新築一戸建て

中庭のある家を造りたい!後悔しないために知っておきたいメリット・デメリット

おしゃれな中庭は、毎日の生活を豊かに彩ってくれます。できることなら中庭のある家に住んでみたいと思う人も多いことでしょう。ただ、中庭にはメリットも多いのですが、デメリットもあります。それらを知っておかないと、住んでから後悔してしまうことも。この記事で、中庭のある家のポイントを押さえておきましょう。

中庭のある家を造る

 中庭のある家を造るに当たって、中庭にはどんなものがあるのか、どういった家の構造が考えられるのかといった基本から、改めて見てみましょう。

そもそも中庭とは?

中庭とは、周囲を建物に囲まれた庭のこと。四方すべてを建物に囲まれていなくても、敷地外から見えない庭なら一般的に中庭と呼ばれます。

場合によってはスペイン語で「パティオ(patio)」、英語で「コート(court)」ということもありますが、中庭という意味に変わりはありません。集合住宅で、居住者だけが使える共有スペースや屋外の広場のことを、パティオと呼ぶこともあります。

英語圏では、中庭のある家のことを「コートハウス」といいます。宿泊施設や公共施設としての機能を持つコートハウスは、中庭が集会所として使われていたため、コートという言葉が「法廷」という意味を持つようになりました。

日本でも京都の町家を代表として、中庭を持つ伝統的な住宅がたくさんあります。間口が狭く、奥行きが長くなっている京町家は、建物の中間に坪庭と呼ばれる日本庭園を造ることが一般的でした。

狭い敷地面積でも中庭を造って楽しむことができる例として、京町家は今の家造りに大いに参考になることでしょう。

中庭のある家の構造

中庭のある家を作る場合、構造としては、ロの字型、コの字型、L字型の3タイプに分かれます。

ロの字型

ロの字型は文字通り、家を上から見るとロの字に見えるような構造です。四方を完全に建物に囲まれているので、隣家や周囲の家にまったく気を遣わずプライベート空間として楽しむことができます

防犯にも優れていて、泥棒などに庭から侵入されることはまずありません。ただし、ロの字方の中庭を造るには、ほかのタイプよりも広い敷地が必要になります。

コの字型

コの字型は、3方向を建物に囲まれているタイプです。残りの1方向に、外からの視線を遮るような塀を建てることで、中庭となります。坪庭のある京町家も、構造としては基本的にコの字型となります。

周囲の視線をシャットアウトしながらも、1方向には建物がないので、ロの字型よりも開放的な雰囲気になります。日当たりを確保できるので、植物を育てる際にも向いています。

L字型

L字型は、2方向を建物、残り2方向を目隠しの塀で塞いだタイプです。3タイプの中では一番開放感がありますが、ロの字型やコの字型に比べるとプライベート感は少なくなります。

L字型は狭い敷地でも造りやすく、建築費もほかの2タイプよりも安く押さえられます

ひとつ気をつけておきたいのは、コの字型、L字型は塀から中庭に侵入されると、周囲から気づかれにくいこと。防犯を考えるなら、塀にいくつか覗き穴をつけておくとリスクが引き下げられますが、当然プライベート感は少なくなってしまいます。

中庭のある家のメリット

中庭のある家を作ることで、さまざまなメリットが得られます。ここでは中庭を造るメリットをご紹介します。

採光がとりやすい

家を建てる際には、各部屋の採光を確保したいと思う人が多いことでしょう。しかしさまざまな工夫をしない限り、どうしても採光の悪い部屋ができてしまいます。

その解決策の一つが中庭です。中庭を造ることで、建物の外壁部分が多くなり、太陽光を簡単に取り入れられるようになります

例えば、建物の北側にL字型やコの字型の中庭を造れば、北以外の方向に窓が開けられます。ロの字型の中庭なら、屋内すべての部屋の採光を確保することも可能でしょう。

人目が気にならないプライベート空間

中庭は外部からの視線を完全に遮ったプライベート空間です。身なりを気にすることなく、寝間着や部屋着のまま外気に触れられるのは、気持ちのいいことでしょう。また中庭に面した部屋でも、周囲からの視線を考えずに窓を開けて外気を取り込むことができます。

小さなお子さんがいるご家庭なら、子どもを安全に遊ばせられるという魅力があります。家庭用プールを出して水浴びをするのもいいでしょう。

周囲を建物や塀で囲まれた中庭は、空気が上に抜けていきます。そのためバーベキューなどをしても、周囲に煙や匂いが広がりにくいというメリットも。

関連記事:インナーバルコニーを導入するメリット・デメリットやおすすめの間取りをご紹介

風の通り道が確保できる

中庭のメリットの一つとして、外気が取り込みやすいことが上げられます。春や秋など気候のいい季節には、窓を開け放って家中に風を届かせることもできるでしょう。

公道や隣家に面している窓は、周囲からの視線が気になって、ガラス戸を開いてもカーテンやブラインドは閉めておくといったことが多いのでないでしょうか。中庭に面した窓なら、カーテンを開けても外から覗かれることはありません。

ロの字型・コの字型の中庭の場合、外壁部分があるので窓も多く造れます。風の吹く方向を考えて窓を設置することで、換気しやすく湿気のたまりにくい家にできることでしょう。

関連記事:窓サッシは何を選べばよいの?選び方や4つの素材の特徴とメリット・デメリット

二世帯住宅の緩衝地帯にもぴったり

京町家では、表通りに面した店と居住空間を分けたり、居室と風呂トイレなどの水場を分けたりするために、坪庭を利用していました。その考え方を取り入れて、中庭を二世帯住宅の緩衝地帯にするという使い方もできます。

人間の心理として、物理的に距離をとると、心の距離も離れるといわれています。親世帯スペースと子世帯スペースの間に中庭を造ることで、同じ家に住みながら隣居しているような程よい距離感が生まれることでしょう。

それぞれの世帯のプライバシーを確保して、長く円満に暮らすためにも、ぜひ中庭を利用してみてください。

関連記事:二世帯住宅で受けられる補助金について解説!事前に条件を確認しておこう

中庭のある家のデメリット

メリットの多い中庭のある家ですが、もちろんデメリットもあります。ここでは、中庭を造ることでのデメリットと、考えられる対策をご紹介します。

建築費が高くなりがち

中庭のある家は、家の外回りだけでなく、中庭に面した部分にも外壁を造らなければなりません。外壁の面積が増えれば、当然のことながら建築費も高くなります。

また窓をたくさん造れば、それだけサッシの費用もかかります。窓が多くなると、家の強度も確保する必要があり、設計段階からさまざまな面で費用がかかると考えておきましょう。

中庭を造る場合は、排水も考えておかなければなりません。排水設備を整えておかないと、豪雨の際に中庭に雨水が溜まり、最悪の場合は屋内に水が入ってきてしまうことも。

さらに、中庭に照明などを置く場合は電源も確保しておきたいもの。そういった設備を整えるのにもお金がかかるので、結果として建築費が上がってしまうのです。

敷地の広さや間取りにもよりますが、中庭のタイプとしては、L字型、コの字型、ロの字型の順で建築費が高くなると考えておきましょう。建築費を抑えたい場合には、中庭のタイプを変更するのも一つの方法です。

メンテナンスに手間や費用がかかる

中庭のある家は、庭に面した窓も多くなります。中庭の掃除が行き届いていていないと、目につく頻度も高くなることでしょう。

家全体の窓の数も多くなるので、ガラス拭きにも手間がかかります。中庭に芝生や植栽があるなら、毎日の世話も必要です。

中庭には排水設備が必須ですが、排水溝の掃除にも手間がかかります。排水溝のタイプによっては、定期的に業者にメンテナンスを依頼しなければなりません。

さらに、外壁の材質にもよりますが、10年から15年に一度は外壁メンテナンスの必要があるでしょう。中庭のある家は外壁面も多いので、メンテナンス費用も高くなると考えてください。いざという時に慌てないよう、メンテナンス費用は常日頃から用意しておきたいものです。

中庭を造る際に、床をウッドデッキやタイル敷きにしておくと、泥が溜まりづらく掃除がしやすくなります。植栽をしたい場合も全面を土の地面にせず、部分的にタイル敷きなどにすることで、草むしりなどの手間をできるだけ軽減しましょう。

居住スペースが狭くなる

中庭のスペースをとると、その分居室に当てられるスペースが減ります。狭小地に無理に中庭を造ろうとすると、使いにくく狭苦しい家になってしまうことも。

十分な広さの敷地がとれない場合は、京町家のように廊下に接して中庭を造る、バス・トイレ・洗面所などの水回りをコンパクトにするといった対策で解決できることもあります。建築会社とよく相談して、中庭を造るかどうか判断しましょう。

冷暖房が効きにくい

中庭のある家は、窓の数も多くなりがちです。窓は空気の温度が伝わりやすい部分なので、窓が多いほど夏は暑く、冬は寒くなりますし、冷暖房の効率も悪くなります

中庭のある家で快適に過ごそうと思うなら、光熱費が高くつくことは覚悟しなければなりません。冷暖房のランニングコストを抑えるには、建築段階から断熱性を高めておくことが重要でしょう。

外壁の断熱はもちろんのこと、窓にはペアガラスを採用するなどして、窓の断熱にも気を配りたいものです。もちろんその分、建築費用は高くなるので、長期的なランニングコストとどちらがお得なのか、よく検討して採用しましょう。

虫や湿気に悩まされることも

中庭に植栽をすると、植物の種類によっては虫がつくことがあります。また土の地面は湿気をよく含むので、雨上がりには湿気が家の中に上がりやすくなります。

虫や湿気に悩まされないためには、防虫剤を使うなど植物の管理をきっちりすることと、排水設備を整えておくことです。また湿気対策としては、室内の床と中庭の床面に高低差をつけるのも有効です。

まとめ

中庭のある家はメリットが多いのですが、デメリットも少なくないことがお分かりいただけたのではないでしょうか。住んでから「こんなはずではなかった」と思わないためには、中庭のある家の建築実績が豊富な建築会社に依頼し、プロの意見を取り入れることが大切です。

タクトホームでは、中庭のある家の設計や建築も手がけています。中庭のある家のメリットもデメリットも踏まえた上で、最適なアドバイスができます。中庭を造りたい場合は、ぜひ一度ご相談ください。

POPULAR TAGS