新築一戸建て

「南向きの土地がベスト」は本当? 注文住宅の建築では土地の方角にも注意

注文住宅の建築は、まず土地選びから始まります。土地がどの方角に向いているかは、これから建てる家の間取りに大きな影響を与えます。

一般的には日当たりの良い南向きが人気ですが、本当に南向きがベストなのでしょうか。土地の方角による特徴をよく理解して、理想の家造りにぴったりな土地を選んでみませんか?

注文住宅の土地を選ぶなら、やはり南向きがいい?

南向きが人気なのは、注文住宅の土地選びだけではありません。賃貸アパートや分譲マンションでも、南向きが人気となっています。どうして南向きが人気なのか、その理由を知っておきましょう。

南向きの土地とは?

土地の方角は、前面道路がどの方位にあるかで決まります。南向きの土地とは、土地の南側が道路に接しているという意味です

賃貸アパートや分譲マンションでいう南向きとは、リビングなど大きな窓のある部屋が南に向いている、あるいはバルコニーが南側に設けられていることを意味します。玄関がどの方角にあるかは関係ありません。

土地の南向きと部屋の南向きは、同じ「南向き」でも少々意味が違うので注意が必要です。

南向きの土地が人気の理由

南向きの土地は、南側が道路になっています。道路は移動するものではありませんから、南側に建物が建つ可能性はかなり低いと言っていいでしょう。

つまり南向きの土地は、長期的に見ても日当たりが確保しやすいのです。同じ理由で、角地も人気となっています。

一方で、日当たりが確保しにくい北向きの土地は不人気です。隣接する土地でも、南向きと北向きでは販売価格が違うということも少なくありません。

実はこれほどまでに南向きにこだわるのは、日本独自の文化と言われています。日本よりも日照時間の短いヨーロッパ諸国では、家造りではそれほど方角にこだわりません。

その背景には、日本の高温多湿な気候があります。日当たりが悪いと湿気が多くなり、カビなどが繁殖しやすいため、南向きにこだわるようになったと考えられています。

土地の方角と間取りの関係

土地がどの方角に向いているかは、その土地に建てる家の間取りに大きく影響します。せっかく南向きの土地を選んでも、南側に窓が少ない家では南向きのメリットが感じられなくなってしまいます。

リビングなど採光を確保したい部屋は南側に、トイレなど採光が悪くてもあまり問題ない場所は北側に配置するのが一般的でしょう。しかし南向きの土地でも、形や広さによっては思うような家が建てられないこともあります。

土地を選ぶ際には、どんな間取りにしたいかイメージを固めておくことが大切です。間取りのイメージができていれば、南向きにこだわらず間取りに合わせて土地の方角を選ぶことができます。

間取りのイメージができていないと、土地を購入してから方角に合わせて設計することになります。すると「とりあえず日当たりがいい南向きの土地を選んでおけば間違いない」と考えてしまいがちです。土地の選択肢を広げるためにも、間取りのイメージを固めてから土地購入に臨むようにしたいものです。

土地の方角ごとのメリットとデメリットをチェック

たしかに南向きの土地は人気ですが、決してメリットばかりではありません。東西南北それぞれの方角について、特徴やメリット・デメリットをご紹介しますので、ぜひ土地選びの参考にしてみてください。

南向きの土地のメリット・デメリット

南向きの土地のメリットは、日当たりがよく冬でも暖かいことでしょう。湿気が少ないので、洗濯物もよく乾きます。一方で、夏は部屋が暑くなりがちというデメリットもあります

南向きの土地の場合、玄関も南向きに設置することが多いため、その分だけ南向きの部屋が狭くなってしまいます。かといって玄関を別の方角に造ると、道路から玄関までの距離が長くなってしまいます。

南向きの土地では、駐車スペースをどこにするのかも問題です。駐車スペースと家の位置が近すぎると、せっかく南向きに作った窓が車で塞がれてしまいます。日差しが車に反射して、まぶしくて窓を開けられないというトラブルが起こる可能性もあります。

また南向きの土地では、リビングを南側、つまり道路に面して設置することになります。家と道路の間に庭などのスペースをとらないと、家族の憩いの場が道行く人から丸見えになってしまうことも。

なによりのデメリットは、ほかの方角よりも土地の値段が高めということです。土地にお金をかけすぎると、家の建築費を抑えなければならず、結果として思ったような家が造れなくなることもあります。

東向きの土地のメリット・デメリット

南向きには劣りますが、東向きの土地も採光が得やすいのが大きなメリットです。なによりも、朝から気持ちのいい日差しを浴びられるのが魅力でしょう。南側のスペースも確保しやすいので、採光率が高いにもかかわらずプライバシーも確保したリビングを実現できます。

家が隣接している住宅街なら、西日をカットできるのもメリットのひとつです。西日は太陽の高度が低いために家の中に入ってきやすく、夏場には室温を上げる原因にもなります。

ただし東向きも、夏場は午前中から温度が高くなる、夕方早くから暗くなり日が差さなくなるといったデメリットが。また家の南面を広くとろうとすると、駐車スペースがリビングの目の前になってしまうことも多いので、設計段階でよく考慮する必要があります。

西向きの土地のメリット・デメリット

西向きの土地も、東向きと同じくらい採光が確保しやすいという特徴があります。家の南面を広くとれるので、日当たりのいいリビングが造れることでしょう。

ただ、西日は太陽の高度が低いため室内に入ってきやすく、夕方はまぶしい、夏場は暑いといったデメリットがあります。西に玄関を作ると、西日で玄関ドアが劣化しやすいといわれていますが、日照時間は東玄関も変わらないはずなので、それほど気にする必要はありません。

また西向きの土地でも東向きと同じように、駐車スペースがリビングの目の前に来てしまうことがあります。そのため土地の形状などをよく考えて設計することが重要でしょう。

北向きの土地のメリット・デメリット

北向きの土地は不人気のため、価格も安くなっています。土地を購入する際には、北向きの土地を視野に入れることで選択肢がぐんと広がることでしょう。

土地が北向きでも、南側に庭などのスペースをとることで採光は確保できます。日照時間が少なければ室温も上がりにくいので、夏場は涼しく過ごせます。また北向きの土地は、建築基準法で定められた高さ制限の影響を受けにくいのも魅力のひとつです。

ただし、冬場の冷え込みも気になりますし、梅雨時や台風の時期は湿気やカビへの対策が必要になることも。場合によっては暖房費が高くつくこともあるので、土地購入の前にはランニングコストについてもよく考えたいものです。

関連記事:北向きの家は後悔する?実はメリットも!快適に暮らせる条件を紹介

希望の方角の土地が買えなかったときの対策

希望通りの土地が市場に出回らない、購入資金が折り合わないといった理由で、方角の違う土地を購入しなければならないこともあります。そんな時、どんな対処法が考えられるのか、いくつかご紹介しましょう。

間取りでできる工夫

「もっと採光を確保したい」という時は、吹き抜けを作って天窓を設けてみましょう。南側、東側に窓を多く配置すれば、その分、室内が明るくなります。

1階には日が差さないという場合は、1階に寝室を配置して、リビングを2階、3階に置いてみてはいかがでしょうか。布団や洗濯物を外に干したいなら、屋上をルーフバルコニーにするという方法もあります。

関連記事:2階リビングのある間取りはメリットが多い? デメリットや対策も紹介

内装や外構でできる工夫

室内を明るく見せるための代表的なテクニックに、壁紙を白やパステルカラーなどの明るい色にするという方法があります。壁紙だけでも部屋の印象はかなり変わりますが、さらに間接照明を取り入れることで、部屋がより明るい印象になります。

背の高い家具が多いと、部屋の印象が暗くなりがちです。さらに物が多いとごちゃごちゃした雰囲気になり、部屋が薄暗く感じてしまいます。家具は背の低いものにする、隠す収納を増やして部屋をすっきりさせると、部屋も明るく感じることでしょう

外構での対策としては、庭に白砂や玉砂利を敷き詰めて、反射光を室内に取り入れるのもいいでしょう。庭に直接日が差さなくても、窓の外の色が明るいと室内も明るく見えます。

関連記事:新築の外構工事の流れや費用、種類は?おしゃれな成功事例も解説

まとめ

東西南北それぞれの土地について特徴をご紹介しました。建てる家の間取りや、住む人が求める条件によっては、必ずしも南向きの土地がベストというわけではないことがお分かりいただけたのではないでしょうか。

大切なのは、理想の間取りや暮らし方に合った方角の土地を選ぶことです。どんな土地にもデメリットはありますが、工夫次第でカバーすることができます。

タクトホームでは、土地の方角に合わせた住宅設計だけでなく、希望の間取りに合った土地のご紹介も承っております。家造りを考えるなら、まずはお気軽にご相談ください。

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