注文住宅の見積もりにはいろいろな工事が入っており、高額になるため、どのように判断すればよいか分かりづらいものです。
本記事では、見積もりを依頼する流れや見積もりを取る前にやっておくべきこと、記載内容などと併せて、予算がオーバーしたときの対処法など解説していきます。
Contents
注文住宅の見積もりを依頼する流れ
まずは、見積もりを取る流れを見ていきましょう。
大まかな流れは、次の3つのステップです。
- 住宅会社に問い合わせする
- 間取りの希望を伝える
- 住宅会社が間取りを併せて見積もりを提示してくれる
①住宅会社に問い合わせする
気になる住宅会社を絞り込んで見積もり依頼の問い合わせをします。
注文住宅の見積もりは、一度で具体的な見積もりを受け取るわけではありません。
一般的には、次のタイミングで見積もりを取ることになります。
- 住宅会社の候補を決めるとき
- 住宅会社を選定するとき
- 住宅工事の内容を確定させるとき
最初に、候補となる住宅会社を絞り込むために、ざっくりとした内容で概算見積もりを取ります。
概算見積もりを複数社見比べて、その中から気になる住宅会社により詳しい見積もりを作成してもらい、1社に絞り込みます。
依頼する住宅会社が決まったら、依頼する家の詳細な見積もりを依頼し費用を確定していくのです。
住宅会社の比較段階では、3社ほどに見積もり依頼するのをおすすめします。
依頼する会社が多すぎても比較しにくく、選びにくくなるので注意しましょう。
この際、見積もりの前提条件は住宅会社によって変えるのではなく、条件を同じにして依頼するようにします。
また、相見積もりを取っていることはそれぞれの会社に伝えることがマナーと言えるでしょう。
見積もりの内容や依頼する住宅会社によっては、見積もりの時点で費用が発生するので注意が必要です。
一般的には、最初の段階の概算見積もりは費用がかからず、2回目以降の詳細な見積もりの時点で費用がかかる会社が多いでしょう。
見積もり依頼の連絡の際には、費用についても確認することをおすすめします。
②間取りの希望を伝える
概算見積もりを依頼する場合であっても、ある程度の間取り希望や家の広さなどを伝える必要があります。
間取りの希望も定まらないままざっくりと見積もり依頼しても、精度の低い見積もりとなってしまいます。
できるだけ具体的に家の希望を伝えることで、詳細見積もりと変わらない精度の見積もりを取れる可能性があり予算を決めやすくなるでしょう。
③住宅会社が間取りと併せて見積もりを提示してくれる
見積もり依頼をしてから1~2週間ほどで、間取りと見積もりを提示してもらえます。
住宅会社によっては、見積もりに1ヵ月以上かかる場合もあるので、相見積もりを取る段階の場合はどれくらいで見積もり提示されるのかを確認しておくとよいでしょう。
注文住宅で見積もりを取る前にやっておくべきこと
注文住宅は、家族の理想の家を実現しやすい反面、コストも高額になってしまいます。
ここでは、見積もりを取る前にやっておくべきこととして次の3つを紹介します。
- 予算と優先順位を決める
- 住宅の広さを決める
- 土地を決めておく
予算と優先順位を決める
注文住宅の場合、希望を叶えようとすればいくらでも費用をかけられます。
とはいえ、実際には予算の上限があるものです。
予算を決めておかなければ、費用が想定よりも高額になる場合もあるでしょう。
予算を組む際には、事前に住宅ローンの借入可能額と預貯金、援助を受けられるのかまで含めて、実際にどれくらいまで掛けられるのかを把握することが大切です。
ただし、住宅ローンを組む場合は毎月の返済額がどれくらいになるのかまでシミュレーションして、予算を決めることをおすすめします。
借入可能額の上限ギリギリでローンを組んでしまうと、毎月の返済額の負担が大きすぎる場合があるので注意しましょう。
また、予算内で注文住宅を建てようとすれば、すべての希望を叶えることは難しく、何かしら妥協せざるを得ない部分がでてきます。
そのための優先順位を決めておくことが大切です。
- デザインにこだわりたい
- リビングでくつろげる家がいい
- それぞれの部屋が欲しい
- 便利に暮らしたい
このように、どのような暮らしをしたいのかを話し合って優先順位を付けていくようにしましょう。
どう優先順位を付ければいいのか分からないという場合は、「ここだけは譲れない」という部分を決めていくと順位を決めやすくなります。
優先順位を決めておくと、予算内であっても満足できる家づくりがしやすくなるでしょう。
住宅の広さを決める
家族構成や将来のライフプラン・希望のライフスタイルによって必要な家の広さは異なってきます。
今は夫婦のみでも、将来子供が生まれれば子供部屋などで広い家が必要になる可能性があるでしょう。
また、両親との同居の可能性も考慮しておく必要があります。
現状だけで判断するのではなく、数十年先まで見据えて必要な家の広さを検討していくことが大切です。
関連記事:4人家族の間取りのベストは?選び方と1〜4LDKそれぞれの暮らし
土地を決めておく
家を建てるためには、土地が必要です。
土地がない状態では、家づくりをしようにもどれくらいの広さや構造の家が建てられるのか判断できません。
土地探しからスタートするという人は、土地探しの際には予算や住みたいエリア・周辺環境の希望・妥協ポイントなどを明確にしたうえで土地探しをすると、理想の土地に出会いやすくなります。
また、住宅会社によっては土地を紹介してくれる場合もあるので、一度相談してみるのもおすすめです。
土地をすでに所有している場合は、土地の面積や形状・土地にかかる制限などを把握しておくようにしましょう。
関連記事:土地探しのコツを知って、家を建てるのにベストな土地を選ぶ
注文住宅の見積もりの記載内容
見積書の書式は決まっておらず、依頼する住宅会社によって提示される見積書の内容は異なります。
とはいえ、見積書は大きく次の3つの項目で分かれているのが一般的です。
- 本体工事費
- 付帯工事費
- 諸費用
それぞれ詳しく見ていきましょう。
本体工事費
本体工事費とは、建物部分の工事費のことを言います。
見積金額の中でも大きな部分を占めるのがこの本体工事費であり、見積金額の7~8割ほどとなるのです。
本体工事費には、次のような費用が含まれます。
- 基礎や土台工事
- 木工事
- 屋根や外装工事
- 左官・タイル・塗装工事
- 内装工事
- 設備工事
- 電気・防水・給排水工事
- 仮設費用
- 人件費
本体工事費には建物を建てるための項目はほぼ含まれます。
ただし、本体工事費と次に説明する付帯工事の区別は住宅会社によっても異なるものです。
どこまでが本体で、どこからが付帯なのかは把握しておくようにしましょう。
また、工法や設備のグレード・性能などの記載もチェックすることが大切です。
家の建築費は工法によって大きく異なる場合があります。
設備のグレードや性能も幅広い選択肢があり、金額も異なるので注意が必要です。
付帯工事費
本体工事費以外で、住むために必要な工事の費用が付帯工事費となります。
主な付帯工事費には、次のような項目があります。
- 地盤改良工事費
- 水道・ガスの引き込み工事
- 外構工事
- 解体を伴う場合の解体費
- 空調や照明工事費
- カーテン工事費
- 太陽光発電の設置費
付帯工事費は、外構などの希望や地盤調査の結果といった土地の条件によって大きく異なります。
一般的には、見積金額の2割ほどが付帯工費となるでしょう。
諸費用
家を建設する際には、本体や付帯工事以外にもさまざまな手数料が発生し、それらを併せて諸費用と呼びます。
主な諸費用には次のような項目があります。
- 設計費用
- 火災保険料等の保険料
- 地盤調査費
- 登記費用
- 印紙代
- 地鎮祭や挨拶回りの費用
- 建築確認申請手数料など
家を建築するための許可を得る申請にかかる費用や建築後の家を登記するための費用、また、契約書にかかる印紙税など多くの項目の費用がかかるのです。
一つ一つの項目の費用は小さくても総額になると百万円を超える額となる場合もあります。
また、住宅会社との契約に直接関わりはありませんが、住宅ローンを組む場合は金融機関への手数料も必要になります。
住宅ローンを組む場合の手数料は、ローン借入額の1割ほどが目安です。
基本的に上記の費用は、ローンで賄うことができず自己資金での対応となります。
すべての手数料を含めての支払い総額を把握したうえで、予算計画を立てる必要があるのです。
注文住宅の見積もりのチェックポイント
見積書を提示されたら、内容をチェックしていきます。
見積書は基本的に「本体工事費」「付帯工事費」「諸経費」の額が記載されています。
まずは、全体でどれくらいかかるのかを把握しましょう。
そのうえで、より具体的に内容をチェックしていくことが大切です。
チェックする際には、次の3つのポイントを特に意識しましょう。
- 追加工事の有無を確認する
- 希望が反映されているか確認する
- 家具やカーテンなどが含まれているか確認する
追加工事の有無を確認する
見積書の作り方は、注文会社によってさまざまな書式があります。
細かい項目で費用を記載している会社もあれば、一式というようにひとまとめで記載している場合もあるでしょう。
見積書をチェックする際には、「何が見積額に含まれ、何が含まれていないのか」を把握する必要があります。
見積書に記載されていた金額が想定よりも安くて良かった、と思っていても記載されていない追加工事で高額になる場合もあるのです。
特に、付帯工事費に関わる項目は見積書で抜かれているケースもあるので注意しましょう。
- 基礎工事費
- 仮設工事費
- 外構工事費
- 解体を伴う場合の解体工事
上記のような項目は、基本的に必ず必要な項目ですので、抜けていないか確認する必要があります。
特に、注意したいのが「地盤改良費」です。
地盤改良は、地盤調査をしなければ改良が必要なのかを判断できません。
そのため、見積書には地盤改良費が含まれていないケースは珍しくないのです。
しかし、地盤工事が必要になった場合、百万円程の費用がかかる可能性があるので、注意しなければなりません。
事前に、地盤改良費も含むように伝えておくと予算を大幅に上回るのを防げるでしょう。
このように、見積書で必要な項目が抜けている場合や追加工事が必要な場合は、数百万円単位で見積額が変わってくるものです。
細かい項目で記載されている場合はチェックしやすいですが、ざっくりと記載されている場合は担当者に必ず内容や追加工事の有無を確認するようにしましょう。
希望が反映されているか確認する
見積もり依頼する際に、希望した内容が見積書に含まれているかを確認します。
- 間取り
- オプション
- 設備
- 性能
- 坪数など
伝えた希望が含まれているか、含まれていない場合はなぜ含まれないのかまで確認するようにしましょう。
設備などはグレードや性能まで確認する必要があります。
グレードの低い設備の場合、後からグレードを上げると費用も高額になってくるものです。
記載されている性能は自分の希望を満たせるのかもチェックするようにしましょう。
反対に、希望していない項目が追加されていないかもチェックすることが大切です。
伝えた希望がすべて含まれていることは、相見積もりで比較するためにも重要なポイントになります。
各住宅会社の条件が同じでなければ、費用の高い安いも判断しにくいものです。
見積もり依頼する際に条件を同じにすれば、住宅会社を正しく比較できるでしょう。
家具やカーテンなど含まれているか確認する
建付け家具やカーテン・照明などは概算見積もり時には含まれていないケースがあります。
見積書の総額だけチェックして含まれている内容を把握していなければ、契約後に追加費用がどんどん上乗せされるケースもあるので注意が必要です。
見積もりがオーバーしたときの対処法
見積もりした金額が予算よりも大幅にオーバーしているというケースは珍しくありません。
家を建てるとなると、いろいろと希望を詰め込みたくなるのは仕方がないことです。
特に、モデルハウスを見た後などは、素敵なモデルハウスのようにしたいと予算は後回しになってしまうこともあるでしょう。
最初から予算内で建てる意識をしていなければ予算内に収めることは難しくなります。
予算オーバーしてでも建てられる資金があれば問題ありませんが、基本的には予算内に収める必要があります。
ここでは、予算オーバーしたときの対処法を見ていきましょう。
見積もり時点のキャンセルは可能
見積金額が大幅にオーバーした場合、その住宅会社を諦める場合があるでしょう。
また、相見積もりで住宅会社を決めている場合は、依頼しない住宅会社にキャンセルする必要があります。
基本的に、見積もり時点でのキャンセルは可能ですので、キャンセルする旨を担当者に伝えるようにしましょう。
この際、キャンセルするのに気が引ける…などで曖昧に伝えようとするのはNGです。
曖昧な伝え方ではキャンセルの旨が伝わらず、余計なトラブルに発展する可能性があります。
また、キャンセルのタイミングによっては違約金などが発生する可能性があるので注意しましょう。
キャンセルでの違約金は注文会社によって異なりますが、一般的には次のようになります。
- 概算見積もり後(仮契約前):キャンセル料は発生しない
- 仮契約後:内金が没収される
- 契約後:手付金が没収される
- 工事開始前:違約金が発生する
- 工事開始後:違約金や損害賠償請求の可能性もある
- 仮契約前
基本的には、1回目の見積もりを取った時点でキャンセルしたとしても違約金などは発生しないでしょう。
ただし、仮契約前であっても、見積もりのための測量などをお願いした場合は、調査費などの実費が請求される可能性があります。
- 仮契約・契約後
仮契約を結んだ後であれば、仮契約時の支払った内金は返ってこないケースがほとんどです。
たとえ、仮であっても契約に代わりはありません。
「とりあえず仮契約しましょう」「先に仮契約しておけばお得になります」と営業されるケースは珍しくありませんが、仮契約の内容やキャンセル時の対応はしっかりと確認しておきましょう。
仮契約時に内金を支払っている場合では、内金は返ってこないケースがほとんどなので注意が必要です。
ただし、契約したその日や翌日でのキャンセルは違約金が発生しない場合もあります。
また、本契約を結ぶ際は手付金を支払うのが一般的です。
本契約後、一定期間であれば手付金を放棄することで契約をキャンセルできます。
しかし、手付金で解除できる期間を過ぎると、違約金が発生する可能性が高くなるため注意しましょう。
違約金となると数十万円から数百万円になってしまうので、契約時には違約金や発生のタイミングについて確認しておくことが大切です。
- 工事開始前や開始後
工事開始前でのキャンセルの場合は違約金が発生するのが一般的です。
工事開始前には資材や工事の手配が進んでいるため、発注済みの資材の費用もかかる可能性があります。
また、工事開始後のキャンセルは、違約金でそれまでの工事にかかった費用・場合によっては損害賠償請求もあり得るでしょう。
工事開始後にキャンセルしてしまうと大きな損失を伴うので、キャンセルするならできるだけ早い段階ですることをおすすめします。
このように、キャンセルのタイミングによって違約金などが発生する恐れがあります。
違約金等については契約書に記載されています。
細かい項目は見落としがちですが、契約後に「違約金について知らなかった」は通用しないため、契約前にはきちんと内容を確認することが大切です。
値下げ交渉してみる
家の購入費は高額なので少しでも安くしたいという気持ちは誰にでもあるものです。
見積書が予想よりも高額になっている場合、一度住宅会社に値下げ交渉をしてみるとよいでしょう。
ある程度は応じてくれる住宅会社が多いものです。
ただし、過度の値下げ交渉はマナー違反なので注意しましょう。
一般的には、見積額の1割程値下げしてもらえば成功と言われています。
余りにも大幅な値下げを要求すると、住宅会社との関係性が悪化してしまう可能性があります。
また、過度の値下げに応じてもらえたとしても、出来上がる家に不安が残ってしまう可能性もあります。
値下げ交渉する場合は、相手も自分も気持ちよく家づくりが進められるように、交渉を進めていくようにしましょう。
間取りを見直してみる
大幅に予算をオーバーしている場合、間取りや性能などの見直しが必要です。
次のような箇所を見直すとよいでしょう。
- 建物の形状の凸凹を減らす
- 床面積を減らす
- 部屋数を減らす
- 収納スペースを減らす
- 窓の数を減らす
- 素材のグレードを下げる
- エアコンや照明・カーテンは自分たちで用意する
- 外構はあとからにする
建物の形状は、デコボコのある複雑なものよりもシンプルな方が建設費を抑えられます。
一般的には1階と2階の大きさが同じの四角いタイプで、屋根も一方から流す片流れタイプの方が安くなるのです。
また、建築費用は床面積に応じて変動します。
床面積を削れば、その分建築費用を大きく削減できる可能性があるでしょう。
部屋数が多ければその分壁や建付け家具なども多くなるので、建築費も高額になります。
子供部屋などは将来子供が大きくなってから仕切る、と言った工夫で部屋数を削減できるので部屋数を一度見直してみるようにしましょう。
自分ではどう費用を抑えればいいのか分からないという場合は、予算をオーバーしていることを正直に担当者に相談するのもおすすめです。
営業担当者や設計者であれば、プロの立場から予算内に収める方法をアドバイスしてくれるでしょう。
ただし、費用を削りたいからと言って過度に家の間取りや性能を落とすのはおすすめできません。
家にかかる費用は建設時だけでなく、その後のランニングコストも必要です。
性能を落とすことで、最初の費用を抑えられてもその後交換を頻繁にしなければならない可能性があります。
例えば、屋根や壁は定期的に塗り替えが必要です。
塗り替えには数十万円や数百万円費用がかかりますが、性能によって塗り替え頻度は異なります。
性能がいい屋根や壁の場合、初期費用は高額になりますが塗り替え頻度を落とせる場合があるのです。
壁を少なくすることや素材のグレードを落とすことで、暑さや寒さの影響を受けやすく空調代がかさむ場合もあるでしょう。
家づくりを進めるうえでは、最初の費用だけでなくその後の費用も意識しておくことが大切です。
また、費用を削れても、満足いかない家や快適に過ごせない家になっては意味がありません。
予算内に収めつつも、家族が満足できる家づくりができるように、住宅会社と相談しながら進めていくようにしましょう。
まとめ
注文住宅の見積もりについてお伝えしました。
金額が大きくなってしまうこともあり、本記事でお伝えしたような事前準備が重要です。
これから注文住宅の建築を検討されている方は、ぜひ本記事の内容を参考になさってください。
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