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木造住宅の耐用年数が22年ってホント? 家の寿命とは違うの?

「木造住宅の寿命は20年程度」という話を聞いたことはありませんか? 本当にそうなら、長期の住宅ローンを組んで家を買うのがバカバカしくなってしまいます。

たしかに木造住宅の法定耐用年数は22年ですが、家の寿命とはまた別の話。では耐用年数とはいったい何なのでしょうか。耐用年数と寿命の違い、そして家の寿命を延ばすコツまで解説します。

木造住宅の耐用年数とは? どうやって決められている?

耐用年数とは、建物などの資産が使える期間をいいます。しかし、実は、耐用年数にもさまざまな基準があるのです。どんな基準があるのか、主なものを見てみましょう。

法定耐用年数とは?

法定耐用年数とは、その名の通り「法律で定められた耐用年数」です。なぜ法律で住宅の耐用年数を定めているのかというと、税金などを計算する際に必要だからです。

法定耐用年数は、住宅のほかにも自動車、工業用機械、医療機器、パソコンなど、さまざまな物について定められています。パソコンなら4年、コピー機なら5年といったように物によって年数は違いますが、資産としての価値は年々下がっていって、定められた年数が過ぎると資産価値はゼロになったと見なされます。

でも、これはあくまで法律上の話。木造住宅の法定耐用年数は22年ですが、建物の寿命とはまったく関係がありません。さらにいうなら法定耐用年数は、企業が業務の一環として購入した場合に必要になる考え方なので、個人が自宅として木造住宅を買うなら、ほぼ考えなくてもいいでしょう。

ただし中古住宅を購入する場合は、住宅ローンが組めるかどうかの判断材料になることがあります。法定耐用年数が過ぎてしまった住宅は、法律上の資産価値がないと判断されるため、住宅ローンでの購入が難しくなるのです。

住宅ローンが組めるかどうかの判断基準はローン会社によって異なるので、一概に言うことはできません。しかし、住宅ローンを借りて中古住宅を買いたいと考えているなら、法定耐用年数も気にかけておくといいでしょう。

物理的耐用年数とは?

物理的耐用年数とは、建物に使われている木材などがどのくらいの耐久性を持っているか、工学的に判断した基準です。木造住宅の物理的耐用年数は、65年程度と考えられています。

木造住宅と一口にいっても、柱などの構造躯体、壁や窓サッシなどの二次部材、電気設備などさまざまなパーツが使われています。パーツによって耐久性は違いますが、それらを総合して大体65年くらいは住むことができるとされています。

ただし、木材の種類や建築業者の技術力、気候条件や環境、メンテナンスや修理の頻度などで、物理的耐用年数は変わってきます。ですから物理的耐用年数は、あくまで目安だと思っておきましょう。

経済的耐用年数とは?

経済的耐用年数とは、建物の市場価値がある期間を示したものです。簡単にいうと、「売りに出したら、買ってもらえる期間」です。

経済的耐用年数は、さまざまな要因によって変わってきます。立地や築年数はもちろんのこと、間取りや外観イメージなども関わってきます。隣り合った築年数が同じ家を同時に売りに出して、片方は売れて、もう片方は売れ残るといったことも起こります。

さらに、中古住宅を買いたいと思う人が少なければ、結果として経済的耐用年数は短くなります。反対に、中古住宅市場が賑わっていれば、経済的耐用年数は長くなります。つまり経済的耐用年数は、世の中の状況によって変化するものなのです。

期待耐用年数とは?

期待耐用年数は、近年になって使われるようになった基準です。経済的耐用年数と物理的耐用年数の間をとったような、実情に即した基準といっていいでしょう。

経済的耐用年数を過ぎても、ほとんどの家は問題なく住み続けることができます。物理的耐用年数を迎えた家は劣化してボロボロの状態なので、大規模な修理やリフォームをしないと住み続けるのは難しいでしょう。その中間、一般的な維持管理を行っていれば住み続けられる期間が、期待耐用年数です。

期待耐用年数の計算方法は、ハウスメーカーによって異なります。また、リフォームや改築をすると、期待耐用年数も変わってきます。

木造住宅の耐用年数と、実際の寿命は違う

不動産業界では、「木造住宅の寿命は30年」という話をよく耳にします。その30年という数字はどこから出てきたのでしょうか。そういわれる根拠を見てみましょう。

木造住宅の寿命は30年?

「木造住宅の寿命は30年」といわれる理由は、いくつか考えられます。そのひとつが、キッチンや浴室などの水回り設備の問題です。

水回り設備は一般的に、20~30年が寿命とされています。築30年を超えると水漏れなどの不具合が起こりやすくなるため、大規模な修理や機器の交換が必要です。それを踏まえて「木造住宅の寿命は30年」と言われるようになったのではないでしょうか。

また統計データによると、木造住宅が取り壊しになった件数は、築27年のものが一番多かったという理由も考えられます。建ててから30年近く経つと、家全体が古びてくるのに加えて、住んでいる人の家族構成も変わることでしょう。

古くなった設備を修理し、ライフスタイルに合わせて間取りを変えるといった手間をかけるより、取り壊して建て直したほうがいいと考える人も多いはず。その結果、「木造住宅の寿命は30年」という説が出てきたのかもしれません。

さらにもうひとつの理由として、建築基準法の改正も考えられます。現在の耐震基準は、1981年の建築基準法改正で定められたものです。そのため、1981年以前に建てられた住宅は、現在の耐震基準を満たしていません

「木造住宅の寿命は30年」という説が広まり始めたのが、2000年くらいから。当時は昔の耐震基準で建てられた高度成長期の家が多く残っていたため、そんな話になった可能性もあります。

実際に住める期間は50年以上

ここまでに紹介した木造住宅の耐用年数を比べてみると、物理的耐用年数の65年が一番長いことがお分かりいただけると思います。でも実は、木材の物理的耐用年数はもっと長いのです。

建材としてよく知られている檜は、伐採してから約2000年は保つとされています。杉は500~600年、ケヤキでも400年くらいの耐用年数があります。

その理由は、木は伐採されて建材になっても、細胞の一つひとつが生きているからです。生きた細胞は周囲の状況によって、湿気を吸い込んだり吐き出したりしています。湿気を調節することで、カビが生えたり腐ったりといったトラブルも起こりにくくなっています。

木造住宅というと、鉄筋コンクリート造よりも弱いように感じられますが、木材は風雨による劣化に強いという特徴もあります。鉄は錆び始めると急激に強度が落ちますが、木材は強度の下がり方も緩やかです。

日本では昔から、木材が建築材料として活用されてきました。神社仏閣や古民家園の建物なら、築100年以上も珍しくありません。木造住宅は、きちんと管理すれば50年以上は余裕で住み続けられるのです。

近年では、期待耐用年数が75~100年とされる「長期優良住宅」が注目されています。耐震性や劣化性、省エネルギー性など、国の定めた基準をクリアすることで、長期優良住宅と認定され、税制上の優遇も受けられます。

建物の耐用年数は、どんな基準で判断するかによって変わるもの。あくまで目安と考えておきましょう。

関連記事:長期優良住宅とは?認定基準から申請するメリット・デメリットまで詳しくご紹介

家の寿命を延ばすためのコツ

木造住宅の寿命は、住まいかたや管理のやり方によっても変わってきます。どんな対策をしたら家の寿命を延ばせるのか、そのポイントをご紹介します。

こまめに掃除をする

木造住宅の寿命を延ばすには、日々の手入れが大切です。特にキッチン、洗面所、風呂場、雨樋といった水がかかる場所は、重点的に掃除をしたいものです。

普段からこまめに掃除をしていると、何かトラブルが起こった時にも気づきやすくなります。特に水回りのトラブルは、放置しておくと家の土台や建材を傷めることにもなりかねません。

水廻りはできれば2~3日に一度は掃除するようにしましょう。異臭や漏水がなく、じめじめしてない状態がベストと考えてください。

雨樋の掃除は、1年に1回程度で十分です。でも、落ち葉や泥が溜まって流れが悪くなると、そこから屋内に湿気が侵入することも。雨が降っている時に詰まりがないか確認して、違和感があったら掃除するようにしましょう。

もうひとつ気をつけたいポイントは、フローリングです。水濡れや日焼けによって、フローリングも次第に傷んできます。3ヶ月ごとにワックスがけをすると、フローリングの表面がコーティングされるので、寿命を延ばすことかできます。

定期的に点検・メンテナンスをする

家を長持ちさせるなら、ぜひ考えたいのが定期的なメンテナンスです。できれば年に1回は、家を建てた際の建築会社やリフォーム専門業者に点検してもらいましょう

建築会社やリフォーム専門業者に依頼するのは、何かトラブルが見つかった時にすぐ対処してもらえるから。トラブルは早期に対処したほうが、修繕費用も安く抑えられます。

点検の際には、なかなか目が届きにくい屋根や床下も見てもらうようにしましょう。特に屋根と壁の境目、窓の周囲などは、ひび割れなどのトラブルが起こりやすい場所です。

家の寿命を延ばすには、トラブルの早期発見・早期解決がベストです。

メンテナンス・スケジュールの目安

家の寿命を伸ばすポイントとしては、屋根、外壁、水回りのメンテナンスが挙げられます。まずは屋根から見ていきましょう。

屋根材は大きく分けて、「金属屋根」「スレート屋根」「瓦屋根」の3種値類があります。金属屋根とスレート屋根は、30年程度で交換になるほか、約5年ごとのメンテナンスが必要です。

対して瓦屋根は、欠けたり割れたりしない限りメンテナンスフリーです。その重さとデザイン的な問題から、最近ではあまり使われることがなくなりましたが、耐久性は抜群です。

外壁に使われる素材はバラエティに富んでいますが、代表的なものとしては「サイディング材」「モルタル吹き付け」「タイル」が挙げられます。

昔のサイディング材は10年程度で色褪せましたが、最近は技術の進歩によって20年経っても色褪せしないものが登場しています。サイディング材の寿命は30~40年なので、15~20年で塗装メンテナンス、寿命が来たら交換というのが理想です。

ただし、サイディング材の継ぎ目に使われているシーリングは、5年ほどで劣化してしまいます。そのため約5年ごとのメンテナンスが必要です。

モルタル吹き付けはデザインの自由度が高く、コストを安く抑えられるため近年までは人気でした。しかしサイディング材やタイルに比べると劣化が早く、5~8年で塗装メンテナンスが必要になります。

タイルは瓦屋根と同じくメンテナンスフリーといわれていますが、目地は劣化するので、約5年ごとのメンテナンスが必要です。でもメンテナンスを行うのはほぼ目地部分のみなので、費用は5万円程度とお得になっています。

外観では、バルコニーや屋上のメンテナンスも忘れてはいけません。バルコニーや屋上の防水加工は5~10年で効果が薄くなるので、加工し直す必要があります。防水加工にはいくつかの方法がありますが、いずれも耐用年数は同じくらいです。

水回りのメンテナンスでは、まず給湯器が15~20年で寿命となります。洗面所ユニットやトイレ本体は約20年キッチンやバスユニットは約25年で交換したほうがいいといわれています。

水栓のパッキンやシャワーヘッドの交換といった細かい作業を除くと、水回りのメンテナンスはまとまった金額が必要になる傾向が。メンテナンス時期に合わせて、予算を確保しておきたいものです。

木造住宅のメンテナンスで、忘れてはいけないのがシロアリ対策。家を支える柱がシロアリに食われてしまうと、家の寿命も急激に短くなります。約5年ごとに防蟻処理をして、シロアリ被害を予防しましょう。

関連記事:注文住宅における虫対策10選!建築前・建築後に分けて解説

まとめ

木造住宅の耐用年数には、さまざまな基準があります。22年という法定耐用年数は、あくまで税額の計算するためのもの。実際はもっと長期にわたって住むことができます。

最近では実情に即した、期待耐用年数という基準も生まれました。さらにこまめなメンテナンスを行えば、期待耐用年数よりもさらに長く住み続けられます。

タクトホームでは、期待耐用年数が75~100年という長期優良住宅も数多く手がけています。親子2代にわたって住み続けられる、遺産としてお子様に引き継げる家を造ってみませんか。ぜひタクトホームにご相談ください。

関連記事:【2022年版】最大250万円?長期優良住宅の補助金・税制優遇とは?

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