住宅の購入は、多くの人にとって人生で一番高い買い物となることが多いでしょう。
その購入の決断に慎重になることは大切ですが、慎重になりすぎて結局いつまでも住宅購入を決断できないという人は意外と多いようです。
本記事では、そうした住宅購入を決断できない理由や対処法など解説していきます。
Contents
住宅購入を決断できないよくある理由とは?
住宅購入を決断できない理由としてよくあるのは次の3つです。
- 多額の借金を背負いたくない
- 土地も建物も100点じゃないと進めない
- 自己資金を用意できていない
多額の借金を背負いたくない
住宅は高額な買い物です。
多くの方が金融機関で住宅ローンを組んでの購入となります。
住宅ローンは借入額も数千万円に上り、30年や35年に渡り長期で返済していかなければなりません。
長期的な返済になるので、今後の収入の変化や家族の変化によっては返済が滞ってしまう可能性もあるでしょう。
また、金利プランによっては金利が上がって返済額が数百万単位で増額してしまう可能性もあるのです。
住宅は人生で最も高い買い物であると同時に、人生で最も多額の借金を背負うことにもなります。
「数千万円の借金」となるとやはり躊躇してしまうものでしょう。
土地も建物も100点じゃないと進めない
せっかく住宅を建てるのなら理想の住まいにしたいですよね。
間取りやデザインをこだわり、立地も利便性が良く子供の学区も考慮して…とあれこれ希望がでてくるでしょう。
しかし、それらの希望を100%叶えようとすると家選びはなかなか進みません。
理想の条件が揃っている土地や建物は、基本的に他の人にとってもいい条件と言えます。
良い条件の家の競争率は高くなり購入できないケースが多いものです。
自己資金を用意できていない
住宅を購入する際には住宅ローンを組みますが、全額住宅ローンで購入できるわけではありません。
住宅ローンを組むためには頭金を求める金融機関が多く、不動産会社への仲介手数料などの諸費用も必要です。
一般的に、住宅を購入する場合次のような諸費用が発生します。
- 住宅ローンの事務手数料
- 土地や家の購入の場合は不動産会社への仲介手数料
- 新築の場合は着工料など
- 印紙代
- 登録免許税
- 司法書士費用など
これらの費用は、家の購入費用の10%程と言われています。
仮に、3,000万円の家を購入する場合は300万円程が家の代金とは別に必要になるのです。
それに頭金をプラスすると、500万円以上は自己資金が必要になると言えます。
自己資金なしで住宅ローンを組むことも可能ですが、審査が厳しくなり金利も高くなる傾向があるので、おすすめできません。
これらの自己資金を用意できずに住宅購入できない場合もあるのです。
住宅購入を決断するために押さえておきたい3つのポイント
住宅購入は慎重に決断する必要があるとはいえ、迷った挙句に数年掛かってしまうケースも珍しくありません。
慎重に判断しながらスムーズに進めるには、ポイントを押さえることが大切です。
ここでは、住宅購入を決断するためのポイントとして次の3つを紹介します。
- すべて100点の物件は存在しない
- 老後は賃貸住宅への入居を断られる可能性がある
- 住宅ローンの審査は年齢を重ねるほど通りにくくなる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
すべて100点の物件は存在しない
家を購入するなら、家族の理想を叶えたいですよね。
しかし、理想を100%叶えてくれる家はほとんど存在しません。
仮に存在したとしても、購入時に予算オーバーになる可能性が高いものです。
家を選ぶ際には、優先順位をつけてどこかで妥協する必要があります。
- 立地を選ぶなら家の予算を削る
- 家をこだわる代わりに多少利便性は下がってもいい
- 子供の学区を最優先する
何を重視するのかをまずは明確にすることが大切です。
家族一人一人が希望を出し合い、優先順位を付けるようにしましょう。
また、ここだけは譲れないという点も決めておくと、それ以外は妥協しやすくなります。
家族の理想をすべて叶えることは難しくても、快適に生活できる家を選ぶことは可能です。
家族でしっかりと話し合い、満足のいく家の条件を明確にしておきましょう。
老後は賃貸住宅への入居を断られる可能性がある
住宅を購入しない場合の選択肢は賃貸住宅が一般的でしょう。
賃貸住宅と持ち家にはそれぞれメリット・デメリットがあるので、自分や家族にとって賃貸がベストという家庭も珍しくありません。
住宅の購入が決まらずに賃貸住宅に住み続けるというのも一つの選択肢です。
しかし、賃貸住宅の場合は老後についても考えておく必要があります。
賃貸住宅の家賃は住み続ける限り支払い続けなければなりませんが、いくら支払っても家が自分のものになることはありません。
老後収入が少なくなる中で、ずっと家賃を支払い続けるのは老後資金の大きな負担となります。
また、賃貸にはいつでも引っ越ししやすいというメリットがありますが、老後はそのメリットは活かせなくなります。
収入が少なくなる老後では、家賃の支払いの心配から入居を断られるケースがあるのです。
近年は高齢者の孤独死などの問題もあり、高齢者の入居を避ける大家さんも珍しくありません。
高齢者専用の賃貸も増えてきていますが、家賃も高く物件自体もあまり多くはないのです。
住宅購入の決断が遅くなる前に、一度老後まで視野に入れて住宅購入を考えるとよいでしょう。
住宅ローンの審査は年齢を重ねるほど通りにくくなる
住宅購入が遅くなるデメリットに、住宅ローンの審査に通りにくくなる点が挙げられます。
住宅ローンの多くには、完済時の年齢に制限を設けている場合があります。
一般的には完済時に80歳前後の金融機関が多いでしょう。
そのため、35年のローンを組む場合は45歳までに検討しておく必要があります。
また、住宅ローンでは、ほとんどの金融機関で「団信」への加入を必須としています。
団信とは団体信用生命保険のことで、万が一、契約者が死亡や高度障害などで返済できなくなった場合に保険金でローンの残債を返済する保険です。
団信に加入することで、残された家族は住宅ローンの負担なく家に住み続ける事ができます。
しかし、団信の加入には健康状態が大きなポイントとなるのです。
健康面に不安がある場合、団信への加入ができず、住宅ローンを組めないといったケースがあります。
年齢が上がることで、健康面に不安を抱える人が増えていく傾向があり、住宅ローンを組むうえでもネックとなるのです。
住宅ローンを組んで購入を検討される方は、審査に通りやすいうちに住宅ローンを組むことをおすすめします。
関連記事:住宅ローンの選び方はどうすればいい?5つのポイントをご紹介
関連記事:住宅ローンで夫婦合算する際の注意点とは?連帯債務・連帯保証など仕組みと併せて解説
住宅購入を決断することの多い3つのライフイベント
どのようなタイミングで住宅購入を決断するのでしょうか?
ここでは、決断のタイミングとしてよくある3つのライフイベントを紹介します。
結婚
住宅を購入する決断のタイミングとして「結婚」が挙げられます。
少し前までは、結婚してしばらくは賃貸で資金を蓄えてからマイホームの購入という流れが主流と言えました。
しかし、近年では結婚と同時に購入するケースも増えているのです。
同じ住居への支払いであっても「家賃」と「ローン返済」は大きく異なります。
家賃は他人(大家さん)に支払うお金であるのに対し、ローン返済はいずれ自分の資産となるための、いわば自分への支払いです。
同じ居住費なら自分のもののためにという合理的な考えから、結婚後すぐに賃貸から持ち家にする方が増えています。
また、子供が生まれる前であれば家計に余裕があり、繰り上げ返済もしやすいというメリットがあります。
早い段階でローンを組んで完済を早めたいという場合も、結婚を機に住宅購入するのがおすすめでしょう。
出産
子供の誕生にあわせて住宅を購入するというのは住宅購入でもよくあるタイミングです。
子供が生まれることでそれまでの賃貸では手狭に感じる方もいるでしょう。
出産を機に家を購入することで、子供部屋や子供用の収納などの間取りを具体的にイメージしやすいというメリットもあります。
また、住宅ローンの返済プランも子供の成長に合わせて計画を考えられるので、返済プランが大きく変動しにくいというのもメリットと言えるでしょう。
進学
子供の小学校入学も住宅購入のタイミングの一つです。
住宅の場所は子供の学区に関わってくるため、希望する小学校の学区に持ち家を購入する方も多いです。
また、学年の途中で転校となると子供に大きなストレスが掛かってしまいます。
進学に合わせて引っ越すことで子供への影響を抑えられるというメリットもあるのです。
住宅購入の流れを押さえておこう
住宅を購入するにはある程度期間がかかるものです。
住宅を購入するにしても土地の購入や売買契約など多くのことが必要になります。
ただし、土地を先に決めてしまえばその後の流れはスムーズにいくことが多いものです。
反対に、住宅ローンの審査まで行って審査に落ちてしまい購入できないというケースもあります。
まずは、住宅購入前の流れを把握することで、どこに時間を掛けるべきか、何を注意すればいいのかが分かり、購入する決断の後押しとなるでしょう。
住宅購入までの大まかな流れは以下の通りです。
- 土地と建物の決定・契約
- 住宅ローン審査
- 決済・引き渡し
それぞれ詳しく見ていきましょう。
土地と建物の決定・契約
住宅購入で最も時間が掛かるのが、土地と建物の決定です。
まずは、予算や希望条件などを書き出し、優先順位を付けたうえで、希望の土地や物件の情報収集をしましょう。
気になる物件を見つけたら、不動産会社に連絡し実際の物件を見に行きます。
この時、物件の外観や内部だけでなく、周辺環境もしっかり調査するようにしましょう。
- 買い物する場所
- 学校や病院の位置
- 騒音などの問題がないか
- 人通り
- 通勤・通学路の状況
また、できれば時間帯を変えて状況を確認することをおすすめします。
陽当たりが時間帯によって異なるように、時間ごとに環境は変化する場合があります。
日中は人通りが多いのに、暗くなると人が少なく照明もあまりないというケースも珍しくないのです。
今後生活し続けられるのか、事前にしっかりと調査するようにしましょう。
土地と建物が決まったら、不動産会社で売買契約を結びます。
売買契約後にキャンセルすると、タイミングによっては違約金が発生してしまいます。
手付金で解除できる期間はいつまでか、違約金の発生条件はどうなっているかなど、契約前にしっかりと確認し、契約後のキャンセルで問題が起きないようにすることが大切です。
住宅ローン審査
売買契約後には住宅ローンの本審査を行います。
基本的には、物件の目処が立った時点で事前審査を受け、その後本審査となります。
事前審査に通ったからと言って必ずしも本審査が通るわけではないので注意しましょう。
住宅ローンの審査では、主に次のようなことがチェックされます。
- 勤務先や勤続年数
- 年収
- 他の借入状況
- 家族構成
住宅ローン審査に落ちてしまうと、住宅購入ができなくなります。
そのため、売買契約時にはローン審査に落ちた場合は契約を解除できる「ローン特約」を付加するのが一般的です。
ただし、特約が適用できる期間が決まっているため、売買契約後にはスムーズに本審査に申し込み、期間内に結果が出るようにしましょう。
決済・引き渡し
住宅ローン審査に無事通れば、晴れて決済・引き渡しとなります。
決済日には多くの書類が必要となり、不備があればその日の決済・引き渡しができなくなるので、注意しましょう。
決済後に家のカギをもらい引き渡しとなります。
引き渡し後に家に不具合がある場合、早めに連絡することで対応してもらえる可能性があります。
引き渡し後には家の状態をしっかりとチェックしたうえで、入居するようにしましょう。
まとめ
住宅購入を決断できない理由や対処法などを解説しました。
多くの人にとって住宅は一生に一度の高額な買い物なので、慎重になるのは当然のことです。しかし、慎重になりすぎて購入を決断できないのは問題だといえるでしょう。
本記事の内容を参考に、住宅購入の第一歩を進めてみてはいかがでしょうか。