建築する際、建築会社は窓サッシやシステムキッチン、バストイレ、洗面台といったパーツを各メーカーから買い付けて、住宅内に設置します。そのため住宅の各パーツには、そのパーツを作ったメーカーの独自保証がついていることがあります。
例えば新築から3年目に、住宅に設置したシステムキッチンのビルトイン食洗機が故障したとしましょう。その場合、修理や交換のための連絡先は、家を建てた建築会社ではなく、システムキッチンを製造したメーカーになります。
システムキッチンのメーカーが、「通常の使用方法で故障した場合、製造から5年間は無償で修理を行う」という保証をつけていれば、無償で修理や交換ができるでしょう。
新築住宅では物件の引き渡しの際、住宅内に設置した各パーツについての説明書や保証書もまとめて渡されます。故障時の連絡先を確認したり、保証によるサービスを受けたりする際に必要な書類なので、紛失することがないよう保管しておきたいものです。
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「瑕疵担保責任保証」と「住宅瑕疵担保履行法」
新築住宅には、建物の基礎構造について最低10年間の保証が義務づけられているといいました。その保証する範囲について、もう少し詳しく見てみましょう。
さらに、瑕疵担保責任保証をバックアップする存在として、「住宅瑕疵担保履行法」があります。住宅瑕疵担保履行法とは、何のために作られたどんな内容の法律なのかも詳しく解説します。
瑕疵担保責任保証の範囲
瑕疵担保責任保証がカバーする範囲は、住宅の基礎・柱・筋交い・梁といった家を支える構造部分と、屋根や開口部など雨水の侵入を防ぐ部分です。その2点以外は、保証の範囲に入りません。
また瑕疵担保責任保証の保証期間は最低10年間といいました。これは、新築してすぐに瑕疵がみつかった場合も、建ててから9年後に瑕疵が発覚した場合でも、同じように補償するという意味です。
瑕疵担保責任保証によって行われる修繕では、住宅の持ち主が修繕費用を請求されることはありません。どんな大規模な修繕になったとしても、場合によって建て直しが必要になったとしても、すべての工費は建築会社が負担します。
住宅の基礎構造の瑕疵は、素人が外から見てすぐに分かるものではありません。例えば、柱が1本だけ設計図より短かったとしても、それが原因となった不具合が出るまで気づかないことも多いでしょう。
だからこそ保証期間が最低10年という長期に設定されているのです。さらに瑕疵担保責任保証の保証期間は、売主と買主の合意があれば20年に延長することもできます。
しかし保証期間が長期になれば、その間に保証を請け負う建築会社が倒産してしまったり、事業をたたんでしまったりすることもあるでしょう。そんな場合も補償を受けられるように制定された法律が、「住宅瑕疵担保履行法」です。
瑕疵担保責任保証をバックアップする「住宅瑕疵担保履行法」
住宅瑕疵担保履行法は、建築会社に対して「住宅瑕疵担保責任保険への加入」あるいは「一定金額以上の供託金の準備」を義務づける内容となっています。簡単に言うと、「いつでも瑕疵担保責任保証ができるよう、保険に入っておくかお金を準備しておくこと」という法律です。
実は、品確法が施行された2000年(平成12年)の時点では、瑕疵担保責任保証を確実に遂行させるためのシステムがありませんでした。そのため、建築会社が倒産してしまった場合には、瑕疵を見つけても補償が受けられなくなっていたのです。
その問題が可視化されたのは、2005年(平成17年)に起きた構造計算書偽造事件でした。地震に対する安全性を計算した構造計算書が偽造されていたことで、耐震強度に問題のあるマンションやホテルが何棟もあると発覚し、社会問題になりました。
この大規模な事件の余波で、何軒もの建築会社が倒産・廃業に追い込まれました。結果、耐震強度の足りない欠陥マンションを買った一般消費者が、十分な補償を受けられないままとなってしまったのです。
事件を受けて、2009年(平成21年)に住宅瑕疵担保履行法が施行されました。言うなれば住宅瑕疵担保履行法は、瑕疵担保責任保証をバックアップする法律です。
新築住宅を提供する建築会社は、基本的に「住宅瑕疵担保責任保険」に加入しています。もし建築した新築住宅に瑕疵がみつかった際には、保険会社から建築会社に保険金が支払われます。建築会社はその保険金を使って、瑕疵の修繕や、場合によっては建て直しを行うわけです。
もし建築会社が倒産・廃業していた場合は、瑕疵が見つかった住宅の持ち主に対して保険金が支払われます。住宅の持ち主はその保険金を使って、別の建築会社に修繕や建て直しの依頼ができるのです。
住宅瑕疵担保責任保険の保険料は誰が負担する?
新築住宅の瑕疵担保責任保証を確実に行うため、建築会社の多くは住宅瑕疵担保責任保険に加入しています。
住宅瑕疵担保責任保険はさまざまな保険団体が提供していて、それぞれ保証の内容や保険料が違っています。
住宅瑕疵担保責任保険の保険料は、加入している建築会社が支払うことになっています。
気になる場合は、建築会社に「どこの住宅瑕疵担保責任保険に入っているのか」を聞いてみるといいでしょう。
まとめ
新築住宅を購入すると、最低でも10年間にわたって家の基礎構造に対する瑕疵担保責任保証がついてきます。これは法律で定められているもので、加入の申し込みなどは必要ありません。
ただし、瑕疵担保責任保証がカバーする範囲は、家の基礎構造部分に限られています。そのほかの部分に対する保証は、建築会社や住宅設備メーカーの独自保証に頼るしかありません。
タクトホームでは、住宅の建築だけではなくアフターサービスまで含めて、お客様に快適な暮らし方を提供することを目標にしています。そのためアフターサービスについても、しっかりサポートしています。新築住宅の建築をお考えなら、ぜひお気軽にご相談ください。
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