日本のトイレを海外旅行者がこぞって買って帰る…といった話を聞いたことがある方もいらっしゃるでしょう。
日本のトイレは利便性や機能性の高さから、海外にも誇れるものとなっているのです。
本記事では、そうした日本のトイレについて、これまでどのように進化してきたのか、どんな機能があるのかなどを詳しく解説していきます。
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Contents
トイレの進化を牽引する日本の三大トイレメーカー
まずは、日本を代表する次の3つのトイレメーカーについてみていきましょう。
- TOTO
- LIXIL
- Panasonic
TOTO
おすすめ商品(ブランド) | ・ネオレスト ・ピュアレスト ・レストパル |
トイレだけじゃなくバスルーム・キッチンなどさまざまな水回り機器を製造する住宅総合器械メーカーであるTOTO。
1917年に東洋陶器株式会社設立から2007年にTOTO株式会社に変更、創業より100年以上の歴史があります。
1914年には日本初の腰掛型水洗便器を開発し、それ以降も常に革新的な商品を開発し続けています。
温水洗浄便座といえば「ウォシュレット」ですが、実は「ウォシュレット」とはTOTOの商品名でもあるのです。
低価格帯から機能が充実したハイグレード品まで幅広いラインナップとデザイン性という魅力で人気があります。
近年では、特許技術を取得した汚れの付きにくい「セフィオンテクト」や高い節水機能を有した「トルネード洗浄」を利用した高機能なトイレを提供しています。
LIXIL
おすすめ商品(ブランド) | ・プレアス ・アメージュ ・サティス |
1945年伊奈製陶として事業を本格スタート。
1985年には株式会社イナックス(INAX)に商号を変更、さらに2011年には新日軽や東洋エクステリア・トステム・LIXILと統合し現在の株式会社LIXILとなったのです。
また、INAXの名は、今はLIXILグループのブランドとしても有名です。
LIXILのトイレは、高性能でありながら比較的低価格帯の商品が豊富という特徴があります。そのため、LIXILはトイレや洗面器と言った衛生陶器では、TOTOとLIXILで国内のほとんどのシェアを占めるほど高い人気を誇っているのです。
ちなみに、1967年に国内初のシャワートイレを開発したのも、LIXIL(旧伊奈製陶)です。
近年のLIXIL のトイレの特徴は、清潔で使いやすい機能が充実しているという点が挙げられます。
従来の陶器では防ぎきれなかった汚れや細菌の付着を防げる新素材「アクアセラミック」を採用。
プラズマクラスターイオンで除菌できる機能もあり、鉢内やノズルは防臭や空気中の菌の除去もできるのでトイレ丸ごと除菌が可能です。
Panasonic
おすすめ商品(ブランド) | ・アラウーノ |
エアコンや洗濯機など家電で有名な大手電機メーカーPanasonic(パナソニック)。
家庭用電化製品だけでなく、住宅設備も提供しています。
日本国内のトイレ市場ではTOTOとLIXILの2強ともいえる状態の中、トイレメーカーとしては後発のPanasonicですが、近年人気が高まり2強を脅かす存在ともなっているのです。
Panasonicのトイレでは「アラウーノ」が代表的です。
アラウーノは素材が陶器ではないという点に大きな違いがあります。
TOTO・LIXIL(旧伊奈製陶)はもとが陶器メーカーということもあり、トイレは陶器というイメージを抱いている人がほとんどでしょう。
しかし、Panasonicのアラウーノは陶器ではなく同社のキッチンカウンターなどでも使用される有機ガラス系の新素材でできています。
陶器よりも傷つきにくく汚れにくい素材でできているので、清掃しやすく清潔に保ちやすいという特徴があるのです。
また、自動洗浄機能が充実していることからも、日常のお手入れの負担を減らしやすくなります。
トイレ進化の歴史
ここでは、日本のトイレの進化についてみてきましょう。
進化のポイントとして、次の4つの段階を解説します。
- 水洗トイレの登場
- 洋式便器の登場
- 節水機能の充実
- 温水洗浄機能の充実
水洗トイレの登場
日本で水洗トイレが初めて登場したのは、1887年の横浜です。
外国人居留地に洋式トイレが設置されたのが日本での水洗トイレのはじまりとなります。
ただし、この洋式トイレは日本製ではなく英国製です。
日本製で和式トイレが水洗になったのは、ここからさらに15年後の1902年。
帝国ホテルで和式の水洗トイレが設置されたのが初となり、その後水洗トイレが普及します。
水洗トイレが普及していく背景には、日本の下水道施設の普及があります。
1923年の関東大震災をきっかけに、日本では下水道に整備が進められていきました。
下水道が普及すると、それ以前の汲み取り式を禁止する地域も設定され、資金の援助なども設けられたことで水洗トイレの設置が加速していくことになるのです。
しかし、この時点ではまだ日本製の水洗トイレは和式となり、まだ洋式トイレは登場していません。
洋式便器の登場
日本で洋式トイレが普及しだしたのは、1960年頃です。
1914年には国産の洋式トイレも開発されていますが、設置されるのは高級ホテルなどで富裕層向けとなり、一般には浸透していませんでした。
しかし、住宅公団が団地の建設で洋式トイレを標準装備として導入したことで、一般家庭でも洋式トイレの使用率が上がります。
もともと腰をかがめて用を足す和式トイレは、足腰に負担がかかるものです。
一方、腰を掛けて用を足す洋式トイレは和式トイレよりも楽に使用できることから、下水道の普及も伴い一般家庭にも普及していきました。
節水機能の充実洋式便器の登場
トイレは普及に伴い、機能の進化も進んでいます。
機能面で大きく進化したポイントとして「節水」が挙げられます。
水洗トイレが普及しだした頃は、一回で使用する水の量が大量でした。
しかし、近年のトイレは節水機能が充実し、使用する水の量は大幅に減少しています。
大まかな1回あたりの使用水量をみてみましょう。
- 水洗トイレの誕生:20リットル程
- 1970年代:16リットル程
- 現在:5リットル程
このように、現在では誕生時と比較して4分の1にまで節水できているのです。
さらに、最先端の物では3リットル代というトイレも登場しています。
温水洗浄機能の充実
海外から日本のトイレが称賛される要因の一つが「温水洗浄機能」でしょう。
日本レストルーム工業会の調べによると、2021年の日本の一般家庭での普及率が80%以上となっています。
一般家庭だけでなく、オフィスビルや商業施設・公共施設でも多くのトイレで温水洗浄機能は取り入れられており、もはや日本人の生活に欠かせない機能ともいえるでしょう。
温水洗浄機能は、もともとはアメリカの医療用として開発されたのが始まりです。
これを日本が輸入しさらに独自の進化を遂げていきます。
1980年には温水洗浄機能の代名詞ともいえる「ウォシュレット」がTOTOから登場します。
温水洗浄便座は当初、洗浄・乾燥・便座の暖房機能を持つ形が主流でした。
ここから年を追うごとに進化していき、着座センサーや脱臭機能、近年ではオート洗浄機能がついています。
このように、今の日本のトイレの形は、現在の海外でも見られないほど充実した機能を有しているのです。
さらに充実するトイレの機能
ここまでは、トイレの進化の歴史を見てきましたが、トイレの進化は今後も続いていくものです。
ここからは、最新のトイレの機能についてみていきましょう。
すでに十分充実した機能を有しているように思えますが、最新の機能はさらに快適になっています。
トイレの機能について理解しておくと、家の建設時により快適に過ごせるトイレを選択しやすくなるでしょう。
最新トイレの機能としては、次のようなポイントがあります。
- 清掃のしやすさへの配慮
- タンクレス便器の登場
- スマートフォンで操作できる便器の登場
それぞれ詳しくみていきましょう。
清掃のしやすさへの配慮
最新のトイレは、清掃のしやすさや清潔さへの進化が進んでいます。
- 汚れがたまりにくい素材を便器の表面に利用する
- 掃除しやすいように便器のフチをなくす
- シャワーノズル部分の凹凸をなくす
- 便座の下部が持ち上がるリフト機能
上記のように、トイレの清掃の手間を省く工夫が多く施されています。
また、清掃しなくてもトイレを清潔に保つ機能も登場しています。
除菌水を自動的に散布して便器やノズルを清潔に保つ機能や高性能な脱臭機能・自動洗浄機能など、手間をかけずにトイレを清潔に保てる機能も充実しているのです。
トイレは毎日使用するため常にきれいにしておきたい場所でもあります。
掃除しやすいトイレを選ぶことで、日々の清掃の負担を軽減できるでしょう。
タンクレス便器の登場
デザインの面でも大きく進化しています。
それまでのトイレはタンクと便器が別の形が主流でしたが、近年はタンクレスやタンク一体型が登場しています。
タンクレス便器は、デザイン性がよいだけでなく、タンクがないことでトイレ空間をその分広くできます。
手洗いが付いていませんが、空間が広くなった分別に手洗い場を設けることもできるでしょう。
また、手洗いを付けたい場合は一体型を選べば、タンク別トイレよりもシンプルでおしゃれなトイレ空間を演出できます。
スマートフォンで操作できる便器の登場
家電などのモノをインターネットにつないで便利に利用するIoTの波は、トイレにも影響しています。
最新のトイレは、スマホで操作できる機能を有しているもの登場しているのです。
スマホをリモコンとして使用することで、シャワートイレを個人的に設定したり音楽を再生したりすることができます。
また、排便記録などを自動的に登録できるアプリも登場しており、健康管理に役立てられるのです。
このように、トイレは常に進化しています。
メーカーごとに特徴も異なるので、自分が快適に過ごせるトイレを見つけてみるとよいでしょう。
まとめ
トイレについて代表的なメーカーや進化の歴史、充実する機能など解説しました。これから家を建てる人の中にも、トイレは快適に使えるものにしたいと考えている方もいらっしゃるでしょう。
満足のいくトイレにしたいと考えている方は、本記事の内容をぜひ参考になさってください。
タクトホームは1984年の設立以降、累計で59,000棟以上の住宅を販売してきています。
各トイレメーカーとの関係性が構築されており、トイレや水回りにこだわりたいといった方にも最適なプランの提案が可能です。
具体的にお家づくりを進めたいという方から、まずは質問してみたいといった方まで、まずはタクトホームまでご相談ください。
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