お家のお悩み

家の中に車庫を造るインナーガレージ。利点や欠点も含めて徹底紹介

地価が高めの都市部では、家を建てる際に駐車スペースをどうするかが問題となることがあります。駐車スペースの面積を確保するのが難しいなら、インナーガレージを考えてみてはいかがでしょうか。

インナーガレージを採用した場合、どんなメリットがあるのか、インナーガレージを造る上で注意したいポイントなど、さまざまな視点からインナーガレージを見てみましょう。

インナーガレージとは?

インナーガレージと聞いても、どんなガレージなのかよく分からないという方もいらっしゃることでしょう。まずは、インナーガレージについて詳しくご説明します。

インナーガレージは、駐車スペースを家の構造の中に組み込んだ建築スタイルです。インナーガレージのある家は、ガレージハウスとも呼ばれています。

駐車スペースを設ける場合、住まいの建物とは別にガレージや駐車スペースを造ることを考えるのではないでしょうか。インナーガレージはそれとは異なり、建物と駐車スペースが一体になっていて、家の1階部分に車を駐めるようになっています。

インナーガレージと一口にいっても、家によって造りはさまざまです。しかし大きく2つのタイプに分けることができます。

ひとつはオープンタイプで、扉などがなく、外から車が見えるようなインナーガレージ。もうひとつはシャッターなどで外部と完全に仕切れるようにした、クローズドタイプのインナーガレージです。

インナーガレージを造る場合、玄関とは別に、ガレージ内から直接家に出入りできるような扉を設けることもあります。車の愛好家の中には、家とインナーガレージを仕切る壁をガラス張りにして、部屋から車の姿を眺めて楽しめるようにする人もいます。

敷地が狭くて家とは別に駐車スペースが確保できない場合でも、インナーガレージなら車を家に駐めておけます。土地価格の高い都市部では、よく見られる建築スタイルでしょう。

インナーガレージとビルトインガレージの違い

インナーガレージと同じような言葉に「ビルトインガレージ」があります。実はこの2つの言葉に、はっきりとした違いはありません。

インナーガレージの「インナー(inner)」は、英語で「内部の」という意味です。ビルトインガレージの「ビルトイン(built in)」は、「内蔵」という意味です。

インナーガレージもビルトインガレージも、家の中に組み込まれたガレージを指します。どちらの呼び方をするかは、ハウスメーカーによって異なると考えてください

ただ、「ビルトイン」を「ビルドイン」と勘違いしているケースも。「ビルドイン(build in)」は家具などを「造り付けにする」という意味なので、ガレージの場合は「ビルトイン」が正しいと覚えておきましょう。

インナーガレージのメリット

家と別にガレージや駐車スペースを設けるのではなくインナーガレージにすると、どんなメリットがあるのでしょうか。インナーガレージのメリットをご紹介します。

雨でも車の乗り降りがラク

インナーガレージの最大のメリットは、雨が降っていても車の乗り降りが楽にできることでしょう。

家とは別にガレージや駐車スペースを設けた場合、雨の日は玄関から車までの短い間も傘を差さなければいけません。大量の買い物があったり、小さい子どもやお年寄りがいたりすると、つねに天候の善し悪しが気になることでしょう。

しかしインナーガレージなら、雨に濡れることなく車に乗り込めます。動線も短いので大量の買い物も楽に運び込めますし、インナーガレージから直接室内に出入りできる扉があれば、さらに利便性が増します。

雪の降る地域では、冬季は車を使うたびに雪下ろしをしなければなりません。インナーガレージなら車に雪が積もることもないので、雪下ろしの手間が省けることでしょう。

狭小地でも駐車スペースが確保できる

地価が高い都市部では、家とは別に駐車スペースが設けられるほどの広さの土地を確保できないことがあります。そういった狭小地でも、インナーガレージなら車のある生活が送れます。

都市部は交通網が発達しているため、車がなくても交通手段に困ることはないかもしれません。それでも、家族に小さい子どもやお年寄りがいると、すぐに車が使えたほうが便利でしょう。

日光や風雨による愛車の劣化が少ない

野外の駐車スペースだと、日光や風雨による車の劣化が気になることでしょう。台風などで風の強い日には、飛ばされてきたもので車に傷がつくといった損害を被ることもあります。

特に日光は、窓ガラスを通して車の内装まで劣化させることも。皮製のシートやクッションが、気がついたらボロボロになっていた、といった事態も珍しくありません。

インナーガレージは、日光や風雨に直接さらされることがないので、車の劣化を最小限に抑えられます。シャッターなどで外部と完全に区切られたインナーガレージなら、飛来物で車が傷つくこともないでしょう。

車を大切に使いたいという人には、インナーガレージがおすすめです。

車へのいたずらリスクを引き下げられる

インナーガレージにシャッターや扉を設置しておけば、不審者に侵入されることがありません。車へのいたずらや車上荒らしは増加傾向にあるため、インナーガレージで少しでもリスクを引き下げたいものです。

また、インナーガレージは居室との距離が近いため、異変があっても気づきやすいです。車上荒らしをする側もそれを警戒するため、外部と完全に区切られていなくても犯罪抑止効果が期待できます。

近年は、特に高級車を狙った車両の盗難も増えています。治安のよい高級住宅街は、希少な車を持っている住人も多いため、犯罪グループにとっては狙い目といってよいでしょう。

高級車が多い地域に家を建てる場合にも、インナーガレージにしておくことをおすすめします。インナーガレージにセンサーライトを設置すれば、さらに防犯効果が高まるでしょう。

駐車以外の使い方ができる

インナーガレージは、車を駐めておくだけのスペースではありません。家族の自転車やバイクを置いたり、交換用の冬タイヤ・夏タイヤを保管しておいたりと、さまざまな使い方ができます。

家族の誰かが車を使っている時間帯なら、駐車スペースを丸ごとほかの用途に使えます。子どものいるご家庭なら、ビニールプールでの水遊びやボール投げの練習などにも使えることでしょう。

ある程度の広さがあるインナーガレージなら、バーベキューパーティーや燻製作りもよいかもしれません。天候や季節を問わず楽しめることでしょう。

インナーガレージのデメリット

メリットの多いインナーガレージですが、もちろんデメリットもあります。インナーガレージを検討するなら、デメリットもしっかり把握しておきたいものです。

居住スペースが減ってしまう

インナーガレージを造ると、その分だけ居住スペースが減ってしまいます。特に狭小地の場合、1階にあるのはインナーガレージと玄関だけといった状態にもなりかねません。

居住スペースを確保するため、3階建てを考えることもあるでしょう。しかし3階建てにすると、階段の上り下りの負担が増えてしまいます。

居住スペースが確保できたとしても、インナーガレージがあると間取りの自由度は下がってしまいます。間取りを優先するのか、インナーガレージを優先するのか、よく考えて決める必要があります。

建築費が高くなりがち

インナーガレージのあるガレージハウスは、同じ規模の一般的な住宅よりも建築費が高くなりがちです。その理由は家の強度を保つため、ガレージハウスに対する構造や設備の基準が、一般住宅よりも厳しくなっているからです

基準を満たすためには、それなりの建築費をかけなければなりません。さらに、インナーガレージにシャッターや照明、水道といった設備をつけると、よりいっそう建築費が高くついてしまいます。

ガレージハウスを建てたい場合には、メリットと予算のパランスを考えて決める必要があるでしょう。

排気ガスの換気対策が必要

屋内に駐車スペースを設けるインナーガレージは、居室と車との距離が近くなります。排気ガスの換気対策をしっかりしておかないと、家の中に排気ガスが流れ込んで異臭がしたり、体調を崩したりといったトラブルが起こりがちです。

インナーガレージの換気対策が難しい場合は、電気自動車に買い換えることも考えてみましょう。電気自動車ならエンジン音が響かないので、深夜に帰宅しても家族が目を覚ますことはないでしょう。

騒音面では、シャッターの開閉音にも気を配りたいものです。静音タイプのシャッターにする、シャッターより音の静かな引き上げ式の扉にするといった対策を考えておきましょう。

固定資産税が高くなることも

固定資産税は、建物に対してかかる税金です。建物かどうかの判断基準は3つあります。

1つ目は地面に固定されていること、2つ目は屋根があること、3つ目は3方向以上が壁に囲まれていることです。この3つの条件をすべて満たす場合、建物と見なされて固定資産税がかかります。

家とは別に造られたガレージでも、基礎が造られていて、屋根があり、3方向が壁に覆われているなら、建物と見なされて固定資産税がかかってしまいます。駐車スペースの場合、屋根はあっても壁のない構造にすることで、建物と見なされないようにすることがほとんどです。

インナーガレージの場合、建物全体の床面積に対して5分の1以下の広さならば、固定資産税はかかりません。ただしシャッターをつけると、固定資産税の対象となる場合があります。

ガレージハウスは、インナーガレージの分だけ床面積が大きくなるため、固定資産税も高額になりやすいといえます。インナーガレージを造るなら、施工実績の豊富なハウスメーカーに相談して、アドバイスを受けるとよいでしょう。

インナーガレージを造る際に気をつけたいこと

インナーガレージのある家を造りたいなら、事前にさまざまな角度から検討する必要があります。造ってから後悔すると、取り返しがつきません。そこで、インナーガレージで失敗しないためのポイントをお教えします。

生活動線を考えて設計する

インナーガレージを造る際には、車と玄関との動線を考えて設計しましょう。インナーガレージから玄関までの間に屋根のない部分があると、せっかくのインナーガレージのメリットが台無しになってしまいます。

できれば、インナーガレージから直接室内に入れるような、玄関以外の出入り口を造っておきたいものです。それが難しい場合は、インナーガレージから玄関まで、屋根の下を通って移動できるようにしましょう。

将来的な車の買い換えも考慮する

インナーガレージを設計する場合、将来的なライフスタイルの変化も考慮に入れたいものです。

新婚家庭なら、これから子どもの人数が増えて、大きな車に買い換えることがあるかもしれません。現在の車を基準にインナーガレージを造ると、駐車はできても乗り降りが窮屈で困るといったことも。

また、年をとって車を処分することもあるでしょう。その時にインナーガレージをどう利用するのかも考えることで、リフォームのしやすい構造にするといった対策ができます。

駐車スペース以外に必要なものを考える

インナーガレージには、駐車スペース以外にもさまざまな利用方法があるといいました。どう使うのか具体的に考えたほうが、使いやすいインナーガレージが造れます。

車のほか、子どもの自転車やバイクなどを置くことはあるのか、タイヤを保管しておくだけではなく、ガレージ内でタイヤ交換や洗車ができたほうがよいのかなど、考えることはたくさんあります。

使い方によって、照明やコンセント、水道などの設備も必要になるでしょう。ハウスメーカーに相談する、実際にガレージハウスに住んでいる人の話を聞くなどして情報を集め、より使いやすいインナーガレージを造りましょう。

まとめ

インナーガレージとはどんなものなのか、メリットやデメリットについてご紹介してきました。メリットの多いインナーガレージですが、建築費や固定資産税など金銭面で気をつけるべきポイントもたくさんあります。

多数の施工実績をもつタクトホームは、ガレージハウスの施工例もあります。環境やライフスタイルに応じたアドバイスで、お客様の理想のガレージハウス造りにぜひご協力したいと願っています。よければ一度、ご相談ください。

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