キッチンは家事をする中で多くの時間を過ごす場所であり、注文住宅の間取りを考える際にはさまざまな観点で考えなければなりません。本記事では、キッチンの種類や高さ、コンロの種類や使いやすさのポイントなど、キッチンの造りを考える際に押さえておきたいことをご紹介します。
Contents
注文住宅におけるキッチンの種類
キッチンといってもさまざまな種類があり、それぞれ特徴が異なります。
ここでは、主なキッチンの種類として次の5つを確認してきましょう。
- I型
- L型
- U型
- ペニンシュラ型
- アイランド型
I型
I型キッチンとは、シンク・コンロの配置の形が「I」の字のように一直線で配置されるキッチンです。
一般的なキッチンでは、このI型が多いでしょう。
レイアウトによっては、壁に付けてキッチンで独立することも、一部のみを壁に付けてセミオープンにすることも可能です。
セミオープンの場合は、さらにキッチンの反対側にカウンターを設けて食事をとるスタイルにもできます。
セミオープンタイプなら、リビングにいる子どもの様子を見ながら調理も可能となりコミュニケーションを取りやすいというメリットがあります。
比較的コンパクトに設置できるので狭いスペースで設置できる反面、大人数でのキッチン作業には向いていません。
大型のI型キッチンにすれば、その分長さが必要になるため動線が悪くなり、スペースも多く必要になる点には注意が必要です。
L型
L型キッチンは、上から見た時「L」の字のように、作業台とコンロが配置されるキッチンです。
一般的には、コンロと作業台・シンクが90度で向かい合うように配置された形となります。
L型キッチンはコンロとシンクが直角なので、作業効率がよく大人数でも作業しやすいという特徴があります。
壁付けやセミオープンスタイル・オープンスタイルなど汎用性も高いですが、価格が高くなる傾向があります。
また、直角部分の収納ができない点にも注意しましょう。
U型
上から見た時の形が「U」の字に見えるキッチンで「コ型」とも呼ばれます。
一般的には、コンロ・シンク・作業でそれぞれの面がつくられ、簡単に作業を切り替えられるので家事効率が良い点が特徴です。
設置に広いスペースが必要になり、直角部分が増えることでデットスペースも多くなる点には注意しましょう。
ペニンシュラ型
ペニンシュラとは「半島」を意味する言葉で、キッチンの左右片方が壁付けされた形です。
I型・L型・U型がキッチンの種類を言うのに対し、ペニンシュラ型と次のアイランド型はキッチンのレイアウトの種類になります。
例えば、I型の一部を壁に付ければペニンシュラ型、壁に付けなければアイランド型となるのです。
ペニンシュラ型は、一部が壁付けのためアイランド型ほどの開放感はありませんが、スペースを多くとりません。
前面を壁付けするよりも開放感はあるので、開放感を演出したいけどスペースが限られている場合などに適しているでしょう。
アイランド型
アイランド型は島(アイランド)のように、どこも壁についておらず独立したキッチンです。
開放感やおしゃれさ、家族とのコミュニケーションが取りやすいことなどからも人気があります。
開放感があり、大人数でも作業しやすいという魅力もありますが、換気扇の設置が難しいなどの理由で工事費が高くなる点には注意が必要です。
また、臭いや汚れが部屋全体に広がりやすくキッチン全体が丸見えになるので、清掃・整地整頓は他のタイプよりも念入りにする必要があるでしょう。
注文住宅のキッチンの高さはどのくらいがいい?
キッチンの高さとは床からワークトップまでの高さのことを言います。
一般的には、80㎝・85㎝・90㎝・95㎝でラインナップされ、標準を85㎝で設定されているキッチンが多いでしょう。
メーカーによってはそれ以下やそれ以上、より細かい㎝での設定も可能です。
キッチンの高さを決める際「標準設定が85㎝だから」という理由で決める方もいますが、その決め方では後悔する可能性があります。
理想の高さの計算式
キッチンの理想の高さは、身長から算出することが可能です。
「キッチンの高さの計算式=身長÷2+5㎝」
この際、一番キッチンに立つ時間が長い人を基準に計算するようにしましょう。
仮に、160㎝の人であれば、160㎝÷2+5㎝=85㎝が理想の高さとなるのです。
ただし、この計算式は理想とはありますが、一般的に利用しやすいとされている高さを求めるだけです。
人によってはそれよりも高い方や低い方が使い勝手がいい場合もあります。
使う人が高齢なら前かがみになる場合も多いので、上記の計算よりも低い方がいいでしょう。
また、上記の計算式で算出した場合、身長155㎝の人は理想の高さが82.5㎝となるので、規格内で選ぶと、80㎝か85㎝となります。
高い方と低い方のどちらを選べばいいかは、それぞれのデメリットを考慮して検討することが大切です。
キッチンの高い・低いごとのメリット・デメリット、高さ別のポイントについて以下で詳しく解説します。
キッチンを高くするメリット・デメリット
メリット | デメリット |
・身長に合わせて調整しやすい ・シンク作業がしやすい ・キッチン下の収納スペースが広くなる | ・肩こりや腕の痛みにつながる ・包丁に力が入りにくい ・コンロでの作業がしにくい |
キッチンが高い場合は、踏み台などを利用すれば自分の最適な高さに調整することが可能です。
また、シンクはワークトップよりも低くなるので、シンク作業はしやすいでしょう。
キッチン下の収納スペースは、キッチンの高さによって広さが変わってくるので、キッチンが高ければその分収納スペースも広がります。
ただし、高すぎるキッチンで作業すると腕や肩が上がって無理な体制になり、肩こりや腕の痛み・疲れにつながる恐れもあるでしょう。
切るときに力を入れづらくなり切りにくいだけでなく、ケガにつながる可能性もあります。
コンロも同様に、鍋の底が見えにくくなったりフライパンを振りにくくなったりと作業に支障が出る可能性あるのです。
キッチンを低くするメリット・デメリット
メリット | デメリット |
・手元が見えやすい | ・腰や背中の痛みにつながる ・水撥ねが気になる ・収納スペースが狭くなる |
低いキッチンなら、深めの鍋でも中が見えやすく手元が低くなるので調理作業もしやすいというメリットがあります。
ただし、あまりに低すぎると前かがみの姿勢を長時間することになり、腰や背中の痛みの原因になりかねません。
シンク作業時の水撥ねで服も濡れやすくなる点にも注意が必要です。
収納スペースの高さが低くなるので、収納力も落ちてしまいます。
キッチンの高さ別のポイント
近年キッチンと一緒に取り入れる方が増えているのがキッチン前のカウンターです。
キッチン前にカウンターを設置することで、コミュニケーションを取りながら食事の準備や食事・片付けを進められます。
カウンターもキッチン同様に高さ選びが重要です。
ここでは、カウンターの高さ別のポイントを見ていきましょう。
高さ | 高さ目安 | ポイント |
70㎝ | 座った時に食事や作業がしやすい | 食事には最適だが調理には向かない |
80㎝ | 身長150㎝の人におすすめ | 食事するには高め |
85㎝ | 身長160㎝の人のおすすめ | 食事するには高め |
90㎝ | 身長170㎝の人におすすめ | 食事には向かない |
100㎝ | 座った大人の目線よりやや低め | コミュニケーションは取れるが食事や調理には向かない |
110㎝ | 座った大人の標準的な目線 | コミュニケーションは取れるが食事や調理には向かない |
120㎝ | 座ったら目線が遮られる | コミュニケーションをとることができない |
キッチンは作業する人の身長を元に、ショールームなどで現物を確かめて高さを決めることをおすすめします。
また、現物を確かめる場合は靴を脱いだ状態(普段作業する時の状態)で高さを確かめることが重要です。
キッチン前のカウンターは高すぎると食事が難しくコミュニケーションも取りづらくなるので、70㎝ほどを目安に考えるとよいでしょう。
ガスコンロ・IHコンロそれぞれのメリット・デメリット
キッチンを選ぶ際に迷うのが「ガスかIH」というコンロの選択です。
注文住宅はIHコンロが主流?
環境省の調査によると、令和2年のIHの普及率は25.4%、戸建てに限定すると33.8%という結果が出ています。
戸建を中心に普及しているIHは、新築住宅で取り入れるケースが多く、今後普及率はさらに伸びていくことが予想されます。
しかし、IHにはメリット・デメリットがあります。
同様に、ガスコンロにもメリット・デメリットがあるので、メリット・デメリットを比較して自分に合ったほうを選択することが大切です。
以下では、ガスコンロとIHのメリット・デメリットを見ていきましょう。
ガスコンロのメリット・デメリット
まずは、ガスコンロのメリット・デメリットを一覧で確認します。
メリット | デメリット |
・停電中でも使える ・使える調理器具が多い ・子どもに火について学ばせられる ・料理のクオリティが上がる | ・火を使うので安全面に注意 ・掃除が大変 ・キッチンが暑くなる |
ガスコンロは、電気を使わないので停電時でも調理できるという特徴があります。
IHの場合、種類が増えているとはいえ使える調理器具に制限がありますが、ガスコンロは使える調理器具の選択肢が多いというメリットがあるのです。
直火調理や細かい火力の調整や鍋ぶり調理もできるので、調理にこだわる人はガスコンロを選択する人が多い傾向にあります。
火を使うことで、火傷や家事の心配がある点はデメリットと言えるでしょう。
小さいお子さんや高齢の場合は、安全性を優先したIHにする方も少なくありません。
ただし、近年はIHが増えていることで、子供の中には火を見たことが無いという子も増えており、ガスコンロで火について教える機会を設けられるのはメリットとなります。
ガスコンロは五徳を使用するので、掃除の手間がかかる点は注意しましょう。
IHコンロのメリット・デメリット
IHコンロのメリット・デメリットを一覧で確認します。
メリット | デメリット |
・安全 ・掃除しやすい ・キッチンが暑くなりにくい | ・停電すると使えない ・使える調理器具が限定される ・熱くなっているか分かりづらい ・直火が必要な調理ができない |
IHコンロは火を使わないので、子どもがいても安心して使えるというメリットがあります。
長時間使用や一定温度以上になったら自動的にOFFされる安全機能が付加されているのが一般的です。
ただし、火を使わないとはいえ、油を高温で熱し続けると家事になる恐れはあるので、利用する際には注意を払う必要はがあります。
IHコンロは天板がフラットなので、いつでもさっと掃除でき清潔に保ちやすいという点は大きな魅力でしょう。
デメリットとしては、停電時には使えないことが挙げられます。
また、ガスコンロに比べると使える調理器具も限定され、直火調理や細かい火の調整が必要な料理には向きません。
火のように直接熱せられているかを目で確認できないので、うっかり触って火傷というケースもあるので注意しましょう。
また、ワークトップは一般的にはガラス製なので、重い鍋や上部の換気扇掃除の際に換気扇を落下させると割れてしまう可能性もあります。
注文住宅で使いやすいキッチンにするためのポイント
毎日利用するキッチンは、できるだけ快適に過ごせるようにしたいものです。
ここでは、使いやすいキッチンにするために注文住宅のキッチン選びの際に抑えておきたいポイントとして、次の2つを紹介します。
- 家事導線を明確にする
- 収納するものをリストアップする
家事導線を明確にする
キッチンを快適にするには、動線を考慮した配置や間取りにする必要があります。
洗う・下準備・調理・配膳と言ったキッチン内での作業が快適にできるか、背面収納やパントリーまでの距離はどうかを事前にシミュレーションしておくとよいでしょう。
忘れがちなのが収納棚を開けた時のスペースです。
収納棚を開けると通れなくなる、途中でつっかえて全開できないケースは珍しくないので、棚のサイズやレイアウトは慎重に検討する必要があります。
また、キッチン内の作業だけでなく食材を購入してからキッチンに運ぶ・食事を運ぶ・洗濯などの他の家事をする際の動線なども考慮することが大切です。
家事動線を明確にしておくと、間取りも決めやすくできた後も快適に過ごしやすくなるでしょう。
関連記事:子育てしやすい間取りとは? おすすめの間取りやレイアウトのポイントを紹介
収納するものをリストアップする
キッチンの収納力がないと、食器や食材が収納しきれず別の部屋に収納するということにもなりかねません。
反対に、収納するものに対して収納スペースが大きいと、スペースを余らせるだけでなく、その分作業スペースにできたのに…と後悔するケースも珍しくありません。
どれくらいの収納が必要なのかを把握しておくことで、適切な収納量を備えることが可能です。
今使っている調理器具や食器類・キッチンに配置する家電など、キッチンに収納するものをリストアップしておくと収納を設ける際の目安が分かりやすくなります。
まとめ
キッチンについて、種類や高さ、ガスコンロ、IHコンロの違いや使いやすいキッチンにするためのポイントなどをご紹介しました。これから注文住宅の建築を考えている際には、ぜひ本記事の内容を参考になさってください。
タクトホームの住宅ブランド「グラファーレ」は性能とデザインが高い次元で両立されている住宅です。
キッチンにおいても、デザイン、使い勝手両方を求めたい方にぴったりの住宅だといえるでしょう。
注文住宅におけるキッチンについてより詳細に知りたいという方はぜひ一度タクトホームまでご相談ください。
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