スキップフロアは、中2階のように各階層の中間に床を設けた構造のことです。おしゃれで機能的な間取りとして注目されているスキップフロアですが、メリットが多い反面、デメリットもあります。住み始めてから後悔しないためにも、スキップフロアの家についてあらかじめ詳しく知っておきましょう。
Contents
スキップフロアとは?
そもそもスキップフロアとは、どんな構造を指すのでしょうか。詳しく見てみましょう。
スキップフロアとはどんな構造のこと?
スキップフロアとは、1階と中2階のように、1つの階層に複数の高さのフロアを設けた構造のことです。別名「ステップフロア」とも呼ばれています。
スキップフロアでは、各フロアの高さをどのくらいにするかについて、これといった決まりはありません。そのため、1つの階層の中で3フロア、4フロアと高さを違えたスキップフロア住宅もあります。
通常はフロアとフロアの間は短い階段で繋ぎますが、小さい部屋をいくつも階段状に配置する、部屋と部屋との境目を幅の広い階段にしてしまうといった構造も可能です。
例えば、リビングの一角だけ床を少し高くして、和室スペースにするといった間取りをよく見かけることでしょう。一般的には「小上がり」と呼ばれますが、考えようによっては小上がりもスキップフロアの一種といえます。
つまりスキップフロアは、2階建て、3階建ての家にあるとは限りません。平屋の住宅でも、スキップフロアを取り入れることができるのです。
スキップフロアに向いている家
購入した土地が傾斜地だった場合、盛り土をしたり擁壁を造ったりして土地を平らにしてから家を建てることが多いでしょう。しかしスキップフロアにすれば、傾斜を活かして家を建てられます。
傾斜を活かすとはつまり、土地を平らに整地する費用を節約できるということです。一般的に、傾斜地は売買価格が相場より安くなっていることが多いので、土地にかかる費用全般を節約できます。
一般的な住宅では、部屋と部屋を壁や廊下で仕切りますが、スキップフロアは壁を作らず段差で仕切っています。そのためスキップフロアのほうが、開放的な印象になります。
狭小住宅で1部屋ごとの狭さが気になる場合は、スキップフロアにすると狭苦しさが軽減されます。またスキップフロアなら廊下を造る必要がないので、その分、部屋の面積を大きくできるというメリットもあります。
さらに、ビルトインガレージを造りたい場合も、スキップフロアはおすすめです。居室と同じ階にビルトインガレージを設置すると、ガレージの天井は必要以上に高くなってしまいがちです。しかしスキップフロアにすれば、ガレージ上部の空間を無駄にすることなく活かせます。
スキップフロアのメリット
スキップフロアには、さまざまなメリットがあります。改めて一つひとつ詳しく見てみましょう。
空間を有効活用できる
スキップフロアの最大のメリットといえば、空間を有効活用できることでしょう。一般的な住宅のように1階、2階と区切るのではなく、段差で空間を仕切ることで間取りの自由度が高くなります。
建築基準法では、天井高が1.4m以下のロフトなどは床面積にカウントされず、容積率の計算にも含まれません。そのためスキップフロアの天井高を上手く調整すれば、実質的な床面積を増やすこともできます。
開放的で明るく風通しがいい
スキップフロア住宅は、一般の住宅に比べると壁が少なくなっています。そのため、家全体に光や風が通りやすく、開放的な雰囲気になります。
開放的な空間にする方法としては、吹き抜けを造るという選択肢もあります。しかし吹き抜けにすると、上階の床面積が減ってしまいます。
スキップフロアなら、床面積を減らすことなく開放的な空間が造れます。さらに見た目にも立体的になるので、デザイン的なインパクトを出したい、お洒落な空間にしたいといった要望も叶えられることでしょう。
関連記事:注文住宅に吹き抜けを取り入れたい!メリット・デメリットや失敗しないためのポイント
傾斜地を活かせる
傾斜地を活かした家造りができるのも、スキップフロアのメリットのひとつです。スキップフロアなら、土地の高さに合わせた間取りにできるので、建築費を節約できます。
傾斜地を活かした家造りとしては、地下室や半地下を造るという方法もあります。しかし、地下室の工事は大がかりになりがちで、建築費もかさみます。
スキップフロアにすることで、地上階と一体化した工事ができるので、独立した地下室を造るより建築費を抑えられます。さらに地下室の閉塞感も軽減できると、いいことずくめです。
固定資産税を節約できる
一般的な住宅の場合、2階建てと3階建てでは固定資産税の金額が変わってきます。また3階建てにする場合、2階建て以下では必要のない構造計算書の提出が求められるなど、建築にかかる費用も高くなりがちです。
スキップフロアなら、建築基準法上は2階建てでありながら、3階建てと同じ床面積を確保することもできます。つまり、3階建てよりも建築費用や固定資産税が節約できるのです。
関連記事:持ち家にかかる固定資産税・都市計画税はいくら?計算方法を確認しておこう
防火地域の建築条件をクリアしやすい
防火地域や準防火地域に指定されている土地に家を建てる場合、基本的には耐火建築や準耐火建築にしなければなりません。当然のことながら、耐火建築物は木造住宅より建築費がかかります。
ただし、防火地域であっても2階建て以下で延べ床面積が100平方メートル以下の場合、または準防火地域で2階建て以下で延べ床面積が500平方メートル以下なら、耐火建築物や準耐火建築物にする必要はありません。
空間を有効活用できるスキップフロアなら、2階建てのまま、実質の床面積を増やせます。つまり、防火地域や準防火地域であっても、規制をクリアしやすいといえます。
スキップフロアのデメリット
スキップフロアにはさまざまなメリットがありますが、反面、スキップフロアならではのデメリットも存在します。改めて、スキップフロアのデメリットを見てみましょう。
建てられる建築会社が限られる
スキップフロア住宅は、一般的な住宅よりも設計や建築の難易度が高いという特徴があります。そのため一部の住宅メーカーや建築会社では、スキップフロアの住宅建築に対応できない場合があるのです。
スキップフロアの利点を最大限に活かした設計をするためには、設計士の経験が問われます。また、設計の段階をクリアしても、実際に施工する職人の経験が不足していては、質の高い住宅は造れません。
スキップフロアの住宅を考えるなら、発注する建築会社がどの程度のスキップフロア建築経験があるか、あらかじめ調べておきたいものです。
建築費用が割高になる
スキップフロアなら、2階建てでも3階建てと同じくらいの床面積を確保することができます。反面、一般的な2階建て住宅よりも、建築費用がかかってしまうというデメリットが。
もちろん、3階建てにするよりは費用を抑えられますが、スキップフロアは設計や技術の難易度も高いので、その分のコストもかかります。実際にどのくらい割高になるのか、建築会社と十分に打ち合わせをして見積もりを取っておきましょう。
空調が効きにくい
スキップフロアの住宅は、一般的な住宅よりも壁や扉が少なくなっています。そのため、空調が効きにくいというデメリットがあります。
空調設備を選ぶ際には、スキップフロアの特性に合わせたパワーの製品を選ぶ必要があります。また、空調が効きにくければ、冷暖房費も高くなりがちです。
スキップフロア住宅を建てるなら、あらかじめ空調にかかるランニングコストも多めに見積もっておいたほうがいいでしょう。
バリアフリーにできない
スキップフロアは、床の高さを変えることで部屋と部屋を仕切る建築方法です。そのためどうしてもバリアフリーには対応できなくなります。
高齢者の家族がいる場合は、どの程度の高さなら問題なく住めるのか、十分に検討する必要があります。また、小さなお子様がスキップフロアの段差につまずいて、ケガをする可能性もあります。
今は健康な成人であっても、ケガや病気で車いすを利用することがあるかもしれません。スキップフロアの住宅を建てるなら、将来的な住み方や家族構成の変化なども視野に入れて、建築会社とよく相談したいものです。
まとめ
スキップフロアの住宅には、傾斜地や狭小地といったマイナスポイントを補う効果があることはお分かりいただけたと思います。しかし、スキップフロアのデメリットも知っておかないと、せっかくの家を建てても「こんなはずではなかった」と思うことになってしまいます。
スキップフロアをお考えなら、ぜひ一度、タクトホームにご相談ください。スキップフロアの特性を活かした、それぞれのご家族に最適なプランをご提供します。